ファイトカード

高田総統劇場

「おい! バカ夫婦! 最高の地元凱旋試合になったな!」
 夫婦揃ってパンツをさらけだすという無残な姿をあざ笑うかのように、高田総統が威風堂々のテーマ曲と共に登場した。
「おい、脳みそが八丁味噌の名古屋の諸君! おい、そこでヌカ喜びしているハッスル軍の諸君! 我こそが高田モンスター軍総統、高田だ!」と勇ましい挨拶。
 すかさずアン・ジョー司令長官が「そーとー、そーとー」と総統コールを煽るが、なぜか一体感がない。
「司令長官、やっても無駄だ。何だよ、最後にノリが悪いな」と機嫌が悪くなる高田総統。「意外と浸透してないんですかネ?」とアン・ジョーが心配すると、ようやく総統コールが起き始めた。
 ところが、高田総統は「いいから本題に入らせてくれ」と一喝!
「春になって暖かくなると、バカが外に飛び出してくるというだろう? 今日はまさにそんな状態だな。見てみろ、今日はバカばっかりで超満員だよ! おい、中途半端な都会人よ、久しぶり。こんな事で名古屋の未来は大丈夫かよ? おそらくな、モリゾーとキッコロが泣いてるぞ!」と、超満員のファンをコケにする。
「まあいいや。君たちが幸せならばそれでいい。私はしったこっちゃない」と自分で振っておきながら「ところでだ」と話題を変える総統であった。
「無惨な醜態を地元でさらした健想よ、聞こえるか! お前みたいなマヌケな面汚しは、我がモンスター軍には必要ないよ!」と言い放つ。アン・ジョーも「総統、あんな奴は追放しまショー! エブリバディ、一緒にノーモア・ケンゾー! ノーモア・ケンゾー!」とファンを煽るが、超満員札止めにも関わらず名古屋のファンは全くノってこない。
「おい、いいよ。やればやるほどテンションが落ちるよ。この前までは盛り上がってたんだ。俺が出たらこれだ、立場ないじゃないか!」と嘆く総統。
 気を取り直し、「そうだな、司令長官の言うとおりだ」と言うと、ここでちびっ子ファンから「高田総統!」という声援が。総統も「はいよ」と応える。このえこひいきぶりに場内からブーイングが飛んだが、総統は「私は子供には優しいんだよ」と一蹴した。
「この私を“総督”と間違えたドマヌケな健想君は、我がモンスター軍からは追放だ! 浩子君と言ったな、あのバカ嫁の元に帰るがいいよ! それからバカ嫁の浩子君、聞こえるか? 安心したまえ。健想君の洗脳はもうすでに解いてある。健想君を一時的にでもモンスター軍に引き入れたのは、目障りになりつつあったあの鈴木のバカ夫婦とやらを壊滅させるためだったのだよ。ただそれだけだ」と、計画を打ち明ける高田総統。一連の動きはそういう事だったのだ。そして、その目論見どおりになった。
「さすが総統デ〜ス! 素晴らしいタクティクス!」とアン・ジョーはヨイショ。
「セイセイセイセイ!」と会話に割って入ったのはHGだ。
「お話が長すぎるので、間を詰めてインサートさせてもらいますよ〜。高田キトウ……いや、高田総統! 私の名古屋コーチンは、あなたの用意するオカズじゃ満足できませんよ〜。物足りなくって、まだしゃちほこのように反り返ったままで蟻の戸渡りが痛いです〜。はやくイカせて下さいよぉ〜。次回のハッスルは私の地元、大阪です。ぜひ、本番プレイであなたのギンギンにいきり立った通天閣を、バッチコーイ!」と、今宵も18禁の下ネタ連発だ!
 しかし、その呼びかけに応えたのは川田だった。
「おい! 寝ぼけるのもいい加減にしろよ腰振り。お前、どうしたんだよ。10分の1同棲とかって! そういう事は俺に1対1で勝ってから言えよ。半同棲しているらしいプロレス好きの彼女の前で、俺がお前を起たなくしてやるよ。大体、お前の彼女も売名行為で付き合ってるだけだぞ」と、今回もこのネタでHGを責める川田。
 だがHGは動揺するどころか、「売名行為? RGに比べればかわいいもんですよ!」と慣れたもの。「30にして不能ですか? まだまだSEXライフを楽しませてくださーい! そもそも、あなたは今日負けたんですよ? その抜けた歯でよく喋りますね。何だったらその抜けたところに私の海綿体を差し込んであげましょうか? 差し歯、フー!」
 このやりとりを黙って聞いていた高田総統だったが、「おい、お前いま何て言った? 差し歯、フー! だと? この野郎! このヤロー!!」といきなり激怒したかと思えば、「お前、面白いこと言うな」と絶賛だ。これには隣にいた川田もムッとした表情を隠せない。
 気を取り直し、高田総統が語りだす。
「モンスターKの言うとおりだ! お前たちが勝った気でいてもタッグマッチじゃないかよ! よく聞け! プロレスは最終的に1対1で勝ってナンボなんだよ!」
 高田総統がそう宣言すると、場内にあの男の声が鳴り響いた!
「おい、高田! 勝ってナンボとか言うならな、自分がリングに上がって、勝ってから偉そうなことを言えよ、あん?」
 そう、“キャプテン・ハッスル”小川直也の登場である。一斉に湧き上がる小川コールと共にあちちも登場。
「名古屋―っ! ハッスルしてるかー! よーし、オイッス!」とやると、大きな声でオイッスが返って来る。「元気いいな。きてるねぇ、いいねぇ。最高ジャン。イヤー気持ちいいな」とご満悦なキャプテン小川。
「おい! あんちゃん、もういいか? お前、地方に強いな。本当に気分よさそうだぞ。何しにきたんだ? 来なくていいよ」と、いい気分をぶち壊しにするのはやはり総統だ。
 いい気分を台無しにされた小川は、「おい、さっきから黙って聞いてりゃーよ、プロレスは1対1で勝ってナンボ? 屁理屈ぶっこいてんじゃねえぞ! 散々お前が逃げてきたんじゃないか。こっちはな、いつ何時、どこでもやってやるぞ!」と高田に1対1を迫る。
 しかし、最近よく喋る川田が割って入った。「おい、チキン! だったら何で今日お前は、試合しないんだ? 足が痛いフリしやがって。お前、じつは寂しくて皆の気を引きたいだけなんじゃないか?」
 小川は「黙れ、川田! このひねくれモンが! もうちょっとだと言ってんだろ。お前がこの名古屋でハッスル軍を裏切ったことはな、忘れちゃいねぇんだよ。借りはキッチリ返させてもらうからな!」と川田とやり合うが、 もう一人の男が割って入る。TAJIRIだった。
「あの、すいません…。僕も喋っていいですか? あの〜私、ハッスル軍に入って日が浅いものですから、まだ状況がよくつかめなくて。ちょっと話についていけなくなりそうになったんですね。私、しゃべるのが苦手で、さっくりいきたいんですけど、今の話を整理するとですね、高田総統が1対1で…」とペラペラと喋り出し、舌も高速回転するTAJIRIであった。
「セイセイ、もう充分です。TAJIRIさん、あなた充分しゃべってます」とHGが止めに入るが、TAJIRIは「もう少し喋らせてください。いいアイデアがあるんです」と続ける。
「いろいろ皆さんのお考えはあるでしょうけど、ここはどうでしょう? 細かいことはあまり気にしないでですね、この際、次の大阪あたりでシングルマッチの勝ち抜き戦みたいなことをやってみるなんてどうですかね?」と、ハッスル軍VSモンスター軍の勝ち抜き戦を提案したのである。
「昨日、ここで大会をやった某老舗団体が昔やってたんですけど、先鋒・藤波辰己、(小声で)次峰・高田延彦。大将・アントニオ猪木……とか言ってやってたヤツです! そんなのやったら、僕もチケット買って見に行っちゃいますよ!」と、元々はプロレスファンだっただけあって詳しいTAJIRI。
 この提案を受けた小川は、「おおっ! さすがいいこと言った! よーし、大阪は5対5の勝ち抜き戦で勝負つけようじゃねえか! それで俺たちが勝ったら、今度こそ高田、お前が出て来いよ! みんながいる前で、ここで約束しろ!」と意気込む。そしてハッスル軍に向かい、「俺も次、絶対に大阪で復活するからな」と炎の復活宣言だ!
「チキン君、今なんと言った? 大阪で復帰すると言ったな? それはよかった!」と高田総統。「なぜなら、君が復帰するなら我々の一勝は確実だからな! 面白い。いい話だ。その5対5の勝ち抜き戦とやら、受けてやろう。そこにいるハッスル軍のガラクタどもを、潰していく、絶好のチャンスだ」と高田総統も承諾。4・20『ハッスル16』大阪大会にて、ハッスル軍VSモンスター軍の全面対抗勝ち抜き戦5対5マッチが決定した!
「ちょっと一服させてくれ」と高田総統。続いて「ひらめいた! その5対5勝ち抜き戦の大将がいま決まったよ。紹介しよう!」といきなりの決定である。すると、もののけ姫の曲と共に佐藤とバボがとてつもなく巨大化したイン卵を持ってきた。
「我がモンスター軍の大将は、この“イン卵”だ。この中から新たに生まれる生命体が、貴様らハッスル軍を根こそぎ壊滅させてやるよ」と高田総統。
 すると小川は、「は? 卵? お前にはさんざん何を言われても驚かなかったが、これにはビビってたじろいだよ。大将が卵かよ」と呆れ顔。
 ところが、TAJIRIがこれに異論を唱えた。「いや、キャプテン! ロマンがあっていいと思いますよ。メルヘンです」と感動したようだ。
「要するに…」と何気に仕切りたがり屋のTAJIRIが続ける。「話をまとめるとその卵の中から何かが生まれて、それが大将だというわけですね。でも高田総統、あなたはひとつ問題がある。もし大阪大会までに卵が孵化しなかったらどうするんですか? そうしたら卵が試合やるんですかね? 卵に試合は出来ないですよ。だって、その卵はロープの隙間から入らないもん。どうやってリングに入るんですか。それに関節がないから技がかからないし、3カウントをとろうにもどこが肩なのか分からないし……あ、だから強いんですね。あなた、頭がいいですね」と、ペラペラペラとよく喋るTAJIRI! 自分で疑問を投げかけ自己完結。しかも、一度も噛まずになめらかな舌である。小川も、HGも、高田総統でさえも口を挟む余地がない。
「おい、あんちゃん! 喋りすぎだぞ」とやっとTAJIRIのお喋りをストップさせたのは川田であった。「腰フリよ、4月の大阪では今日のバカ夫婦のように、地元で思いきり赤っ恥をかかせてやる。名古屋の諸君、次回は大阪で会おう! 今日はここまでだ。バッドラッ……」
 ハッスル・ハウスに続いて勝手に締めようとした川田に「おい、ちょっと待て!」と高田総統も慌てる。
「ビックリさせんな! この前も後楽園で言ったろうが! 最後の締めは私だろうが!」とお怒りの高田総統。自分が締めようと「下々の諸君…」と喋り始めたが、ここでまたしても川田が割り込み「そういう事だよ、バッドラッ……」と何としても自分が締めようとする。
 ついに高田総統の怒りが爆発! 「おい! これは攻撃か? この野郎!」と川田を怒鳴りつけるが、川田は不服そうに高田総統を見つめるではないか。
「何だ、その挑戦的な目は! 何か言いたい事があるなら、このあと楽屋で話そうか? バッドラックだ!」と強引に自分が締める高田総統。川田はふくれっ面で後に続く。どうも変な抗争が出来上がりつつある不穏な空気を漂わせていた。
 モンスター軍が姿を消すと、小川が吼える。
「何が卵だ。ふざけてんじゃないぞ。よし! 次の大阪は大勝負だ! HG、お前の地元であいつらをグウの音も出ないようにグシャグシャにして、今度こそ高田の野郎を引っ張り上げるぞ!」と宣言。
「まぁ、何はともあれ今日もハッスル軍が勝ちました。ラストはHG! お前がキッチリ締めろ!」と今日の締めにはHGを指名した。
「分かりました〜。それでは、大阪に向けて景気づけのハッスルポーズを決めさせてください。皆さん、ご前立腺、いえ、ご起立をお願いします」とHGは最後まで下ネタ。「3、2、1、ハッスルハッスル、フー!」をハッスル軍全員で決め、勝どきをあげた。
『ハッスル・マニア』に匹敵するようなビッグイベントとなりそうな大阪大会。5対5勝ち抜き戦のメンバーはどうなるのか、イン卵は本当にそれまでに孵化するのか? 孵化するとしたら、どんな生命体が産まれて来るのか? 鈴木家はどうなってしまうのか? そして、高田総統と川田の締め争いは……? 様々な謎を残し、ハッスル3月シリーズは幕を閉じた。次回、4月シリーズの展開が待ち遠しい!!

メインハッスル

15分50秒 昇天エビ固め

 メインイベントを前に、気合十分の表情でスクワットする健想に、川田は「本当に別れる気があるのか?」と問い詰める。すると健想は「当たり前ですよ。やっぱ、独りは最高です! フリーダーム!」と浩子前GMから開放され、自由を満喫している様子。さらに「前から別れたくてしょうがなかったんです。あいつは私を立てるフリをして、いつも自分が美味しいとこ持ってちゃうんですよ。私よりも自分の方が大好きなんです」と、今まで溜まっていた鬱憤を晴らすように言葉を続けた。
「そろそろ、ハッスル軍の連中にストップをかけなければ、少し面倒なことになるかもしれん」と二人にはっぱをかけるのは高田総統。それに応えるように川田・健想も「まかせてください総統。今日は俺があの腰振りにプロレスの本当の怖さを、そして痛みを教えてやりますよ」(川田)「私は、奴の素顔を客の前でさらしてやります。それにあのTAJIRI! 私はTAJIRIの弱点を最もよく知っております」(健想)と、力強く語る。そんな二人に高田総統は「調子に乗るハッスル軍に、改めて我がモンスター軍の偉大さを思い知らせてやるのだ!」と激を飛ばした。
 しかし川田が先に部屋を去ると、健想は「私はもう負けたくないんです。狂言師に負けて、その手下に負けて、子供だましのヒーローに負けて、そしてモンスターKにも。もう、しょっぱいって言われるのは嫌なんです、地元なんでお母さんも見に来るんです…」と急に弱気な一面をのぞかせる。すると総統は「健想、真のスーパースターになりたかったら、あのバカ嫁のことは早く忘れて、身も心もモンスター軍の一員になるのだ。気合を入れなおしてやる」と、前回のハッスル・ハウス同様、健想にビターンを注入する。するとそれまでの弱気な表情が一変、「改めまして、私は高田モンスター軍の鈴木健想です」と不敵な笑みを浮かべる健想であった。
 健想、川田、TAJIRI、HGの順番で入場。中でもHG人気は群を抜いており、HGが花道に姿を現すと大歓声。HGはそのHGコールに合わせて腰を振る。さらに浩子前GMも夫の試合を見届けるべく、実況席に駆けつけた。

閉じる 先発はTAJIRIと川田。場内はTAJIRIコールが起こる。しかし実力では川田の方が上だ。手四つで組み合うと、川田はすかさずTAJIRIをヘッドロックに捉えて、ロープに振るとショルダーアタックで吹っ飛ばす。TAJIRIも負けじとヘッドロックから川田をロープに振るが、ここでも川田がショルダーアタックでTAJIRIを一蹴。グラウンドでヘッドシザースを試みるTAJIRIだったが、川田は倒立でそれを逃げると、あっけにとられるTAJIRIの胸をポンっと叩く余裕を見せた。
 ここで健想がリングインすると、まずはコーナーのHGを挑発。TAJIRIに強烈な張り手を見舞う。しかしTAJIRIもリバースエルボーで反撃のキッカケを掴むと、仁王立ちの健想にバックキック。そしてタランチュラ! 健想のちょんまげをもって、HGとタッチする。
 リング上でにらみ合うHGと健想。しかし場内からは自然とHGコールが巻き起こり、HGがコーナーに立つとそれはより一層大きくなる。ここで何を勘違いしたのか、健想がコーナーに上がると、やはりブーイング。しかもコーナーから落ちて股間をロープに打ちつけるというオマケつきだ。
 HGコールに乗せられて勢いづいたHGは健想のバックを取って腰振り。さらに掟破りの股間蹴り! コーナーに倒れた健想の顔面を股間で擦り挙げるPWを見せた。HGとTAJIRIはその後も頻繁にタッチを繰り返し、健想を孤立させ一気に攻め立てた。
 しかし健想もやられてばかりはいられない。TAJIRIのリバースエルボーをラリアットで迎撃すると、高角度のチョークスラム。足元がおぼつかないTAJIRIにすかさず川田が蹴りを叩き込む。
 TAJIRIのタッチを受けてリングに上がったHGにも、二人がかりのショルダーアタックで吹っ飛ばす川田と健想。しかしここでどちらがフォールにいくかで仲間割れを起こしてしまう。とりあえずここは川田が健想をなだめ、事なきを得た。
 この隙をついて立ち上がったHGだったが、やはり川田が相手では荷が重い。川田の強烈なヒザ蹴りで体は「く」の字に折り曲がり、川田の逆水平の連打で胸板は真っ赤。さらに片エビ固め、コブラツイストと爆弾を抱える腰を痛めつけられる。さらに川田はHGの体を高々と持ち上げると、腰からマットに叩きつけるという荒技を披露! もはや立ち上がることさえ困難なHG。ここで勝負を決めようと、ロープに飛んで蹴りを狙った川田だったが…ここで健想が勝手に川田の体に触れてリングイン。あと一歩のところでHGを仕留め損ねた川田は明らかに不快感を露にした。
 とにかく試合をする権利を得た健想は、横浜に続きまたしてもマスク剥ぎ攻撃。これは失敗に終わったものの、HGの体を高々と持ち上げてバックブリーカー、そのまま前に落とし、HGの腰にヒザを突き立てて、HGの腰を痛めつける。そして合掌をしてのニードロップ! 健想のフォールを返せないHGだったがTAJIRIのカットで何とかピンチを逃れた。
 するとこれまでのイライラが爆発したのか、何と川田が健想と急に仲間割れを起こし、川田が健想に強烈な蹴りを見舞い、健想は悶絶。さらに夫のピンチに浩子前GMが実況席からリングに上がり、川田にニンジャパウダーをぶちまける。夫のピンチを助けたい浩子前GMの行動だったが、高田総統のビターンを受けた健想には、妻の気使いは通じず。健想は浩子前GMに張り手をくらわすと、そのままロープに投げ捨てて、浩子前GMの着物をまくり上げ、下半身を丸出しにするのであった。
 完全に分裂してしまったモンスター軍。一人リングに残った健想をHGが下から丸め込もうとする。バランスをとってそれを阻止する健想だったがここでTAJIRIが絶妙のタイミングでグリーンミスト! バランスを崩した健想を丸め込んだHGは、健想のズボンを脱がしながら、健想のお尻を丸出しにする、“昇天エビ固め”で3カウントを奪った。
 さらにHGは横浜でのマスク剥ぎのお返しとばかりに、健想のズボン剥ぎ! すると健想がズボンの下に履いていたのは何とピンクのTバック。あまりの趣味の悪さに客席からは「えっ〜」と声が漏れる。
 股間を押さえて恥ずかしがる健想に「横浜で私のマスクを剥ぐから、こんな醜態をさらすことになるんですよ。しかもあなたのウイロウを包んでいるその布は何なんですか〜。みなさんに謝りなさい」とツッコミを入れるHG。すると健想は「ここどこ? 何にも覚えてない。浩子〜、何で俺は裸なんだよ」と、まるで記憶喪失のような言葉を繰り返す。そう、試合が終わった時点で高田総統のビターンの効果が切れ、正気に戻っていたのだ。股間を押さえて慌ててリングを降りる健想。浩子前GMに股間を隠され、控え室へと去っていったのだった。


セミハッスル

10分45秒 53歳→片エビ固め

 天龍源一郎との大一番を控える坂田。控え室で青木裕子と共に何かのビデオを真剣な表情で見いている。遅れて控え室に入った崔は「何してるんですか? まさか試合前にAV? アニキ本当に巨乳好きですね〜」と冷やかしを入れるのだが、もちろんそんなわけはなく、坂田が見ていたのは坂田軍団のメンバー、マーク・コールマンが出場した「PRIDE.31」である。「見てみろ、あのオッサンも頑張ってるぜ。下馬評を覆して、結果出したからな」と坂田。「俺も負けられねえ」と、盟友の頑張りに気合を入れ直し、「あの天パーおやじ、この俺様を子供扱いしやがって。今回であのオヤジを再起不能にしてやる!」と意気込んだ。
 さらに坂田は青木裕子に対し、「お前、今日の試合実況席に座っとけ! もう浩子はGMじゃねえんだ。それにここは俺の地元。お前一人解説に入れるぐらい訳はねえんだよ。坂田軍の一員として、俺様の男っぷりを全国に伝えるんだ」と言葉をかける。「・・・私やります」とは小さくうなずいた裕子。「さすがアニキ! じゃあ祝勝会はオッパイパブで!」と、あまり空気を読めてない崔は、坂田に頭を殴られるのであった。

閉じる ゴングが鳴っても一歩も動かず、無言の視殺戦を繰り広げる二人。意を決したように走り出す坂田に天龍が強烈なラリアットを叩き込む。さらに天龍は立ち上がった坂田に逆水平。ここから意地を張り合うようにチョップの打ち合いとなるが、やはりここは天龍の方が一枚上手。天龍は強烈な逆水平で坂田を吹っ飛ばし、両手を挙げて客席にアピールした。
 しかし坂田は一歩も引かない。天龍のチョップを耐え続けると、チョップをかわしてトラースキック。そのままマウントパンチとストンピング。天龍を無理やりコーナーポストに投げつけ、髪を掴み、背中を蹴り飛ばした。
 この坂田の容赦ない攻撃で、天龍の怒りに火が着いた。坂田の髪を掴んで、頭突きの連打。グーパンチと逆水平のコンビネーション。そこから天龍は坂田の首に攻撃の照準を絞り、ネックブリーカーを皮切りに羽折り固めとブレーンバスター。コブラツイストで絞り上げる。最後はコーナーポストからダイビングエルボードロップを叩き込み、坂田の顔面を蹴り飛ばした。
 それでも坂田は立ち上がり、天龍にローキックを飛ばす。それに呼応するように、天龍がグーパンチ。坂田は起死回生の延髄蹴りから、チョークスリーパー! 頚動脈を締め上げ、天龍の意識を飛ばしてからフォールへ。これは返された坂田だったが、すぐにミドルキックと顔面蹴り。天龍の53歳をかわすと、再びスリーパーで締め上げる。逆さ押さえ込みで3カウントを狙うが、さすがレジェンド、天龍はこれも返す。
 胸を真っ赤に腫らしてチョップの打ち合い、グーパンチと掌底アッパーの打ち合い。両者一歩も譲らない試合展開に会場からは拍手が巻き起こる。しかしここでキャリアの差が出た。天龍が意表をついた延髄蹴りを決めると、パワーボム、53歳と大技連発で攻め立てる。それでもフォールを返す坂田。天龍はラリアットと53歳で再びフォールするが、坂田はこれも返す。脅威の粘り強さを見せる坂田だったが、天龍が垂直落下式ブレーンバスターで坂田を沈めた。
 敗れはしたものの根性を見せた坂田に、天龍は「おい、アホの坂田! お前はゴチャゴチャ生意気だけどな、肝っ玉が据わってるじゃねえか。その気持ちも忘れないで、これからも一生懸命頑張れよ」と声をかける。そして天龍自ら握手を求め、坂田もそれに応じた。
 リングを去ろうとする天龍に坂田が声をかける。「悔しいけど、完敗だ。さすがはレジェンド、ミスタープロレス天龍源一郎だ」と、これまでの因縁を水に流し、天龍の実力を認める言葉が飛び出す。さらに坂田は「1つ頼みがある。俺はこの坂田軍団をもっとデカくしていんだ。そのためだったら、何だってする。だからあんたの力を貸して欲しい。坂田軍団に入って、俺のオジキになってくれ!」と、何と天龍に坂田軍団入りを申し出たのだ。
「坂田、そういう話はな、オッパイの大きな姉ちゃんが隣にいるときにするんだよ。本気でそう思っているんだったら、どっかで一席設けてみろ、この野郎!」と天龍。男と男の熱戦が二人の間に新たな絆が生まれたようだ。
 天龍が去った後、「名古屋のバカども! 次に返ってくる時は必ずメインを張るからな。期待して待っとけ!」と、メインでの凱旋を誓う坂田。「今日は負けちゃいましたけど、今からおっぱいパブでお姉ちゃんをKOしちゃいましょう」と、おっぱいパブ発言を繰り返す崔の頭をマイクで殴り、青木裕子と崔を引き連れてリングを後にした。何はともあれ、天龍が加入すれば勢力拡大は間違いナシの坂田軍団。今後のハッスルの一大勢力となっていくことだろう。


第4ハッスル

9分16秒 のど輪落とし→片エビ固め

 某老舗団体出身若手レスラー長尾浩志。人並みはずれた体格と、バレーボールで培った身体能力をもてあましていた長尾が、さらなる力を求めモンスター軍に入団。前回のハッスル・ハウスで高田総統のビターンを受け、地獄のアタッカー“ジャイアント・バボ”へと生まれ変わった!
 記念すべきデビュー戦では、潜在能力が爆発。惜しくも試合には敗れたものの、一時はTAJIRI・あちち組を追い込むほどの驚異的なパワーは、モンスター軍の貴重な新戦力となった! 今宵こそはと、あちちに対してリベンジの炎を燃やすアン・ジョー&バボ組。モンスター軍司令室では、二人の特訓が繰り広げられていた。バレーボールを手に持ち、スクワットをするバボ。
「57854、57855、57856」とカウントしながら一緒にスクワットをするアン・ジョー司令長官。しかし、バボはバテてうずくまってしまった。 
「ヘイ! もう終わりデスカ? まだたったの5万回ですヨ」とバボを叱咤するアン・ジョー。等身大の大谷のパネルを取り出すと、「TODAYは江頭、NO NO NO あちちとの試合! 後楽園で負けた恨みを晴らすチャンスデース! そんなことで勝てると思ってんデスカ?」と檄を飛ばす。
 バボは大谷の写真を見て怒りが沸いてきたらしく、「あちち…あちち…、アポー!」と、大谷の写真に向かってバレーボールを激しくスパイク! すると、大谷の顔の部分に丸くボールの形に穴が開いてしまった。
「オー! アメイジング!! やはりユーのパワーは本物デース。オーケー! これで試合へGOデース!!」と、気合いを入れて司令室を後にするモンスター軍であった。
 一方、ハッスル軍の控え室ではこちらもアップに余念がない大谷。「オシッ、オシッ!」と気合を入れて黙々とスクワットをしている。一息つくと、「あれ? 太一がいねえなぁ。おい! 太一!」と今夜のパートナーである石狩を探し出す。
 すると石狩がドアの隙間から「はーい、ここでーす!」と上半身を出す。
「お前、なにしてんだ! もうすぐ試合だぞ! なに遊んでんだ!」と早くも半ギレ気味の大谷。しかし、石狩は「遊んでるって失礼な! こっちはあちちさんが苦戦したっていうから、あのバボとかいうデカブツの対策を研究してたんですよ」と意外な事を言う。
「なに? 本当か、太一!」とこれには大谷もビックリだ。
「バッチリですよ。僕は奴がバレー出身ということに注目しました。もう奴は丸裸ですよ!」と石狩。「ほう〜、それで!」と期待する大谷。
「そこで僕が考えた対策はこれです!」とドアを開けて石狩が登場。股間に白鳥がついたバレエの衣装を着ているではないか。
 石狩は「白鳥の湖」を口ずさみながらバレエを踊り出し、「どうですか、これで奴らもビビってたじろぐでしょう!」と得意気だ。
「お前。大丈夫か? 前はこんな奴じゃなかっただろう…」とガッカリする大谷。しかし、石狩は「もうビンビンですよ!」と股間の白鳥を握り締め、上下に揺すり始めた。
「バレー違いだ!」怒りのビッグブーツで石狩を蹴飛ばす大谷。ホワイトボードに叩きつけられた石狩は、「くそ〜バレーたか〜」と懲りないのであった。

閉じる まずはバボと石狩が先発。が、石狩は立ち上がったバボの大きさにビビリ、さっそく大谷にタッチを求めるが大谷は拒否。それならと石狩がドロップキックを放つも、全く効かない。再びタッチを求める石狩だが、大谷は「行きなさい!」と怒鳴りつける。
 石狩の攻撃は全く効かず、バボにいいようにやられる。場外へ引きずり出そうとしても、片足一本で逆にリングへ引き戻される。ダウンした石狩の周りを、アン・ジョーとバボが「ニッポン! ニッポン!」の掛け声と共に手を叩きながらグルグルと回る。
 アン・ジョーはなじりながら、石狩をいたぶる。ボディスラムで投げつけ、ボディブローだ。危うくカウントは2。石狩はブレンバスターをかわしてドロップキックで逆襲、やっと大谷へタッチした。
 張り切って登場した大谷は、アン・ジョーの顔面を煙が出るほど腕でこすり、ビッグブーツ。アン・ジョーも打撃技で応戦し、バボへタッチした。バボのギロチン、さらにジャンプしての脳天唐竹割り。ピンチに陥った大谷だが、自ら「あちちコール」を巻き起こさせると、バボへ顔面ウォッシュ! 名古屋は異常なほどの大盛り上がり! その声援に応え、大谷はロープへ飛んでの顔面ウォッシュを三連発!
 タッチを受けた石狩はミサイルキック、そしてジャージを脱ぎ捨てるとジャンプしての蹴りでカウントは2。セカンドロープからのDDTでもカウント2と猛攻を見せる。が、バボの水平チョップ一発で悶絶。ここで大谷が助っ人に入るも、バボにダブルの脳天唐竹割りを喰らってしまった。
 バボは石狩をロープへ飛ばすと、石狩を高々と持ち上げて顔面からリングへ叩き落す。そして、高々と抱え挙げてのチョークスラム! カウントは……あっさりと3! モンスターバボが2戦目にしてハッスル初勝利を挙げた。


第3ハッスル

9分15秒 爆YAMAスペシャル→体固め

 毎回、凶悪な新モンスターをハッスルのリングに送り続ける高田総統。今回は“G1クラス”のとんでもないモンスターの登場を予告した。それがアリマキネンとミヤキネン。愛知・中京競馬場から盗み出したサラブレッドをモンスター化させたという。今宵、万馬券級の衝撃が名古屋を襲う!
 その時、モンスター軍の司令室では大変な事が起きていた。戦闘員の胸ぐらを掴み、安田が大暴れしていたのである。「おいテメー、モンスター軍のヤツラどこだ!」と凄む安田。そこへ島田二等兵が通りかかり、「おい安田! 何やってんだ!」と声をかける。
 すると安田は満面の笑みを浮かべ、「おお! いい所に! お前らを探してたんだよ」と言う。これにはアン・ジョー司令長官も「ワッツ? いったい何の用デース!?」と不思議がる。
 安田の口から洩れたのは「今日の試合に、馬のモンスター出るだろ? 俺をそいつらと組ませてくれねぇか!」という仰天提案だ。
 しかし、島田は「はぁ? 何でお前なんか! だいたいモンスター軍でも何でもないだろ!」と突き放すが、安田は「そんな事いいじゃねぇかよ〜。俺は今、タッグのベルトがなくなって試合が減る分、金がいるんだよ。それにはよ、競馬で一発当てるしかねぇんだよ! だからその馬のモンスターと仲良くさせろよ! 困ったと時は何とかって言うじゃねぇか。 絶対に勝ってやるから! な?」と持ちかけるのであった。
 アン・ジョーの「絶対にWIN出来ますか?」と問いかけると、「おう、任せとけって! アリマキネン、ミヤキネンときて、俺がヤスダキネンになってやる! 最強のトリオだぜ!」と安田。
「完全な競馬バカだな…」と呆れる島田。しかし、アン・ジョーは「まぁ、必ずWINするというならイイでしょう。総統には、私から言っておきマース」と安田の申し入れを受けた。
「おお、サンキュー! じゃあ、後でな!」と、安田は輝くような笑顔でリングへ向かった。

閉じる ハッスル軍の登場! ブリブラダンスになぜかモン娘。が夢のコラボレーション! 揃いのTシャツで登場したハッスル軍は、最後には人間ピラミッドを作ってVサインだ。
 そしてモンスター軍がファンファーレに乗って、いよいよ出走! 安田はベレー帽を被り、競馬新聞を手に握り締めて笑みを浮かべながらの登場である。
 試合が開始されるとミヤキネンはロープとロープの間を嬉しそうに走り回るが、それだけ。しばらく見つめていた金村だったが竹刀で一撃。一度はミヤキネンの反撃を許したが、カナディアンバックブリーカーで逆襲に転じる。
 アリマキネンと田中にタッチすると、アリマキネンは後ろ足で強烈なキックだ! 馬だけに後ろ足が強いようである。ピンチに陥る田中だったが、黒田がニンジンを投げるとアリマキネンはすっかり気をとられてしまう。さらに田中が場外へニンジンを放り投げると、二頭はそれを追っていってしまうという野生の悲しい性。
 戦場は場外へ。なんと金村と田中は二階席に昇り、机の上に乗せた二頭へダイビング・ボディプレス! さらに黒田が脚立を使った攻撃で安田をダウンさせ、得意のチャリンコにまたがり安田へ突っ込んだ! しかし、黒田が助走をつけすぎたため安田はこれをかわすと反撃開始。リングに戻って黒田の首を絞める。
 アリマキネン、ミヤキネンもリングに戻り、黒田へダブルのエルボー。そして交互に馬飛びしながら黒田へフットスタンプ! これを2度も決めたが、なんとも間抜けな技である。
 ところが、黒田にダブルラリアットで逆襲されると、弱々しく安田にタッチを求める。ここで安田が二頭に鞭を入れた! 途端に張り切る二頭は黒田を蹴散らし、安田にタッチ。
 ハッスル軍もリングに乱入、金村と黒田は二頭が持ち出した机を奪い取り、頭へ三発! 返す刀で安田に攻撃を加えるも安田の巨体に技が通用せず、逆に安田が金村と田中へダブルのチョークスラムを見舞った。
 ミヤキネンと金村の対決となり、ミヤキネンはコーナー最上段に上るも黒田に巨大ニンジンが真っ二つになる一撃をもらい、さらに哲ちゃんカッター! フラフラのミヤキネンに田中が白いギターで一撃を加え、ダウンしたミヤキネンへ金村が爆YAMAスペシャル! 完璧な連携攻撃で、ハッスル軍がカウント3を奪った。
 これには島田の怒りが収まらない。
「おい安田! テメェが入ったのに負けちゃったじゃないかよ。フザケんな!」と突っかかるが、安田は涼しい顔で「あ? 知るかよ、んなもん! モンスター軍とハッスル軍の抗争なんて俺にはどうでもいいんだよ。俺はなぁ、借金返すために馬の情報さえ手に入れば、勝ち負けなんかどうでもいいんだよ!」と本音を吐く。
「なんだと〜! お前、最低だな」と島田は言うが、安田は意に介さず「最低なヤツに最低って言われてもな。それよりも、おい、ミヤキネン。てことで、26日に中京競馬場でやる今度のG2高松の宮杯の情報が欲しいんだよ、情報教えろ」と迫るが、マイクを持ったミヤキネンは「安田、お前さっきからミヤハイ、ミヤハイって言ってるけど、高松の宮杯は、もうとっくにG1に昇格して名前も高松の宮記念に変わってるウマ! ミヤハイじゃなくてミヤキネンなんだウマ! 競馬好きのクセそんなことも知らないウマか? そんな奴に情報やれるか! ヒヒーン!」とあざ笑う。
 馬に笑われた安田は「なにをこの野郎! あ!? 何の為にテメーらと組んだと思ってんだよ!」とやり返すが、「安田、お前は本当馬鹿だな。馬以下だな」と島田に言われてしまう安田だった。


第2ハッスル

7分23秒 ジャーマンスープレックスホールド

 入念にウォーミングアップするEricaとマーガレットに珍しく軍鶏侍から話しかける。
「よお、Erica! お前ら、今日はパートナー探し終わったのか? 何なら俺が組んでやってもいいぞ!」とタッグを組む話を自ら持ちかけた。しかし、Ericaの反応は冷たい。
「ふん、遠慮するわ。男子の力なんか借りないわよ」と拒否だ。軍鶏侍は「でも、相手は3人なんだろ?」と言うが、Ericaは「あたしたちは後楽園で3Dと闘ったくらいなの。だいたいさぁ、あんた弱いじゃない。百発百中なんちゃらってヤツも当たったためしないし、あれなんてったっけ? AHOだっけ?」と軍鶏侍に三行半。必殺技の名前も覚えてもらっていない。
「アホじゃねぇよ! アヘだ!」と言い返す軍鶏侍だったが、Ericaは「どっちでもいいわよ」と全く相手にしない。
 すると軍鶏侍、「それに今日はAHEだけじゃねぇんだよ。名古屋ならではのスペシャルな技を考えてきたんだよ!」ともちかける。Ericaが「どうせ、しょうもないんでしょ?」と取り合わないが、軍鶏侍は「名古屋名物、手羽先チョップ! 略してサキッチョだ!」と得意気に手をバタバタさせてクロスさせてのチョップを繰り出した。
 これには呆れるErica。ところが、隣にいたマーガレットが「ヒャッヒャッヒャッ ヒャッヒャッヒャッ、サキッチョって、なにそれサキッチョって!」となぜか大ウケだ。
「めちゃめちゃ食いついてるわね、マーガレット」とEricaは話しかけるが、「ヒャッヒャッヒャ、サキッチョって、どこのサキッチョ? ヒャッヒャッヒャッ」とマーガレットの笑いは止まらない。
「ちょっと、はしたないわよ。マーガレット!」と注意するErica。軍鶏侍は「おいおい、えらい乗り気じゃねぇかよ! なぁ、マーガレットは俺とタッグ組んでもいいよな?」と問いかけると、マーガレットは「OK! OK!」と笑いながら承諾。よほどツボにはまったらしい。
「まぁ、マーガレットがそこまでハマるなら、アリかもしれないわね」と渋々タッグ結成を承諾するErica。
 試合が決まった軍鶏侍は「よっしゃー! サキッチョ! サキッチョ!」と名前を連呼。それを聞く度に、マーガレットは「サキッチョ、サキッチョ! ヒャッヒャッヒャ」と笑い転げる。その様子を見ていたEricaは「まぁ、笑いのツボって人それぞれかもね・・・」と呟くのであった。

閉じる 先発は軍鶏侍とモンスター℃。ロープ際に追い込む軍鶏侍だが、クリーンにブレイク。次に℃がコーナーへ追い込むが、当然、クリーンブレイクなどしない。平手打ちを一発! 両者はローとヒジで「シー!」「アヘッ!」の応戦だ。しかし、℃のパワーに押されまくる軍鶏侍。コーナーのEricaは「何やってんのよ、もう! 帰ってきなさいよ」とシビレを切らしてタッチを要求する。
 だが、℃は軍鶏侍をコーナーへ詰め、セカンドロープに登って「シー!」の掛け声に合わせてのパンチ連打。代わって出てきたドクロンは、軍鶏侍に平手打ち、ミサイルキック、延髄斬りの猛攻だ。いいようにやられまくる軍鶏侍だったが、ボディスラムを返し、ヒザ蹴りからサキッチョ!
 自分で「サキッチョコール」を煽り、サキッチョを繰り出そうとした軍鶏侍。だが、思い切り目測を誤り空振り。あっさりドクロンの逆襲を受けてしまう。
 呆れてEricaが登場、ドクロンにマーガレットと合体攻撃を仕掛けようとするが、ドクロンはトップロップで一回転してのホイップ。ドロップキックでEricaを蹴散らし、場外で倒れたEricaにコーナー最上段からのムーンサルトだ。そして、リング上でもムーンサルト。カウントは2。
 怒ったEricaはドクロンにチョップの連打を加える。ドクロンと代わった佐藤だったが、ジャーマンは持ちあがらない。タッチを受けたマーガレットは佐藤に凄まじいチョップを加え、Ericaとの肉弾サンドイッチで佐藤に大ダメージを与えた。一気に優勢に転じたハッスル軍!
 が、ここででしゃばったのは軍鶏侍。勢いよくコーナー最上段に駆け上がり、AHEを敢行した。しかし、やっぱり自爆! 一転してピンチに陥るハッスル軍。その隙に佐藤が軍鶏侍を二段式のジャーマン・スープレックス! カウント3が入ってしまった…。
「ちょっと〜! あんた、勝手に出て行ってやられちゃって。やっぱりあんた、AHEじゃなくてAHOね!」とErica。場内からは一斉に 「アホ・コール」。
 Ericaの怒りは収まらない。「何が手羽先チョップよ、一つも炸裂しないじゃない! だからね、中途半端な男子とは組みたくなかったのよ! 二人で充分なんだもん。マーガレットも何か言ってやってよ!」とマーガレットに振ると、あれほど笑っていたマーガレットが「オトトイキヤガレ!」と吐き捨てる。
「悔しかったら、もうちょい修行して男を磨いてきなさいよ。それからモンスター軍の男子! 今日は私たちが負けたんじゃないからね! 分かっててね。4月になったら覚えてらっしゃい! 花が咲くのと一緒で乙女はね、春になったら咲き乱れるのよ!」と、4月シリーズでの逆襲を宣言するErica。確かに、二人だけで充分に男子に対抗できそうである。軍鶏侍はお荷物以外の何者でもなかった…。
 軍鶏侍を置いて、さっさと退場するErica&マーガレット。その後を、とぼとぼと歩きながら退場する軍鶏侍であった。


第1ハッスル

11分24秒 スーパーパワーボム→エビ固め

 変幻自在の空中殺法に抜群の連携攻撃。次々と現れるモンスターをことごとく返り討ちにしてきた無敵のハッスル仮面。しかし、今夜の相手はモンスター軍科学部が秘密裏に手に入れたハッスル仮面の遺伝子に、高田総統がビターンを加えることによって生み出されたクローンモンスター、その名もモンスター仮面である。
 スピード・パワー・テクニック。全てにおいてハッスル仮面を上回るモンスター仮面は、前回の初対決ではハッスル仮面を完膚なきまでに叩きのめしている。約1ヵ月ぶりの再戦となる今日、ハッスル仮面は雪辱を晴らす事が出来るのか?
 こちらはハッスル仮面の控え室。黙々とアップを続けるレッドとブルーそこへ中村カントクが現れる。
「おーい、ハッスル仮面! 調子はどうだ?」と話しかけると、レッドとブルーはカントクに自信満々にガッツポーズを決める。
「今日は記念すべきハッスル仮面名古屋初登場だ! 名古屋のちびっ子の前で、みっともないとこ見せるなよ! あれ? イエローはどこいった?」と、姿を見せないイエローを気にする中村カントク。
 レッドとブルーは「あっちあっち」と身振りで指し示す。するとイエローが背中を向け、何かを一心不乱に食べているではないか。
「おい、イエロー。試合の準備はどうなんだ?」と話しかける中村カントクだが、振り返ったイエローの手にはカレーの皿。机の上にはカレー皿が山盛りとなっている。
「おいおい、試合前にメシ食うやつがいるか!」と怒るカントクだったが、イエローは違う違うとジェスチャーし、カントクに耳うちする。
「なになに? 我々ハッスル仮面のエネルギー源は3つ? ちびっ子の応援、正義を愛する心、そして最後がカレー? これは試合前の大切なエネルギー補給。しっかり食べて、あの憎っくきモンスター仮面に必ずリベンジしていきますよか。おお! 頼んだぞ!!」
 頼もしいイエローの言葉に満足する中村カントク。ハッスル仮面たちはハイタッチをしながら、意気揚々とリングに向かう。「頑張れよ」と送り出すカントクにイエローが何やら紙切れを手渡していった。
「なんだこれ? 領収書!? 随分と高いな。ZERO−ONE MAX様? 関係ないじゃないか!」ちゃっかりしたイエローに、怒りを爆発させる中村カントクであった。
 一方、モンスター軍の控え室に、ボヤきながら入ってくる島田二等兵とアン・ジョー。
「いやぁ、しかし参りましたね。名古屋国際女子マラソン」と島田二等兵。
「オー、イエース。どの道も通行止め。危うく会場入りに遅れるところデシタ」と理由を語るアン・ジョーに島田も「まったく頭に来るなー!」と同意する。
 すると島田、「こうなったら今夜は栄で僕らも、夜の国際女子マラソンでもやりますか!」と例によってくだらない提案だ。アン・ジョーも「オー、それはナイスアイデアデース! 持久戦なら負けませんヨー!」とその提案に乗る。
 二人はその場で足踏みをしながら、「いっちに、いっちに、いっちに、いっちに♪」と掛け声。その声はいつの間にか「えっちね、えっちね、えっちね、えっちね♪」と変わっていった。そこへ高田総統が登場!
「はしゃぐな! 島田、アン! お前らは“走れエロス”か!」
 しかし、よく見ると総統は758番のゼッケンに短パンと、マラソンの格好をしているではないか。総統は「貴様ら! いい汗かいてるか?」と問いかける。
 唖然とする島田が「どうしたんですか? その格好は?」と聞くと、総統は「今日が名古屋国際女子マラソンの日だと聞き、思わず私もモンスター軍秘密基地から走って出て来てしまった。自分で自分を褒めてやりたいわ!」と、アノ名セリフを口にする。
「さすが総統!」と感心するアン・ジョー。「総統、お疲れのところ恐縮ですが、そろそろモンスター仮面対ハッスル仮面の試合の時間です。なんでも聞くところによると、ハッスル仮面は生意気にもリベンジを図っているとか。総統、いつものお願いします!」と島田が語りかける。
 その言葉を受けて総統は、「よかろう。よいかモンスター仮面! ハッスル仮面が二度と歯向かうことのないように、今宵はしっかりとトドメを刺してくるがよい! そのために今一度、私の力を授けよう。ビターン!」とモンスター仮面たちにパワーを授ける。
 ビターンを受けたモンスター仮面たちは、勢いよくリングへ向かっていった。

閉じる 名古屋初見参のハッスル仮面を、大きな声援で迎える名古屋のファン。イエローは満足そうに太鼓腹を叩く。場内に漂うカレーの匂い…ちょっと喰いすぎではないか? 一方、モンスター仮面は威厳たっぷりに場内を見渡しながらの入場だ。
 先発はブルーとブラック。リング上をにらみ合いながら旋回し、エルボー合戦をするがブラックが上回る。ブルーの三発に対し、ブラックの一発でブルーはダウン。
 レッドとパープルにタッチ。雪辱を誓うレッドは華麗な空中殺法を見せるが、パープルのパワーに押されてしまう。
 続いてイエローとホワイト。イエローがパワーとなぜかスピードで上回るが、モンスター仮面三人がかりの攻撃で一転してピンチに。場外に戦場は移り、ホワイトがレッドをブレンバスター、ブラックがレッドを鉄柱に叩きつける。
 レッドとブラックがリング上へ。レッドはブラックの攻撃をかわして得意の宇宙遊泳式ヘッドシザースを繰り出すが、パワーボム式のフェイスバスターで返された。
 モンスター仮面はパープルにタッチ、レッドをスリーパーに捕らえる。ロープに飛んでもキチンシンクを喰らい、息も絶え絶えのレッド。さらに合体攻撃をもらい、悶絶する。しかし、パープルとブラックにダブルドロップキック、ホワイトへニールキックでイエローにタッチ成功!
 イエローはショルダーブロックでモンスター仮面をふっとばし、ブラックとホワイトのダブル・ブレンバスターを返す! さらにダブルのラリアット! 場外へ落ちたモンスター仮面たちへ、ブルー、イエロー、レッドが次々と飛ぶ。
 ブルーとパープルがリングへ戻り、ブルーが攻勢を仕掛けるがケブラーダをかわされる。回転エビ固めもホワイトにカットされ、ダブルのフェイスバスターを喰らってしまった。
 イエローとホワイトがチョップ合戦、イエローがパワーで上回り、ドロップキックにもびくともせず逆にドロップキック、そして6オン9! トドメのフライング・ボディソーセージに行こうとしたが、ブラックの急所攻撃で失敗する。
 ダメージがあるイエローはモンスター軍に捕まり、三人がかりのパワーボム! カウントは3! 最強イエローが敗れハッスル仮面の連敗が決定した。しかも、モンスター仮面たちは一斉にハッスル仮面のマスクを破り始める。戦慄する名古屋のファンたち。
「HAHAHAHAHA! どーデスカ、思い知りまシタカ、ハッスル仮面! ユーたちは未来永劫、このモンスター仮面に勝つことはできませーん! HAHAHAHAHA!」と勝ち誇り、高笑いするアン・ジョー。
「この悪夢をしっかりと、メモリーしてミーたちと二度とファイトしようなんて考えはなしデース! ユーたち、さっさとハッスル星にゴーホームしなサーイ!」
 意気揚々とモンスター仮面が退場。がっくりと肩を落とし、息も絶え絶えに退場するハッスル仮面。これでハッスル仮面では勝てない事がハッキリとしてしまった。よほどの改革が必要である。どうなる、ハッスル仮面たちよ!?


オープニング劇場

 リング上にピンスポットが当たると、そこには解任されたはずの浩子・前GMが三つ指ついて正座しているではないか!
「名古屋の皆様、お初にお目にかかります。先日、詐欺同然の手口でGM職を剥奪されました、ワタクシ鈴木浩子でございます。しかし、泣いていてもしょうがありません。不肖・鈴木浩子、今回は潔くGMから身を引かせていただきます」
 意外にも潔い浩子。深々とお辞儀をして、退任のご挨拶だ。しかし、リングを去る気配は全くない。
「さて、ここ名古屋は何を隠そう夫・健想の地元です。本来ならば晴れの凱旋といきたかったわけでございますが、モンスター軍にいるとかなんとかで、お騒がせしているのは、いかんせん痛恨の極みでございます…。私も、GMをやめるつもりなど毛頭ございませんでしたが、不測の事態に備えてGM在職中に、後任を指名する任命状をしたためておきました」
 と、なんとGM在職中に後任を指名していたというのだ! GM在職中の仕事ならばこれはやはり有効なのか!? 浩子は折りたたんであった巻きものを高々と掲げて発表を行った。
「それでは発表させて頂きます。私の後継者の新GM、その名はRG! お出でなさい!」
 なに〜! 場内が呆然とする中、RGがノリノリで現れる。場内は当然、一斉に大ブーイングだ。もはやモンスター軍以上のブーイングを浴びる存在へと成長(?)した。
「ヨーヨーヨー! ワッツアップ! 名古屋の皆さん、ハッスルしてますか〜? オッケー、この一体感! 4代目のハッスルGMに任命されました“RGM”です!」と挨拶。さらに高まるブーイング! 確かに一体感はある。逆の意味で。
「オッケー、ウェルカム・ムード! 浩子前GM、今回のことは本当にお気の毒でございました。しかし、RGがRGMとなった今、大船に乗ったつもりで鈴木家、そしてハッスルを僕に託してください」
 もうどうにも止まらないRGM。ファンが親指を下に向けてブーイングを浴びせるが、懲りないRGMは「手はこう!」と自分のギャグである親指と小指を立てて左右に旋回させるあのポーズだ。それを見ていた浩子、調子に乗るRGMをたしなめるかと思いきや…。
「なんて頼もしいのでしょ〜う! 明るい未来が見えてきました」と絶賛だ。
「ではRGM。本日の対戦カードの発表をお願いします」
 が、少したじろぐRGM。やはりこの男にGMの大任は無理なのでは?
「あ、あわわわ…名古屋の皆さんが喜ぶ、最高のカードを用意してきました。これを見てください!」
 ビジョンにRG作成の対戦カードが映し出される。ところが、第1ハッスルから全てハッスル軍VSモンスター軍というアバウトな内容。第3ハッスルまで差し掛かったところで、たまらず浩子が叫んだ!
「ちょっとちょっと、ストップ、ストーップ! ちょっとRGM? あんた、これ随分とざっくりしたカードじゃないの。これじゃあ、ちょっと伝わりにくいと思いませんこと?」と当然すぎる指摘だ。
「ソーリー、ソーリー。正直、いろいろ考えていたら頭がワッツアップ…じゃなかった、アップアップになってしまいまして……GMの苦労が身にしみてわかりました。ワッツアップ!」と言い訳を始めるRGM。
「ワッツアップじゃないわよ〜。あなた、そんな勢いだけではGMの職務は全うできません。大体ね、私がどんな気持ちであなたにGMを授けたと思うんですか?」と浩子はイライラを隠せない。
「何をそんなにイライラしてるんですか? お客さんの前ではしたない! わかった、まさか浩子前GM、今日は女の子の日だったのかな? 多い日も安心、オッケー!」と相変わらず空気を読めないRGMに、浩子がぶちキレた! RGMの胸倉を掴み、揺すりながら怒鳴りつける。
「ふざけんのもいいかげんにしなさいよ! 大体、私がGMをやめることになったのは、誰のせいだと思ってるのよ! このボケ!」
 RGMを突き飛ばし、怒りに震える浩子。RGMはすっかりビビッてたじろぎ、うずくまってしまった。
 我に返った浩子は「失礼しました。新GMはまだまだ慣れていないようでございます。こんなこともあろうかと、私が念の為に用意しておいた対戦カードを発表させていただきます。泣いても笑っても、これ鈴木浩子、GMとしての最後のご奉公でございます」
 ビジョンには、浩子前GMが作成した見事すぎる本日の対戦カード。RGMはうずくまったままだ。
 そんな情けないRGMを抱き起こした浩子は、「それじゃあ、RGM。ハッスルのため、そして鈴木家復興のため、しっ・か・り・とお願いしますね」と檄を飛ばした。
 何とか立ち上がったRGMは、「堪えるのには慣れています。オッケー、まずは僕のオリジナルギャグでスタートさせていただきます」
 と声を搾り出すが、当然場内はブーイング一色。
「この一体感! ハッスル15、フォフォフォフォー! オッケー」と、例のHGをパクッたポーズを浩子と共に決めた。
 こうして新GMを迎えた「ハッスル15」は、泥舟に乗ったスタートとなった……。


オープニングムービー


マイケルからの諸注意

 横浜、後楽園に続いて今回もマイケルが試合前のVTRに登場。「マイケルも名古屋でデビューしたかったんだけど、今回も総統からお声がかからなかったの。でも、ドン・マイケル」と、またしてもデビュー戦は延期になったようである。
 今回も数々のハッスルグッズを宣伝し、ワンパターンの「Tシャツは何枚買ってくれるのかな? 1枚、2枚、3マイケル」と快調に飛ばしていたが、ここで一通の手紙を手渡される。どうやらアン・ジョー司令長官からの手紙のようだ。その内容は…
「モンスター軍はマイケルをオーディションでスカウトしましたが、1日中ダンスをしているばかりで全く使い物になりません。よって、モンスター軍はあなたと正式に契約しません」
 つまり、デビューをする事無く戦力外通告を受けてしまったマイケルであった。
「でも…ドン・マイケル」と脳天気なマイケルは、「マイケル、お腹が減ったからこれから味噌煮込みうどんでも食べに行こうかな。ううん、それよりも大きな公園に行ってダンスをして来ようかな。鶴…マイケル」と、やはりダンスに夢中なのであった。
「これじゃあ、仕事にならない。誰か助けてー」と言いながらも、赤いコスチュームを脱ぎ捨て黄色いコスチュームになったマイケルは、協賛各社を紹介してY字倒立を決めた。
 これにて、ハッスルにおけるマイケルの仕事は終了。さらば、マイケル! 何しに出てきたんだよ……。