ファイトカード

高田総統劇場

「おい! てめえらそこまでだ! 新GMのお出ましだ、この野郎!」
 そう叫んで現れたのは、青いラメの衣装に身を包んだ坂田・新GMだった。リングサイドに陣取った坂田GMは裏切り者・天龍を睨みつけ、「おい、天パー! ジジイはほっといても、死ぬとは思うがな…」と挑発的なセリフを言いかけたところで、天龍にたっぷりと水の入ったペットボトルを投げつけられる!
「上等じゃねぇか、この野郎! 今のうちに、墓石でも注文しとけ、この野郎!」坂田の怒りは収まらない。
「それとだ。やっと、俺はここまで辿りついたぞ! 高田総統、聞いてるか! 俺様がGMになったからには、もうてめえに美味しいとこは持っていかせねえぞ!」と、高田総統にも牙を剥く! すると、その時……!
「なんだ…? 今日は聞きなれない声がやけにうるさいな」
 威風堂々のテーマ曲に乗り、高田総統がバルコニーに登場だ! 途端に爆発する「そーとー、そーとー!」のコール。
「モンスター軍信奉者の諸君、もうすっかり秋だな。秋の夜長というが、今日は私も暦に合わせてちょっと長く話してみようかな?」と宣言する総統! 場内はもちろん、大喜びである。沸きに沸く場内だが、総統は冷静に「邪魔するな!」と一喝。
「我こそが高田モンスター軍総統、高田だ!」といつもの挨拶を終えると、「ところでだ、さすがは私がモンスター軍ナンバー2と認めた男がここにいる。大将、今日はプロレスの真髄をたっぷりと堪能させてもらったよ。そうだな……我がモンスター軍のプロレスをドラマで例えるならば、私の友人も出演している大河ドラマ『功名が辻』の如く見事な完成度だ!」と勝ち誇る総統。ついでにドラマの宣伝も忘れない。
「それに引き換え、ハッスル軍のプロレスの完成度ときたらお粗末極まりない。例えて言うなら、そうだな……速水も●みちの『レ●ッタ』といったところだな!」と、当初の予定よりも1週早く終了が決定した、低視聴率ドラマの番組名を挙げる総統であった。「どうだ、ビビッたか? たじろいだかよ?」と、なぜか勝ち誇る総統!
 気持ちよく喋っていた総統の言葉を遮ったのは、坂田GMであった。
「おい…総統とやら。新GMのお言葉が聞こえなかったのかな? 今ここで一番エライのはGMの俺様だ!」とアピールする坂田GMであったが、総統はオープニング同様「どーでもいーですよー♪」とだいたひかる節を爆発させて知らん顔。「言ったそばから、美味しいとこを持って行くな!!」と歯軋りする坂田GM。しかし、総統はそれさえも全く無視して「ところでチキンよ!」と勝手に話を進めようとする。
 慌てる坂田GMは「おいっ! 無視するな! おかしいだろ、今、確実に目が合っただろう!」と、何とか自分の方へ注意を向けさせようとするのだが…。
「おや? さっきから野良犬がキャイーンキャイーンと吠えているかと思ったら…あまりにちっちゃすぎて、視界に入らなかったよ」と、やっと坂田GMの存在に気がついた総統だったが、「分かった、アホの坂田君。せいぜい頑張ってくれたまえよ。ところでチキン君!」と、さっさと話題を変えようとしてしまう。
「またかよ! いいか、GMとしてお前に伝えたいことがある」と強引に話を戻す坂田GMは、「11月23日の『ハッスル・マニア2006』のメインは、俺様VSエスペランサーで決定だ!」と、いきなりGM権限を発動させる! 開票前のしおらしい態度とは大違いだ。しかし、場内からは「えぇ〜〜」という寂しい反応。追い討ちをかけるように総統の答えは「やだよ! だってさ、エスペランサーといえば映画で例えればハリウッドクラスだよ。キミは、どう頑張っても……」と毒舌を爆発させてさらに坂田GMをいたぶろうとしたのだが、なんと「Vシネマ!」と先にファンからオチを言われてしまった!
「おいっ!」と慌てる総統! 「帰るぞ、もう!」と怒りを露にし、持っていた杖を声がした方へ投げようとする。必死に止めに入るアン・ジョー司令長官。「空気を乱すな! この野郎!」とファンを叱った高田総統は、「……ハリウッドスターだ。キミは、どこまで頑張っても……」とやり直しを計ったのだが、またしても「Vシネ!」の声。「やめてくれよぉ……そりゃあないだろう」とこれにはさすがの総統も萎えるのであった。
 気を取り直した総統は、「そんなバリューのない男とあのエスペランサーが、闘うわけないじゃん!」と坂田GMの申し出を却下した総統だったが、考え直したのか「百歩譲ろう。百歩だけだぞ」と言うと、「君が彼女をパートナーとして連れてくれば、考えてあげよう!」と、天龍に続き総統までもが坂田GMの彼女登板を要求するのであった。爆発する「え・い・こ」コール!
 そこへさらに待ったをかける男が! このやりとりを大人しく見ていた小川である。
「おい! ちょっと待て! エスペランサーの次の相手はこの俺だろ! 今年のマニアはな、俺とエスペランサーのタイマン勝負だよ!」と、自分とエスペランサーの対戦をアピールする小川であったが、坂田の時と同様「えぇ〜〜」という声が……。
「もうちょっとキレイにまとめろよ。今、俺が話してんだよ! 人の話に割り込んでくんじゃねぇよ!」と坂田GM。小川も「そもそも割り込んできてるのはおめぇだろ! だいたい誰なんだ!」と相変わらずの物忘れの悪さを露呈したが、「なに言っちゃってんだよ。新GMだよ!」とえばり散らす坂田GM。この収拾の付かないドタバタ劇にピリオドを打ったのは、この二人の声だ!
「おい! アホは引っ込んでろよ!」(ニューリン様)
「セ〜イ! 坂田新GM〜。今夜はベッドの上で、私の股間のシャンパンを開けちゃっていいですよ〜!」(HG)
 そう、現れたのはHG&ニューリン様だった。HGはリングに上がるなり、「オッケーイ! H 性欲の秋、フー!」といきなりの下ネタ挨拶だ。「ど〜も〜HGでーす!」とHGがポーズを決めて挨拶すると、「アタシの名前はニューリンだ。おめえら、アタシをニューリン様って呼べ!」と今夜も高飛車なニューリン様。しかし、満員の観客席から当然、「ニューリンさま〜!」との声が沸き起こる。TAJIRIが音頭を取り、もう一度「ニューリンさま〜」のコール。さらにもう一度。
「おい! 新婚さん! 結婚おめでとう」と割って入るのは高田総統。「しかし、考えても見ろ。キミはハードゲイだろう?」と痛いところを突く。「ん? なんだ、随分、普通の幸せが欲しかったようだな!」とニヤリ。ところが、リング上ではTAJIRIと金村がニューリン様にちょっかいを出しており、「おい! こっちに集中しろ!」とご立腹。気を取り直し、「どーりで近頃、その腰のキレが悪いと思っていたら、私生活の方で、お疲れ気味か? こんの野郎〜!」HGに負けじと下ネタで勝負する総統であった。
「そうそう。大塚家具で買った新しいベッドの上で……セ〜イ!」と芸人らしく乗り突っ込みを見せたHGだったが、「セイでしょ。それは住谷君の話でございます。私はハードゲイですからね。私の夢はね、イギリスでゴリゴリの男子と結婚することですよ〜分かってますか?」あくまでも否定するHGである。
 そこへHGと絡みたくて仕方がない川田が、さらに痛烈な一言を…。「おい! そこの最近つまんなくなった芸人!」。これにはHGも「ストレートすぎるでしょ、あなた」とマジ反論である。
 しかし、川田は構わず続ける。「次の大阪でな、お前の両親の前で、お前が二度と子供を作れない身体にしてやるぞ……まぁ、もう出来ちゃってるって言うんなら話は別だがな!」と、いかにも週刊誌が喜びそうなネタ振りをする川田! 「それは住谷君に代わって否定しておきます。セイ!」とHGはすかさず否定だ。川田はなおも続ける。
「それと、そこの裏切りもんの姉ちゃん! お前にも顔射の借りを返さなくちゃな。それとだ、ソドムとゴモラがお前にお礼が言いたいらしいよ。だからな、大阪は俺とソドムとゴモラでお前らをぶっ潰してやる!」と、次回の大阪大会での殺戮予告だ!
「セ〜イ、あのバター犬たちですか〜。バッチコイですよ、それは〜。何の問題もございません。私がノンケじゃないという証拠をぜひ証明しますからね〜。ぜひ見てください」と、別の意味でノリノリのHGはこの挑戦を受けた。
 だが、ここで口を開いたのはニューリン様だ。「おい、天パーのジジイ! オメーは出てこねえのかよ?」と天龍を挑発するのだが、ここですっかりその存在を忘れ去られていた坂田GMが口を挟む。
「おいおいおい! ちょっと待て、お前ら! さっきからGMである俺をないがしろにして、なに勝手にカードを決めちゃってんだよ! カード編成は俺様の仕事だぞ!」
 ところが、坂田GMの叫びも虚しく、この言葉を全く無視した天龍が「おい、ねーちゃん。それから新婚ボケの腰フリ野郎。俺はな、お前らが大阪で川田君に勝てたら、その後の名古屋でやってやってもいいんだぜ」と大将らしく威厳に満ちた回答。それからかつての盟友であった坂田GMに向き直り、「それからアホの坂田君。お前、エスペランサーとやりたいんだったらよ、まずナンバー2の俺を倒してみるか、この野郎?」と坂田GMに対戦宣言だ。
 すると坂田GMは“しめた”とばかりに鼻で笑い、「ジジイ、墓穴掘ったな! いいだろう。じゃあ次の大阪で、俺様とお前のシングルマッチ決定だよ! せいぜい今のうちに遺言でも書いとけ!」と天龍と自分とのシングルマッチを決定した。ようやくGMらしいところを見せたが、よく考えてみると天龍の挑発に乗っただけである。
「アホの坂田君。私から言わせれば、GMの権限など所詮そんなものなんだよ。いくら威張ったところで、君の思った通りに事は運ばないんだよ。ま、せいぜい頑張ってGMの権威を上げてくれたまえ」と坂田GMにメッセージを送った高田総統は、「そして下々の諸君よ。次の大阪・名古屋では、さらに結束を固めた我がモンスター軍が、キミたちの度肝を抜くような贈り物を贈ってやろう!」と、またしてもビッグ・サプライズの投入を予告した!
 さらに高田総統はよせばいいのに、「そうだな、モンスターK!」と川田に振ってしまう。「そういうことだよ。バッド…」ここぞとばかりに締めてしまおうとした川田だったが、「ちょっと待てぃ!」と間一髪のところでストップをかける総統!
「何回も何回も…これを恒例にするなよ!  貴様に締めてくれとは言ってないんだよ。10年早いよ!」と説教する総統だが、川田は向こう側を向いて知らんふり。「悔しいか?」と川田に気を取られた総統。その隙に、なんと天龍が「そういうことだよ、バッドラック!」。
「おい! 言っちゃったよ!」突然の伏兵の登場に意表を突かれてしまった総統だったが、言われてしまったからには渋々と去るしかなかった。総統はこれから、モンスターKに続いてモンスター大将にも苦しめられることになりそうである。
 威風堂々が流れ、モンスター軍退場。坂田GMは「やめやめ!」と曲をストップする。
「いいか、とにかく11月の『ハッスル・マニア2006』は、俺様VSエスペランサーで決定だ! これで進めていくぞ。それからお前ら! 今日のところは、俺様の締めのポーズが出来上がってねぇからこの辺で引き下がるがな。次からエンディングは、俺様が締める! いいな!」と、またしても強権を発動する坂田GM。観客席からは「えぇ〜〜」という本日三度目の不満の声。それにもめげず、坂田は「お前ら、見てろよ! ビビッてたじろぐぞ!」と、坂田ポーズを予告する。
「おい、リョウジ!」腹心の崔リョウジを呼び出した坂田GMは、「帰るか?」と満足そうにリングを後にするのであった。
「ところでキャプテン!」と、唐突に喋りだしたのはTAJIRI。
「さっきモンスターKが、大阪でHGとニューリン様とやるって言ってましたけど、僕、そのパートナーに立候補します!」と下心丸見えの申し出だ。それは許さんと口を挟むのは、当然、TAJIRIと共にニューリン様を執拗に追い回す金村であった。「ニューリンちゃんのパートナーは俺や!」TAJIRIも「いや、僕ですよ!」すると金村は「俺の方が先輩や。俺の言うことを聞け!」と先輩風を吹かそうとするが、TAJIRIも一歩も退かない。
「おいおい。もう1人は決まってるだろう」と割って入ったのは小川だった。「大阪はな、俺とHGとニューリンのそろい踏みだよ! これはな、キャプテン決済だ!」とチーム編成を発表した。キャプテンの言うことなら従うかと思ったTAJIRIだったが、「え〜? そんなのいやだ! いやだいやだいやだいやだ〜!」とまるで駄々っ子のようにリング上をのたうち回る。
 そこへニューリン様が一言! 「おい! オメーとキンタローはな、キモイから組みたくねぇんだよ」。ショックに凍りつくTAJIRI&金村!  あまりのショックに金村は失神し、TAJIRIはブリッジしてしまう。「あなたたち、ショック大きすぎですよ」とHGがなんとか二人をなだめるのであった。
「よし! じゃあ、これで文句はねえな。『ハッスル・マニア2006』でエスペランサーを引きずり出すには、大阪・名古屋は絶対に負けられねえぞ!」と気合いを入れる小川。「そして最後は皆で、HGの友人・住谷君の結婚祝いも含めてハッスルポーズで締めようか! な! HG!」と締めにHGを指名した。魂の抜け殻のようになってしまっているTAJIRIと金村を何とか立たせ、HGは「じゃあ大阪は私の2度目の凱旋なので気合いが入っています。それでは皆さん、ご勃起、セイセイご起立下さい〜」と観客を立たせ、「スリー・ツー・ワン、ハッスル! ハッスル!! フォー!!!」とポーズを決めた。

メインハッスル

15分16秒 モンスターの絆

 天龍のモンスター軍入りにより、モンスター軍のNo.2の座を奪われてしまった川田。何とタッグを組んで試合をする直前になっても、天龍とは一言も言葉を交わしておらず「モンスター軍で先輩は俺なんだから、向こうが先に挨拶するべきだろう。それにあれはアルバイト気分、総統もなんであんなのを引き入れたんだ! モンスター軍に入るってことは、コスチュームもチェンジしなきゃ駄目なんだ。身も心もモンスター軍にならないと!」とぼやきモード全開である。
 アン・ジョー司令長官から天龍がコスチュームを変えることを聞かされても、川田は「黒パンツ以外似合わないだろう。入場曲は俺の曲じゃなかったら試合に出ないからな」と駄々をこねる始末。もはやボヤキ王となってしまった川田に「はいはい、わかりましたヨ」と、半ば呆れ顔のアン・ジョー司令長官であった。
 そこに高田総統が登場。すると川田はすかさず「なんで俺じゃなくて、天龍さんがNo.2なんですか? 納得できる理由で説明してください」と詰め寄る。それにも答えようとしない高田総統に対して、「どうせ俺は、天龍さんに比べれば若僧だからな…」とすねる川田。そんな川田の態度に、さすがの高田総統も「そんなことより、今日はチキンが久しぶりに後楽園で試合をする日だ。あのチキンが二度と後楽園に出て来られないように、お前と大将で叩きのめせ!」と一喝。さらに高田総統は「モンスターK、大将の前では、おとなしくなってしまうんじゃないのか?」と意地悪な質問を投げかける。すると「そんなことありませんよ! 俺の方がNo.2にふさわしいってところを見せますよ!」と軽く逆切れした川田。そのままリングへ向かうかと思いきや、「司令長官、入場曲は俺のだぞ!」と釘を刺した。
 先にリングインとなったのは小川、大谷、金村のハッスル軍。こちらは金村の入場曲での登場となり、小川を中央にすえてのブリブラダンスを披露し、息のあったところを見せる。対するモンスター軍は川田の要求通り、川田の入場曲での登場となったが、そこに天龍の姿はない。先にリングインする川田を尻目に、控え室に天龍を呼びに行くアン・ジョー司令長官。すると会場に天龍の入場曲が鳴り響き、川田以上の大声援の中で天龍が入場。この光景を見て、川田は明らかに不機嫌そうな表情を浮かべる。さらにガウンを脱いだ天龍が身につけていたコスチュームは、川田と全く同じデザイン。しかも天龍のコスチュームには川田のコスチュームにはない、銀色のラメが入っており、天龍は得意気にそのラメの部分を川田に見せ付ける。これで更に機嫌を悪くしてしまった川田。試合でのコンビネーションに影響がなければいいのだが…

閉じる そうこうしているうちに、いきなり天龍が小川に掴みかかっていく。しかし小川は逆に天龍を豪快に投げ捨てると、そのままストンピング。天龍をモンスター軍コーナーまで追いやっていく。ここで川田に手を伸ばす天龍だったが、川田はそれを拒否。しょうがなくアン・ジョー司令長官にタッチした天龍だったが、川田はそのアン・ジョー司令長官に勝手にタッチして、リングに入ってしまった。やはり天龍と川田の人間関係はかなり複雑のようだ。
 しかし試合になるとキッチリ仕事をするのが川田の真骨頂。小川の巴投げに対して、強烈な蹴りを返すと、小川と川田はバックドロップの打ち合いを演じる。フラフラになった両者、タッチを求めようと手を伸ばす天龍だったが、やはり川田はそれに応じず。不意に背中を見せてしまったため、無防備のまま小川のバックドロップを喰らってしまった。これではもうどうにもならないと踏んだアン・ジョー司令長官は、勝手に川田の体に触れて、リングへ上がったのだが、モンスター軍にとっての悪い流れを変えることは出来ない。
 ちぐはぐなモンスター軍を尻目に、徐々に調子を上げていくハッスル軍は、まずは大谷がアン・ジョー司令長官に顔面ウォッシュ。客席のコールと金村に促されて予定より2発多いというおまけ付きだ。さらに大谷に代わってリングに入った金村は、アン・ジョー司令長官に強烈なドロップキックを見舞うと、キャメルクラッチの状態からアン・ジョー司令長官の顔面をかきむしる。
 さらにカットに入ろうとする天龍と川田を大谷がレフェリーを使って阻止、レフェリーの注意がモンスター軍にいっている間に、金村はアン・ジョー司令長官の股間にパイプイスを叩きつけるなど、やりたい放題である。完全に孤立させられてしまったアン・ジョー司令長官だったが、大谷とのエルボー合戦に打ち勝つと、何とか地力で脱出し、天龍とタッチ。
 リングに上がった天龍は説得力十分の逆水平を大谷に叩き込むと、さらに顔面かきむしり。この天龍のアシストを受けたアン・ジョー司令長官は、これまでのお返しとばかりに一気に大谷に襲い掛かり、必殺の蹴り技とサブミッションで大谷を攻め立てる。さらにアン・ジョー司令長官のタッチを受けた川田は、大谷の顔面をフロントキックで蹴飛ばすと、顔を踏みつけながらのハーフボストンクラブで大谷の左足を絞り上げた。
 と、ようやく波に乗ってきたモンスター軍だったが、やはり天龍と川田のコンビネーションは悪く、手を差し伸べる天龍だったが、川田はそれを無視。アン・ジョー司令長官を介してタッチを受けた天龍は大谷を対角線に振って逆水平を連発。さらに強烈な延髄蹴りで大谷をマットに這わせる。そしてここでようやく天龍と川田が合体攻撃を仕掛けようとするのだがこれも失敗。ラリアットの同士討ちとなってしまった。
 リング上は天龍と小川。天龍の逆水平に小川はローキックを返していく。手数では完全に上回っている小川だが、天龍も一発の重みでこれに対抗する。やや天龍に押され気味だった小川は起死回生のSTOで金村とタッチ。金村は天龍を後方に投げて、ロープを利用してのムーンサルトでフォールを狙うが、ここは川田がカットに入る。金村は天龍にエルボーとチョップ連打するが、天龍は全く効いた素振りを見せない。難攻不落の天龍に対し、金村は急所打ちからイス攻撃とありとあらゆる手を使って攻撃を仕掛けるが、天龍はそれをすべて受けきってしまう。
 するとそこに川田がリングイン。イスを高々と振り上げた金村をキックで迎撃すると、ついにここで天龍と川田が共闘! アン・ジョー司令長官のアシストで金村を孤立させると、天龍と川田がダブルの延髄蹴り! 力なくマットに崩れ落ちる金村から、天龍が3カウントを奪った。
 試合前にはゴタゴタのあったモンスター軍だったが、終わってみれば天龍と川田が連携技を見せての勝利。天龍と川田は試合後、がっちりと握手をかわし、結束の固さをアピールした。
 するとそこに青ラメのド派手なジャケットを着た坂田が登場。「オイオイ! 新GMのおでましだ! おい天パー!」と、いきなり天龍に噛み付く。この一言にキレた天龍は手に持っていたペットボトルを坂田に投げつけるが、坂田は「墓石でも探しとけ!」と罵倒をやめない。さらに坂田は「高田総統、聞いているか? これからは俺様がGMだ。テメエにおいしいとこは持っていかせねえ!」と、高田総統にまで口撃の矛先を向けるのであった。


開票速報

 突然、GM総選挙の開票結果の速報中継が入った。開票室と中継がつながり、そこにいたのはアントキの猪木だ。
「元気ですかーっ! ……はい、こちら現場のアントキの猪木です。ただいま、ほぼ開票が終わりに近づいてまいりました。結果を発表する前に、お前らに言いたいことがある。1人は必ずいると思いましたが…」そう言って猪木が投票用紙を一枚取り上げ、広げてみるとそこには、「佐藤耕平」の文字が。
「バカヤロー! 坂田かRGの名前を書けって言ったじゃねえか! これはまだいい!」さらに猪木が投票用紙を取り上げ広げると「アントキの猪木」「安倍晋三」と関係ない名前が出てくる出てくる。
 極めつけは「2016年は東京都」。これはオリンピックだろ!!
 観客のあまりのふざけっぷりに、怒り心頭の猪木は「お前らルールを守れ! 殺すぞ!」と2003年のキラーモード。
 無効票を除外した結果、新GMに決まったのは…坂田亘! 
 選挙当確の坂田の名前の上に花をつけた猪木は、「えーここで、新GMの坂田君へ、ひとつ、私から『詩』をプレゼントしたいと思います」と、本家が出版したと思われる詩集を開き朗読していった。
「馬鹿になれ。とことん馬鹿になれ。恥をかけ。とことん恥をかけ……」うっとりと詩に酔いしれる猪木だったが、ここで中継は一方的に切られるのだった。


セミハッスル

9分13秒 超新星ラナ

 名古屋でチーム3D・スパイクとのデビュー戦が決まったハッスル練習生・石井千恵に先立ち、今夜ハッスル初の生え抜きハッスラーが誕生する。ハッスル軍期待の新星KUSHIDAだ。
 KUSHIDAは今年2月、未来のスターの卵を発掘すべく開催された『ハッスル・オーディション2006』に参加。本選には進めなかったものの、その潜在能力が認められ練習生としてハッスル軍に加入。この日の為に厳しい練習に耐えてきた。今夜は、師匠TAJIRIとのタッグでセミハッスル出場というデビュー戦としては、破格の大抜擢! 記念すべきハッスラー・花の一期生のデビュー戦!  KUSHIDAは、一夜にしてシンデレラボーイとなるか? それとも厳しいプロの洗礼を浴びるのか? 明日のハッスルはどっちだ?
 それでは、KUSHIDAのいるハッスル軍控え室をのぞいて見ることにしよう。
「ブリブラってたしかこうだったよな…。俺、今日初めて踊るんだよなぁ。社交ダンスのステップが染み着いてるから、上手くできるかな…」と、メインで金村&TAJIRIとタッグを組む小川は初のブリブラダンス披露に少し緊張気味のようだ。
 すると、そこにTAJIRIが近寄ってきた。「キャプテン! 今からKUSHIDAのデビュー戦に行ってきます」。後ろからついてきたKUSHIDAは「お先に勉強させていただきます!」と礼儀正しく小川にあいさつ。手にはいま話題の“青春のシンボル”青いハンカチが持たれている。それで汗を拭くKUSHIDA。
「おお、頑張れよ。ようやくハッスル軍にも生え抜きの若い奴が出てきたんだな…。そんな緊張すんなって。俺なんかデビュー戦、東京ドームのメインだぞ。それに比べりゃ後楽園なんてどうってことねえですよ。ンムフフフフ。じゃあ、試合前に闘魂注入でもしとくか?」と、師匠譲りの(?)アドバイスで小川は気合を入れようとする。
 するとTAJIRIは「キャプテン、ビンタはちょっと。KUSHIDAは、今までのプロレスラーとは違う根性論だけじゃない、サイコロジーも取り入れた育て方をしたいんですよ」と小川を説得する。
 ちょっと不満そうな小川だったが、「ふーん、今までとは違うね…。ま、お前がそういうなら、任せるよ。でも、俺も師匠にはかなり、破天荒な教育されたけどなー」としごきを受けた昔を振り返る。
 それを聞いて思わず吹き出してしまったTAJIRIは「それでそんなんなっちゃったんだ。それは、お気の毒様でした…」と爆笑。
「おい、それどういう意味だよ?」とカチンときた小川。「いえいえ。キャプテンも苦労してるんだなってことですよ。とにかく、KUSHIDAは僕がちゃんとした、ハッスラーに育てますから。KUSHIDA行こう!」そう言ったTAJIRIはKUSHIDAと控え室を出て行った。
「あいつの変態性まで受け継がなけりゃいいけどな。ま、いいや…」KUSHIDAの行く末を心配する小川は、その後もブリブラダンス特訓に集中するのであった……。
 まずゆっくりと登場したのは、赤&青鬼蜘蛛。続いてTAJIRIとKUSHIDAがリングイン!

閉じる 先発はKUSHIDAと青鬼蜘蛛。リズミカルなロープワークで青鬼蜘蛛を翻弄したKUSHIDAは関節技で圧倒した。続いてTAJIRIが赤鬼蜘蛛とやり合う。TAJIRIは先ほどの弟子に負けない、リズミカルなリングワークを見せると観客からは拍手喝采が沸き起こる。
 再びKUSHIDAが青鬼蜘蛛と対峙。青鬼蜘蛛は顔をかきむしると、エルボーで追撃。KUSHIDAのやられっぱなしの姿をコーナーで見ていたTAJIRIは、「頭を使え!」とアドバイスを送る。「お手本を見せよう」とばかりにタッチして出てきたTAJIRIは、赤鬼蜘蛛を頭脳戦法で翻弄するとニヤリ。
 次に青鬼蜘蛛とKUSHIDAがやり合う。青鬼蜘蛛はバックブリーカーでKUSHIDAの腰を痛めつけに入った。赤鬼蜘蛛も登場して加勢する。防戦一方となってしまったKUSHIDAに赤鬼蜘蛛はエルボー。そして、粘っこいグラウンドテクニックからスリーパーで絞め落としにかかる。
 ツープラトンの攻撃に出てきた鬼蜘蛛はKUSHIDAを圧倒する。コーナーに上った青鬼蜘蛛はダイビング・エルボードロップ。これを寸前で交わしたKUSHIDAはドロップキックでピンチを脱出した。
 チャンスと見たTAJIRIとKUSHIDAは、必殺のダブル・タランチュラで華麗に師弟の共演!
 ダメージ大の青鬼蜘蛛を捕らえたKUSHIDAはフライング・ボディアタック。更にはノーザンライトスープレックスで勝負に出た。しかし、青鬼蜘蛛はカウント2でかわす。それならばと、KUSHIDAはパイルドライバーを狙うも、赤鬼蜘蛛が絶妙なカット。邪魔はさせんとばかりにTAJIRIも乱入するが、赤鬼蜘蛛は得意の蜘蛛糸攻撃だ。
 青鬼蜘蛛はボストンクラブでKUSHIDAを追い込む。KUSHIDAは手を伸ばして何とかエスケープ!
 ツープラトン攻撃で猛攻を見せる鬼蜘蛛。フライング・ボディプレスも食らい最大のピンチだったKUSHIDA。しかし、TAJIRIがカット。そしてTAJIRIは青鬼蜘蛛の顔面目がけてハイキック。赤鬼蜘蛛にはTAJIRIが毒霧を浴びせた。油断している青鬼蜘蛛に、KUSHIDAがフランケンシュタイナーを見事に決め、3カウント奪取。
 KUSHIDAがデビュー戦を勝利で飾り、マイクを握ったTAJIRIは「皆さん! 改めてご紹介します。ハッスル軍期待の新人、KUSHIDA君です!」と弟子の見事なデビュー戦に笑顔だ。
 KUSHIDAも「TAJIRIさんを信じて、とことんついていきます!」と意気込む。
 すると目の色が変わったTAJIRIは「言ったね? 今、とことんついてくるって言ったね? 知らないぞー。じゃあ、TAJIRI式プロレスの奥義をこれから徐々に伝授していって、日本で唯一の生え抜きのハッスラーになって欲しいな」と弟子に期待を込めた。
「じゃあ、そのための特訓として、試合終わったら2人で漫画喫茶に行って梶原一騎先生の劇画を読もう」とTAJIRIは早速変なアドバイス。ここで火のついたTAJIRIは止まらない。「明日は、秋葉原に行って太って息の荒い人の生態を観察して、月末にはペルーに行ってナスカの地上絵を見てマチュピチュを見て、ボリビアにも行ってね、あっちも……。決してふざけていってるわけではないからね。こういうのがこれからハッスルのサイコロジーに必要である」と、TAJIRIはあくまでも本気モードであった。
「これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします」深々と四方に礼をしたKUSHIDAは、TAJIRIと肩を組み控え室に消えていった。


石井千恵の挨拶

 休憩明け、ハッスル新人選手であり、純粋培養のハッスラー・石井千恵がリング上に登場。今年、中京女子大学卒業と同時にハッスル練習生となった石井。子供の頃からの夢だったプロレスラーを目指し、ここまで練習に励んできた。先月には総合格闘技のリングでもデビューして見事に勝利。また、大学で所属していた女子レスリング部では好成績を残し、卒業後は全日本社会人選手権に優勝。11月には国際大会出場のため、着々と力を蓄えている。そんなプロレスと女子レスリングの二足のわらじを履く石井千恵のハッスルデビュー戦が決定した。日時は10月9日、彼女の地元・愛知県体育館で開催される『ハッスル20』。
 ダッシュで入場した石井はリングインし、四方に礼。するとここで、デビュー戦の対戦相手が緊急発表された。その石井千恵デビュー戦の相手は何と! チーム3Dのスパイク!
 思わぬ大物との対戦に一瞬たじろいだ石井だがマイクを握り、「こんばんは、今度デビューすることになった石井千恵です。得意技は、高速タックルです。一生懸命頑張って、スパイクをやっつけようと思いますので応援してください。よろしくおねがいします」とあいさつし、深々と四方に一礼した。


アントキの猪木登場

『GM総選挙2006』決選投票の投票方法説明をするために、「炎のファイター」が会場に流れる中、登場したのは本家と瓜二つのアントキの猪木! 後ろにはリンラン姉妹を従え堂々とリングイン!
「元気ですかー! 元気があれば何でもできる、元気があればハッスルGM選挙にも投票できちゃうよ。汚れきった世の中にコノヤロ〜! またまた汚れきったハッスルにメッセージを伝えたくって、ハッスルにやって来ました。どんなに道は険しくとも笑いながら歩こうぜ。ンムフフフ。ということで、満を持してやって参りました。どうも、尽くして求めずアントキの猪木です」と、まずは本家そのまんまのネタであいさつ。
「起承転結、流れつながりオチ、一切無縁のアントキの猪木です。ンムフフフ」と再度あいさつすると、「気を取り直してハッスルGM総選挙の投票方法を説明しま〜す」と大声を張り上げる。
 入場時に配られた投票用紙に、RG候補か坂田亘候補、会場に来たファンがGMにふさわしいと思う方の名前を書いていくシステム。佐藤耕平候補は既に脱落しているため、RG、もしくは坂田、どちらかの名前を記入。それ以外の名前は無効となる。
 書き終わった投票用紙は会場ロビー、会場脇の通路、リングサイドに設置してある投票BOXか、リンラン姉妹が持つ回収BOXに投票する。
 一通り猪木ネタを絡ませながら、上記の説明を終えたアントキの猪木はもういっぱいいっぱい。
「それでは、これより投票に移りますが、その前にひとつ、景気付けにいつものやつやりますか!? それでは皆さん、ご起立ください」とスタンディングを要求。お客の反応を見たアントキの猪木は「良かった〜みんな立ってくれないんじゃないかと思っていたよ」と一安心。
 続けて「ハッスルでは初の『ダー!』でいきたいと思います。いくぞー! 1! 2! 3! ダー!」で盛大に締めるのだった。
 次期GMはファンの手にゆだねられた!


第3ハッスル GM総選挙 代理人3WAYマッチ

大森隆男(RGM代理)
VS
崔領二(坂田亘代理)
VS
× ジャイアント・バボ(佐藤耕平代理)

3分47秒 マックスボンバー

 もしかしたらこの一戦で新GMが決まるかもしれない、非常に大事な代理人3WAYマッチ。勝負の行方もさることながら、未だ発表されていないRGの代理人とは誰なのか? そちらも気になるところだ。
 まずは耕平&バボ、坂田&崔が順に入場。そして最後にリングに現れたRGだったが、その隣に代理人の姿はない。しかしなぜか自信満々の表情を浮かべているRG。「私はすごい人物を連れてきましたよ。リョウジ、バボ、お前らを♪一生リングに上がれない♪体にしてやるよ」と強気なコメントを連発すると、「私が連れてきた大物は『ワイルドハート』が入場曲のあの男だ!」と絶叫する。すると場内に『ワイルドハート』が鳴り響く中、大森隆男が花道に姿を見せた!
 大森コールが起こる中、リングに上がった大森はRGとがっちり握手をかわす。これにて代理人3WAYマッチはバボ、崔、大森の3人で行われることとなった!

閉じる ゴングが鳴ると、大森が崔に襲い掛かる。最初は大森と共に崔を攻撃していたバボだったが、すぐに仲間割れ。大森がバボの胸を突き飛ばすと、バボは大森にドロップキックを叩き込む。ここでバボは早くもバレーボールを手に取り、必殺のバレーボール攻撃で大森を攻め立てる。さらに大森をコーナーポスト最上段に座らせると、「そーれ!」の掛け声に合わせて、大森の脳天にアタック式のチョップを叩き込んだ。
 このまま一気に勝負を決めようと、ロープに飛んだバボだったが、場外でダメージを回復させていた崔が、下からバボの足を引っ掛けてバボのバランスを崩させる。すると大森がバボを担ぎ上げて、そのまま後ろに投げてフォール。しかし崔がそれをカットし大森をリング下に落とすと、バボにミドルキックを連打。崩れ落ちるバボをマットに寝かせた崔は、コーナーポストから強烈なフットスタンプ。そのままフォールし3カウントを狙うが、大森がかろうじてそれをカット。すると大森は伝家の宝刀アックスボンバーをバボと崔に連発。この一発で二人を蹴散らした大森が最後はバボから3カウントを奪い、GM総選挙は坂田とRGの決選投票にもつれることとなった。
 大森のおかげで首の皮一枚で次期GMへの可能性を残したRGは、「私の交渉術でこの大物を連れてきました。なんでこの私に清き一票をお願いします!」と決戦投票へ向けて最後のメッセージ。しかし「それにしても強いですね! やっぱり高●さんは強い! ノーフィアー!」と、大森を大森の元タッグパートナーである●山義廣と間違うという大失態を演じてしまう! 浮かれ気分のRGだったが、大森から強烈な蹴りをもらい、そのままリング下へ落下してしまった。
 すると今度はそこにもう一人の候補者・坂田が登場。「なんだ、このオチは。どうしようもねえな。こんなヤツにハッスルの未来は託せねえ」と吐き捨て、リングに上がると「俺は今まで一度たりとも、人に頭を下げたことはない。でも今はそうは言ってられないんだ。今日、俺はお前たちに頭を下げる」と、坂田はリングのど真ん中で正座。そして「俺がハッスルを変える! 俺に一票を入れてください」と、そのまま額をマットにつけたのだ! あの傲慢な坂田からは考えられない行動、それだけ今回の総選挙にかけるものがあるのだろう。
 最後、リングを降りる際にも四方に向かって深々と頭を下げた坂田。そんな坂田の懸命な姿に客席からは大きな拍手が起こり、会場を微妙な空気にしてしまったRGとは大違いだ。この会場の雰囲気を見る限り、坂田の次期GM就任は確実…!?


第2ハッスル

6分19秒 乙女の恥じらい・

『ハッスル・エイド2006』で、ハッスルスーパータッグ王者に輝いたErica&マーガレットの最強乙女軍団。「女の子でも男に勝てる」を合言葉に、男性レスラーを倒しチャンピオンになっている。王者となった後もその勢いは止まらない。ゴモラ&“モンスターK'”佐藤&ジャイアント・バボのチーム6M、さらにハンディキャップマッチとはいえ、天龍・坂田組に勝利するなど、まさに向かうところ敵なしだ。
 ところがそんな快進撃を続ける乙女軍団にある人物が噛み付いた! それはドクロンZ! インリン様亡き後、一人で高田アマゾネス軍を守り続ける孤高の女戦士が、乙女軍団に積年の恨みを晴らすべく、沈黙を破り立ち上がった! ドクロンZは、パートナーとしてドクロンZの父である、ドクロンZ・パパを連れてくると宣言。
 ノンタイトル戦ということもあり、軽い気持ちで勝負を受けたErica&マーガレットであるが、果たして軽く受け流せることができる相手なのか? ドクロンZ・パパの正体は、本当にドクロンZのパパなのか? 得体の知れない不安が乙女軍団に忍び寄る!
 イスを持ち上げアピールしながら、まず初めに入場したのはドクロンZ。リングインすると「パパ〜!」とドクロンZ・パパを呼び込んだ。
「私がドクロンZのパパなのだ〜」と大声が会場内に響き渡る中、『天才バカボン』のテーマ曲に乗って登場したのはドクロンZ・パパ。ドクロンZと同じように左目には黒い模様、そして腹巻をしているではないか。どこからどう見ても実写版バカボンだ。

閉じる「パパ」コールの中、EricaはドクロンZにいちゃもんを付ける。ドクロンZ・パパの顔はどう見てもイケメンではなく、ただのおじさんだったからだ。「うるさい」とばかりにドクロンZはEricaに蹴り。
 ここでゴング。先発はパパとEricaだ。ロックアップした両者はショルダータックル対決へ。五分五分の展開であったが、何倍もの体格を持つマーガレットの登場で痛めつけられるパパであった。
 するとドクロンZが助太刀。そしてEricaとマーガレット二人をまとめて蹴散らす。パパもラリアットで追撃。しかし、スタミナ切れのためか(?)パパは早くもダウン。
 イスを手にしたドクロンZは横たわるErica目がけてムーンサルトプレス。しかし、Ericaは足を突き出してブロックだ。
 すかさずマーガレットは腹にダメージを負ったドクロンZ目がけてボディプレス。何とか立ち上がったドクロンZはロープを使ってのムーンサルト・プレスでやり返すと、パパにタッチ。
 しかし、パパは「まだ早い」とばかりにドクロンZにビンタをするではないか。仕方なくドクロンZは一人で奮闘。Ericaのジャーマン・スープレックスを食らったドクロンZはグロッキー状態。
 ここでようやくパパがリングイン。パパは石頭ヘッドバットで2人を迎え撃つも、ダブルのスティンク・フェイスで逆襲されてしまい意識もうろうだ。
 チャンスと見た乙女軍団はドクロンZ目がけてサンドイッチ・ボディプレス。最後にEricaがコーナーからのエルボードロップ(乙女の恥じらい)でドクロンZを仕留めたのだった。
 試合終了後、マイクを握ったパパは「オレの教えたプロレス、全然出来てないじゃないか」と娘に向かって説教。するとドクロンZは母国語であるスペイン語(?)で言い訳をしているようだ。当然、誰も聞き取れるわけではない。しかし、「それを言っちゃおしまいだよ〜」とパパは納得。さらにドクロンZが異国語で言い訳をしていると、「次、頑張ろうよ〜」とパパ。親子はリング上で抱き合い、親子愛を見せつけるではないか。
 リング上での2人のやり取りにさっぱりのEricaは「ちょっと! バカ親子! 何なのよ! そのコミュニケーションの取り方! みんなさっぱりよ。あんたたち、そんなんでいいわけ?」と疑問を投げかける。すると、「これでいいのだ〜」と、バカボンのセリフでうまくまとめるパパであった。
 今度はリング上に残った乙女軍団がマイクを握った。イケメンとのタイトルマッチにこだわってきたErica&マーガレットは、「もうイケメンとの防衛戦にはこだわりません!」と気分を一新。「私たちが倒さなきゃいけない敵が来月来ます! チーム3D! 来月9日の名古屋で、私たちのベルトを賭けて闘ってやるわ! 全ての乙女の代表として、絶対3Dに勝ちマース! みんな応援してね〜!」とマーガレットは打倒チーム3Dに向けて怪気炎。そして「チーム3D! ナンボノモンジャ〜!」とマーガレットも続いた。


第1ハッスル

8分17秒 空から黄色がふってきた!!

 第1ハッスルを前に、何やらアン・ジョー司令長官は不機嫌な様子。「RGといい、坂田といい、K'といい、どうもパッとしないメンバーばかりデース。ハッスルのGMの権威がどんどんなくなっていきマス。今回の面子は顔が地味すぎマース!」と、総選挙の立候補者に不満があるようだ。
 するとそこに高田総統が登場。「顔が地味すぎるのはお前も一緒だ! お前の場合は地味を通り越して、ド派手なブサイクと言ってもいいがな」と、何ともシュートなツッコミを入れる。これにはさすがのアン・ジョー司令長官も「ひ、ひどいデス、総統…」とがっくり肩を落とした。
 そんなアン・ジョー司令長官の隣で総統は「総選挙か」とつぶやくと、突如あるお笑い人間のネタをパクり始めた。

♪どうでもいいですよ
誰になっても、私の方が偉いという………事実♪

♪どうでもいいですよ
なると必ずひどい目に合わされる………汚れ役♪

と、だいたひかるばりに“どうでもいい”歌を歌った総統は「私は今日のGM総選挙には興味がない。新GMは最高級葉巻を手土産に、私のところに挨拶に来い!」と豪語するのであった。
 さて総選挙に関する話が一段落ついたところで「今日の第1ハッスルは、前回に続いて今回もXなんですが、ひょっとして、前回好評だった『長州か』が出てくるんデスカ?」とアン・ジョー司令長官。心配そうなアン・ジョー司令長官だったが高田総統は「この私が同じ手を何度も使うと思っているのか? 蚊の季節はもうとっくに終わっている」と一喝。高田総統は今回のために、自ら山口県の山奥に出向き、そこにわずかに生息する猛毒の粉を持つ伝説の蛾を採取してきたというのだ。
 そう、今回、高田総統が第1ハッスルのために送り出したモンスターは、その蛾のDNAから生み出したレジェンドモンスター“長州ガ”!
「ハッスル仮面、それがお前のやり方か? 相手がハッスル仮面じゃスイングしねえなぁ。何コラ、タココラビターン!」
 高田総統は長州力のモノマネで長州ガを送り出した。

閉じる 先発はデビルピエロ2号とブルー。ブルーがスピーディな攻撃でデビルピエロ2号を翻弄すると、続けてリングに入ったイエローも巨体に似合わない身軽な動きを見せて、デビルピエロ2号からタッチを受けたデビルピエロ1号をヒップアタックで吹っ飛ばす。するとそこにレッドがすかさずダイビングボディプレス! そのままリングに入り、ロープに飛ぶレッドだったが、リング下に潜んでいたデビルピエロ2号がレッドの足を引っ掛けてリング下に落とすと、レッドを鉄柵にたたきつける。これで勢いに乗ったモンスター軍。デビルピエロ2号がブルーをストンピングで踏みつけると、ついに長州がリングイン。本家を髣髴とさせるストンピングを見せる。
 完全にブルーを孤立させたモンスター軍。デビルピエロ1号&2号が二人係でブルーを痛めつけていく。そして長州が満を持してのリングイン。デビルピエロ1号との連携でブルーをバックドロップで投げ捨てると長州はサソリ固め! しかしここでは技の形に入る前に技を解き、観客をじらす長州であった。
 その後も2人係でブルーに攻撃を続け、陽気に踊りを踊ってハイタッチするピエロたち。しかし調子に乗りすぎたピエロに一瞬の隙が生まれた。ピエロ1号&2号に高々と持ち上げられたブルーだが、体を動かしてそこから脱出し、イエローとタッチする。
 ダメージもほとんどない元気なイエローはデビルピエロ1号&2号をボディプレスで蹴散らすと、高角度のドロップキックとジャンプキックで二人を場外へ落とす。そしてイエローは場外へブランチャーを敢行! さらにイエローに続けとばかりに、レッドも鮮やかな空中殺法を披露し、側転を織り交ぜて場外へのボディプレスを見せた。
 リング上はブルーと長州。ブルーは長州の体を抱え上げて、そのまま前方に叩きつける。しかし長州にダメージはなく、逆にブルーに、強烈な“ガ”ラリアットを見舞う。そしてさっきは不発だったサソリ固めを極める長州。カットに入ったイエローとラリアットの打ち合いを演じる。お互い一歩も譲らずに互角の展開となる長州とイエロー。しかし、ここでレッドとブルーが上手い連携プレイを見せて、長州の攻撃を遮断すると、イエローが強烈なラリアットで長州を迎撃。最後はイエローが巨漢を活かしたフライングボディプレス“空から黄色が振ってきた”で長州から3カウントを奪った。


どうする? どうなる? ハッスルの未来

 今後のハッスルの行方を決めると言っても過言ではない、今日のGM総選挙。いつもであればRGがリングに上がり、開会宣言をするのだが、今日は立候補者3人とハッスル実況・矢野武アナウンサーによる討論会「どうする? どうなる? ハッスルの未来」が行われた。矢野アナウンサーが出したお題は“今、ハッスルに足りないもの”。
 すると真っ先にマイクを持ったのがRG。「ヨ〜ヨ〜ヨ〜」と話を始めようとした瞬間、早くも客席からは「帰れ!」コールが巻き起こる。しかしナチュラルヒールのRGにとってブーイングは大歓迎、帰れコールに合わせて得意のダンスを見せるのであった。こうして一通りブーイングを浴びきったRGだが「ハッスルに足りないものは笑い。ハッスルは老若男女が楽しめるエンターテインメントでなくてはならない。いずれは紅白歌合戦のようなお化け番組にするためにも、笑いは必要不可欠なんです」と、珍しくまともな持論を展開。しかしここからRGがいつもの暴走を開始する。笑いのために必要なものが、オープニングでのRG1時間トークとエンディングでのRG1時間カラオケだと言うのだ。RGへ向けれらた若干の拍手も、このRG発言で再びブーイングへ早変わり。「ご覧の通りです」と矢野アナウンサーになだめられるRGだった。
 そんなRGとは対照的に観客のハートをがっちり掴んだのは坂田亘だ。「今、ハッスルに足りないものはサプライズだ! 大物レスラーの参戦、大物芸能人の投入、斬新なマッチメーク。こんなところだろう」と、最もな意見を展開すると、客席からは大きな拍手が巻き起こる。笑顔の坂田を恨めしそうに見つめるRGは「ま、天龍さんに裏切られたのが、ビッグサプライズでしたけどね」と余計な一言。掴みかかろうとする坂田にビビリ、RGは案の定、イスから派手に転げ落ちた。それでも懲りないRGは耕平がマイクを持つと「何言っているか分からないんだから、時間の無駄だヨ〜」とまたしても余計な一言。しかし大人な耕平は決して殴りかかるようなことはせず、「うっせえ! バカヤロー! お前のつまんねえギャグより聞きやすい」と一喝すると、自分の聞き取りにくいしゃがれ声を考慮して、矢野アナウンサーに手紙を渡した。
「今のハッスルには闘いが足りない。もし自分がGMになれば、ハッスルのリングを闘いに満ち溢れた殺伐としたものにする。そのために試合前後のマイクを禁止する」(耕平:矢野代読)
 すると「自分がしゃべれないからって何ですか! ハッスルからしゃべりを抜いたら45分で大会が終わっちゃいますよ!」とツッコミを入れるRG。痛いところを突かれた耕平はRGのイスを蹴飛ばすのであった。
 さて、今回の総選挙はRGの勝手な希望により変則的な3本勝負で行われることとなっている。簡単に説明すれば

(1)8・24から募集していたハッスルオフィシャルサイト投票
(2)今日行われる代理人による3WAYマッチ

上記の二つを制すれば自動的にその候補者がGMに就任。それぞれ別の候補者が制した場合は

(3)その二人を対象として会場で決選投票

になるというもの。つまり(1)で1位を取っていれば、3WAYマッチを待たずして、新GMに王手をかけられるわけだ。
 そしてその重要な投票結果が会場のスクリーンに映し出されると、何と坂田が他の2人に倍以上の差をつけてブッチギリの1位!
 これにより3WAYマッチで坂田の代理人・崔リョウジが勝利した場合は文句なしで坂田が新GMに決定、崔が敗れた場合は坂田と3WAYマッチでの勝者による決選投票ということとなった。予想外の圧勝劇に「もう俺がGMに決まったんじゃないの?」と満面の笑みを浮かべる坂田。3人の立候補者は改めて後楽園の集まったファンに向けて決意の程を語った。

「まだまだ闘いが終わったわけじゃないですよ! これから巻き返しますよ。お客さん♪一生、一緒にいてくれや〜♪」(RG)

「もうこれでGMになったも同然だ。貧乏なお前らは、小遣いを貯めて、チケットを買って会場に来ているのは分かる。だからそんなお前らを絶対に損はさせねえ!」(坂田)

「本当にこいつらがGMになっていいのか? ちゃんと真剣にハッスルのことを考えているのはモンスター軍だ」(耕平)

 果たして新GMの座は誰の手に!?


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