ファイトカード

高田総統劇場

「おい!そこの3バカトリオ!」白いスモークの中、高田総統が静岡の地に姿を見せた。「遂に出てきやがったな!そんな所からしかモノが言えねえのか!」と小川。しかし高田総統は小川のその言葉に耳を傾けようとはしない。「だまれチキン。ここにいる諸君たちと会うのは初めてだな。礼儀は大事だ。挨拶してやろう。我こそが高田モンスター軍総統・高田だ!」とまずはいつもの決め台詞だ。「今日は茶畑しかない、ド田舎まで来てやった。3連休の初日なのに何の予定もない暇で暇でしょうがないプロレスファンの諸君、私の静岡弁はいけていたかな」と挑発。さらに「聞くところによると君たちはうなぎパイというものが好物らしいな。それはそんなに上手いのか?」と挑発を続ける。静岡のファンからは凄まじいブーイングが起こるがそれがかえって逆効果。高田総統はそのブーイングを楽しむかのようにニヤリと微笑んだ。
ここでマイクを握った小川は「おい!高田!今日はお前より喋りのうまい“ハッスルあちち”がいるんだよ」と大谷を指差す。それを受けた大谷は「総統、今キャプテンから恐ろしいフリをされたハッスルあちちだ」とまずは自己紹介。そして「総統、ハッスルには俺もいるんだよ。こんな派手な格好してるんだ。気付かないわけないだろう」と、いつまでも大谷のことを無視する高田総統に突っ込みをいれる。しかし高田総統からすればトークバトルはお手の物。「君は確か大仁田くんだったな。引退してるはずなのだが…国会議員が何をしている!早く永田町に帰りたまえ!」と絶妙の切り返しを見せる。これにはさすがの大谷も「ちきしょう!また面白い事言いやがって」と悔しさを全面に押し出した。しかしこんなところで怯んでいてはハッスルあちちの名が廃る。大谷はすぐに気を取り直し「確かに名前は似ているけど、俺は“ハッスルあちち”大谷晋二郎だ!それともう一つ。総統、俺の好きな静岡をバカにするんじゃねえ。静岡は温暖で空気が美味い。そして魚も美味けりゃ水も美味い。それに俺が知ってる限り、静岡には美人が多いんだ。そうだろ?みんな」と、静岡のファンに呼びかけると、会場からは大谷に向けて大声援が送られる。
そんな大谷を高田総統は「あいも変らず暑苦しいな、大谷くん。私の邪魔をしないでくれ」と一喝。「東京と名古屋という大都会に挟まれて、温暖な気候でのほほんと育ったことが原因なのか、ここ静岡はオレオレ詐欺に引っかかる率が非常に高い!うなぎパイをばかり食べずに、電話の相手を確認したまえ!」と、静岡のファンに対する暴言を吐き捨てた。
 ここから高田総統の話の話題は昨日の小川×川田戦へと移る。「そこにいる小川君。昨日はいいモノを見せてもらったよ」となぜか宿敵である小川を称える高田総統。しかしそんなはずもなく「このことを何というか知っているか?褒め殺しと言うんだよ」とニヤリ。これに対し小川も「何ウダウダ言ってるんだよ!自分が試合もしないで、人の試合のことを何偉そうに批評してんだ!」と反撃に転じる。「お前それじゃおすぎの映画評論じゃねえか!」と続ける小川。しかしその例えの意味が、どうもよく分からない。するとすかさず川田がマイクを握り「小川、それを言うならピーコのファッションチェックだ」と絶妙のフォローを入れた。さらにそのままマイクを握った川田は「高田、お前はその格好でピーコのファッションチェックを受ける勇気があるのか?まあお前にはリング上で戦う勇気すらないからな」と、高田総統の痛いところを突くのであった。
そんな川田の突っ込みも何のその。高田総統はあくまでマイペース。「今から君たちに重大なお知らせがある」と、会場のスクリーンには5月のハッスル地方巡業のスケジュールが映し出される。それを眺めながら高田総統は「今後、我がモンスター軍は日本全国を支配する。分かるか?さしずめモンスター軍全国洗脳ツアーだ」と、ハッスルシリーズを一方的に高田モンスター軍プロデュースにすることを宣言したのだ。そして「チキン、大仁田、引きこもり!バカ面して立っていないで、しっかり待っておくんだな」とハッスル軍トップ3に捨て台詞。「バッドラック!」とマントを翻しながら、モンスターたちを引き連れて会場を去っていた。
 高田総統が去った後、小川は「静岡の皆さん、応援ありがとう。ハッスル・ハウス初の地方巡業、俺が愛する街・静岡は最高だよ」とコメント。「今日は皆さんの声援のおかげでハッスル軍が圧勝できました。自分とあちちが勝てたのも皆さんのおかげです」と感謝の気持ちを述べる。大谷も「これから俺がハッスルを、静岡をスタートに熱く熱くしていくんでよろしくお願いします」と続いた。そして川田も「俺はこのリングでお茶をばら撒くような試合はしたくない。言い換えれば、お茶を濁すような試合はしたくない。これからもハッスルよろしくお願いします」と挨拶。そして「小川、キャプテンでとして今日も締めてくれ」と、小川にハッスルポーズを任せようとする。しかし小川は「昨日俺はファンに、ジャッジシステムでキャプテンに相応しくないと判断されたんだ。そうなった以上、呑気にキャプテンを続けることは出来ないんだ」と、ハッスルポーズを拒否するばかりかキャプテンの座を降りる事までも口にしてしまう。この小川の弱気な言葉に「俺がどんな気持ちでお前にキャプテンを譲ったと思う」と語気を強める川田。しかし「これからも俺がハッスルを引っ張っていこうと思う。でもああいう風にジャッジされたからには続けられないんだよ」と小川の態度は変らない。するとどこからともなく会場から小さな小川コールが起こり始める。そしてそれは会場全体を包む大・小川コールへと変っていった。それを聞いた川田は「おいこの熱い声援が聞こえないのか?ハッスルを背負うのはお前しかいないんだよ。お前自分の知名度を知ってるか?お前がハッスルを背負わなきゃダメなんだよ」と小川に問いかける。すると小川も「本当にありがとう。これからのことはもう少し考えさせてください。ただし今日まではキャプテン。最後はキャプテンとして締めたいと思います」と、ひとまずキャプテンの座を放棄するということは踏み留まった。「ハッスル軍は一丸となって全国にハッスルを広めて行きたいと思います。ハッスルK、ハッスルあちち、そして皆さん。よろしくお願いします」と小川が改めてハッスル軍としての決意を表明。そして「いつか必ずこの地に戻ってくるからな!みんなまた会おうぜ!」と静岡のファンに熱いメッセージを送った。もちろん最後は小川が音頭を取ってハッスルポーズ。ハッスル・ハウス初の地方大会は大熱狂のまま幕を閉じた。
 昨日の川田戦で観客そし会場のファンが下したジャッジは、これから小川にとって重くのしかかる事だろう。しかしこの日静岡で小川に対して熱い声援が送られたのもまた事実。川田の言葉のように、小川がハッスル軍のキャプテンであることを願う人たちは存在するのだ。今回のハッスル・ハウスvol.6 in 静岡は、ハッスルにとってだけでなく、小川にとっても大きな大会となったことだろう。

メイン・ハッスル

9分40秒 STOボンバー→片エビ

 ハッスルあちちの真っ赤なガウンを眺めながら、「しかし派手だな…」と呟くキャプテン小川。中村カントクも「そうですね」と同調する。そこへ噂の主“ハッスルあちち”こと大谷が登場。「あちー、この会場クーラーが入ってないんじゃないのか? 暑くてしょうがない」と一人だけ真夏の大谷!
「おい、あちちよ。このガウンハデすぎじゃないか?」と釘を刺すが、「何だよキャプテン、本当は俺のガウンが羨ましいんでしょう。何ならデザイナー紹介しましょうか?」と皮肉にも応えない熱い男・大谷。
「まあ、いいや。大谷、今日は頼んだぞ!」と小川。そう、今日はキャプテン&あちちの初タッグ結成の日なのだ。「俺の熱さで富士山の雪も溶かすぞ〜」とやる気満々で頼もしい大谷に、握手を求める小川とカントク。しかし、「あちちっ!」。平熱が37・5度だという大谷の熱さに思わず手を引っ込める。「キャプテン、カントク、俺に触れると火傷しますよ!」。

閉じる いきなり小川がアン・ジョーとボビッシュに捕まった。ボビッシュがコーナーの小川にアン・ジョーを叩きつけ、さらに自らバッファローアタックを仕掛ける。二人がかりで殴る蹴るとやりたい放題だが、小川はアン・ジョーにロープへ飛ばされるところで身体を入れ替えて同士討ちを誘い、ボビッシュにもパンチ。
 何人ものレスラーがやられてきたボビッシュのタックルにも小川は倒れず、ムキになってもう一度仕掛けてきたところで投げを見舞う。ボビッシュの巨体が軽々と宙を舞った。ここで大谷にタッチ。というか、凄い勢いでタッチを求めてきたのである。なぜか大谷はすでに汗まみれ。ボビッシュに顔面ウォッシュを決め、摩擦熱でボビッシュの顔を焼く勢いだ。自ら「もう1回」コールを煽り、ロープの反動を利用しての顔面ウォッシュ!
 だが、ボビッシュもラリアットで逆襲。アン・ジョーにタッチしてすぐにフォールへ行くがカウントは2。大谷は「あちちコール」を観客に要求し、アン・ジョーのエルボーに熱い平手打ちを返す。だが、カウンターでアン・ジョーのボディパンチをもらい、腕への集中攻撃を受けて完全にグロッギーになってしまう大谷。アン・ジョーはセカンドロープからの正拳突きも見舞う。
 ボビッシュにタッチ。大谷にラリアットを喰らわせカウントは2.9。ボビッシュはオクラホマスタンピート、ボディプレス、リフトアップスラム、エルボードロップとパワーを利した波状攻撃。たっぷりと大谷にダメージを与えて、アン・ジョーにタッチする。
 モンスター軍の連携攻撃に、一方的にやられてしまう大谷。その火は風前の灯と化した。勝利を確信したアン・ジョーは「どーですカー!」と観客へ向かってアピールする。だが、ここで油断が生まれた。ロープから返って来たところに、大谷のキックが炸裂! すかさず小川にタッチを求める大谷だが、慌てすぎてニュートラルコーナーへ行ってしまった。
 とりあえずタッチに成功。小川はアン・ジョーを巴投げ、背中に蹴りを入れて、昨日の川田戦でも見せた秘密兵器の四の字固めを繰り出す。一説によると、高田総統はこの四の字固めに苦い思い出があるらしい。そこへ島田がロープへ引き寄せようと、水筒のストラップを投げる。これに気を取られた小川に、ボビッシュがカットに入った。
 ボビッシュは小川にボディスラム、ボディアタック、ストンピングを次々と見舞い、回復したアン・ジョーが小川を捕まえる。しかし、同士討ち。ボビッシュが場外へ転がり落ちる。
 そこへアン・ジョーの背後から大谷がミサイルキック、よろけて前へ出てきたところで小川がカウンターのSTO! さらに大谷がニールキックを見舞うと、そのまま小川がバックドロップと見事な連係プレーだ。最後は小川がSTOをもう一度決めて、アン・ジョーからフォールを奪った。
 モンスター軍が乱入してきたが、川田が駆けつけて蹴散らす。小川、川田、大谷のハッスル軍トップ3の結束はより強くなったようだ。対抗戦もハッスル軍の勝利に終わり、大団円。
 だが、そこへあのお方の声が響き渡った。「おい、そこの3バカトリオ!」


セミ・ハッスル

5分15秒 パワーボム→体固め

モンスター軍秘密アジトで、静岡茶を味わっている高田総統は、アン・ジョー司令長官&島田二等兵に「例のモンスターは到着したのか?」と問いかける。するとアン・ジョー司令長官は「ちゃんとカムヒアしています」とニヤリ。そのモンスターとは静岡生まれの静岡育ち、幼い頃から茶畑で馬車馬のように働かされ、茶摘しかしたことがないという悲しきモンスター。しかもその武器は茶摘で鍛えた指の力による茶摘クローだという。高田総統は「その反骨心・怨念をあの引きこもりに叩きつけるがいい。そしてお前を働かせた静岡の民に恨みを晴らすがいい」とモンスターTを送り出した。そして緑色のTシャツに、胸にはTの文字を刻み込んだモンスターTが花道に現れた。

閉じる ガッチリとロックアップする両者。モンスターTはしっかりとTポーズを決めると、会場からのTコールに合わせて、川田の頭を締め上げる。そしてここからエルボーの打ち合い、ローの蹴り合いと、K・Tのコールが飛び交う攻防が繰り広げられる。しかし最終的に打ち勝つのは川田。やはりハッスルKの方が一枚上手か。するとここでモンスターTはTポーズを取って、レフェリーにタイムを求めるという卑怯な手口を使う。しかし川田はモンスターTのTシャツを頭から被らせて、視界を塞いでの逆水平の連打と顔面蹴りを叩き込む。これでモンスターTはフラフラ。勝負を決めようと川田は対角線上のフロントキック、そして必殺のストレッチプラムでモンスターTの首を締め上げる。ギブアップ寸前のモンスターTだったが、ここでセコンドの島田二等兵が何とお茶っ葉で川田に目潰し!逆にお茶っ葉で元気を取り戻したモンスターTはDDTならぬTDT。さらにSTOならぬTTOとオリジナル技で一気に川田に逆襲を仕掛ける。しかしここは川田、ポッと出のモンスターTとは役者が違う。モンスターTのバックドロップをバックキックで切り返すと、強烈なパワーボム!そのままモンスターTを押さえ込んでフォール勝ちを奪った。島田二等兵の妨害で若干、苦戦したものの最後はしっかりとモンスターTをマットに沈めた。島田二等兵にも「おい!島田!静岡の人たちが大事に育てたお茶をこんな粗末に使いやがって。食べ物を粗末にするヤツはバチが当たるからな」と一喝。静岡のファンから大歓声を浴びる川田であった。


第4ハッスル

3分21秒 逆片エビ固め

 なにやらワイドショー的な雰囲気と音楽と共に、笹原GMが登場。「最近、坂田のリング内外の横暴が酷いとの報告が相次いでいます。GMとしてこれは見逃せません。それでは、本日は被害者の方々に来ていただいております」。なぜか隣にはアン・ジョー司令長官がおり、ホスト役を務める。
 最初の被害者は、モンスターソルジャー001(仮名)。もちろん、被害者のプライバシーを尊重し、音声は変えてある。
「あの坂田という男はモンスター軍でもないのに、大威張りして、あんぱん買って来いとか牛乳買って来いとか、まるでパシリのように人を使うんです。この前も、“試合です”と知らせただけなのにタバコを顔に押し付けられました」と証言。
 これを受けてアン・ジョー司令長官は、「酷い男デース。普通なら訴えられマース。罰金20万円デース」と、分かる人にしか分からない、かなりマニアックな答え。
 続いて女性の被害者、大池B子さん(仮名)。
「あの坂田とかいう男は、大勢のお客さんの前で“おいお前、俺に惚れるなよ”とかって言ったんです。あんなナルチビに惚れるわけないじゃないですか。一緒にいた彼氏にも疑われるし、凄く迷惑しています」。どうやら、『ハッスル・ハウスVol.7』で、リング上から坂田にナンパされた女性のようだ。
「OHHH! あのデカパイの彼女を独り占めするなんテ、日本中の男を敵に回すようなものデース!」とアン・ジョー司令長官も呆れ顔。するとなぜか、笹原GMが「そのとおりです」と強い口調で同意する。ひょっとしてファンだったのかも…。
 3人目の被害者は、レスラー風の男。「呼ばれたので30メートル先からダッシュしてきたら“靴片付けとけ”ですよ。あとこれ見てください。縄跳びでぶたれたんですよ」とミミズ腫れになった身体を見せる被害者C。「この痛みを10倍20倍にしてあの男に返してやりたい。もうギッタギタのギッタギタに…」と怨み骨髄のご様子。
 しかし、アン・ジョー司令長官は「この場合はやられた方にも問題がありますけどネ」となぜか同情的ではない。それはさておき、アン・ジョー司令長官の提案では、この被害者たちの中から相手を選び、坂田にぶつけたいという。
 一瞬、悩んだGMだが「この話が真実なら由々しき問題ですね。よし、この提案を認めます」と速攻OK。
「OKデース! この静岡のお客さんの前で、坂田を痛めつけたい我こそはと思うヤツはいますカ?」とアン・ジョー司令長官が問いかけたところ、真っ先に手を挙げたのはモンスターソルジャー001。「俺にやらせてくれ! この手であの坂田に引導を渡してやる!」と名乗りを挙げた。
「よし、モンスターソルジャー001。お往きなさい!」

閉じる 被害者の会会員ナンバーAのモンスターソルジャー001が、全身に怒りを漲らせて登場。かなりやる気満々だ。積年の坂田への恨みを、このリング上で晴らすつもりである。
 しかし、“生まれた時からいじめっ子”坂田がリングに登場し、エルボーを数発見舞うと001はあえなくダウン。「何が被害者の会だ、こらっ!」と凄むと、ごめんなさいのポーズで跪く弱々しい001。そこへ情け容赦ない坂田の蹴りが飛ぶと、「タイム!」と叫ぶ001だったが、坂田にそんな言葉が通じるわけがない。
 坂田が手を挙げるだけで、ビクッと反応する001。ビリビリに着ていたTシャツを破かれ、水平チョップ、エルボー、キックとやられ放題。坂田はダウンした001の上に乗り、両足で踏みつけてから場外へ蹴り落とした
 すると001、なんと這って逃げようとする。それを見つけた坂田は001を捕まえ、リング上へ引き戻し、破ったTシャツを鞭のようにしてシバく。さらには顔面に当てて左右からこすり付けるといういじめ殺法。
「何も出来ねぇじゃないか、何かやってみろ!」と挑発する坂田。001は勇気を振り絞って逆水平から張り手を見舞うが、坂田は自分でやれと言っておきながら怒りのビンタ! そして001の体が弓なりに反り返るほどの逆片エビ固めだ! たまらずギブアップする001。しばらくは体が反り返ったままになってしまったほど、極められてしまった。
「おいコラッ! 起きろ!」と001を蹴飛ばす坂田。正座させられてしまった001に、「おい、何だ被害者の会って! ふざけた名前つけんじゃねーよ! 俺が何をしたんだ?」と坂田。まったく身に覚えがない、とでも言わんばかりだ。若干、声の調子がおかしい。
「おい、のどが渇いたよ。お茶もってこい。早くもってこいよ!」と、言葉とは裏腹にさっそく001をパシリに使う坂田。001は慌てて、本部席に置いてあった急須でお茶を汲み始める。「ちゃんと静岡茶だろうな?」との言葉に頷く001は、両手で湯飲みを差し出す。
 が、「あちっ!」と坂田。どうやら猫舌だったようだ。そしてなんと、「熱いだろ、オラッ!」と言ってそのお茶を001にぶっかけた! 熱闘コマーシャルよろしく熱さにのたうちまわる001! 「いつでも相手してやるぞ、いつでもかかってこい!」と坂田は吠えるが、「それはそうと…」と観客席を眺め回す。
「そこの女、白い上着の女! 静岡人にしては可愛い方かな。どうだ、俺は男前だろ? ムチャクチャ強いだろ? 惚れちゃいそうだろ?」とまたしてもナンパを始めたのだ。さらには001に「おい、電話番号を聞いて来い!」と命令。紙を持って、走っていく001。完全にパシリである。
「ハッキリ言っておく! 俺はモンスター軍でもなければハッスル軍でもない。一人でやっていく!一人で充分だ! アウトロー?理不尽?鬼畜?何とでも呼べ! 上等だよ!」と吐き捨てて、リングを去る坂田。その後を、電話番号を書いてもらった紙を持って追う001。電話番号はともかく、一匹狼として生きていく事を宣言した坂田よ、お前はどこへ行く?


第3ハッスル ハードコアマッチ

10分12秒 白いギター→片エビ

試合前に中村カントク出演のハードコアマッチの正しい見方のレクチャーVTRが放送される。映像の中で中村カントクは「ハッスル軍にはハードコアのスペシャリストがたくさんいる。モンスター軍のチンピラレスラーに負けるはずがない」と自信満々に語った。先に登場したハッスル軍。今日は何とリオのカーニバル風の女性を引き連れていつものダンス。田中はHHH王座の称号・ゴールデンロッドを手にしている。

閉じるゴング直後にいきなり襲い掛かる両軍。リングに残ったのは田中とフライング・バンパイアだ。バンパイアは田中のパワーボムをフランケンシュタイナーで切り返すと、田中を場外に投げ飛ばすと、何と鉄柵越えのダイブを見せる。続けてリングに上がったのはスパンキーとピラニアン・モンスター。スパンキーはそのビジュアル通り華麗なドロップキックを連発。コーナーに振られるスパンキーだったが、身軽さを生かしてピラニアン・モンスターに飛びつきフランケンシュタイナー。場外に落とすと高角度のチョップを叩き落とした。そして金村とCWアンダーソンがリングイン。金村がパワーボムを決めて、「バカヤロー」と叫びながら突進して行ったのだが、逆にCWアンダーソンのカウンターのトラースキックを喰らってしまった。
 そしてここからがハードコアの真髄・場外戦のスタートだ。金村がCWアンダーソンを客席のイスに投げ飛ばせば、田中はピラニアン・モンスターをハッスル軍応援シートに投げ込む。するとピラニアン・モンスターはハッスル軍のファンたちに袋叩きにあってしまった。とこの間に二階席ではバンパイアとスパンキーがもみ合っている。先にスパンキーを二階席から叩き落そうとしたバンパイアだったが、逆に自分がバランスを崩してしまい、バンパイアが二階席から落下してしまう。するとスパンキーはそのバンパイアにダイブ!イケメンのスパンキーだがハードコアマッチではじけているようだ。それに触発されたのか脚立を使って二階席に登った田中が、金村によって机の上に寝かされたピラニアン・モンスターにスーパーフライを決めた。
 ここまで一方的にやられていたモンスター軍だったが、体格的に最も有利なCWアンダーソンが脚立を使って、金村と田中を一人で相手に。二人の首を脚立で固定すると、その脚立をバンパイアがトップロープからイスで一撃を叩き込んだ。そして噛み付き技を得意とするバンパイア&ピラニアン・モンスターがスパンキーに照準を絞る。スパンキーを自陣コーナー付近に捉えると、交互に首筋に噛み付き。二人がかりのダブル噛み付きも見せる。しかしグロッキー状態のスパンキーも最後の力を振り絞り、バンパイアとピラニアン・モンスターにダブルのドロップキックを決めて、噛み付き地獄から何とか脱出する。タッチを受けた金村はバンパイアを高々と持ち上げて回転しながら前に振り落とすと、CWアンダーソンに対しては田中とスパンキーが連続でスイング式DDT。田中がスーパーフライを仕掛けようとコーナートップに上ったところに、CWアンダーソンがブレーンバスターを狙う。しかしこれを金村とスパンキーが阻止。そのまま金村&スパンキーがCWアンダーソン&ピラニアン・モンスターを場外に落とし、リング内は田中とバンパイアの一騎打ちに。しかしここでもバンパイアが得意の噛み付きフォール。あわや3カウントを奪われそうになった田中だが、バンパイアのムーンサルトをかわすと、待ってましたと言わんばかりに白いギターを取り出す。そしてバンパイアの頭に強烈な一撃!そのまま田中が3カウントを奪い、HHH王座としての意地を見せた。


第2ハッスル

5分52秒 ジャイアントプレス→体固め

 控え室。ホワイトボードに富士山の絵を書き、“静岡日本一、石狩世界一”と記す相変わらず訳の分からない石狩。そこへ一本の電話が鳴った。
「もしもし、あ、ビデオ屋さん? 忘れてた〜。1週間ですか、いま静岡だから返せないですよ〜。延滞料金はDSEに請求しておいてください」と石狩。どうやら、アダルトビデオでも借りて返却するのを忘れていたらしい。その延滞料金をDSEにツケるとは…。
「おい、試合前なのに何やってんだ」と、何だかんだ言いながらも弟子が心配でしょうがない川田が様子を見に来た。
「また怒られちゃいまして…」と石狩。「お前は怒られるような事をするからだよ!いつも挙動不審なんだよ!」と川田が怒鳴る。しかし石狩、「はぁ…」とわかってない様子。「はぁ、じゃねえよ! いいか、男はな、男はでっかく生きろよ! いいかお前、でっかくだぞ!」とアドバイス。
 フンフンと頷いた石狩、「でっかくか…たまにはいい事言うじゃん、川田ちゃん!」と川田の肩を気安く叩く。当然の如く、「誰が態度をデカくしろと言った!」と川田のビッグブーツが炸裂! 勘違いした石狩はホワイトボードに激突、灰皿を撒き散らして失神するのであった。

閉じる 石狩は川田に蹴られたアゴをさすりながら登場。かなり痛そうだ。しかし、声援を受けるとお調子者の血が騒ぎ、ハッスルIのTシャツをアピールし、コーナーに登って拍手を煽る。さらに調子に乗って着ていたTシャツを投げようとしたが、ノーコンでTシャツはあらぬ方向へ。ちっとも懲りてない石狩である。
 そこへ何と、高田総統がスクリーンに登場!
「石狩君、ご機嫌はいかがかな? 聞くところによると今日3月19日は、キミの誕生日らしいじゃないか? 普段はキミとは敵の立場だが、こういうめでたい日は別だ。そこでだ、私からキミにバースデープレゼントをあげよう。大きい箱と小さい箱、二つの箱を用意した。でっかい箱と小さい箱、でっかい箱と小さい箱」と、妙に“でっかい”をアピールする高田総統。「好きなほうを選ぶといい。どっちを選ぶかな? ハーハッハッハッ!」。
 すると、島田二等兵とアン・ジョー司令長官が二つの箱を持ってきた。「おい、石狩! 高田総統からのプレゼントだ」(島田)「どっちをチョイスしますか?」(アン・ジョー)と石狩に選択を迫る!
「うーん…男はでっかく生きろと川田さんに言われたからな。よし、でっかい方!」と、まんまと策略にハマる石狩! 「でっかい方か? でっかい方って言ったな!」と喜ぶ島田二等兵。「ホントに良いですね? ビッグボックスでーす!」とアン・ジョー司令長官が言うと、でっかい箱がオープン! すると予想通り、そこからはジャイアント・シルバが飛び出してきた!「小さいほうをくれ!」と言う石狩だが、時すでに遅し。
 シルバが棍棒を振り回して襲い掛かり、逃げ回る石狩。「プレゼントじゃないよ、コレ!」と嘆くが、レフェリーまでもが「自分で選んだんだろうが?」と突っ込みを入れる。石狩太一、とんでもない25歳の誕生日になってしまった。
 あまりにも逃げ回る石狩に、シルバは策を弄した。小さいほうのプレゼントを手にし、来い来いと手招き。すると、それにつられて石狩が近寄っていく。本当に単純な男である。ノコノコとやってきた石狩に、シルバはキック、リング上を這いずり回る石狩。シルバはその石狩をヘッドロックに捕らえ、石狩はロープへ飛ばそうとするが、シルバは離してくれずヘッドロックをかけられたままズルズルと引きずられていく。
 背中にパンチを受け、2階からのボディスラムで投げられ、ストンピングにのた打ち回る石狩。シルバのエルボードロップを自爆させて、背中に飛び乗ってスリーパーホールドを仕掛ける石狩だが、所詮はシルバにとってはランドセルのようなもの。コーナーに叩きつけられ、場外へ転落。すると、シルバがなんとプランチャ!
 …と思ったが、エプロンに着地したシルバは石狩を踏みつけ、リング内へ戻す。ロープへ飛ばしラリアット。だが、石狩はこれをかわしてローキック、膝へドロップキック! シルバが跪いたところへ再度ドロップキックだ! そして、コーナーへ登ってミサイルキックも見舞う! 
 調子に乗る石狩はフライング・ボディアタックも仕掛けるが、あっさりと受け止められてしまった。シルバのボディプレスはカウント2。セコンドの中村カントクがメガホンでリングを叩き、「石狩コール」を煽るも石狩はハイアングルのワンハンド・チョークスラムでマットに叩き付けれてしまった。そして、シルバはセカンドロープに登ると5メートル50センチの高さからのジャイアントプレス! カウントは3! 石狩は力尽きた。
 だが、石狩の25年間生きてきて最悪のバースデーは、これでは終わらなかった。アン・ジョー司令長官と島田二等兵がリングに上がり、「ミーたちから石狩にプレゼントがありマース」と言うと、島田が石狩にローソクを加えさせて火をつけたのだ! しかも、場内にはハッピバースデートゥーユーの曲が流れ出し、シルバも一緒に歌いだす。さんざん石狩を笑いモノにした挙句、「キャンドルは自分で消しなサーイ」と言うアン・ジョー。島田二等兵はあろうことか、失神している石狩にSMショーばりに蝋を垂らす。
 崔がこれを救出に入り、惨劇は幕を閉じたが、かわいそ過ぎる石狩であった…。


第1ハッスル

9分25秒 高速回転エビ固め

Jの形をした鎖鎌を手に現れたモンスターJ。その後ろからは不気味な動きで鬼蜘蛛が続く。鬼蜘蛛はいきなり客席に襲い掛かった。ハッスル軍・日高郁人のパートナーは先日の『ハッスル8』でハッスルデビューを果たしたハッスル仮面グリーンだ。自慢の金髪アフロをなびかせて登場だ。

閉じる先発はモンスターJと日高。モンスターJは日高に攻撃を加える前に客席に”J”コールを煽る。すると会場からはしっかりとJコール。初の地方大会となった静岡でもしっかりと定着しているようだ。その大声援をバックにモンスターJはチョップの連打。そしてロープを使った華麗な空中殺法を見せたかと思えば、日高をコーナーに押し込んでパンチを打つ込むといったラフ殺法と、バリエーション豊かなファイトスタイルでさらに会場を沸かせた。ここで両軍がタッチ。鬼蜘蛛はいつも通り四つんばいのスパイダームーブ。ロープやコーナーに振られても、自慢の糸を使ってピタッと動きを止めて、グリーンにペースを掴ませない。しかしここで調子に乗りすぎた鬼蜘蛛。昨日のタッグマッチ同様、合体攻撃を見事に(?)に失敗し、強烈なパンチを連続でモンスターJに叩き込んでしまった。このチャンスにグリーンはモンスター軍の二人にアームホイップ。しかしこのグリーンも鬼蜘蛛と同じくハッスル軍でも有数のお調子者。タッチをしようと近づいてきた日高とレフェリーにまでアームホイップを決めてしまった。もめるハッスル軍をモンスター軍の二人がなだめるという奇妙な光景。しかしこれはもちろんモンスター軍の罠。すぐにモンスターJと鬼蜘蛛は、それぞれ日高とグリーンにドロップキックを叩き込んだ。そして場外にハッスル軍が場外に落ちると、鬼蜘蛛がダイブ!さらに場外の3人に向けて、モンスターJが高角度のトペコンヒーロ!大技の連発でガッチリ観客のハートを掴んだのはモンスターJのようだ。そんなモンスターJに続けとばかりに、鬼蜘蛛もオリジナルホールド・鬼蜘蛛固めををグリーンに極める。ここまで一方的に攻撃を受け続けていたグリーンだったが、一瞬の隙をついて自らモンスターJに飛びつくようバスター。ダメージの少ない日高へのタッチに成功する。タッチを受けた日高はニールキックを連発。そして三度モンスター軍の合体攻撃に誤爆を誘うと、鬼蜘蛛の首を捉えてモンスターJを蹴り飛ばしながらのDDT。日高は続けざまに、鬼蜘蛛に低空ドロップキック。勝負のショーンキャプチャーを狙ったのだが、鬼蜘蛛が必殺の糸攻撃!鬼蜘蛛は糸に絡まった日高にローリングクレイドルからフォールを狙う。しかしこれはすぐにグリーンが救出に入って事なきを得た。ダメージの残る日高に変わってリングに入ったグリーンは、モンスターJのムーンサルトを喰らいながらも、二発目のシューティングスタープレスは体を横転してかわす。モンスターJに加勢しようとする鬼蜘蛛を日高がミサイルキックで絶妙のカット。これを受けてグリーンがモンスターJのボディと顔面に蹴りを打ち分けて、最後は上手く丸め込んで3カウントを奪った。昨日のデビュー戦ではあまりいい動きが出来なかったグリーンだが、今日はキッチリとフォール勝ち。勝ち名乗りを受けたグリーンはコーナーポストに立って自慢のアフロをアピールした。


笹原GM登場!

一方のリング上ではGM劇場だ。静岡のファンに感謝すると共に、「本日この時が、2005年のハッスル全国ツアーの始まりでございます」と挨拶。客席からカップル2名を選び、一緒にオープニング・ハッスルを決めた。それでは、『ハッスル・ハウスvol.6』スタート!


オープニング劇場

日本のプロレス界を根こそぎ壊滅するための高田モンスター軍全国行脚、その第一戦となる『ハッスル・ハウスvol.6 in 静岡』。高田総統のお供するのは、モンスター軍の助さん格さんと呼ばれるアン・ジョー司令長官と島田二等兵を始めとするモンスターたちだ。その中には静岡出身の謎のモンスター、モンスターTも含まれている。高田モンスター軍による“静岡制圧”、ハッスル軍はこの暴挙を防ぐ事が出来るか!?
 ここはモンスター軍の秘密基地。静岡初登場の高田総統だが、言う事は相変わらず毒舌だ。「暇で暇でしょうがない静岡のプロレスファンの諸君。せっかくの三連休の初日だというのに、暇では意味がないな。まあ、静岡のド田舎だから何にもすることがないのは仕方がない」。
「そうですよ、高田総統!」と相槌を打つのは島田二等兵。「早くハッスル軍をやっつけて、キャバクラにでも行きましょう」と提案する。しかし、アン・ジョー司令長官は「この静岡のド・カントリーでは、美人もいまセーン!」と静岡をバカにする発言。島田は「でも、うなぎパイパイですよ!」と、両手モミモミポーズ。「パイパイでスカー!」とアン・ジョー司令長官も乗り気になってきた。「パイパイ!」「パイパイ!」と、まるで中学生のようにモミモミポーズをしながら連呼する、情けない助さん格さん!
「はしゃぐな、島田、アン・ジョー!」当然のように、高田総統の怒声が響き渡る!しかし、「大の男がパイパイ、パイパイ! はっきりとオッパイと言え!」と墓穴を掘ってしまった高田総統!
 自分の失言に気を取り直し、「話を元に戻そう」と高田総統。「今日はモンスター軍の全国洗脳ツアーの大事な初戦だ。いいか、私の辞書に敗北という文字はない」と浮かれ気分の助さん格さんに釘を刺す。
「分かってマース。凶悪なモンスターを多数用意してますから、ビクトリーを勝ち取って見せマース」とアン・ジョー司令長官。満足そうに頷く高田総統。
 そして、高田総統は立ち上がり、静岡のファンへひとこと。「いいか、静岡の下々の諸君よ。高田モンスター軍の恐ろしさを存分に見せてやる。今宵、この静岡は高田モンスター軍の軍門に下る事になるのだ。イッツ・モンスタータイム!」と宣言した。


島田元参謀長からの諸注意