ファイトカード

高田総統劇場

 インリン様のM字固めで、屈辱のフォール負けを喫した小川。そしてあの男の声が会場に鳴り響いた。「チキン君!これで君のプロレス人生も終わりのようだな」真っ白いスモークに包まれて、高田総統が姿を現した。大ブーイングが起こる愛知県体育館。「少しは進歩しているようだな」と、高田総統は満面の笑みを浮かべる。しかし「何か臭うな。くさい!どえりゃー八丁味噌くせえや!」と名古屋のファンの怒りを買うような言葉を吐き捨てる。「せっかくの3連休にも関わらず、何の予定もなく暇で暇でしょうがない名古屋のプロレスファンの諸君。しみったれた名古屋の諸君にも挨拶しよう。我こそは高田モンスター軍総統、高田だ!」高田総統は高らかに声を張り上げた。
 その光景をリング内から見つめる小川。一人ポツンと体育座りする姿が物悲しい。そんな小川に高田総統から手厳しい言葉が飛ぶ。「そろそろ、にわか人気も下火のチキン君。プロレスを疎かにしてきたツケが回ってきたようだな。君は女性であるインリンに完敗した。日本のプロレス界に革命を起こすと大ボラを吹いている君は、今日革命的にしょっぱかったぞ」試合前も相手が女性だからと完全に舐め切っていた小川。それで完敗を喫してしまったのだから返す言葉もない。高田総統はこう続ける。
「ここからは真面目な話だ。プロレスラーはただ強いだけじゃダメなんだ。心理戦にも強くなければならない。君はしょっぱい上に心理戦はダメ。サイコロジーさえも理解出来ていない。プロレスラーにとって何が大切かを本当に分かっていない」この高田総統の言葉には会場も納得。もはやブーイングを起こすファンはいない。誰もが総統の言葉に真剣に耳を傾けている。さらに高田総統は「君は私をリングに上げるとほざいているが、いつになったら私は君と戦うことが出来るんだ?いつになったら私をその気にさせてくれるんだ?」と小川に問いかける。「これ以上、この中途半端な観客の前で、四十前の君に説教する事は無意味だ」黙り込む小川に高田総統が屈辱この上ない言葉を投げかけた。
 「インリン!今日はよくやった。さすが我がモンスター軍のNo.2だ。褒めてつかわす」高田総統の言葉を受けて、インリン様は笑みを浮かべる。そして高田総統から「最後に例のM字ビターンで、名古屋のスケベ極まりない下々の諸君たちをたっぷりと洗脳したまえ!」とM字ビターンの指令が下された。一気にヒートアップする客席。花道にM字ビターン台が用意されると、インリン様への声援はより一層強くなる。台の前に立ったインリン様が「暇で暇でしょうがない、モテないプロレスファン!M字ビターンを見たいの?」と煽ると、「見たーい!」とファンの大声援。さらにインリン様が「そんなに洗脳されたいの?」と煽ると「されたーい!」と声が返ってくる。もはや名古屋のファンは、すっかりインリン様に夢中だ。「声が小さい!お前らやる気あるのか?」と島田二等兵。アン・ジョー司令長官も「このままじゃ、ミーのM字ビターンを見ることになりマスヨ!」と叫ぶ。これで会場は大インリン様コールだ。そして遂に高田総統から「その台は優れものだな。やりたまえ!」とゴーサインが出る。
 「じゃあ行くわよ!3・2・1、モンスター!」高田総統のテーマに乗り、インリン様のM字ビターン、名古屋初お目見えだ!!この日一番の盛り上がりを見せる客席。『ハッスル7』は完全にモンスター軍色に染められてしまった。「最後に一言だけ言っておこう。今日は何を見に来たんだ?バッドラック」高田総統の捨て台詞が、会場にこだまするのだった。
 高田総統が引き上げた後、ゆっくりと立ち上がった小川。エプロンサイドから川田利明が険しい表情で小川を睨みつけている。マイクを持った小川は「今日は不甲斐ないところを見せてしまいました。大きなことは言いませんが、負けてもハッスルさせてください」と弱々しいアピール。心なしか客席からの声援も小さい。「俺はどん底まで落ちました。そこから這い上がるぞ!」と、たった一人で虚しさ漂うハッスルポーズを決めた小川。そう、リングに上がっていた川田はハッスルポーズを拒否したのだった。
小川が握手を求めて川田に近づくと、なんと川田は小川の顔面に張り手をお見舞い!さらに倒れた小川にミドルキックを叩き込んだのだった!あっけにとられる小川を背に、川田は無言のまま控え室へと去っていた。
関係者も驚く予想外の行動に出た“ハッスルK”川田。一大ビッグイベント『ハッスル8』を前に小川とハッスル軍に暗雲が立ち込めた。

メインハッスル

12分34秒 M字固め

 ハッスル軍の作戦会議。中村カントクは、「いいかHikaru、この試合はお前が頼りだ。しかし、間違ってもダンボビだけには近づくなよ」と作戦を与える。Hikaruは「分かりました。私がアリシンを押さえます」と答える。
 ところが、肝心のキャプテン小川は名古屋のガイドブックを眺めながら、「ねえ、カントク。今日はどこへ繰り出そうか? 世界の山ちゃんにも行ったし、どこで晩飯を喰いますか!」とすでに試合後の祝勝会の事を考えているようだ。
「何を言ってるんですか、キャプテン!」とカントクは戒めるが、小川の耳に念仏だ。「怖いのはダンボビぐらいだろ? パパッと勝って、3月に高田のヤローを引っ張り出せばいいだけだよ。さっさと勝って、名古屋の街に繰り出しますかぁ!」と、小川は余裕シャクシャク。「さあ、そろそろ着替えますか」と、どうやらアップもしないで試合に臨む様子。完全にインリン様をなめ切っている。全員で「3,2,1、ハッスル!ハッスル!!」とポーズを決めるが、最後まで小川の表情には気合いが入っていなかった。

 一方、こちらはモンスター軍の司令室。「インリン、いよいよあのチキンのプロレスラー人生に壊滅的なダメージを与える時が来たな」と高田総統。インリンも、「はい、総統。完璧に任務を遂行し、名古屋の下々を私のM字ビターンで洗脳しますわぁ」と頼もしい。
 その言葉に満足気な高田総統は、「私からプレゼントがある。さらに美しく、気高いお前にピッタリの戦闘服を用意した」という。「光栄ですわぁ」とインリン。「うわべだけのハッスルを繰り返す、あのチキンの羽根を叩き折ってくるがいい!」そして、高田総統はインリンに「ビターン!」。
 果たして、高田総統セレクションの戦闘服とはいかに!?

閉じる 高田総統からプレゼントされたインリン様の勝負服は、オールレザー製のほとんど下着姿! これにはかつてグラビアでならした、ハッスルマドンナこと青木裕子もビックリだ。インリン様のコール時には、特別に「B86、W56、H86」と完璧なボディラインも紹介された。
 先発はインリン様と中村カントク! インリン様は笹原GMも「体の一部」と認めた鞭を持って挑み、対するカントクはカメラ付き携帯をもって登場だ。アキバ系の本性を剥き出しにして、インリン様に迫るカントク。インリン様はそんなカントクの下心を見抜き、コーナーでお尻フリフリ攻撃。それをカメラに収めるため、すっかり気を取られてしまったカントクの背後から、ボビッシュが襲い掛かる! 救出に入ったHikaruだが、ボビッシュに軽々と持ち上げられるとコーナーに逆さ吊りにされてしまい、インリン様の鞭とアリシンの蹴りを受ける。Hikaruがアブノーマルに目覚めてしまったら、どうするつもりだ!
 Hikaruとアリシン、宿命の対決。Hikaruはショルダータックルの連打から、コーナーポスト最上段からのミサイルキック、ブロックバスターの波状攻撃。だが、アリシンをロープに飛ばしたところで、アリシンのラ・ケプラーダで逆襲されてしまった。
 アリシンはHikaruをハッスル軍のコーナーへ叩きつけ、小川に「出て来い!」と挑発するが、ノコノコと出てきたのは中村カントク。しかし、蹴り一発でカントクは場外へ転落して失神!
 やれやれとばかりに、小川が遂に登場。場内は「小川コール」だ。アリシンは真っ向から小川に張り手で挑みかかるが、片手で投げられてしまう。小川はそのままモンスター軍のコーナーへ歩み寄り、インリン様を挑発するが、アリシンが背後から攻撃。小川はアリシンを巴投げで宙に浮かすが、アリシンはスクッと着地。ならばと小川はジャンピング・ニーを繰り出すも、アリシンはサッとサイドへ逃げてしまった。
 タッチを受けたボビッシュは小川をパワーで弾き飛ばし、ラリアット。コーナーに押し付けてラリアットを連打し、助走をつけてのラリアットも見舞う。ボビッシュはバッファロープレスからラリアットを連打、また助走をつけてのラリアットと小川を痛めつけるだけ痛めつけて、待望のインリン様にタッチ!
「立ちなさいよ、チキン!」とインリン様。会場は先ほどの小川コールはどこへやら、「インリン・コール」一色に染まってしまった。インリン様の鞭が唸る! だが、小川は寸前のところでかわし続け、逆にインリン様は小川の突進をヒラリとかわす。だが、後ろからボビッシュが襲い、ボディスラム。ついにインリン様の鞭が小川を捕らえた! 鞭打たれ、悶え苦しむ小川! 鞭から逃れようとリング上を転げ回るが、インリン様はその小川の背中へ馬乗りになり、鞭を使ったM字キャメルクラッチだぁ! フラッシュが一斉に炊かれ、インリン様も恍惚の表情! その両足は見事にM字を描いていた。
 タッチを受けたアリシンはミサイルキック、そして場外へ転落した小川めがけてダイブ!アリシンは助けに入ったHikaruをも、鉄柵に叩きつける。その間、ダウンしている小川に島田二等兵とボビッシュはストンピングの嵐だ。
 ここでボビッシュがリングに戻ると、そこには中村カントク一人きり。カントクは果敢にボビッシュへ立ち向かうが、ボビッシュにリフトアップされて背後に叩きつけられる。カントク、また失神!
 息を吹き返した小川がリングに戻り、ボビッシュを巴投げからロー、ミドル、ジャンピング・ニー。そして、自らロープに飛んでのSTO! ボビッシュは一瞬、堪えたが、堪えきれない! そこへインリン様が登場し、「チキン! 相手は私よ!」と挑発。インリン様は「チキン!チキン!」と連呼して、鞭攻撃だ。
 しかし小川、立ち上がると鞭を奪い取り、インリン様を抱え挙げてお尻ペンペンの刑だ! 歓声を浴びて調子に乗る小川へ、アリシンがドロップキックでインリン様を救出。怒りのインリン様は、「この無礼者!」と鞭を入れる。
 ここで何と、モンスター軍が総登場! 全員で小川をリンチする。ボビッシュがアバランシュホールド、NJPWが小川をバックブリーカーに固め、そこへモンスター℃がニードロップ! さらにさらに、小川をリング上にセットした長机に寝かせ、そこへシルバがジャイアント・ボディプレスだ! 机は真っ二つ。その光景を見下ろし、ニヤリと笑うインリン様。
 モンスター軍の総攻撃でグッタリとなった小川を、ボビッシュがバッファロープレス。小川は完全に大の字となってしまった。そこへインリン様が、「行くわよーーっ!」の掛け声と共にM字フォール! 「モンスター!」の声と同時に、ふくよかなお尻が小川に押し付けられ、完全に伸びた小川は3カウントを奪われてしまった。恐るべし、インリン様!


セミハッスル

9分51秒 延髄キック→片エビ固め

 ハッスル軍を離脱した坂田は、高田モンスター軍入り査定試合3連戦のうち、2勝を挙げた。しかし今日の相手は強敵ハッスルKだ。高田モンスター軍の控え室でアン・ジョー指令長官の元へ出向いた坂田。「これに勝てば、本当に総統に合わせてくれるんだな」タバコを手に、坂田はアン・ジョー司令長官に問いかける。「ミーは生まれて今までウソをついたことはアリマセン」とアン・ジョー司令長官。逆に「トゥデイの相手、カワダは強敵デス」と警笛を鳴らす。しかし坂田は「ハッスル軍を捨てた今、俺は失うものがないんだよ。しょっぱいハッスル軍に俺の怒りを見せてやる。あんな歯抜けの中年、ちょいちょいとつまんでやるよ」と自信を覗かせる。そして隣にいたモンスターソルジャー001&002に、持っていたタバコを押し付け、蹴りを見舞った。先に入場した坂田は、リング中央でドッシリと構え、川田を睨みつける。

閉じる リングに上がった川田に坂田はいきなり襲い掛かる。逆水平を連発し、思わず倒れた川田にサッカーボールキックを見舞う。これは何とか川田が体を反らしてかわしたものの、坂田の蹴りに微塵の情けも感じられない。坂田はレフェリーの制止を振り切って、川田にパンチと蹴りの連打。逆水平とエルボーの打ち合いとなるが、打ち勝ったのは坂田だった。対する川田も腕を決めてスピンキック、ハーフボストンクラブと攻め立てる。これをロープブレイクで逃げた坂田。川田のミドルキックを取ると、右膝にエルボーを落とし、ドラゴンスクリュー。ここから坂田は川田の右ひざに照準を絞って、攻撃を仕掛けていく。右足へローを叩き込み、アキレス腱固め。自分の足で川田の右ひざを固定して絞り上げる。関節技の次は打撃だ。坂田は無理矢理、川田を立たせてローキック。何とか川田も状況を打破しようと、その右足で得意のハイキックを放つが、坂田はこれをしっかりとガードしレッグロックを仕掛ける。ロープブレイクで逃れた川田に、今度は掟破りの顔面蹴りを見舞う坂田。しかしこれが川田の怒りの導火線に火を付けた。川田はガードお構いなしに、坂田の顔面に掌底を叩き込むと、強烈な踏み付けを連発。そして本家本元の顔面蹴りを叩き込む。しかし坂田はその蹴り足を掴んで、再びレッグロック。川田は苦悶表情を浮かべながら、必死にロープを探す。何とか立ち上がった川田だが、右足のダメージのためか足元がおぼつかない。ここがチャンスと見た坂田は川田の右ひざにローキックを放ち、強烈なバックドロップ。そして勝負のサッカーボールキックを放つ。フォールに入る坂田。しかし川田はカウント1でこれを返し、叫び声を上げて気合を入れる。根性で立ち上がった川田は坂田に掌底をくらわすと、強烈なグーパンチ。KO寸前の坂田にも、川田は手を緩めない。ラリアットからパワーボム。そしてサッカーボールキックでトドメを刺した。 敗れた坂田はマットを叩いて、気持ちを全面に出して悔しがる。周りが手を貸そうとしても、それを振りほどき無言で花道を後にした。リング下ではアン・ジョー司令長官&島田二等兵が、微妙な表情で坂田を見つめている。モンスター軍入りの条件は査定試合を3連勝すること。今日敗れた坂田のモンスター軍入りは消滅したことになる。ハッスル軍を離脱し、モンスター軍入りも出来なくなった坂田。完全に孤立する形となった。そんな坂田に救いの手を伸ばしたのは、リングで激闘を繰り広げた川田だ。
「坂田、お前やればハッスル出来るじゃねえか。またハッスルしようぜ。何ならお前も『俺だけのハッスル』するか?」と、共闘を呼びかけたのだ。ハッスル史上ベストバウトと言ってもいい激闘を通して、二人の間には通ずるものがあったのだろう。果たして川田の呼びかけに反逆のプリンスは応えるのだろうか?そしてこの後、川田が誰も予想だにしなかった行動に出るのであった…


第5ハッスル

6分24秒 バンザイドロップ→体固め

「カントク! そろそろアップしないと!」と、メインハッスルに登場するHikaruが控え室に現れる。するとカントク、またしても一人こっそりと『インリン・オブ・ジョイトイ写真集』を眺めているではないか。
「カントク! 何やってるんですか!」と怒り心頭のHikaru。当然だ。だが、中村カントクはちっとも悪びれる事無く、「これは相手の事を研究する、イメージトレーニングなんだからよ!」と苦しい言い訳。
「このエロオヤジ! 試合で痛い目にあっても知らないから!」とHikaru。カントクはその言葉を無視して写真集を眺め続けるが、そこへハッスルRIKISHIが何やら神妙な表情で現れる。インリンのヒップを指差し、「このケツに気をつけろ。マチガイナイ」と不気味な予言を残して去っていった。
 この大事な忠告も、すっかりエロモードに突入している中村カントクには届かなかった。それどころか、カントクは「同じケツでもあいつのケツとは大分違うけどな〜」と言い、「お前なら分かるけどな」とHikaruのヒップを眺める。
「どこ見てんのよ!」と怒ったHikaruは、カントクにキック! カントクは失神してしまった。
 しかし、後にこの時のRIKISHIの忠告が、実は重大な意味を持つとは、中村カントクもHikaruも知るよしはなかった…。

閉じる巨大な二人がリング上に並ぶと、圧巻である。睨み合いから、シルバがパンチ、キックで仕掛けていく。戦場はいきなり場外へ。シルバが観客に気を取られている隙に、RIKISHIはパンチ。シルバのパンチを受け止めてカウンターの一撃だ。
 リング上へ戻り、ドツキ合いを展開する二人。シルバはベアハッグでRIKISHIを締め上げ、RIKISHIはもがき苦しみながらもパンチで脱出。ロープにもたれかかるシルバへ、RIKISHIのラリアットが炸裂! 場外へ落ちるシルバ。エプロンからRIKISHIの巨体が舞い上がり、シルバにエルボーを見舞う。
 リングへ戻ったRIKISHIだが、シルバはなんと放送席からモニターを持ち出し、RIKISHIに殴りかかる! 大ピンチのRIKISHIだったが、モニターへトラースキックを一撃! 続いてコーナーでダウンしたシルバへ、必殺のスティンクフェイスを見舞った! 巨大なケツがグリグリとシルバの顔面へ食い込む。
 グロッギーとなったシルバへ、今度はRIKISHIがモニターを持ち出して一撃! ダウンしたシルバへRIKISHIはセカンドロープからのヒップドロップだぁ! シルバはピクリとも動けずに、3カウントを聞いた。巨ケツVS巨人の闘いは、見事に巨ケツが勝利を収めたのである。
 そのまま帰ろうとしたRIKISHIだが、名古屋のファンがそれを許さない。当然、ダンスタイムを要求だ。この声に応えて、RIKISHIはなんとMCのケイ・グラントを指名! どうやら、兄弟のような体型をしているケイ・グラントが気になったようだ。苦笑いを浮かべてリングに上がるケイ・グラント。RIKISHIはいつものようにサングラスを身に付け、ファン二人も交えてRIKISHIダンスを披露した。


第4ハッスル

8分56秒 リキラリアット→片エビ固め

 先に入場したのは高岩・黒田・田中組。田中は白いギターを手に持ったまま、リングに上がる。続いて金村が入場。『ハッスル』Tシャツを着込んだ総勢10名のハッスルキッズたちを従えて、テーマ曲に合わせて踊りながら花道を歩く。そしてリングに上がったハッスルキッズたちは、高岩らをリング下に落として、リングを占拠。金村を真ん中に、みんなで息のあったダンスを披露した。
 そして会場に流れるパワーホール。大長州コールの中、長州が登場。遂に長州がハードコアマッチのリングに立った。

閉じる いきなり襲い掛かっていく高岩・黒田・田中。ハードコアに慣れている3人が、長州組をリング外に落とし、場外戦がスタートする。これが初のハードコアマッチの長州も、黒田を鉄柵に叩き付けるなど、適応能力を見せる。しかしここで最も力を発揮したのは金村だ。机の上に田中を寝かせると、2階の客席からボディプレス!場内が一気にヒートアップする。
 リング内では石井が黒田と高岩に捕まり、二人がかりで攻められるという苦しい展開が続く。リングに復帰した田中もパイプイスを手に、石井にキツイ一発。さらに田中はイスをリング中央に設置し、石井の顔面を叩き付け、イスごとドロップキックで蹴り飛ばす。さらに高岩がハーフボストンクラブで、石井の左足を締め上げていく。
 石井のロンリーファイトは続く。田中と黒田に捕まり場外に落とされた石井は、田中に後ろから羽交い絞めにされ、黒田の30mラリアット!さらに田中が机で石井の頭を殴りつける。しかしタフネスが売りの石井。リングに戻ると黒田に水車落としを決めて、長州にタッチすることに成功する。
 リングに入った長州は田中をラリアット、高岩をキックで迎撃。黒田をコーナーに押し込むと、強烈なストンピングを叩き込んでいく。コーナーポストに登った黒田を軽々と投げ捨てる。この間に、金村は机をリング内に持ち込んでコーナーに入念にセット。金村は黒田に代わってリングに上がった田中を、机の上に立たせパワーボムを狙う。しかしここで田中が蘇生。逆に金村をブレーンバスターで、机の上に投げ捨てた。さらに田中はすぐに起き上がりスーパーフライ。フォールに行くが、金村はカウント2で返す。そして石井がリングに上がり、黒田に垂直落下式のブレーンバスター。そして満を持して長州がリングに上がるが、田中が机を使って、長州の頭に一撃。そして高岩が机に向かって掟破りのデスバレーボム!さらに黒田が長州を羽交い絞めにし、入場時に手に持っていた白いギターで田中が長州に殴りかかる。
しかし長州はボディへの蹴りでこれを迎撃。田中からギターを奪うと、後ろの黒田をギターで殴りつける。そして黒田にリキラリアット!3カウントを奪った。ハードコアマッチでありながら、”長州力”としての存在感を見せ付けた長州であった。


第3ハッスル

7分06秒 パワーボム→エビ固め

 パンフレットの自分の写真を見て、何やらニヤニヤしている石狩。今回のパンフレットには、石狩が前、川田が後ろにいる写真が使われている。
「やっぱり俺が前の方がいいな〜、この人、隠れてんじゃん」と、この日も師匠格である川田を引き篭もり扱いする石狩。するとそこへ、川田が登場。
「何やってんだ、お前。もうすぐ試合だろ? 準備運動しなくていいのか?」と川田。
「初のシングルなんで、また人気出ちゃったら困るんでサインの練習をしてたんですよ〜」と、自分のサインを見せる石狩。当然、川田は「試合の事を考えろ!」と怒る!
 しばらくして、川田が控え室に戻ってくると、今度は青いTシャツを見ながらニヤニヤとする石狩の姿が。
「何やってんだ?」と川田が問うと、「この売店で絶賛発売中の“ハッスルI”Tシャツ、3800円です。カッコいいでしょ〜」と自分のTシャツを嬉しそうに見せびらかす。
「ん? それ、俺のTシャツの真似じゃないか!」気づく川田。確かに、「K」が「I「俺だけのハッスル」が「ボクだけのハッスル」に変わっているだけだ。
「違いますよ。ほら、僕のはI、川田さんのはKですよ。Iですよ、I!」と勝ち誇る石狩は、「どうしよう…試合中にI!I!って言われちゃったら」と、どうでもいい事を心配。やはり川田に「そのアイじゃなくプロレスへの愛を持てってんだよ!」と怒られる。
 さらに時間が経過、川田が現れると今度は石狩、「確定申告」の本を読みふけっている。「試合前に、なに読書なんかしてるんだよ」と川田。まったくもって、世話の焼ける弟子である。
「いや〜、僕のTシャツがバカ売れして、確定申告しなくちゃいけなくなったらどうしようかと思って。いい税理士しりませんか?」と、あらぬ妄想を繰り広げる石狩。さらには、「あ、川田さんより、あの人に聞いたほうがいいか」と、ポスターの小川をチラリ。
「この銭ゲバがぁっ!」と吐き捨てる川田。「試合に勝つ事だけ考えろ!」。
 ここでようやく、試合場へ向かう石狩。川田は心配そうに、「あいつも勘違いしてるな…」と呟く。

閉じる 松山千春の『長い夜』で登場した石狩。花道を歩きながらニコニコ、Tシャツをアピールしたり、コーナーに登ったりと大アピールだ。対するモンスター℃は、手で「C」の字を作ってアピール、観客席には「℃」のプラカードを持っているモンスター℃ファンさえも見える。
 試合が始まると「C」コールが巻き起こり、「I」コールはなし。しかし、お互いにエルボー合戦が始まると、石狩の目論見どおり、「I!」「C!」の大合唱だ。石狩はローキックを連打するが、℃のローで倒されてしまう。
 石狩は℃のタックルで倒されるが、ロープに飛んだ℃をレッグシザースで倒すと、自ら「ア〜イ!」と気合いを入れながらヘッドロックで締め上げる。さらにドロップキック。
 だが、パワー差はいかんともしがたく、簡単に逆転を許してしまう石狩。ハッスルあちちのコピーである顔面ウォッシュを喰らい、「こい、コノヤロー!」と気合いを入れてはみせるが、脆くも℃のキックで吹っ飛ばされてしまう。
 石狩は℃のラリアットをかわすとフランケン・シュタイナー、コーナーに登ってのDDTと猛攻。だが、℃は石狩の師匠・川田の顔面蹴りを見舞い、ビッグブーツまで繰り出してブレンバスターだ。まるで川田にやれてしまっているかのような石狩。カウントは2.9。℃はストレッチプラムでトドメを刺しに掛かるが、石狩はロープに逃げる。
 バックの取り合いから石狩が延髄斬り。ここで石狩は、なんと「川田コール」を観客に要求する。そして、川田譲りの顔面蹴りからビッグブーツだ! ℃のブレンバスターは、スモールパッケージホールドで返す大奮闘を見せる石狩。が、カウントは2・9!
 ℃と石狩のエルボー合戦で、「C!」「I!」と再び盛り上がる愛知県体育館。石狩は延髄斬りから「パワーボム!」と宣言して体勢に入るが、簡単にかわされてしまい、逆に延髄斬りを喰らってしまった。今度は℃が「パワーボム!」と宣言。℃は石狩と違い、キッチリとパワーボムを決めて3カウントを奪った。
 奮闘した石狩だったが、目立ちたがり屋が仇となり健闘虚しく敗北。この敗戦は、Tシャツの売れ行きにも響くだろう。確定申告への道は、まだ遠し…。


第2ハッスル

6分43秒 フライングエルボードロップ→片エビナめ

 『ハッスル4』で坂田亘に敗れ、モンスター軍を追放されたケビン・ランデルマン。しかし8日の『ハッスル・ハウスvol.4』ではハッスル軍に寝返り、“キャプテン・ハッスル”小川に命名され“ハッスル・コング”として生まれ変わった。今回はハッスル・タイタスと組んで、モンスター軍を迎え撃つ。
 一方、高田モンスター軍・鬼蜘蛛とタッグを組むのは、高田総統のビターン改造を受けた一見、高田総統のビターン改造を受けた、NJPW(ニュー・ジャージー・パワフル・ウォリアー)改めNJPW(ナゴヤ・ジョー・パワフル・ウォリアー)だ。試合直前のNJPWに、高田総統は「天下を取り損ねた男にならないよう、貴様の闘魂で、名古屋人の度肝を抜かしてちょ!」とお茶目なエール。そして「出来んのか?」と声をかけて、ビターンビンタ!「馬鹿になれ」と送り出せるのだった。

閉じる気合を入れられたNJPWはリングに上がってゴングが鳴る直前まで、スクワットを続ける。
 先発はランデルマンと鬼蜘蛛。鬼蜘蛛は地を這うような動きでランデルマンを翻弄する。さらに一度掴んだら離れない、粘着質の体を生かしてランデルマンにしがみつく。しかしランデルマンは人間離れしたパワーで、それを振りほどく。鬼蜘蛛を高々と持ち上げて、前に叩き落して腕十字を仕掛ける。
 ここでタッチを受けたタイタスも、ランデルマン同様人並み外れたパワーの持ち主だ。鬼蜘蛛を高々と持ち上げて、マットに叩き落すと、NJPWとショルダーアタックの打ち合い。タイタスはNJPWの技をすべて受け止め、さらにNJPWのスクワットのパフォーマンスをパクって会場を沸かせた。
 タイタスがNJPWにブレーンバスターを決めて、ランデルマンがドロップキック。しかしここで客席に向かってハッスルポーズでアピールしたところで、NJPWが蘇生し、後ろを向いたランデルマンにモンゴリアップチョップ。さらにナガタロックIIを仕掛ける。しかしハッスル軍入りしてたランデルマンの動きは一味違う。ナガタロックを逃げると、NJPWに飛びついて自ら引き込んで三角絞め。NJPWをタップ寸前まで追い込む。これは鬼蜘蛛にカットを受けたものの、タイタスが鬼蜘蛛にラリアットを叩き込み、そのまま持ち上げてトップロープから場外に放り投げる。さらに鬼蜘蛛の糸攻撃をNJPWに誤爆させるタイタス。ここでランデルマンをリングに呼び込み、コーナーに持たれかかるNJPWに、ランデルマンは跳躍力を生かしたジャンピングラリアット!KO寸前のNJPWに、トップロープからフライングエルボードロップを叩き込み、ランデルマンが3カウントを奪った。
 会心の勝利を奪ったハッスル・アメリカンコンビ。四方に向かってマッスルポーズを見せ付けた。


第1ハッスル

8分49秒 スライスブレッドNo.2→片エビ固め

閉じるいきなり襲い掛かるモンスター軍! スパンキーとJの組み合わせから始まった。スパンキーはドロップキック二連発、Jはスパンキーを場外へ誘い出し、トップロープに飛び乗ってのフライング・ラリアットだ。
 リング上ではゲレーラとウイルス。ゲレーラの回転エビ固めを、ウイルスはスクッと立ち上がってまだゲレーラが座っているところへドロップキック。場外へ戦場を移し、ゲレーラは一体何回転するんだというほどの人工衛星ヘッドシザースで、ウイルスを花道に叩き付けた。
 ここ名古屋でも大人気のモンスターJの攻撃に、ファンは「J! J!」の大合唱で応える。ますます調子に乗るJは、スパンキーにスパンキーにフットスタンプを見舞うが、カウント2.9。ボディスラムからのダイビングエルボーは自爆したが、ウイルスがナイスなフォローで挽回。
 最大の見せ場は、Jがスパンキーに雪崩式ブレンバスターを仕掛けようとしたところでやって来た。そのJにさらにゲレーロがブレンバスターを仕掛けようとし、ウイルスがそのゲレーロにパワーボムを仕掛けたのである! 四段階式の攻撃を受け、最もダメージを受けたのはやはり最上段にいたスパンキー。
 ウイルスはそのスパンキーをコーナーに持ち上げ、さらにその上に乗ってトドメを刺そうとするが、そのウイルスへゲレーラがフランケン・シュタイナー! 今度はウイルスが三階からの落下だ。
 Jはスパンキーに回転しながらのアームホイップ、場外へ落下したゲレーラにはウイルスがラ・ケプラーダでハッスル軍を分断する。Jはカウント2.9を奪うも、あと0.1カウント足りない。Jとゲレーラはブレンバスターの体勢を掛け合うが、最終的にはJが顔面砕き。お調子者のJは観客を煽るが、その間にスパンキーに捕まり、スパンキーはスライスブレッドNo.2! カウント3を奪った。
「J! J!」の掛け声にのると、すぐに調子に乗ってしまう集中力のないJの隙を、見事に突いての勝利であった。


笹原GMリングに登場!

「2005年のハッスル・ナンバーシリーズ第一弾は、日本一ハッスルフリークの多い、この名古屋でと固く心に誓っておりました。なぜなら、名古屋は私の生まれ故郷!」と極私的な理由を述べる笹原GM! 「ファンの皆様のために、スタッフ一同、本年も命を賭けてハッスルしてまいります」。
 と、ここでGMは「て、言うか〜」と胸元からサングラスを取り出す。「ハッスルだけ見てりゃいいんだ、オラッ! アイ・アム・GM!」とポーズを決める! 
「失礼しました」とすぐに素に戻るGM。そこへ、「GM、あんたばっかりカッコつけてんじゃねぇよ!」と場内に“キャプテン・ハッスル”小川直也の声が響き渡る。
 さっそうと花道を駆け抜けて、なんと小川がオープニングに登場! 「ハッスルしてますかーーーっ!」「ハッスルしとる?」と観客を煽る。場内も大声援でこれに応える。「ハッスルが名古屋に帰ってきたぞ!」小川もオープニングから大ハッスルだ。
「2005年のハッスルのテーマは全国展開、今日は記念すべきその第一弾です」と、キャプテンは今年の抱負を述べる。「私事ですが、今年は酉年、チキンの年でございまーす! 元気のない日本のプロレス界に改革を起こします!」。
 と、ここで今まで無視していたGMの方を向き直る小川! 「ところでさ、気になったんだけどさっきのキメ台詞、どっかの某老舗団体クサクなかったか?」と、鋭いツッコミを入れる小川だが、GMは「いえ、あれは私の完全オリジナルです」とそ知らぬ顔をして答えるGM。
「そうか、ちょっと気分悪いけどな」とあっさりと納得してしまった小川は、名古屋のハッスルフリークと共に「3,2,1、ハッスル!ハッスル!!」ポーズを決めたのであった。


オープニング劇場

 純白のソファにゆったりと横たわるインリン様。生足を組み、セクシーなポーズで登場だ。
「ヒマでもてない、名古屋のプロレスファン諸君!私が高田モンスター軍ナンバー2のインリンだ・が・や」と、ご丁寧にも名古屋弁で挨拶をするインリン様。「みんな、私の事をインリン様と呼ばなあかんてー」。
 しかし、インリン様は突如立ち上がる! 「無理だわ! この私に下品な言葉は喋れないわ。ナナちゃん人形の前で待ち合わせて、マウンテンのスパゲティを食べるなんて、そんな名古屋人の真似は無理よ!」と、名古屋カップルの定番デートコースに妙に詳しいインリン様は嘆く。
「そうですよ、インリン様! 下品な名古屋人の真似なんかしなくてもいいんです」と、相変わらず擦り寄っていくのは島田二等兵。
 しかし、その手に触れようとした島田に対し、インリン様は激怒。「島田! 失礼よ」。アン・ジョー司令長官も「ユーは二等兵なんですから」と島田を戒める。そこへ、高田総統も登場!
「ヒマでしょうがない名古屋の諸君、3ヵ月ぶりに味噌煮込みクサイ名古屋に帰ってきてやったぞ。愛知万博、愛・地球博。キャラクターのモリゾーとキッコロは可愛くないな」と、相変わらずの憎まれ口を叩く高田総統。
「まあいい」と勝手に話を終わらせ、「今日はあのチキン小川が、私の可愛いインリンに敗北する日だ。インリンの鞭でいたぶられる、歴史的瞬間を目撃するがいい!」と高田総統はオープニングに関わらずいきなりの勝利宣言を行った。
「では、インリン頼むぞ」とバトンタッチ。鞭を振り上げたインリン様が大会の開幕を宣言する。「It's インリンナイト in 名古屋!」


オープニングハッスル

『ハッスル』のホームタウン名古屋に帰ってきたという事で、今夜のオープニングハッスルはスペシャル企画が満載! 
 まずは2階席のお客さんにスペシャルサービス。ハッスルドリンクの一気飲み対決で、モンスター娘。通称“モン娘”に勝てばVIP席に席をチェンジしてくれるというのだ! しかし、この対決はファンが完勝! 見事、VIP席チェンジをゲットした。
 続いては、ハッスル名古屋場所とでもいうべき対決。ハッスルRIKISHIと相撲をとり、勝利する事が出来ればハッスル注入DVDがもらえるという特典付きだ。だが、相手はあのハッスルRIKISHI。一歩間違えれば、ハッスルを見る事無く病院送りである。このチャレンジに、多くの手が挙がる。名古屋のファンは命知らずが多いようだ。はっけよい、のこった! 勝利したのはなんとファン! ハッスルRIKISHIはファンに優しかったのである。


石狩太一からの諸注意