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マッスル坂井
DDTプロレスリング所属レスラーにして、『マッスル』主宰者。練習生として入団した『ハッスル』では、今年の10・10『ハッスル・ジハード2009』でのTAJIRI戦でデビューを果たした。
井上崇宏
プロレス・格闘技フェチにして、ペールワンズ総帥。本企画のいつものパートナーである『kamipro』編集部の坂井ノブ氏は、諸般の事情により今回は欠席。
『ハッスル・マニア2009』が開催中止? それ、間違いリリースなんじゃないですか?
井上
今日は12月24日のクリスマスイブなんですが、ここ新宿三丁目の喫茶店にマッスル坂井さんをお呼びしまして、いよいよ明日にせまった12・25『ハッスル・マニア2009』(両国国技館)の最新情報などを織りまぜながら今大会を煽っていきたいなと思います。大会前日のお忙しい中、お時間を頂戴して本当に申し訳ありません。
坂井
いえいえ、そういう企画なんですね。よろしくお願いします。
井上
いきなりですが、大会前日でありながら、いまだカードなど大会の具体的な内容が発表されていません。
坂井
その前に、こちらからお聞きしたいのですが、このお仕事はどこから発注されたのですか? ハッスルエンターテインメント?
井上
いえ、それはショナイなんですが、やはり、いち業界に携わる人間として、このプロレス界の行方を大きく左右するビッグイベントが、直前にも関わらずなにひとつ盛り上がりを見せていないことに非常に危機感を覚えておりまして、危機感プラス義憤から今回の配信を決意いたしました。
坂井
なるほど。理解しました。
井上
まずお聞きしたいのは、坂井さんは出場されるのでしょうか?
坂井
まあ、僕はハッスルではいちスーパールーキーなわけですけど。
井上
坂井さんはスーパールーキーですか。
坂井
ええ。いちスーパールーキーですけど、ご存じの通り、この業界自体は長いんですね。だから、僕の感覚だと、だいたいこういうのは当日発表なんだろうなっていう感じですね。僕のパートナーはTAJIRIさんで、きっと僕たちをビックリさせるサプライズな対戦相手が用意されてるんだと思いますが。
井上
そういえば以前、会見でTAJIRIさんとタッグを組むことを発表されてましたね。「このチームでいろんな団体を渡り歩きたい」と。
坂井
はい。年内のハッスル後楽園大会がすべて中止になるというのは聞いていたので、この期間は良くも悪くも調整にあてさせてもらいましたね。TAJIRIさんと組んで、おそらく相手はチーム3Dか、昨日のJ-CUPで緊急帰国をはたしたNO LIMITあたり。メキシコのチャンピオンになったらしいので、ワクワクしますね。ここだけの話、TAJIRIさんとのタッグで来年の東スポのベストタッグ賞を狙ってますからね。
井上
今年のベストタッグ賞は、曙&浜亮太組でしたね。僕はてっきり、5・29『キン肉マニア2009』での6人タッグトーナメントを制したビッグ・ボンバーズが獲るものだと思っていましたが。
坂井
そうですね。「なんでビッグ・ボンバーズじゃないんだ?」っていう。でも、まあ彼らは試合数が少ないですよね。
井上
そこは数の論理なんですね。
坂井
そうでしょう。でも、ブロッケンJr.がベストバウトを獲りましたから。ロビンマスクも順当に技能賞を獲りましたし。
井上
なるほど。話を『ハッスル・マニア2009』の話題に戻しますが、先日この大会の中止のお知らせがマスコミ各社にリリースされたんですね。
坂井
えっ!?
井上
ファースト・オン・ステージという会社から送られてきまして。
坂井
はい? ファースト・オン・ステージさんはZERO1を運営している会社じゃないですか。どういうことですか?
井上
そこはよくわからないんですが。
坂井
それ、間違いリリースなんじゃないですか?
井上
間違いリリースってなんですか?
坂井
つまり、誤報ですよ。だって、ハッスルエンターテインメントの山口日昇社長が送ったわけじゃないんですよね?
井上
でも、文面の最後に「山口日昇」という名前は入ってました。
坂井
それはアレでしょう、おそらく怪文書の類いでしょう。よくあるじゃないですか、タレントさんの死亡情報とか。「あの人が死んだ」みたいな。
井上
ああ、「志村けん死亡説」とか。これは余談ですが、赤塚不二夫先生は生前、自分で「赤塚不二夫が死んだ」って嘘情報を流してたらしいですね。イタズラで。
坂井
悪魔ですねえ。それで、誰が味方で、誰が敵かをふるいにかけるんでしょうね。でも、その手法は山口さんならやりかねないですよね。
井上
じゃあ、明日は大会をやるんですかね? そもそも、チケットも発売されていないんですが。
坂井
別にチケットなんか前売りで発売しなくても。大会自体がシークレットなんじゃないですか? いいですか、たとえばブラックエンペラーとか暴走族の集会に、開催の告知リリースなんかは流れないですよね?
井上
よくわかりませんが、流さないんでしょうね。
坂井
それと一緒ですよ。そもそもリリースなんていうものは、客が来ない団体が流すもんでしょ?
井上
あ、そうなんですか?
坂井
そうですよ。闘いたい選手と、リングと、あとはそれを見ているファンがいれば、それだけでいいじゃないですか。そこにチケットもギャラも必要ないじゃないですか。それこそリリースも。そうだと思いますよ。
井上
すいません、途中で話を見失ったんですが、それは誰がなんのためにやるんですか?
坂井
えっ? それは自分たちのためですよ。自分たちを応援してくれるファンのためですよ。
井上
そのファンっていうのはどなたのことを指してるんですか?
坂井
えっ? それは、ハッスルを応援し続けてくれたみなさんと、毎年の年末、お茶の間でハッスルを楽しみにしている人たち。日本全体は『ハッスル・マニア』を待ちわびていますよ。なんかスッキリしないですもんね。これでは年が越せない。『ハッスル・マニア』が終わるまでは、何もやる気がしないですもん。あななたちマスコミはリリースがないと不安でしょうがないんでしょうけど、そんなの選手やファンにとっては関係のないことですからね。
井上
いま軽く頭にきましたが、それは真理ですね。じゃあ、結論としては明日はシークレットでやるんですね?
坂井
とりあえず、両国に行ってみようと思ってますけどね。
井上
手探り状態じゃないですか。
坂井
えっ?
井上
とりあえずって、選手も手探り状態じゃないですか。
坂井
いや、だって基本はみんなそうでしょ。いまやカードを当日発表する団体も多いですし、僕がやっているマッスルも基本当日発表ですから。マッスルは裏方以外の選手たちはみんな何も知らないで当日会場に来てますんで。来て、ポンッと台本を渡されて、「今日もお願いします。16時からリハーサルです」みたいな。
井上
僕はそういうイベントのこととかは全然わからないですから。
坂井
でしょ? ヨカタでしょ?
井上
まあ、そうですね。ヨカタだと思って話してくれたらいいんですけど。
坂井
ええ。だから、僕もいちおう外用でしゃべってますよ。
井上
どういうことですか?
坂井
マスコミ対応用に発言してますよ。なのでハッキリ決まっていることとかは言えないですよ。対戦相手のこととか。
井上
ああ、なるほど。すいません、僕はあなたがなんでも話してくれるものだと思ってました。そこは勘違いをしていました。
坂井
なんだかんだ言って、僕も結局、村の中の住人ですからね。だから、僕もしゃべれる範囲でしゃべってますよ。
井上
失礼しました。ここからは襟を正して話を進めていきたいんですけど、ハッスル最高顧問の酒井正和氏っていらっしゃいましたよね?
坂井
ああ、酒井さん。ご飯をいっぱい食べるっていうイメージがありますよね。
井上
あの人が最高顧問を辞任したんですよ。
坂井
えっ?
井上
それで、スマッシュという新団体を旗揚げされましてですね。
坂井
とっくにガンズ・アンド・ローゼズを脱退してるはずですが……。
井上
面白くないですね。そのスマッシュに、あなたのタッグパートナーのTAJIRIさんが参加しているんですよ。
坂井
ああ。それはDDTプロレスリングにおけるマッスルとかユニオンプロレスみたいなもんで、ようはハッスルの多ブランド化でしょう。ハッスルの下部組織的なサテライト団体でしょ?
井上
TAJIRIだけでなく、小路晃、大原はじめ、KG(朱里)が、スマッシュという団体に出ると発表されたんですよ。
坂井
アングルなんじゃないですか?
井上
だから、大会中止のリリースが怪文書だったにしては、タイミング的に話が繋がり過ぎてるというか。
坂井
なるほど。ここに来て、ハッスルがファンタジーの枠を通り越してると。でもそれ、僕のよくやる手法ですよ。これまで僕がよくやってきたことです。DDTにいたっては、10年前からやってましたからね。
井上
この手法をですか。
坂井
いわゆるリアルエンターテインメントというか。
井上
スーパードキュメント?
坂井
そう、スーパードキュメント。“踏み越えるキャメラ”ですよ。
井上
いま気付いたんですけど、坂井さんの出自がDDTであるがゆえに、坂井さんだけがこの状況を正確に理解できていないんじゃないかという気がしてきたんですが。
坂井
この僕が?
井上
ええ。現実とフィクションの境目が見えていないというか。
坂井
はあ〜。いいですか、僕はかつてkamipro moveという携帯サイトでコラムを連載していたほどの識者ですよ? 業界内部のことを僕がわかってないわけないじゃないですか。
井上
そんなの、僕レベルでも連載が持てるメディアじゃないですか。自慢にもなんにもなりません。
坂井
あなたがたは明日『ハッスル・マニア』がないと決めつけている。でも、そこであるから面白いんじゃないですか。
井上
ガーーン。た、確かに。
坂井
そうでしょ? そこであるから、「ハッスルできる」っていうことですよ。サンタクロースなんていないっていうのは、みんなわかってる。でも、プレゼントはもらえるわけでしょ? つまり、そういうことですよ。
井上
完全に目から鱗が落ちました……。
坂井
『ハッスル・マニア』、やったらいいんですよ。だから僕、昨日の666新木場大会で、ラム会長の引退試合の相手を務めたTAJIRIさんにひさびさに会ったんですけど、とりあえず「明日はよろしくお願いいたします」って言っておきましたからね。
井上
TAJIRIさん、なんて言ってました?
坂井
「ホント忙しいよ」って言ってましたけども。
井上
どういう意味ですか、それは?
坂井
「『ハッスル・マニア』がもうそろそろだから、俺らはその準備で忙しい」みたいな。
井上
「マニアで忙しい」とは言ってなかったでしょ?
坂井
いや、マニアだって言ってましたよ。「自虐的にならざるを得ないよね」とも言ってました。
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