ゆっくりとバルコニーに姿を現した高田総統は、場内を見渡し語り始めた。
「祝日の真昼間から、性懲りもなく集まってきた相も変わらず暇でしょうがないプロレスファンの諸君!ゴキゲンいかがかな?言うまでもないが、我こそが高田モンスター軍総統・高田だ!」
これに対し、口火を切ったのは高田総統の謀略によってフォールを奪われてしまった川田だった。「おい高田!相変わらずセコイ真似ばかりしやがって!汚ねぇだろ!お前、“男の中の男”じゃないのか?」。
ニヤリと笑う高田総統。「川田くん、あれは別人だ」と諭す。「近頃キミは、せこせことアルバイトに精を出して小銭を貯めてるらしいな。旨い物ばかり食べているから、顔色がいいじゃないか。キミの事だ、クリスマスも一人ぼっちで“俺だけのクリスマス”を過ごすんだろう?」とクロスカウンターなみの破壊力で言い返す。
「最近、キミはよく喋るようになったが、口から出るのは愚痴とぼやきばっかりだ。ストレスが溜まっているのだろうが、この私に八つ当たりをするのはやめてくれたまえ」と、川田の“ストレス発言”を逆手に取る。しばらくの沈黙の後、川田から爆弾発言が飛び出した。
「明日も同じ場所で試合があるから、モンスターCと1対1でやらせてくれ」と、因縁の相手との一騎打ちを要求したのだ。「男の中の男、出してくれやぁっ!」と、なぜかPRIDEの高田延彦・統括本部長の真似で対戦要求する川田!
「分かった、分かった。であれば、旧知の私の友人(高田延彦・統括本部長)に電話しておくよ」とどうやら対戦要求を呑んだ形の高田総統。ここでファンから「いま電話してくれよ!」との声も挙がったが、「いま携帯を持っていないんだ」との理由で却下!「彼は私からの着信じゃないと出てくれないんだ」。
「まあ、川田クンがあそこまで意地になるのも分からないでもない。今回のパートナーは、キミのような無能な男だったからな」と、高田総統の標的は小川に移った。
「キミの迷走ぶりには、この私でさえビビってたじろぐよ。最近、ひっぱりだこのチキン君。その薄っぺらな人気も今年いっぱいで終わるんだ」と高田総統が言うと、場内からはクスクスという笑い声が…「この笑いはそれを肯定しているんだぞ。最近のキミは忙しすぎて、ただでさえしょっぱいプロレスがおろそかになっているようだ。今日は我がモンスター軍の圧勝だ!」。
わずかばかりのブーイングが起こるが、高田総統は失笑する。「相変わらず中途半端な下々の諸君だな。少しは学習したまえ!」と一喝し、再び「話を元に戻そう」。「したがって、明日は我々が試合カードを組める事も含めて全面プロデュースする。そこでだ、売れっ子気取りのチキン君は副業で忙しいようだから、キミは休みたまえ」と、明日24日のカードから小川を外す事を決めてしまった。
だが、高田総統は「しかし、もしキミに米粒ほどの勇気があるのなら、あのしょっぱすぎるジュードー・オーとやらを連れてきたまえ」と『ハッスル5』に一度だけ、小川がアメリカから連れてきたジュードー・オーの出場を要請したのだ。そして、「私が彼にふさわしい相手を連れてこようじゃないか」と、新たなる刺客の登場を予告。
ここでなんと、女性ファンから「お前がやれよ!」と挑発の声。高田総統は「それには応えられない!」とあっさりかわすと、「チキン君は何も答えないようだな。よし、それでは私のビターンを我々と一緒にやりたまえ」と、戦前からの約束どおりビターン!ポーズを要求した。
モンスター軍にリング上で取り囲まれ、逃げる事も出来ない小川。「プロミスを覚えてマスカ?」とアン・ジョー司令長官に詰め寄られ、高田総統からは「やりたまえ」を連呼され、渋々リング中央にモンスター軍と共に並んだ。「3、2、1、」しかし、小川ひとりだけがハッスル、ハッスルと抵抗。ちゃんとやれ、とモンスター軍にけしかけられ、高田総統からは「物覚えの悪いチキン君だ。やりたまえ」と言われ、今度は小さく指を突き出してのビターン!ポーズ。
「往生際が悪い!やりたまえ」と高田総統に怒られ、島田参謀長からは「それは小さく前へならえだろっ!」と突っ込まれ、絶体絶命のキャプテン・ハッスル。最後には高田総統から「老舗団体に売り飛ばすぞ!それも安くな」と通告を受け、屈辱の「3、2、1、ビターン!ビターン!」をやらされてしまった。
「メリー・モンスター・クリスマス!」とマントを翻して去る高田総統。小川はさっさと帰れと言われ、ガックリと肩を落として花道を去っていった。
果たして、高田総統がプロデュースするという『ハッスル・ハウス クリスマススペシャル』の全貌は? 川田VSモンスターCの一騎打ちは実現するのか?小川はジュードー・オーを連れてくる事が出来るのか? 全ての答えは、明日24日の『ハッスル・ハウス クリスマススペシャル12・24』で明らかになる!見逃すな!
9分20秒 横入り式小包固め
会場のスクリーンには、某老舗団体のT魂祭りに参戦したキャプテン・ハッスル&ハッスルKの試合が映し出される。この試合でハッスル軍の2人は勝利したにも関わらず、ハッスルポーズを出来ないまま、リングを降りたという暗い過去がある。ここに目を付けた高田総統が用意したモンスター、それがニュージャージー・パワフル・ウォーリアー(New Jersey Powerful Warrior)略して『NJPW』だ。
このモンスター、某老舗団体のN西を髣髴とさせる雄たけびやN田ばりの敬礼ポーズなど、ハッスル軍が苦杯を舐めさせれた某老舗団体のエキスが充分に詰まっている。高田総統は「若いライオン、まさに“ヤングライオン”のようだな。ファイティングスピリッツ“闘魂”を感じるぞ。貴様の強さ、そう“ストロングスタイル”を見せてやれ。ハッスルポーズを阻止するかどうかは、お前にかかっている」とNJPWを激励。「強くあれ!」の掛け声と共にビターンではなく、ビンタでNJPWを送り出した。
閉じる さらにリング上には金髪のカツラを被り、紫色のコスチュームを身に付けた某老舗団体のリングアナウンサーそっくりの男がマイクを握っている。そして「コスプレも下品なポーズもいらない!」と、どこかで聞いたことのある台詞を叫び、NJPWを呼び込む。そしてNJPWは某老舗団体のメインテーマ曲に乗ってリングに登場した。
2勝2敗で迎えた対抗戦。試合前にGMが認定書が読み、正式に「明日のプロデュース権と敗れた方が相手方のポーズを行う」ことが発表された。
ハッスル軍は川田を制止するように小川がリングイン。モンスター軍はNJPWが先発を買って出た。
NJPWはいきなり敬礼ポーズで小川を挑発する。セコンドの島田参謀長から「お前のストロングスタイルを見せてやれ!」と声が飛ぶ。リング中央でガッチリと組みあった二人。小川がNJPWをコーナーまで押し込みブレイクとなると、クリーンに離れると見せかけて強烈な張り手をお見舞いする。NJPWも負けじと小川をコーナーまで押し込んで、お返しの張り手を出そうとするのだが、さすがにこれはバレバレ。小川に「バカか!お前は!」と罵倒されてしまった。さらに某老舗団体のリングでも見せたハッスル投げを披露!続けざまに巴投げでNJPWを投げ飛ばした。
そして宿命のライバル、ハッスルKとモンスターCがリング上で対峙する。客席から「K」と「C」の掛け声が上がる中、お互い一歩も引かず、ローとミドルを蹴り合う。しかし本家が偽者に負けるわけがない。川田が徐々にモンスターCを圧倒し、最後は顔面への強烈なフロントキックで、小川にタッチする。モンスターCをロープに振ってハッスルニーを叩き込む小川。ところが二発目を狙ったところで、モンスターCがコブラツイストで切り返す。さらにタッチを受けたNJPWは敬礼ポーズでナガタロック!川田がすぐにカットに入ったものの、今度はアルゼンチンバックブリーカーを極めにかかる。これでペースを掴んだモンスター軍。モンスターCが橋本ばりのDDT、そして小川ばりのSTOの連続攻撃を見せる。そして腕をぐるぐると回してリキラリアットを狙おうとするのだが、何とここでNJPWが乱入。「それは俺の技だ」とアピールし、モンスターCに小川を羽交い絞めにさせ、リキラリアットを仕掛けるのだが、あまりに時間がかかってしまったため、小川は難なくこれをかわし二人を誤爆させる。
このチャンスに川田もリングイン。某老舗団体のリングでもピンフォールを奪った小川&川田の「俺ごと刈れ」で、NJPWからピンフォールを狙ったのだが…
何とここで高田総統のテーマ曲が流れ始め、二階席のバルコニーに光が差し込む!すると試合中にも関わらず「待ってろコノヤロー!」と、小川がバルコニーに駆け上がってしまう。しかもこのドサクサに紛れて、モンスター軍はレフェリーをリング下に落とし、カウントを阻止する。小川がいなくなった隙をついて、セコンドにいたモンスター軍が、リングになだれ込み川田を滅多打ち。高田総統がいないと分かった小川が慌ててリングに戻ろうとするものの、モンスターCの急所打ちを食らった川田がまさかの3カウントを奪われてしまった。
レフェリーに掴みかかる小川だが、高田総統のテーマ曲に反応してしまい、川田を一人にしてしまったのは完全に自分のミス。一通り抗議が終わると、がっくりと肩を落としうなだれてしまった。
「チキンの小川くん、引きこもりの川田くん。某老舗団体じゃ通用したチームワークもモンスター軍には通用しなかったようだな」
ここで正真正銘、高田総統の登場だ!
7分28秒 ビッグヒップ→体固め
記者会見ではハッスルRIKISHIのパートナーを発表できず、ハッスル軍の手薄さを指摘されてしまった中村カントク。「絶対にパートナーを連れてくる」と宣言したものの、島田参謀長は「連れてこれなかったら、お前がやれよ」と揶揄されてしまった。
モンスター軍の指令本部では、島田参謀長がZERO-ONE崩壊の記事が載った新聞を眺めていた。「潰れちゃいましたね、ZERO-ONE」。隣にいたアン・ジョー司令長官が「あのカントクも、こんなところでコスプレやっててダイジョーブなんデスかね」と言い、二人して大笑いだ。
そこに現れた高田総統が、また驚くべき発言を!「ZERO-ONEの崩壊、そして半年前のWJの倒産が、実は私の策略だと知ったら彼らは驚くだろうな」とニヤリ。「聞くところによると、ZERO-ONEはZERO-ONE MAXとして復活するらしいが、無駄に生きていても仕方がないだろう」と吐き捨てるように語った。アン・ジョー司令長官は「ソーデスね、総統。さっそくミーが捻り潰してキマース」とリングへ向かっていった。
閉じる リング上にはザ・フライング・バンパイア23世&アン・ジョー司令長官、ハッスルRIKISHI、それに中村カントク…。やはり、中村カントクはパートナーを連れてくる事が出来なかったのだろうか?
それを見た島田参謀長が、さっそくちょっかいを出す。「おい、コイツのパートナーはどうした?そうか、ZERO-ONEの崩壊で忙しかったんですね?」とからかい、アン・ジョー司令長官も「高田総統の偉大さを思い知りましたカ?」と勝ち誇る。しかし、中村カントクは「俺はカントク、別人だ!」と開き直り、「大体、ZERO-ONEはMAXとして生き残ってるんだ。潰れてないんだよ。いいか、パートナーはちゃんと連れてきたから、耳の穴をかっぽじって音楽を聴いてみろ!」と言い返した。
そして、場内に流れる聞き覚えのあるテーマ・ミュージック。ドッと沸く館内。これは大谷晋二郎のテーマ曲だ!“世界で一番熱い男”が、『ハッスル3』以来の凱旋だ!
大谷はリング中央で、ハッスルRIKISHIとポーズを決めるが、すぐに襲い掛かるモンスター軍。大谷はバンパイアにジャーマンを決め、必殺の顔面ウォッシュだ。たっぷり痛めつけたところでRIKISHIにタッチ、RIKISHIがケツを叩きながら現れると、慌てて逃げるバンパイア。もし、RIKISHIが昨晩ニンニクを食べていたら大変な事になる。タッチを受けたアン・ジョーはRIKISHIのラリアットをかわしてアームホイップで投げようとするも、重くて持ち上がらず逆にラリアットを受ける。代わった大谷は顔面蹴りからジャーマンに行こうとしたが、これはアン・ジョーの急所蹴りに阻止された。
バンパイアはバンパイアクローから、背中引っ掻き攻撃。注意したレフェリーの背中も引っ掻いて、アン・ジョーにタッチ。アン・ジョーは顔面パンチから口を塞いで窒息に追い込み、エルボーを落とす。代わったバンパイアが一気に追い込もうとしたが、大谷は両手を広げての十字架ポーズ。これにはバンパイアも苦しんだ。
バンパイアのトップロープからのフライング・ボディアタックを、ドロップキックで迎え撃った大谷はRIKISHIにタッチ。RIKISHIは「ハッケヨーイ!」と気合を入れて、ケツを叩くと観客席からもそれに合わせて手拍子が起こる。RIKISHIはアン・ジョーをコーナーに叩き付けてヒップアタック、そしてスティンクフェイス! 巨大なケツをぐりぐりと顔面に押し付けられてしまったアン・ジョーは悶絶。RIKISHIは返す刀で、ダウンしたままのバンパイアにビッグヒップドロップを炸裂させ、あっさりとフォールを奪った。
やれやれ、と帰ろうとする大谷を引き止めるRIKISHI。さらに、中村カントクもリングに呼び込む。ハッスルRIKISHIのショータイムだ。セクシーポールダンスを3人で決めて、勝どきを挙げるハッスル軍であった。
13分35秒 ジャイアントプレス→体固め
ハッスル名物の一つとなったハードコアマッチ。今回は、会場内だったらどこでもフォールを奪ってもいいという特別ルールだ。ハッスル軍・モンスター軍、両軍共に客席の中から登場したため、試合開始前から会場はヒートアップ。シルバが棍棒を振り回し、ハッスル軍を威嚇したところで、ゴングが鳴った。ここまで対抗戦は1勝1敗、王手をかけるのはどちらだ!?
閉じる 先発は金村と葛西。金村はいきなり飛びつきフランケンシュタイナーを決める。対する葛西は急所蹴りから金村を場外に落とす。続いてリングに上がった田中とボビッシュ。ラリアットとショルダーアタックを何発もボビッシュに叩き込む田中だが、ボビッシュはびくともしない。葛西に続き、ボビッシュも田中を場外に落とす。最後にリングに残ったシルバも黒田を場外に落とし、誰もリングにいないという状態になる。
ハードコアマッチらしく、客席にあるイスや鉄柱を使って攻撃する両軍。特にこの試合からモンスター軍に加入した葛西は、場外の金村を机の上に寝かせて、コーナーからボディプレス!6選手の中でも、最も激しいファイトを見せた。
一番早くリングに戻ったのはボビッシュ。金村の頭を掴み、コーナーポストに振ってラリアット、ボディプレスとパワー溢れる攻撃で金村を攻める。続いて葛西が、折れた机の破片を使って金村に一撃。とがった角の部分で「コツン!」と殴るなど、地味ながら見ているこちらにも痛みが伝わってくる。シルバ、ボビッシュという規格外のパワーを持つモンスター軍に、ハッスル軍はなかなか突破口を見出す事が出来ない。
唯一パワー負けしない葛西に照準を絞り、モノマネ攻撃の隙を突いて、黒田が哲ちゃんカッター、金村のコーナー最上段からのセントーンで攻め立てるも、葛西も急所攻撃でこのピンチを脱出。最後はシルバが黒田にチョークスラム、そしてジャイアント・プレスをお見舞いして、3カウントを奪った。
5分47秒 フィネルソンスープレックス
ここはアメリカ・ロサンゼルスにある高田総統の別荘。何やらガタイのいい集団が大挙、押し寄せている。島田参謀長が制止しても、彼らの勢いは止まらず、別荘内に押し寄せていく。
「お前ら待った!」と集団を引き止める島田参謀長。「高田総統に合わせてくれ!」「Yeeeeeeeah!」と勝手に盛り上がる集団。どうやら、モンスター軍入りを志願するプロレスラー達らしい。「お前ら、モンスターになりたいのかっ?」と島田参謀長がウルトラクイズの司会のように呼びかけると、「Yeeeeeah!」とさらに盛り上がる! 島田参謀長がモンスター軍Tシャツを取り出すと、激しい奪い合いだ。「モンスター!モンスター!」と連呼する集団。もはや暴徒と化して収まりがつかない。
しょうがなく、島田参謀長は高田総統にモンスター志願者がいっぱい来てることを報告。高田総統が姿を現すと、やっと静かになってピシッと直立不動になった。「お前ら、モンスターになりたいかっ!」と島田参謀長が呼びかけると、「Yeeeeeeah!」とさっきにも増して、盛り上がるモンスター志願者たち。高田総統は、「あとは島田、お前に任せる」と島田参謀長に選考を一任し、全員で「We are モンスター、We are モンスター、ドゥ・ザ・ハッスル!」を絶叫した。
ここまでは数日前のお話。指令本部では、高田総統がゆっくりくつろいでいる。そこへ島田参謀長が「総統、覚えていますか。先日、総統の別荘に押し寄せた男たちを。やつら、その名もモンスターソルジャーの出番ですよ」と報告に来る。さっそくモンスターソルジャーたちのメニューを広げて見せるアン・ジョー司令長官。「総統、最初はフーから行きマスカ?」。高田総統はまるでワインを選ぶかのようにメニューを吟味し、「コイツとコイツにしようか」とセレクト。
「モンスターソルジャー001、002よ。モンスター精神を存分に発揮して、あのプロレスおたくどもをビビってたじろがせるがよい、ビターン!」
一方、こちらはハッスル軍の控え室。10月の『ハッスル6』における敗者身代わり髪切りマッチで敗れ、中村カントクをかばって自ら丸坊主になった坂田が不機嫌そうに一人で座っている。たばこもくわえ、どうやらグレてしまったかのようだ。そんな坂田に中村カントクがそっと声を掛ける。
「いやぁ、坂田。髪の毛、だいぶ伸びてきたな」。不機嫌そうに振り向く坂田は、「あ、はい。てめぇのケツはてめぇで拭きますよ」と答える。「悪かったな。彼女には何か言われたのか?」と、火に油を注いでしまう中村カントク。「えぇー?」とまるで、ヤンキーのようにガンを飛ばす坂田。そこへ若手が、坂田さん出番です、と呼びに来る。しばらくタバコをくゆらせていた坂田だったが、もう一度声を掛けられると「分かったよ!」と火のついたタバコを若手に投げつけ、ドアをぶち壊すような勢いで出て行った。
「坂田、イラついてるなぁ。彼女の事務所もトラブル続きだしな。しばらく、そっとしておこう」と、一人納得する中村カントクであった。
閉じる 先発はMr.USA。怪力でモンスターソルジャーの二人、ザ・ピラニアン・モンスターXXXを三方に投げ捨てる。ここで張り切る藤井にタッチするが、すぐにモンスターたちに袋叩きにあってしまう。モンスターソルジャーは息もピッタリにダブルのブレンバスター、一人がアバランシュホールドで叩きつけ、一人がサマーソルトドロップとコンビネーションを繰り出していく。藤井は一人を捕まえてダウンさせ、颯爽とコーナーポストに登ってダイビング・エルボードロップ!しかし、距離がありすぎて途中で墜落!モンスター軍は三人がかりで一人が抱え挙げてのダブル・ネックブリーカー、さらに一人が逆エビ固めをかけて左右からドロップキックとやりたい放題。
しかし、Mr.USAが飛び出してくると、クモの子を散らすように逃げるモンスター軍。青息吐息で自軍コーナーへ戻ってきた藤井だったが、あまりの不甲斐なさに坂田が怒りの鉄拳制裁を加える。やはり例の件で苛立っているのか?坂田はグロッギーになった藤井を場外へ投げ捨ててしまった。
坂田はピラニアンのラリアットを華麗な側転でかわしてニールキック、モンスターソルジャー二人がかりでキャメルクラッチに捕らえられての顔面ドロップキックはもらってしまったが、Mr.USAの好フォローで脱出する。Mr.USAはモンスターソルジャー001を軽々とリフトアップすると、そのまま場外へ投げ捨てる。坂田がピラニアンを投げつけ、Mr.USAはカウンターキック、坂田がドロップキック、さらにMr.USAがギロチンドロップで痛めつけ、最後は坂田がフルネルソン・スープレックスでフォールを奪った。坂田&Mr.USAの見事な連係プレーだった。
勝ち名乗りを受ける坂田&Mr.USA。そこへ、まさに何もしなかった藤井がリングへ上がってくる。坂田は怒りに任せて藤井に殴る蹴るの暴行を加え、藤井も睨み返すという一触即発の状態に。坂田はさっさと帰ってしまった。勝利を収めたハッスル軍だが、後味の悪い不協和音が流れていた。
7分33秒 ショックザデス
毎回、第1ハッスルを務めるカズ・ハヤシ&レオナルド・スパンキーのイケメンタッグ。しかし何とスパンキーが彼女とクリスマスイブを過ごしたいとの理由で、試合を欠場したいと駄々をこね始めた。国際電話を使って、何とか説得しようとする中村カントクだが、スパンキーは全く聞き耳を持たず、一方的に電話を切ってしまう。試合直前のタッグパートナー欠場という一大事に頭を抱えるカズ&中村カントク。そこに現れたのが・・・石狩だ!
頼まれてもいないのに、石狩は試合コスチュームを着込んでいる。「どこかにすぐ試合できる奴いないかなあ…」と悩む二人の周りをグルグルと回る石狩。体を叩いて気合を入れたり、声を上げて二人に存在をアピールする。
かなり長い間無視していた中村カントクだが、石狩の執念に観念したようで「石狩と組むか?」とカズに声をかける。これを受けたカズは「やるかやらないかって言われたらやるですけど…うちのタッグはイケメンじゃないとダメなんですよ」とあまり乗り気ではない。すかさず石狩は「僕、こう見えても結構イケメンなんですよ!」とアピール。しかしカズに「お前みたいな歌舞伎顔は論外だ!」と一蹴されるのであった。
閉じる ノリノリの石狩はスパンキーばりに、コーナーに上がってタイタニックポーズでアピールする。さらに先発を自ら買って出た。鋭いドロップキックで、デスとバンパイアを立て続けに迎撃する石狩。バンパイアの健康を気遣って、十字架を連想させるは行為は禁止とされていたものの、石狩はいきなり両手を広げて十字架ポーズを決めた。
二人を場外に落とした石狩は、カズを無理矢理コーナートップに上げると、二人でタイタニックポーズ!嫌がるカズとは対照的に満足げな表情を浮かべる石狩だった。
これでペースを乱されたのか、イマイチ動きの冴えないカズはサイコ&バンパイア組に捕まるシーンが増える。特にバンパイアの吸血攻撃、サイコの噛み付き攻撃を受けてからはガクッと動きが鈍くなり、集中攻撃を浴びてしまう。しかしここは百戦錬磨のカズ。ロープを利用しての側転キックをバンパイアに決めて、このピンチを脱出する。
タッチを受けた石狩はバンパイアに、コーナーからスイング式のDDT。リングに上がったサイコには、カズの背中を馬飛びするように延髄蹴りを決める。フラフラのサイコをカズが肩車。石狩がトップロープに登り、スライスブレッドNo.2を試みたのだが…急造タッグのためか、このチャンスにもたついてしまった石狩。何と足を滑らしてコーナーから落下してしまう。逆にここぞとばかりに攻め立てるサイコ&バンパイア。石狩の首をトップロープに持たれかけさせて、ギロチンドロップを二連発!そしてバンパイアが場外のカズにダイブ、サイコがショック・ザ・デスで石狩から3カウントを奪った。
初のハッスル参戦となった石狩だったが、ここ一番でミスを犯してしまい、「僕だけのハッスル」をアピールする事が出来ず。足早に控え室へと去っていた中村カントク&カズをリングの上から呆然と見つめる石狩だった…
オープニングVTRのこれまでのあらすじで、実はハッスル軍の4勝3敗で対抗戦戦績は負け越している事がばらされてしまったモンスター軍。司令室の島田参謀長はパンフレットに掲載されている小川のハッスルポーズを見て、「クソッ、このポーズいつ見ても腹が立つ!」と忌々しげに呟く。「ミーも同じマインドデース」と同意するアン・ジョー司令長官。気を取り直した島田参謀長は、「今日もあのハッスル軍を叩き潰して、明日のプロデュース権はいただきですよ!」と相変わらず強がる。ここで、アン・ジョー司令長官から素敵な提案がなされた。「ミーたちがチカラを合わせて、総統にクリスマス・プレゼントしまショー」。おお、それはいいと盛り上がるモンスター軍の面々。思わず、クリスマスの名曲“ラスト・クリスマス”をアカペラで歌い上げてしまう。
「はしゃぐな、島田!」高田総統の怒声が響き渡る。「そもそも、織田裕司に失礼だろう」と、相変わらず世の中の流行に敏感な高田総統だが、「違いマース総統、コレはワム!デース」とアン・ジョー司令長官に正されてしまった。しかし、こんな事で高田総統は微動だにしない。それどころか、「城島茂だな?おっとジョージ・マイケルだった」と得意のダジャレで切り替えすのであった。
「ところで島田、首尾は整っているのか?」と高田総統。島田参謀長が調子よくこれに答えると、高田総統は後楽園ホールに集まったファンへ向かってひと言。
「下々の諸君に告ぐ! クリスマスの聖なる夜を前に、我々の強さ、恐ろしさ、そして偉大さを知り、せいぜいビビってたじろぐがよい!」
VTRが終わると、リング上にはお待ちかね笹原GMの登場!…かと思いきや、GMジャケットを着込んだ石狩ではないか!「本日はハッスル・ハウスにお集まりいただき、誠にありがとうございます。アルバイトの石狩です」とフツーに挨拶を始める石狩。「ちょっと、ちょっと!あなた何してるんですか?それにそれは私の大切なジャケットじゃないですか」と本物の笹原GMが現れる。前回のジョー・サンに続き、2度目のGMジャックに怒り心頭だ。
「だって〜、ぼく今日も出番ないんですよ」と子供のような駄々をこねる石狩。笹原GMはそんな言葉を意にも介さず、「なんですか、その蝶ネクタイは。みっともない!」とさっさとGMジャケットを脱がせる。石狩が蝶ネクタイも渡そうとしたが、「いりません!」とキッパリ断られてしまった。
GMジャケットを脱いだ石狩をよく見ると、試合コスチュームを着ているではないか。一瞥したGMは、「あなた試合コスチューム着てるけど、今日は試合ないからね!」とピシャリ。石狩は「GM、いつになったらぼくは試合できるんですか。毎回毎回、川田さんに蹴られる身にもなって下さいよ〜。“ぼくだけのハッスル”させて下さいよ」と訴える。“ぼくだけのハッスル”? そんなもん、あったっけ?とGMは「訳分からない事を言うんじゃない」と一喝。それでも引き下がらない石狩に、「アイ・アム・GM」と颯爽とポーズを決めるGM!この迫力には図々しいさすがの石狩も「失礼しました」と、スゴスゴと引き下がっていった。
「黙って言う事を聞いてればいいんだ。俺がGMだっ!」と勝ち誇るGM。臼杵PRの言うとおり、やはり勘違いが始まってしまっているようだ。それはともかく、GMは来年度のハッスルのスケジュールを発表した。2月8日、9日に後楽園ホールで『ハッスル・ハウス』の二連戦、そして2月11日に名古屋・愛知県体育館で『ハッスル7』を開催する事が決定。さらに、「3月からは首都圏はもちろんですが、地方へ積極的に進出します」と宣言した。
対戦カード全5試合が発表され、今日勝ち越した方の軍が明日同じ後楽園ホールで開催される『ハッスル・ハウス〜クリスマススペシャル12・24』をプロデュースする権利を得る事と、ハッスル軍が勝ち越した場合は高田総統がハッスルポーズを、モンスター軍が勝ち越した場合は小川直也がビターン!ポーズをやらなければいけない事も改めて発表されている。さあ、勝って全てを得るのはどっちの軍だ!?
軽快なDJにのって『ハッスル・ハウス クリスマススペシャル12・23』がスタート!クリスマスだけあって、ハッスルからプレゼントを提供だ。
まずは「ハッスルカレー」のプレゼントだが、タダで渡すわけにはいかない。アン・ジョー司令長官と「ハッスルドリンク」の一気飲み勝負をやって、勝たなければならない。
ある種の“さだめ”によって選ばれたファンと、アン・ジョー司令長官のガチンコ勝負。ハンディとしてアン・ジョー司令長官は二本同時に飲まなければならない。その結果は…ファンの快勝!見事、ハッスルカレーをゲットしたのだった。
続いては、サンタのコスプレに身を包んだ“ハッスル・マドンナ”こと青木裕子さんから、本日発売の「ハッスル注入DVD」が、マドンナが選んだファンに手渡された。さらに、マドンナは三人のファンをリング上へエスコート、一緒にハッスルポーズを決めてくれた。さあ、ハッスル・クリスマスのスタートだぁっ!