「おい、高田! どうせそこで隠れてんだろ、この野郎! さっさと出て来いコラッ!」
小川がバルコニーを指差し、高田総統を挑発すると「おい、そう急かすんじゃないよ!」と威風堂々のテーマ曲に乗り、高田総統以下モンスター軍がバルコニーに姿を現した。一斉にブーイングと“そーとー”コールが沸き起こるが、「もういい、もういい。むしろテンションが落ちる」と高田総統は気に入らない様子。
「おい! 全知全能のこの私が、気持ちを高めてそこでスタンバイしているにも関わらずよ、ずいぶん身も蓋もないことを言ってくれるじゃないかよ、この野郎!」と小川に食ってかかる高田総統。「おい! ここは私の一番いい場面なんだ。チキン! 言うに事欠いて“そこで隠れてる”って言ったな? そこのドアを開けたところの裏側によ! この〜見てたような事を言いやがってよ! おい、キミたちには“お約束の美学”というものがないのかよ!」とかなりお怒りだ。
しかし、気を取り直し「いいか、これがお約束の美学だ! 我こそは高田モンスター軍総統・高田だ!」と宣言。すると再び沸き起こる“そーとー”コール。今度のはなかなかパワフルだ。これには高田総統も「うん、うん。けっこういいじゃないか」と機嫌を直す。
「ところでだ、おとといの大阪で惨めな醜態をさらした腰フリはどうしたんだよ? あまりのショックで、出てこれなくなったか? ん?」高田総統はHGが姿を見せない事に満足そう。
「冗談言うな!」反撃を開始したのは大谷だ。「HGはな、一回負けたくらいで、落ち込むような奴じゃねえんだよ! 今日は、どうしても外せない用事があったんだよ」。
それを聞いた総統、「おい、この大仁田! 久しぶりだな。お前、例の革ジャンパーは返ってきたのか?」と挨拶代わりのジャブ。この後楽園ホールで本家(?)大仁田が愛用の革ジャンを盗まれた事を総統は知っていたのだ。さすが情報通!
「久しぶりの絡みだからエライ気合い入ってたのに、また面白く切り替えされちまったよ!」と悔しがるあちちであった。しかし、大谷は「じゃあな、お前が最も嫌がる事を言ってやる!」と一矢報いる構え。一体、何を言うのか…場内の注目が集まり、しーんとする中「高田! お前だってな、お前だってな…」何か言おうとするも、空回りする大谷。挙句の果てに、TAJIRIに何を言おうか相談する始末。
「落ち着け、江頭!」見かねた川田が声をかける。「お前、最近本物よりもハゲが進行してるんじゃないか? 早いうちに嫁さんをもらわないと、髪の毛が手遅れになっちまうぞ!」といらぬ心配だ。
「髪の毛と結婚は関係ないだろ! 俺はな、中身で勝負してんだよ!」と必死の抵抗もむなしく、「でも……ここまで言われると、さすがの俺もテンションが下がるな……」と珍しく沈んでしまう大谷! 「キャプテン、助けて!」と小川に助けを求めるも、小川は「大丈夫だよ、江頭」と言い間違えてさらにあちちの傷を深めてしまう。
慌てた小川は話を逸らし、「おい! 大阪で勝ったくらいでいい気になるなよ! 今日はハッスル軍の完勝だよ、完勝!」と勝ち誇り、満員の観客席に拍手を煽る。
だがその時、拍手と歓声を切り裂く鋭い叫び声が! 「こんなんで勝ったと思うなよ!」なんと、ニューリン様がバルコニーにソドムとゴモラを従えて登場だ。総統の横に並び立つインリン様。
客席を見下ろすと「不思議だ……初めてなのに、なんかすっげぇ懐かしいよ。暇でモテない豚ども! 元気か? 私の名前は、NEWインリン…略してニューリン! これからは私の事をニューリン様と呼べ!」と、やはりインリン様の高貴な言葉使いとは似ても似つかない、ギャル風の言葉使いの悪さで観客に命令する。
しかし、島田が「おい、豚ども! ニューリン様がご降臨されたんだ! 心の底からニューリン様と叫べ! いいか、くれぐれも発音には注意だぞ。せーの!」と呼びかけると、客席の豚ども…いや、男子諸君は我を忘れてとろけそうな声で「ニューリンさま〜」と一斉に叫ぶ。
「ニューリンよ。ここはな、かつてお前の母であるインリンがお前を産み落とした場所なのだ。懐かしく感じるのはそのせいだろう」と高田総統。するとリング上のTAJIRIがロープにもたれかかり、いきなり語り始めた。
「ニューリンさま〜! あのボクね、卵から生まれた人を見るの初めてなんで、何かものすご〜くあなたに興味津々なんです。あのね、卵の中ってどんな具合ですか? 暖かいですか? 寒いですか? 明るいんですか? 携帯の電波入りました? でね、普通は卵から生まれたら裸じゃないですか。だけどそうやって洋服を着てお生まれになったでしょう? そういうのはあり得るんですかね?」と、ニューリン様に異常な執着を燃やすTAJIRI。かなり好奇心旺盛な男である。
「おい! お前は毎回毎回、俺が止めないと喋りっぱなしじゃないか、この野郎!」と、今日もTAJIRIのマシンガントークをストップに入ったのは川田だ。「お前な、大阪では引き分けで逃げられたけど、今度はそうはいかねえぞ。覚えておけ! なんなら明日は、アホの坂田との試合が終わった後でお前と決着つけてやろうか?」と仰天提案!
ところがTAJIRIは、「ちょっとちょっと、ボクはね、そういう日本のプロレスラーの“決着つけてやるぅ”とかね“潰してやるぅ”とか、そういう知性のかけらもない言葉が大ッ嫌いなんですよ!」と日本のプロレス界を根こそぎ否定! 思わず場内からは“TAJIRIコール”が爆発する。
「大体ね、大阪であなたのもの凄い強いチョップがね、パチーンって当たってラリアットも喰らっちゃってね、もう体が痛くて、実を言うとあなたとはもうやりたくありません。断固拒否します」と、川田の申し出をあっさり却下するTAJIRI! 「それよりも、HGのリベンジも兼ねて、ニューリン様。僕と闘って下さい! あなたの事をもっと知りたいです!」と下心丸出しで求婚ならぬ求闘を申し出るTAJIRIであった。
が、ニューリン様は「おい、おめぇさあ、黒ひげ危機一髪みてえな顔で気持ちワリイんだよ!」とつれない返事。「大体さぁ、なんであたしがおめぇごときとやらなきゃいけねえんだよ! そんなにやりてえならな、そうだな…この番犬たちに勝ってから言え! そうしたら考えてやるよ!」
ニューリン様の言葉を聞き、ソドムとゴモラはバルコニーから身を乗り出して「ワン! ワン!」と威嚇して吠える。
するとアン・ジョーが「ニューリン様、この二人をミーに預けてくれませんか? ヘイ、黒ひげ! ミーはユーを絶対に許しません! 明日はミーとソドムとゴモラで、ユーをデストローイしマース!」と6人タッグマッチでの対決を提案した。
「おもしれぇじゃねえか!」と受けて立ったのは大谷だ。「じゃあ、明日は俺とTAJIRIと…」とメンバーを決めようとしたところで、なんとハッスル仮面イエローが「やりたい、やりたい」とばかりにアピールを始めた。爆発する“イエローコール”。
「え? どうしますキャプテン?」戸惑う大谷は小川に相談。「お前、やれんのか?」と小川が問いただすと、イエローはやる気充分だ。この熱意を受け止め、「よし。じゃあ、お前が行け! 明日はTAJIRI・あちち・イエロー組だ! それでいいか皆さん!」と客席に問いかけると、万雷の拍手である。これにて、明日の『ハッスル・ハウスvol.14』での、TAJIRI&大谷&ハッスル仮面イエロー組VSアン・ジョー司令長官&ソドム&ゴモラ組の対決が決定した。
「よーし、明日勝ったら、次はお前だぞ! わかったな!」とニューリン様にアピールする小川。ところがニューリン様は、「は? 勝手にやってくれ」と素っ気無い。
ここで久しぶりに高田総統が口を挟んだ。「おい、ニューリンはな、強いヤツとしか闘う気が起こらないんだよ。ということは、チキン君。お前のようなしょっぱい奴は、一生、ニューリンとは闘う事が出来ないかもしれんな。ま、せいぜいニューリンの闘争心に火がつくように頑張ってくれたまえ」
ところでだ!と、かなり大きな声で問いかける高田総統。よほど大事な話に違いない。
「アン・ジョー司令長官、ひとつ聞きたいんだが……モンスターKはマイクを持っていないだろうな?」
何の話かと思いきや、最近いつも妨害されている締めの言葉を今日も川田に取られないように心配していたのだ。両手を大きく広げ、マイクを持っていない事をアピールさせられる川田。
「さっきから、そればかり気になってしょうがなかったんだよ。最近、何度言ってもキミはどさくさに紛れてこの私のセリフを奪おうとする」と説教する高田総統だったが、川田はまたしても不満そうな反抗的な表情で総統を睨む。
「なんだ、その目は?」と総統は一歩も退かず、川田も諦めたようだ。
「ならば安心した。気持ちよく締めさせてもらう。下々の諸君、明日またお会いしよう。それでは、バッド…(一瞬、念のため川田を見て)ラックだ!」
今日は邪魔をされず、気持ちよさそうに去っていく高田総統であった。
リング上では小川が口を開く。「おい、Erica! マーガレット! お前ら本当に頼もしいな。今日はお前らが頑張ってくれたおかげで、大阪の嫌なムードが吹っ飛んだよ! だから、今日はお前らが締めろ!」と、Erica&マーガレットを初指名だ。
思わぬ指名に大喜びするErica。「いや〜ん、マーガレット〜。ついに私たちもこの日がきたのよ〜」。マーガレットも小躍りして、「ワタシタチガ、シメルぅ〜ん」。
しかし、途端に不安そうになるErica。小川に相談事である。
「それにしてもキャプテン、さっきからあのモンスター軍? あいつらがね、私たちの身体をいやらし〜い目でジロジロ見てたの〜。もう、すっごい身の危険を感じたの。本当に怖かったんだからね」とメガトン級の勘違いである。
さらには「あと、TAJIRIさん。今日の試合はありがたかったんですけど、ちょっとあなた、あのニューリンとかいう女に食いつきすぎじゃないの? おかしくない? こんな乙女2人がいるのに、何で向こうばかり気にするの?」とジェラシーを燃やす。
困惑するTAJIRIをかばうように、小川が割って入る。「分かった、分かった。多分、気のせいだと思う」と正論を言うのだが、Ericaの勘違いは止まらない。
「そんなことないわよ。それに知ってるのよ。キャプテンもよく、私たちをいやらし〜い目で見ているのを! 私の胸とかを見てるの、知ってるんだから! セクハラよ!」
これには小川も他のハッスル軍も、全員手を横に振って否定。とんだとばっちりであった。
「そんなセクハラにも負けないで、今日は私たちが締めちゃうから。じゃあ、マーガレット、会場のみんな、いくわよー!」と、Ericaは欠場したHGに気を使い、「スリーツーワン、ハッスル! ハッスル!! フー!」で締め括るのであった。
11分44秒 バスソーキック→片エビ固め
そこはハッスル軍の控え室。Ericaとマーガレットはつい先日デビューしたばかりのニューリン様について陰口を叩いていた。「生まれたばっかりのくせに、(高田モンスター軍の)大将なんかやっちゃって! 超むかつくんだけど!」とErica。そのEricaの怒りに呼応するマーガレットも「コノ ウラミ ハラサデ オクベキカ!」と感情をめちゃくちゃ露にして怒っている。「あまり怒るとしわが増えるっていうし、今日は私たちがメインだし、気持ち切り替えましょう!」そう言ったEricaはシフトチェンジが早い。すでに笑顔になっており単純である。「今日の相手って誰だっけ?」とEricaとマーガレットは対戦カードに目を移すと、そこには
『アン・ジョー司令長官、ドクロンZ、鬼蜘蛛』
蜘蛛嫌いのマーガレットは顔が膠着している! 放送コードギリギリだ。同じく蜘蛛が苦手のEricaもつられて放送コードギリギリの顔だ。控え室に入ってきたTAJIRIも「どうしたんですか? Ericaさん? 顔が放送コ……」と、思わず口にしてしまいそうになっている。放送コードギリギリの顔になっている理由を話すErica。「そんなことですか? タランチュラが得意技の僕に任して下さい!」とTAJIRIは心強い言葉を二人に投げかけた。ほっと胸をなで下ろしたEricaは「むかつくニューリンにリベンジするって決めたのに、最初の闘いからつまづいていられないって思ってたの!」と改めて闘志をかきたてた。
「実は僕もね、ドス黒いニュウリンのやり方が気に入らないから、お仕置きしてやろうかなと思ってたんですよね」TAJIRIはイントネーションを間違っていた。ドス黒いニュウリンって……。
「打倒ニューリンを兼ねて今日は大暴れしちゃいましょうよ!」EricaとTAJIRIは怪気炎を上げる。横で見ていたマーガレットは「イエス! 乳首ムカツク〜」と一言。うーむ、ニューリン様のイントネーションは本当に難しい…
先に高田モンスター軍のドクロンZ、鬼蜘蛛、アン・ジョー司令長官が順番に入場。そして毎度おなじみのEricaの入場テーマ曲かと思ったら…「ルルルン、TAJIRI! ルルルン、TAJIRI!」とTAJIRI仕様のテーマ曲に変わっている。
閉じる 先発はアン・ジョー司令長官とTAJIRI。いきなり腕を絞り込んだアン・ジョー司令長官は優位に試合を展開する。TAJIRIはうめき声をあげて、それに耐えるのみ。アン・ジョー司令長官は一本背負いからオリジナルクラッシュ技で腕を潰しにかかる。その勢いを受けたドクロンZはTAJIRIの腕に噛み付き! 怒ったTAJIRIはドクロンZを捕まえ、お尻ペンぺン! しかしそんなことで怯まないドクロンZは空中殺法から延髄蹴りでTAJIRIを一気に追い込む。ここでTAJIRIはようやくEricaにタッチ。EricaはバンバングーパンチでドクロンZのボディを叩く。一瞬の隙をついて攻撃を仕返したドクロンZはムーンサルトプレス! しかしEricaが足を突き出したため、ドクロンZは腹部にEricaのヒザ蹴りをモロに受けてしまった。
何とか立ち上がったドクロンZは「不細工!」と罵りながらEricaを攻撃。Ericaのピンチにマーガレットが助けに入った。そしてダブルのサンドイッチヒッププレスで形勢逆転。
しかしドクロンZは、すぐに鬼蜘蛛にタッチしたため、逃げ惑うErica。すると代わりにTAJIRIがリングイン。TAJIRIは鬼蜘蛛をロープに振るも、鬼蜘蛛はロープにへばりつく。それならばと、TAJIRIは鬼蜘蛛の体をひっくり返すと、自分の力で立ち上がれずにもだえる鬼蜘蛛。ここに鬼蜘蛛の弱点があった。虫の欠点と言った方が早いだろうか。しかしさすがに鬼蜘蛛を哀れに思ったのか、TAJIRIは仕方なく鬼蜘蛛を元に戻してあげるであった。
そんな恩など微塵も感じない鬼蜘蛛はスピーディな動きでTAJIRIを翻弄する。追い討ちをかけるように、ドクロンZはムーンサルトプレスだ。モンスター軍の集中攻撃に文句を言う、コーナーに控えるErica。それを見たレフェリーはEricaを注意するが、その間、モンスター軍はTAJIRIにやりたい放題だ。何とか持ちこたえたTAJIRIは鬼蜘蛛とフォール合戦。鬼蜘蛛は密着系のスリーパーで落としにかかる。ここで会場からはTAJIRIコール。TAJIRIは何とかマーガレットとタッチ、リングインしたマーガレットはアン・ジョー司令長官にエルボー。さらにEricaが一斗缶攻撃。コーナーに上ったマーガレットはダイビングボディプレスをアン・ジョー司令長官に見舞う。しかしここで鬼蜘蛛がアン・ジョー司令長官の救出に入ったため、マーガレットは逃げまどい、フォールどころではない。
そして試合は最終局面、TAJIRIと鬼蜘蛛が対峙。両者ともに回転技で3カウント奪いに出るがTAJIRIは必殺のタランチュラ! そしてTAJIRIがバズゾーキック一発で鬼蜘蛛をマットに沈めた。一昨日行われたばかりの『ハッスル16』での惨敗を払拭する勝利を挙げたハッスル軍は、小川を筆頭にみんながリングイン! 大いに勝利を分かち合った。
12分59秒 ダイビングフットスタンプ→片エビ固め
天龍の電撃加入により、さらに勢いを増している坂田軍団。後楽園2連戦では遂にハッスル軍とモンスター軍との連戦が決まった。天龍が練習中のケガで急遽負傷欠場になったものの、坂田は崔とタッグを結成してこの連戦に挑む。対するハッスル軍はHGが欠場、藤井軍鶏侍と石狩太一が行方不明とイマイチ人員が揃っていないのだが、長らく総合格闘技のリングで活躍してきた横井宏考が久しぶりのハッスル参戦を果たし、大谷とタッグを組んで坂田軍団を迎え撃つ。タッグのベルトを手に崔と坂田が入場、その後ろにはもちろん裕子マネージャーの姿が見える。そしていつものお決まり、坂田と裕子マネージャーの抱擁で試合の幕開けとなった。
閉じる 先発は崔と横井。崔がヘッドロックで横井の頭を締め上げると、崔と横井はエルボーとパンチの打ち合いとなる。リングに入った坂田は、横井にチョップの連打とミドルキックを叩き込んで、横井を一蹴。役者が違うとばかりに力の差を見せて、「お前が出て来い」と大谷を挑発する。大谷と坂田は鋭いグラウンドの攻防を展開して、客席を魅了する。しかし最後は坂田が腕十字で大谷の左腕を絞り上げる。これを大谷がロープブレイクで逃げると、今度はチョップとフロントキックの打ち合い。大谷がパンチで坂田をひるませて、横井とタッチする。
久しぶりの試合で気合い十分の横井だったが、坂田がパンチで横井を追い込み、そのまま場外へ投げ捨てると、崔とのコンビネーションで横井を痛めつける。強引に横井をリングに戻した坂田は、“おじき”天龍ばりの逆水平を叩き込んでいった。横井にミドルキックを連打する崔は、すかさずキャメルクラッチで絞り上げる。そして「来い! 来い!」と、コーナーの大谷を挑発。大谷がカットに入ろうとすると、坂田がレフェリーに大谷をチェックさせるなど、絶妙のインサイドワークで大谷と横井を分断する。その後もロンリーファイトが続く横井だったが、崔のチョップをかわしてぶっこ抜きジャーマンを見せると、遂に大谷とタッチする。
これまでのうっぷんが溜まっている大谷はドロップキックで坂田を迎撃すると、客席を沸かせに沸かせて崔に対して顔面ウォッシュ。「もう1回」コールに乗って、崔の顔を擦りあげていく。そしてスープレックスの打ち合いからバックドロップで崔を投げ捨てた大谷は、タッチを求める横井の要求に応じる。
横井は右ストレートで崔をぶっ飛ばすと、坂田も豪快に投げ飛ばし、崔をパンチの連打で弱らせてキャプチュード! さらに横井は崔に変わってリングに入った坂田のミドルキックを取って右ストレートを叩き込む。しかしやはりここは坂田の方が一枚上手か、横井のパンチを取って坂田が脇固めに捕らえる。するとここで大谷が絶妙のカット。「今日はお前に譲った!」と、リング内を横井に任せ、場外で崔を押さえ込む。
しかしこのチャンスを掴んだのは坂田の方だった。横井のバックドロップをかわすと、強烈なトラースキックで横井を迎撃。豪快に横井を投げ飛ばし、必殺トップロープからのフットスタンプで3カウントを奪った。
後楽園2連戦、まずはハッスル軍を撃破した坂田は「おい、江頭、いや大谷。坂田軍団を舐めるな。俺らはトップどころを連れてきたんだ。腰振りでも小川でも連れて来い」と大谷を挑発。さらに崔は横井に対し「俺の出世ぶりみたか。お前がどっかに言っている間に、俺とアニキは天下獲りの寸前まで来ているんだよ」と屈辱的な言葉をなげかけた。
さらに坂田の挑発は明日対戦する川田と耕平にも及び、リング内へ二人を呼び込む。すると耕平を引き連れて川田が登場。坂田の名前をもじって「渡る(わたる)世間は鬼ばかりって知っているか?」と口撃する川田。「何だと! キャバクラ通いの歯抜け!」と、対する坂田も“舌好調”だ。しかし川田は「俺はもうキャバクラを卒業して、クラブなんだよ」と絶妙な切り返しを見せる。
そんな川田に続けとばかりに、マイクを握った耕平だったが「●※○△×?@…」と、やっぱり何を言っているか分からない。「何言ってんだよ。お前みたいなヤツを騒音って言うんだよ。騒音お●さんって知っているか?」と、坂田に突っ込まれるのであった。しかし川田も「コイツが言いたいことは、明日体でお前らに教えてやるんだ」と耕平をサポート。さらにリングサイドの裕子マネージャーを指差し「お前、なんだその格好はパジャマか? このアホの出世に利用されていることに気がつけよ」と、裕子にまで牙を剥く。そして「そういうことだよ、バッドラックだ!」と高田総統の決め台詞で締め括った。
川田の絶妙なマイクパフォーマンスに「おいしいところ持っていきやがって」と、一本取られた様子の坂田。しかし「明日は仕返しだ。オジキが帰ってくるまでガンガンいくぞ」と崔と裕子マネージャーを引き連れて意気揚々とリングを降りた。
なお前回の大阪大会で、裕子マネージャーの水着賭けマッチを宣言した坂田だったが、この日「裕子は俺の前でしか水着になれないんだよ」とあっさり撤回。なんとも悲しい限りである…
5分24秒 イス攻撃→体固め
モンスター軍の秘密警察がついに動き出した。世界各国のあらゆる極秘情報に精通し、総統を陰からバックアップするいわば、高田総統の頭脳集団。今回その秘密警察のトップである、その名もバッケン・ブレイクがハッスル初参戦! ドイツ出身ということ以外、素性は一切明かされていない。果たしてその実力とは?? そしてその強力モンスターと闘うことになったレスラーはというと……。
場面は変わり、そこはハッスル事務所のGM席。もちろんそこに座っているのはRGM! 仕事をしてるのかと思いきや、人妻エロサイトを見てるではないか!
「うわ〜この人妻エログはやばいですよ〜」と鼻の下が伸び伸びのRGM。でもふと考えた。「うちの嫁が、オレの留守中にこんなことをやっていたら……ヨウヨウヨウ」と一人突っ込み。
そこに怒鳴り込みながら入ってきたのは“借金王”安田忠夫だ。「おい! RGM! オレの後楽園の相手誰なんだよ!」とRGMに詰め寄る。RGMはわずかな情報を頼りに、バッケン・ブレイクの名前を出す。ハッスル事務局から干されているRGMだけに、社員から何も聞かされていないのだ。全く裸の王様である。
バッケン・ブレイクの名前を聞いた途端に、安田の目の色が変わった。どうやら安田がよく読んでいる競馬情報誌「馬券ブレイク」と勘違いしているようだ。「そのバッケン・ブレイクです」と適当に流すRGM。安田はこの情報誌のおかげで桜花賞も皐月賞も当てているため、感極まっている。そして「来週の天皇賞も情報ももらえるのか?」と安田の欲は尽きない。酒もザルなら金欲もザルだ。
「バッチリ、バッチョコイですよ!」とギャグを飛ばしたRGMだったが、「てめぇ、面白くねぇんだよ!」と安田は怒りを露にした。「競馬モンスターを倒して、天皇賞の情報を聞き出してやるからよ!」と意気込んだ安田はそそくさと事務局から消えていった。さぞかし、安田は以前タッグを組んだことがある、アリマキネンやミヤキネンのような競馬モンスターを想像しているのだろう。「全く頭の悪い男だ。あぁいう年の取り方はしたくないヨウ……」RGMは安田を反面教師にし、これからの人生について考え込むのだった。
閉じる「貸した金返せよ!」のフレーズが流れるウルフルズの「借金大王」の歌で入場する安田。頭にはハンチングキャップを被り、競馬予想士の格好だ。対するバッケン・ブレイクは島田二等兵の先導で入場する。ドイツの秘密警察のバッケン・ブレイクを見た安田は「競馬モンスターと違うだろ!」と島田二等兵に文句を言いたい放題。
その様子を見ていたバッケン・ブレイクは奇襲攻撃を仕掛けた。安田をリングから下ろすと鉄柵に叩き付ける。主導権を握ったバッケン・ブレイクは安田を無理矢理リングインさせると、安田の腕をしぼってグラウンドへ持ち込み、腕ひしぎ十字固めを極める。安田はたまらずロープに逃げるが、警察官の逮捕術らしく安田の腕を絞り込んだバッケンブレイクは、左腕を集中攻撃。しかし、これを耐えた安田がここから本領発揮! バッケン・ブレイクを場外に引きずりこみ優位に試合を展開する。リングインした安田はバッケン・ブレイクをコーナーに押し付け、足でグリグリ。対戦相手が競馬モンスターではなかった怒りをバッケン・ブレイクにぶつけると、たまらずレフェリーが「そいつはドイツ人だぞ」と鋭い突っ込み! 客席は爆笑だ。
立ち上がったバッケン・ブレイクは安田の腕を極めて、またも腕ひしぎの体勢へ。たまらず安田はロープエスケープで逃げる。勢いに乗ったバッケン・ブレイクは安田をコーナートップに固定すると雪崩式フランケンシュタイナー! しかしそれを耐えた安田は立ち上がると、入場時に持ち込んだ椅子をバッケン・ブレイクの頭にたたき付け、あっさりと勝利を奪ってしまった。天皇賞の情報は手に入らなかったが、試合に勝利したことで気持ちが晴れた(?)安田は、「馬券ブレイク」を手に颯爽と消えていったのだった。
10分00秒 ソドムバスター→片エビ固め
ソドムに続く新モンスターの投入に沸くモンスター軍アジト。しかし島田二等兵とアン・ジョー司令長官は「バルタン星人」「ゼットン」と、ウルトラマンの怪獣談議に花を咲かせている。するとそこに高田総統が登場、「このアダルトチルドレンが! いい年齢して恥ずかしくないのか!」と一喝する。しかし「まあ私が好きだったのはブースカだがな」とアピールするあたりお茶目な高田総統である。さて今日お目見えするゴモラはソドム同様に、2m級のレスラーにドーベルマンのDNAを注入したことで生まれた番犬モンスター。今宵はバボ、ソドムと組んで2mトリオを結成し、ハッスル軍狩りへ挑む。そんな2mトリオを送り出す高田総統だが、なぜかアジトに流れる音楽に合わせて長●小力ばりのパラパラを披露し、「噛み付くなら今しかないだろ」と長●本人というよりも長●小力のモノマネを見せるのであった。
金村、田中、黒田はお揃いのハッスルジャージを着込んで踊りながら登場。客席からは大きな拍手が巻き起こり、ブリブラダンスを踊った後に3人でバッチリとポーズを決めた。そんな明るいハッスル軍とは対照的に、ソドムとゴモラはおどろおどろしいテーマで入場する。やはり2m級のレスラーが3人も並ぶその光景は迫力充分である。
閉じる 試合開始のゴングが鳴ると、いきなり田中がバボに襲い掛かり、コーナーでパンチを連打する。するとここで全選手が場外に入り乱れての場外戦がスタート。鉄柵や兇器を使っての攻防が繰り広げられ、ハードコアマッチの様相を呈してきた。この場外戦で見せ場を作ったのは金村だ。バボを場外の机に寝かせると、トップロープからダイブ。机が真っ二つに割れると、客席からはどよめきが起こった。
ようやく試合がリング内で行われるようになると、リング上は金村とバボのマッチアップとなる。金村を自陣コーナーに押し込んだバボとタッチしたゴモラは、金村の腕を極めながら、犬の遠吠えと共にロープを歩いてのチョップ。さらに金村をロープにもたれかけさせておいて延髄斬り。番犬キャラらしく喉元へ噛み付いていく。
そしてソドムとのタッチワークで金村を攻めるバボは、リング下からバレーボールが入ったネットを持ち出すと、金村の頭をそれで一発。カットに入ろうとする田中と黒田に対し、ボールを振り回して威嚇する。
さらに金村をトップロープに登らせて、「ソーレ!」とアタック式のチョップを見せるバボ。ソドムとゴモラを引きつれ、「モンスター・チャ・チャ・チャ」。そして金村をトップロープからブレーンバスターを投げ捨てるなど、2mトリオ結成により水を得た魚のように動きのいいバボであった。
しかし金村もバボに急所蹴りからバックドロップを決めて、田中にタッチ。タッチを受けた田中はすかさずミサイルキックで飛び込むと机攻撃。田中がソドムとゴモラをまとめてDDTで一蹴する。2mトリオは金村と田中を3人がかりでブレーンバスター。再びバボが金村をトップロープに登らせるが、黒田がすかさず哲ちゃんカッターでバボの攻撃を阻止。田中が勝負の白ギターでバボの頭を殴りつけるも、ソドムが絶妙のタイミングでカットする。
するとゴモラが黒田の体を受け止めて、派手に回転させてのバスター。さらにゴモラが黒田を持ち上げたところに、ソドムがゴモラを飛び越えるようなドロップキック。番犬コンビが連携プレイで黒田を攻め立てると、最後はソドムが高角度のパワーボムで黒田をマットに沈めた。
5分37秒 フライングボディープレス→体固め
浩子コールの中、浩子は「ちょっとちょっと、何これ! なんでうちの健想の試合がないのよ! 今すぐ健想の試合も組みなさい!」と、どうやら健想のカードがないことにご不満の様子。しかしカード決定権までは持っていない岸本PRは「そんな、急に言われても無理です」と、浩子の要望を受け入れることは出来ない。かつて上司だったことをいいことに「無理ですって、何なの岸本! あんた元GMの言うこと聞けないの!?」と浩子。健想も「何で俺の試合がねえんだ! 試合組めって言え!」と、岸本PRに詰め寄る。この健想の脅迫行為に「助けて! ハッスル仮面!」と、岸本PRはハッスル仮面に助けを求めた。すると「そこまでだ、鈴木健想! ハッスル仮面ただいま参上!」と、黄色いアイツが現れた!
閉じる 岸本PRの叫び声に応える形でハッスル仮面イエローが滑り込むようにリングイン! 観客は拍手喝采でヒーローをお出迎え。イエローは呆然とする健想にボディプレス。奇襲攻撃を受けた健想はたまらず場外に逃げた。イエローがリングサイドから健想を見下ろすと、死んだふりをしていた健想は下からイエローの足を掴んで引きずり下ろす。そして健想はイエローを鉄柵に叩きつけラリアット! 更に追い討ちをかけるように健想はブレーンバスター! のびたイエローを尻目に先にリングに上がった健想はコーナーに登り、お決まりのポーズで観客にアピールする。会場は大盛り上がりだ。
何とか立ち上がったイエロー。それを見た健想は、イエローをコーナーに追い込みチョップ。完全にグロッキー状態に追い込まれたイエローを無理やり立たせた健想は、トドメとばかりにビッグブーツ! この一撃で立つことすらままならないイエローに健想はボディスラム。イエローは大の字のままでピクリとも動かない。しかし死力を尽くして何とか立ち上がったイエローはエルボー2連打でピンチを打開しようとしたのだが、健想はショルダータックルでイエローを吹き飛ばす。そしてマスクをはぎにかかった健想。すると会場から「黄色! 黄色!」のイエローコールだ!
ハッスルファンからパワーを得たイエローはボディスラムからラリアットの連続攻撃だ。そして619で健想を追い込む。するとその一方的な攻防を見かねた浩子がたまらずリングイン! 浩子に気をとられてしまったイエローにドロップキックを見舞おうとした健想だが、イエローは寸前で交わしたため、浩子に誤爆! 動揺して棒立ちの健想に対し、イエローはコーナーに上りフライングボディプレス! 不意打ちを食らった健想には返す力なく3カウントが入った。何とか勝ったイエローは、この試合が死力を尽くした一戦だったことを物語るように、中村カントクの肩を借りて会場から消えていった。
負けた健想はガッカリと肩を落とす。たまらずマイクを握った浩子は客席に毒づく。「何なのコレ!? 黄色!黄色!って馬鹿じゃないの〜! だいたいね、ここのスタッフもレスラーもハッスルの連中はみんなバカだと思ってたけど、ファンも馬鹿ばっかりよ!」と罵声を浴びせ、ハッスルの会場全体をもバカ呼ばわりするではないか!?
するとそれに呼応するように健想も「はっきり言ってやるわ! オレみたいなやつがあんな小物と真面目に試合するわけないだろ!」と子供じみた言い訳をする。そして「それからハッスルに一言いってやるよ! お前ら! もう少し真面目に(頭に)止めていてくれ! オレの立場はどうなるんだよ!」といきなり深刻な悩み事を打ち明けた。すると会場からはマスオコールが全開だ。最後に健想は「明日、お前らがビッ・・・クリするような、すんげえことやってやるからな! 覚えとけ、バーカ!」と意味深な発言を言い放ち、負けたにも関わらず、悠々とリングを降りたのだった。
明日お客がビックリするような事?? もしかして健想と浩子が……。
さて、ここまでのハッスルの流れの復習VTRが流れ、場内が暗転しRGMの名前がコールされるものの、リング上にRGMの姿はない。その代わりに場内アナウンスが流され、事情を説明するために、岸本PRがリングへ上がった。
「申し訳ございません! 本日RGMなんですが、会場には来ておりません」と岸本PR。どうやら今日RGMは何らかの事情で来場していないらしい。しかしRGM欠席の報を聞いた客席からは大声援が! さらに「来場できない理由について、本人からビデオレターがありますので、こちらをご覧ください」と岸本PRが続けると、「いらね〜」とブーイングが起こった。
ビデオレターの中のRGMは高めのテンションで「YO!YO!YO!、後楽園ワッツアップ!! 記念すべき初のRGMプロデュースによるハッスル・ハウスvol.13、客席の皆さんも大いに期待していたと思うんですが、すいません。TVの仕事が入ってしまいました」と、場違いな挨拶。
「ハッスルも大事ですが、芸人たるものテレビも大事なんです。ハッスル会場にいるのは、むさい野郎ばかりですが、テレビに出れば街中で顔を指されます。私、本日は全力で『やり●ぎコージー』の収録に挑みます!!」と、大会そっちのけでTV収録に全力を注ぐと、GMらしからぬ発言だ。さらに「会場からRGコールが聞こえます!」と勝手に一人で「RG! RG!」とつぶやくRGの姿はもはや哀れみさえ感じさせる。
「会場のRGファンの諸君! 皆さんが悲しまないように、最高のマッチメイクを組んであります。こちらをどうぞ!」と今日のラインナップを発表するRG。「どうですか? 史上最強のラインナップに思わず股間が、ワ、ワ、ワ、ワンダフォー!」と、明らかにHGのネタをパクっているにも関わらず、「RGの新ギャグまで見れてお得感満載のハッスル・ハウスvol.13。それではスタートです!」と、勘違いも甚だしい挨拶で締め括るのであった。
そんなRGMの体たらくに「ハッスル事業局を代表いたしまして、皆様にお詫び申し上げます」と頭を下げる岸本PR。すると今度はそこに健想と浩子が乱入してきた。