ファイトカード

高田総統劇場

 高田総統がリングイン。今日は舞台ではなく、リングに入った。その横には、川田の姿が…。
「おい、ブーイングせんのか。私をバカにするな」と、川田の裏切りにまだ騒然としている観客へアピールする総統。「禁煙ですよー」という声にも、「分かってる。私は特別だ」と動じない。
「名古屋のモンスター軍の信奉者たちよ、久しぶりだな。久しぶりでもそうでなくても、挨拶はしておこう。ありがたく思え。我こそは高田モンスター軍総統、高田だ!」
 場内からは「お前は男だ!」の声が飛ぶが、「何度も言うが、それは違う!」と総統は一喝。「東京、大阪という大都市に挟まれ、都会人ぶっている名古屋の諸君。今日は異常に野次が多いな? やりにくいよ。スムーズにいかせてくれ」と本音をちらつかせる高田総統であった。
「ひとつ大事なことを言っておこう。その汚い汚れた耳の穴をかっぽじってよく聞け。キミたちはもう遠慮する必要はない。今日から、たった今から己の気持ちに素直になって声援を送るがいい。どうだ?」と言う総統。すると、場内からはこれまでどおりのブーイングと、「そーとー、そーとー!」のコールが同時に起こる。
 しかし、高田総統は満足がいかない。「どっちにしても中途半端だ! ブーイングか声援か、ハッキリしろ」と叫ぶと、場内からは大ブーイングである。
「ここにいる下々の諸君。キミたちはこの私が大好きなはずだ。尊敬してやまないはずだ。なのになぜ、へったくそなブーイングをするのだ! このばか者どもが! そのヘタっぽいブーイングは、あのしょっぱいハッスル軍に浴びせるがいい。私はどちらでもいい」と懐の大きさを見せる総統であった。
「それはそうと、この会場のどこかにいるハッスル軍。キミたちはいまだに日本のプロレス界を守るとか寝言を言っているようだが、よく考えろ。今の日本のプロレス界に守るに値するものがあるのか? そしてだ、ここでひとつ言っておく。大事な事だ。ハッスル軍へのひとつのヒントだ。それは、どこかで聞いているチキンくんへのメッセージだ!」と、総統は長い前置きをしてから絶叫した。
「キミには今の時代が見えてないようだな。守る前に創れ! 守るだけでなく創り出せ!」と言い、「いいこと言うだろう?」と自画自賛の総統は、「守る前に創れ! 守るだけでなく創り出せ!」と三度も絶叫。よほど気に入ったセリフだったらしい。
「伝わったか? よし、最後にひとつ言っておく。ハッスル軍の諸君には問題点がある。まったく柔軟性がない。私のメッセージをよく考えてみろ」
 そして、隣に付き添う川田へ向かい、「モンスターK、今日はご苦労だった。長く遠回りしたが、これで“例の計画”は完了となった」と語った。例の計画とは、ハッスル軍からの裏切り者を作ることだったのか? それとも、最初から川田をスパイとして送り込んでいたのだろうか?
 最後に総統は「ではインリン、記念すべきモンスターKの誕生を祝して例のやつをやってくれ」と、インリン様に命じた。
「分かりました」とインリン様。「今日は気分がいいから、スペシャルなM字ビターンを決めてあげようかしら?」と言うと、それまで川田の裏切りに騒然となっていた会場が一体化し、大盛り上がりである。
「今日はモンスターKにエスコートして欲しいわ」とインリン様が言うと、川田は何のためらいもなく手を差し出し、インリン様をエスコート。特製お立ち台にまで連れて行った。
 そして、「スリー、トゥー、ワン、モンスター!」でインリン様のスペシャルM字ビターンが大爆発! コスチュームがコスチュームだけに、凄いM字である。すっかり洗脳されてしまった名古屋のファンは大喜びだ。
 最後に、川田は高田総統から葉巻を受け取り、一度ふかして煙を吐き出すと「小川、いやチキンくんだったな! そういう事だよ、バッドラック!」と言い残してリングを去っていった。
 モンスター軍に寝返った川田の真意は? 本当にこのままモンスターKとしてモンスター軍入りしてしまうのか? それとも、高田総統のビターンを受けて洗脳されているだけなのか? 金田一少年や名探偵コナンでも解けない、ハッスル史上最大の謎を残し、ハッスル12は幕を閉じた。

メインハッスル

7分36秒 インリン様式踏みつけフォール→体固め

 前日のトークショーでは様子がおかしかった“ハッスルK”川田。小川とハッスル軍批判とでも言うべき発言をして、不穏な空気を漂わせたが、小川が「ハッスルK、よろしく頼むぞ」と手を差し伸べると、川田も「こちらこそよろしく」と丁寧な応対だ。
 入念なウォーミングアップでたっぷりと汗をかいた川田は、「おい、石狩! タオル!」と命じる。その間に、「キャプテン、大阪では結果的に微妙な判定で終わってすいません」と詫びを入れる川田。妙に他人行儀である。
 そこへ石狩がタオルを持ってきたが、よく見るとそれは石狩の汗と匂いをたっぷりと吸い込んだ、試合用のタイツであった。「僕のパンツを持ってきてしまいした〜」と、相変わらず使えない石狩。当然のように、川田のビッグブーツが…と思いきや、「ま、今日はいいか」と川田は何もせずに控え室を出て行くではないか。
「あれ?」と不思議がる小川と石狩。川田は「キャプテン、試合だぞー!」と、やる気は充分のようだが…。
 一方、モンスター軍の司令室では不安そうなアン・ジョーと島田。
「まさかまた、インリン様がリングに上がる事になるとは…」と島田が言えば、「今回ばかりはチキンも本気らしいですからネ。インリン様の顔に傷がつかないか心配デース」とアン・ジョーも頭を悩ませる。
 そこへインリン様が登場。「島田、アン・ジョー、何を心配しているの?」と強気だ。高田総統には「100%エレガントな試合をお見せしますわ」と必勝宣言。高田総統も「期待しているぞ」と、インリン様の勝利を信じて疑っていないようだ。
「ねぇ、総統。それでまた、欲しいものがあるんですけど」と艶やかな表情でおねだりするインリン様に、「よかろう。新しい戦闘服だな。分かっておる」と、パパのような高田総統は“ビターン!”でインリン様に新しい戦闘服を与えた。今夜はどんなセクシーなコスチュームなのか、楽しみである。
 すると高田総統、最後にひとこと。「例の計画か…フッフッフッ」と、当初から言い続けている“例の計画”を口にした。ついに今夜、そのベールが脱がされるのか? そして、インリン様のニュー戦闘服は?

閉じる 新しい戦闘服に身を包んで登場したインリン様。ガウンに包まれ、顔もフードで隠している。その後ろからはFUJINとRAIJIN。
 続いてハッスルK&キャプテン、川田と小川の入場だ。川田の元気のなさが気になるところだが…。
 B86、W58、H86と見事なプロポーションをコールされたインリン様がガウンを脱ぎ捨てると、なんとビキニスタイルの露出が激しい超セクシーな戦闘服を披露。そして、「鞭はインリン様の体の一部」と草間GMが認めた!
 FUJINとRAIJINを投げ飛ばした小川は、インリン様の鞭攻撃にびくともせず、なんとインリン様にスリーパーホールド! 初めて苦痛に顔を歪めるインリン様。そして、インリン様が落ちた! イってしまったのである!
 すぐにFUJINとRAIJIが助けに入り、リング下にエスケープさせられたインリン様。何とか意識は取り戻したものの、完全にグロッギー状態でリング下に横たわる。
 リング上ではFUJINと小川が激しい攻防。小川がFUJINにバックドロップ! 川田にタッチすると、キック攻撃の連発からビッグブーツだ。
 タッチを受けたRAIJINは川田をボディスラム、川田はエルボーで反撃するとビッグブーツを見舞うが、RAIJINはびくともしない。それならばと、小川と合体しての“俺ごと刈れ”二連発! FUJINにもお見舞いし、両者をリング下へと蹴散らした。さすが、ハッスル軍最強コンビである。
 そこへ、インリン様が四つん這いになってフラフラとリングへ戻ってきた。妙にセクシーである。しかし、『ハッスル・マニア』での高田総統との一騎打ちに燃える小川は容赦しない。睨みつけるインリン様を、どう料理してやろうかと待ち構えた。すると、川田が来てインリン様を後ろから捕まえる。なんとインリン様にも、“俺ごと刈れ”を見舞おうというのだ。危ない! インリン様の絶体絶命!
 ロープへ飛ぶ小川。だが、STOを見舞おうとしたまさにその瞬間、川田がビッグブーツを小川に見舞ったのだ! 続けて延髄斬りを小川に叩き込む。ハッスルKの裏切り? 場内は突然の出来事に、騒然となる。
 意表を突かれて完全にグロッギー状態となった小川へ、RAIJINがパワーボム、FUJINがスーパーフライの猛攻。フォールに入ろうとした二人だったが、川田がそれを制した。やはりさっきのは何かの間違いで、小川を救おうというのか?
 そんな期待は甘かった。川田は小川の顔面に蹴りを入れてトドメを刺し、なんとインリン様に鞭を手渡す。それどころか、インリン様の手をとりエスコートして小川の元へ連れて行くではないか。インリン様が踏み付け、その横で川田とRAIJIN&FUJINがポーズをとってフォール。小川はピクリとも動く事ができず、カウント3を奪われた。
 衝撃的な結末。いったい、川田はどうしてしまったのか? たまらず石狩が駆け寄ろうとしたが、その石狩にも川田はビッグブーツを見舞う。
「チキンくん、キミという男はつくづく哀れな生き物だな」
 高田総統の声が場内に響いた。


セミハッスル

7分23秒 ジャーマンスープレックスホールド

 すっかり“マーク・アルコールマン”となったコールマンに対し、坂田は「オッサン、今日は飲むんじゃねーぞ」と厳しく忠告。この忠告に何度も頷くコールマンは、ペットボトルに入った水をうまそうに飲むが、何かがおかしいと感じた坂田がペットボトルの臭いを嗅ぐと、ただの水と思われた透明の液体にはどうやら酒が入っていた模様。
 半ば飽きれながらも坂田は「酒に溺れるお前は名古屋……いや、尾張で終わりだ」と、ダジャレまで言う始末。しかしコールマンにはこのおやじギャグが大ウケ。二人で「オワリデオワリ」と笑いながら言い合った。
 一方、ハッスル軍の控え室では二日酔い気味の大谷と中村カントク。気ダルそうに大谷が「俺だってリング上で酒飲んでいいなら、飲みてーよ」と愚痴ると、カントクは「いや、試合“後”に飲むからいいんだよ」と言ってなだめた。

閉じる 試合前に一杯ひっかけてきたコールマンだが、いざ試合となれば高速タックルからマウントパンチを見舞っていく。大谷も負けじとヒザ十字で切り返し、続けざま腕ひしぎ逆十字を狙う。しかしコールマンはそのままの体勢で持ち上げ、叩きつけて脱出し、得意のケサ固めで絞り上げる。序盤からハイレベルなグランウンドの攻防を見せる両者。
 大谷をジャーマンで投げ捨て、コールマン優勢に試合を進めていたが、ここで大谷のセコンドについていた中村カントクがエプロンに上がり、上手そうに缶ビールを飲んでみせる。この魔の誘惑にコールマンもカントクの持つビールにふらりと引き寄せられるが、坂田が必死に制止する。しかし本部席に山ほど置かれた缶ビールを見つけたコールマンは、坂田の制止を振り切り、「カンパーイ」と言って次々に飲み干してしまう。
 その後、リングに戻ったコールマンは大谷にフロントスープレックス3連発を見舞うが、皮肉なことにこれで急速に酔いが回ってしまう。コーナーに座り込み、すっかりグロッキー状態のコールマンに対し、大谷は「俺も飲みてーんだ!」と叫びながら顔面ウォッシュ。コールマンも何とか反撃しようとパンチを見舞うが、足下がおぼつかない。
 しかし、大谷の攻撃もうまいこと千鳥足でかわし、何と酔拳のような状態に! イライラが頂点に達した大谷は、ミサイルキックから、「立てよ、酔っぱらい」と強引にコールマンを立ち上がらせると、ジャーマンでコールマンを沈めて試合を終わらせ、うまい酒を飲むために名古屋の街に繰り出していった。


第5ハッスル(HHH・ハードコアヒーロー選手権試合)

10分18秒 横入り式エビ固め

 総統はお怒りである。「おい、島田! アン! いつになったらゴールデンロットは私の元に戻ってくるんだ」。
「すいません、総統。チャンピオンの田中が意外と手ごわくて…」と言い訳する島田に、総統の怒りが爆発する。
「あのゴールデンロットは私が私財を投じて、数億円をかけて製作したものだ。何をやっている? あの地味な佐藤君をなぜ倒せないんだ?」と総統。あのー、佐藤でも斉藤でもなく、田中なんですけど…。
 すると総統、島田に耳打ちをはじめた。「総統、それはグッドアイデアですよ」と島田。どんなたくらみなのか?
 総統は3人のモンスターに向かい、「私の財産であるゴールデンロットを、必ず取り戻して来い、モンスターたちよ。ビターン!」とモンスター魂を注入した。

閉じる クイック・クック・リーは中華なべとおたまの凶器を持って入場、モンスターCはバケツ、キング・ギラファは脚立だ。黒田はお馴染みのちゃりんこ(マウンテンバイク)に乗って入場、ゴールデンロットを売り払う事を目論む安田は鉄パイプの椅子を持っての入場だが、椅子をリング上に置くと座って競馬新聞でを広げて予想を始める。
 そしてチャンピオン田中はゴールデンロットを肩に担ぎ、白いギターを背負っての登場だ。その入場の間に島田二等兵が安田の元へ近づき、賄賂の小銭を渡したが、安田は競馬新聞から目を離さない。
 試合開始。安田とギラファの組み合わせとなり、安田は握手を求めるふりをしてギラファをリング下へ蹴り落とす。
 田中と黒田は二人で机をセット、その上に安田をセットして田中がスーパーフライ! 完全に安田はダウン。が、島田が札束を取り出して安田に手渡すと、安田は意識を取り戻す!
 その間に、黒田と田中はリーにちゃりんこラリアット。モンスターCが助けに入り、田中にバケツで一撃。リグに戻ると黒田はリーに白いギターで一撃を加え、スーパーフライでリーからフォールを奪う。
 黒田&田中の勢いは止まらない。ギラファをコーナーに座らせ、股間に脚立を押し付けて椅子で叩き込む。続いて安田を襲うが、その隙にモンスターCが田中に回転エビ固め! カウントは3! 田中の王座転落が決定した。
 黒田をリンチするモンスターCとギラファ。安田は島田に賄賂を要求するが、「試合が終わったらやると」とおあずけを喰う。黒田はモンスターCとギラファの相打ちを誘い、Wラリアットからフォール。しかし、カウントは2。
 安田は「おい、行けよ」とCとギラファに指示をする。なぜかいつの間にかリーダー気取りだ。
 Cは両側の椅子に脚立をセット、その上に黒田を寝かせてトップロープへ。だが、黒田はすばやくコーナーへ登り、逆に脚立めがけてブルドッキングヘッドロック。ラリアットでCからフォールを奪った。返す刀でギラファにバケツを被せ、椅子で一撃。またもフォールを奪う八面六臂の大活躍!
 しかし、その背後から今まで何もやっていなかった安田が忍び寄り、黒田をエビ固めで丸め込む! カウント3!
 頭脳作戦(?)で見事な3カウントを奪った安田は黄金のゴールデンロットを手にし、「獲ったどー! 質屋行くぞ! こいつを売り払って明日は競馬、競艇、競輪でハッスル・ハッスルするぞ!」と言い、「おい、コメ兵いないか?」とコメ兵を探しながら、満面に笑みを浮かべてゴールデンロットを担いで去っていく安田であった。 


第4ハッスル(草間新GMスペシャルマッチ)

3分39秒 リキラリアット→体固め

 第3ハッスル終了後、坂田が例の如くリングサイドの女性客に向かって「お前、俺の乳首ずっと見てただろ」とセクハラまがいの無理矢理なナンパをすると、草間新GMが入ってきて、「やめなさい! 婦女子に対する暴言は許しません」と、GMらしく注意。
 その上、「あたなには私の連れてきた刺客と戦ってもらいます」と強権を発動! そこへ藤井軍鶏侍が入ってきて、GMに向かい「俺、今日試合ないのかよ! 俺を刺客と戦わせてくれよ! 俺の“当たれば百発百中エルボー”、略してA・H・E、アヘで倒す!」と猛アピール。
 坂田は「俺はこれから飲みに行きたいから、軍鶏侍にやらせてやれよ」とうまいこと方向転換。思わぬ展開に困惑する草間GMに対し、痺れを切らせた軍鶏侍が「とっとと連れてこい、ハゲ!」と禁句を口にしてしまう。これには草間GMも坂田への制裁を忘れ、軍鶏侍に対し「キミの相手はこの方だ!」と刺客を呼び込む。
 すると場内にあの『パワーホール』が鳴り響き、長州力が登場! まさかの長州登場に場内からは大きくどよめく。

閉じる ゴングと同時につっかかっていく軍鶏侍だが、場内は大長州コール。リングサイドの草間GMもご満悦の表情で長州に拍手を送る。
 何の前触れもなく、今年の2月以来、久し振りにハッスルに帰ってきた長州だが、試合スタイルは相変わらずのど真ん中ぶり。ストンピング、ブレーンバスター、サソリ固めのフルコースで軍鶏侍を攻め込むが、軍鶏侍も何とか反撃しようと、エルボーの連打から必殺のAHEを狙う。
 しかし、これは長州にあっさりとかわされ、リキラリアット一閃! この一発ですでにグロッキー状態の軍鶏侍を無理矢理起こした長州は、再び強烈なリキラリアットを見舞い、軍鶏侍をフォールした。
 試合を終えた長州は例の如く、あっさり引き上げようとするが、坂田がマイクをつかみ、「ちょっと待て! お前ハッスルのリングを跨いだな。いつまでも余裕コイてんな。いつでも俺が勝負してやる。お前の好きなようにはさせねぇぞ!」とアピール。長州は何事もないように引き下げていったが、刺客として長州を再びハッスルに引き戻した草間GMはニヤリと笑った。


第3ハッスル

12分49秒 デビル・マダム・ボム(BMB)→体固め

 先日の『ハッスル・ハウスvol.9』でアマゾネス軍に左足を破壊されたEricaだが、いきなり控え室に入ってきた坂田に「なんだ、このブス!」と、その左足を踏まれてしまう。しかしEricaはちょうどよかったとばかり、自分に代わってデビル夫人、マーガレットのパートナーになってくれとお願い。渋る坂田に対し、「オバ様は金持ちで家を何軒も持っていて、トイレットペーパーはお札なのよ」と甘い囁き。金に目のない坂田は「適当にあしらって、たんまりふんだくるか」と考え、パートナーになることを承諾した。

閉じる ゴージャスなガウンに身を包み、独特のオーラを漂わせて入場してきたデビル夫人に対し、アン・ジョー司令長官は「近くで見たら、ただのくしゃくしゃオバチャンじゃないデスカー」と爆弾発言。するとデビル夫人は「おだまりー!」と一喝。するとアン・ジョー&アマゾネス軍は背筋をピンと伸ばし、硬直してしまう。そこへ夫人からビンタを食らい、いきなり出鼻をくじかれる。
 アリシンZが勇気を振り絞ってイスを振りかざすが、デビル夫人には凶器攻撃をさせないオーラがある。しかし、アリシンがビビって思わず手を離したイスが、たまたまデビル夫人の頭に直撃。すると夫人は「イタ〜イ」と意外な反応。これならイケル!と判断したアリシンが、改めてイス攻撃をすると、デビル夫人が「卑怯な真似はよしなさーい! 何てことを……やってやるわ!」と大激怒。代わったブランカを軽々と投げ飛ばすと、「そろそろメイクを直さなきゃ」と余裕の表情でマーガレットにタッチ。
 ブランカはマーガレットをジャーマンで投げよとするが、これは無理! 逆に小柄のブランカは巨体のマーガレットに攻め込まれてしまう。しかし、マーガレットのボディプレスをかわすと、ブランカは一気にジャーマンで投げ捨てることに成功。
 マーガレットのタッチを受け、ようやく坂田がリングイン。コーナーに控えるアン・ジョーに「出て来い」と指名するが、アリシンがつっかかっていく。血も涙もない坂田は女のアリシン相手に、張り手、ボディスラム、逆片エビ固めと非常なる攻撃。さらには股裂き攻撃をした上、リングサイドのカメラマンにむかい、アリシンの股を撮れと理不尽な要求までする。これには場内からもブーイング。
 何とかアリシンはアン・ジョーにタッチ成功。代わったアン・ジョーは坂田と逆水平チョップ合戦を挑むが、胸元を真っ赤に腫らし、痛がりまくり。しかし坂田とマーガレットの合体攻撃をかわすと形勢逆転。
 ここで流れを変えるべく、デビル夫人が再びリングイン。するとアン・ジョーは「オバハン、化粧が剥げてるぞ」と口撃! これを聞いた夫人は思わず崩れ落ち、アマゾネス軍に猛攻撃され、さらにはゴージャスなガウンを脱がされてしまう。
 下着姿(?)となったデビル夫人は、「あなたたちいい加減にしなさい! 怒り爆発ですわ!」とブチキレ状態。捕まえたブランカに対し、「あなたはこれで終わりですわ!」と、強烈なドリラーで叩きつけ、アッサリと、それでいて優雅に3カウントを奪った。
 散々な状態で敗れ去ったアン・ジョーはマイクを握ると、「もう女子部に関わるのはイヤデ〜ス。ミーにも休暇をクダサ〜イ」と泣きのアピール。その逆に坂田はデビル夫人に向かって「俺はいただけるものをいただけるなら、いつでも協力するぜ」と余裕のマイクアピールだった。


第2ハッスル

9分26秒 脳天カラタケ割り→体固め

 試合に向けて入念にウォーミングアップを行う崔の元に、石狩がやってきた。
「ジャンさん、ジャンさん」と相変わらず名前を間違える石狩。「ジャンさん、じゃなかった崔さん。今日の僕たちの相手って誰なんですか?」と問いかける。「どうせマリモ・ブラザースとかのけったいなやつらやろ」とあまり気にしてない様子の崔。
「ここ名古屋だったら誰が出てくるんですかね。エビフリャーエンコ・ヒョードルとかイゴール・ナゴヤチャンチンとかが出てくるんじゃないですか」と、珍しくなかなか面白い事を言う石狩に、「面白いな」と崔ものってくる。
「大阪ではキダ・タローが出てきたから、この名古屋はあの坂田亘の地元だし、アホの坂田だったりして。うっひゃっひゃー」と調子に乗る石狩だったが、その後ろには坂田の姿が!
「誰がアホだって?」と石狩の尻めがけて竹刀を打ち込む坂田! またも石狩は試合前に無駄なダメージを受けてしまった。
 所変わって、こちらはモンスター軍の司令室。高田総統が語る。
「諸君は知っているか? この名古屋に恐ろしいツワモノが存在する事を。一人は炭火で焼かれ、身を切り刻まれ、おひつに押しつぶされたうなぎの怨念を持った男だ。彼は侍の魂を持った侍のモンスター、ひつま武士! もう一人は、そのひつま武士の手下で、いらないものは何でも売り払ってくれるナゴヤン・ゴールドラッシュことモンスター・コメ兵! 諸君もいらないものはコメ兵に売ってくれたまえ。見栄っ張りでハデ好きな名古屋の民に、積年の恨みを晴らしてくるがいい! デラ・ビターン!」
 ちなみに“デラ”とは、名古屋でよく使われる「デラックス」「どえらい」という意味である。

閉じる 観客の持ち物をルーペで鑑定しながらの入場はコメ兵。その動きはすばしっこい。実況アナの時計を鑑定し、「3円!」と非情なる鑑定を行った。一方、石狩は尻の痛みに悶えながらの入場である。大丈夫か、アイ・サイコンビ!。
 石狩とコメ兵によるヒジ打ち合戦。石狩は「あーい!」の掛け声と共にヘッドロック。石狩の体を鑑定するコメ兵はダメダメと手を振るが、石狩のヒジで吹っ飛ばされる。
 ひつま武士にタッチ。両手を広げてカンフーポーズをとるひつま節。崔は警戒する。睨み合いの後、ロープに押し込むひつま武士だが、クリーンにブレイク。崔のエルボーにひつま武士は手刀で勝負。「武士! サイ!」の掛け声が掛かるが、ひつま武士の回転手刀打ちに崔はダウン。
 石狩にタッチ、石狩はひつま武士のマスクを剥がそうとする。そして自ら「アイ!アイ!」と声を掛けてエルボーを叩き込むが、ひつま武士の手刀に圧倒される。
 コメ兵はタッチを受けると、石狩の両足をロープに引っ掛け、股を大きく開けさせる。そこへ急所蹴り! タッチを受けたひつま武士も股間へ一撃! さらにコメ兵が押さえ込んだ石狩の股間に、ひつま武士がヘッドバット! 続いてコメ兵が石狩の股間を鑑定するが、鑑定結果は「0円」! ショックとダメージを受けた石狩は崔にタッチする。
 崔がバックドロップホールドでひつま武士にダメージを与えると、石狩がでしゃばって出てきた。ひつま武士に張り切ってDDTなどを仕掛けるも、急所蹴りで逆襲される。
 ここでひつま武士は竹刀を持ち出す。一度は石狩に奪われるも、崔と石狩との同士討ちを誘い、再び竹刀を手にして円月殺法から竹刀を打ち下ろす! それを真剣白刃取りで受けようとした石狩だったが、当然、そんな器用な事が出来るはずもなく、竹刀の一撃を喰らって昏倒。そのまま3カウントを奪われた。


第1ハッスル

8分44秒 ローリング・“蜘蛛”レイドル

 モンスター軍の司令室。なにやら島田二等兵とアン・ジョー司令長官が会談している。
「ハッスル軍のカズ・ハヤシのパートナーは誰なんでしょうね?」と不安そう。
 だが、高田総統は「あんな色男ぶっているカッコだけのカズ・ハヤシなど恐れるにたりない!」と余裕だ。
「そうですよ、総統。総統の方が100倍色男ですよ」とゴマをする島田二等兵。アン・ジョーが「ミーの情報によれば、雑誌ananの抱かれたい男ランキングに登場するみたいですよ」と続く。高田総統は「ベストサングラスもいただきだ」とご満悦である。
「ところで、カズのパートナーは誰なんでしょうか。これは何と読むんでしょう」と不安そうな島田。すると高田総統は「MK5なら知っているんだがな」と知識を披露する。
「総統、MK5って何ですか?」と聞くと、高田総統は得意げに「“マジで恋する5秒前”by広末涼子だ!」と意外と古い!
 気を取り直した高田総統は、「モンスター軍の精鋭コンビよ、カッコだけのカズと聞いたこともないマイナーレスラーを潰して来い!」と指令を送った。

閉じる ゴング前にモンスター軍が奇襲攻撃。まずリング上にはHi69と鬼蜘蛛が残り、スピーディーな立ち上がり。鬼蜘蛛を場外に落としたHi69がいきなりラ・ケブラーダを見せる。続いてカズも場外に飛ぼうとしたが、これはカットされてしまう。
 モンスター軍は合体してカズを攻め立てるが、ここでJが大ハッスル!随所でJポーズを披露し、場内からも大Jコール。ひと度ファールにいけば、「1・2・3」のコールの代わりに「J・J……」コール。
 何とかピンチを脱したカズに代わり、Hi69が満を持してリングイン。ムーンサルト、カズとのWトペと華麗な空中殺法を披露。カズが鬼蜘蛛に18番のファイナルカットを決め、ここで勝負あったかと思われたが、この日絶好調のJがカット。
 カズとJが場外で揉み合う隙に、Hi69が鬼蜘蛛にカンクン・トルネードを見舞おうとするが、これはかわされて自爆。ならばとダイビング・ボディアタックを狙うが、飛んでくるHi69に対し、鬼蜘蛛は蜘蛛糸攻撃で防御!
 糸まみれになったHi69を、鬼蜘蛛が素早くローリング・“蜘蛛”レイドルで丸め込み、3カウント。モンスター軍がオープニング・ハッスルに勝利した。


草間新GMリングに登場!

 リング上には黄金のジャケットに身を包んだ草間GMが登場!あまりの声援の多さに「言う事忘れちゃう」と初々しい。
「GMとしての記念すべき初仕事を、ハッスルのお膝元である名古屋で行われる事に、大変感激しています」と草間GMが挨拶したところで、「GM、サイコーですよ!」と島田二等兵とアン・ジョーが登場。なんだ、この変わり身の速さは!? 「新GMになった途端に、私も噛み噛みですよ〜」とひとこと多い島田!
「いや〜、新GMのセリフに感動しましたよ。はい、ういろうどうぞ」と、GMが変わっても媚びを売る島田であった。「GM、今日は一段と輝いてますよ!」とやはりひとこと多いのだが。アン・ジョーは「イエース!後光がさしてますよ!」。
 そこへ中村カントクも登場。「GM!ピカピカ輝いてますよ!これからもハッスル軍は、一生懸命ハゲんでいきます」とゴマをすってるのか、バカにしているのか分からない。
 アン・ジョーも「新しいプロレス界のために、ハゲみまくりマース!ハゲんでハゲんで、ハゲみまくりマース!」。中村カントクも負けじと「1にハゲしく、2にハゲしく、ハゲしく、ハゲしく頑張ります!」。
 この光景を黙って聞いていたGMだが、こんなにハゲハゲと連発されてはたまらない。
「私はつい最近まで、某老舗団体の社長までやった男ですよ!ある人が、私を無能の経営者と言いましたが…」と言ったところで、場内から「長州!」という声があがる。苦笑いを浮かべた草間GMだが、気を取り直して「私は人に何と言われても構わない。だけどキミたち、ハゲと言ったら許さんぞ!」と本音を爆発させた。しかし、場内のあちこちから、「ハゲーッ!」とハゲコールが沸き起こる。
「ちょっと回りに髪の毛が付いてるだろう!」とフォローする中村カントクだが、まったくフォローになっていない!
 そしてカード発表を行った後、草間GMから爆弾発言が! 「私がGMになったからには、皆様にガッカリさせるような事はしません。期待してください。来年のハッスル・マニアはここ名古屋で行います!」。
 しかし、ここで異議を唱える男が乱入! 「ちょっと、ちょっと!名古屋の皆さん、いいですか! こんなハゲおやじの言う事を信じちゃだめですよ」と言う男は、なんと笹原“前”GMではないか!しかもオープニング同様、ADの格好で。
 ところが、だ。反応が悪い。中村カントクは「あれ? あなたは笹…が付く人だっけ?」、島田に至ってはあれだけ媚びを売っておきながら、「佐々木だろ」とすっかり名前を忘れてしまっている。アン・ジョーは「ユーもたった二日間で随分と落ちぶれましたね」と哀れむ。
 笹原前GMが何しに来たかというと、「心配で見に来たんです。名古屋は私の地元だし」との事だったが、草間GMは「心配はいりませんよ。私はマネージメントの天才ですから」と余裕のコメント。さらには、あの伝説のセリフ「ところであなた、チケット持ってますか?」。
 屈辱である。笹原前GMは「顔パスですよ」と戸惑いながらも答えるが、場内からは非情にも「帰れコール」が巻き起こる!「ちょっと、酷くないですか?」と泣き顔で反応する笹原前GM!
 草間GMは「本来なら警察に通告するところですが、私もそこまで鬼ではありません。おい、この男をつまみ出しなさい!」と係員に命じる。哀れ、笹原前GMは係員に捕まり、追い出されてしまった。人間、落ちぶれたくないものである。


オープニングハッスル&レイザーラモンHGによる開会宣言

 さあ、会場では軽快なDJとハッスルのテーマソングにのってのオープニング。島田二等兵&アン・ジョー司令長官と、中村カントク&藤井軍鶏侍によるサインボール投げが行われ、モン娘。からのDVDプレゼントなどがあったが、会場を最もどよめかせたのはマーガレットとファンによる「尻相撲対決」。
 まずは覆面レフェリーとのデモンストレーション。レディー・ハッスル!の掛け声と同時に、リング下へ吹っ飛ばされる覆面レフェリーだった。対戦相手を志願したファンの中から、マーガレットが選んだのはなんと男の子。殺されてしまうぞ!と心配させたが、そこは心優しいマーガレット。ちゃんと負けてあげたのだった。男の子にはTシャツをプレゼントだ。
 最後はなんと、今日先ほど結婚式を終えたばかりだという新婚さんとマーガレットによる「スリー、トゥー、ワン、ハッスル!ハッスル!!」とオープニングハッスル。新婚さんによる夫婦初の共同作業となり、きっと思い出に残るだろう。末永くお幸せに!
 そして、いつものようにモンスター軍の司令室。高田総統によるオープニング宣言…かと思ったら、「高田総統と見せかけてハードゲイでーす!」と、レイザーラモンHGがスクリーンに登場だ。
「みなさーん、下半身に注目してください。どうですかー、名古屋名物の天むすのエビのようにプリプリしているでしょう。次はこの上腕を見てください。名古屋名物ういろうのようにプルプルしているでしょう」と、自慢の肉体をなぜか紹介するレイザーラモン。一通り見たくもない体を見せ付けられた後、「それでは、ハッスル12 in 名古屋、フゥー!」と開会を宣言した。


笹原前GMによる「正しいハッスルの仕方」&岸本PRによる説明

 本日の「正しいハッスルの仕方」の前説は、笹原“前”GMが務めた。ADスタイルに身を包むという変わり果てた姿で登場した笹原前GMは、ディレクターのあれやれこれやれという指示に舌打ちをしながらも前説を務めた。
「俺は前GMだぞ。名古屋は地元なのに、何でこんな事をやらないといけないんだよ…」とぼやきながら、「ちっ」とひときわ大きな舌打ちをして去っていった。
 続いて岸本2代目PRの前説だが、ここでも草間“新”GMの意向が!岸本PRが新グッズの説明をしているところへ、初代ハッスルイメージガールの二人が登場。草間GMからオープニングをやれと言われてきたらしい。しかも、「岸本さんの喋りは堅い」「岸本さんは年上だし、お疲れでしょう」と禁断の言葉を次から次へと!「あぁっ!?」とぶち切れる岸本PRだが、GMの命なら仕方がない。「何よ、ちょっと若いぐらいで…」と“ちっ”と舌打ちして去る岸本PRであった。