ファイトカード

高田総統劇場

「おい! そんなもんでイベントが締まるかよ!」
 坂田GMW渾身の新ポーズ“ワッタル! ワッタル!!”にダメ出しをしたのは、高田総統だった。「威風堂々」のテーマ曲が流れ、バルコニーに高田総統以下、モンスター軍が勢ぞろい。高田総統はモンスター軍カラーのパープルのサンタクロース衣装である。
「毎年のことだが、ここにいるモテナイやつらのクサイ臭いが充満しているな! やっぱりむせっ返りそうだよ。なんだか、この酸っぱいオイニー(におい)で涙が出そうだよ。正真正銘! 暇でモテない下々の諸君、メリークリスマ〜ス! 我こそが高田モンスター軍総統高田だ!」
 爆発する総統コール。さすが後楽園ホールのお客さんはいじられなれていると言えるだろう。総統の毒舌もますます冴え渡っていく。
「不幸を背負って生きている諸君に、ひとついいことを教えておこう」
 ここで客席から「なに?」とタメ語による野次が飛ぶと、「何を、この野郎!」とすっかりスネてしまう高田総統。一時は引っ込んでしまったが、総統コールに気をよくして再びバルコニーに姿を現す。
「幸福を得るために最も大切なことは、常にだ、自分の気持ちに素直であることだ。ということはだ、落ち着いてよーく聞きたまえ。何が悲しくて、この聖なる夜にだ、好きでもないB級レスラーの名を叫ばないといかんのだ! 嫌なことは嫌だと、きっぱり断る勇気を持ちたまえ。わかるだろう? そもそも“ワッタル! ワッタル!!”なんて、おい! お前正気か? そんなのでイベントが締まるわけないじゃないかよ!」
 B級レスラーとは言うまでもなく、リング上にひとり取り残された坂田亘GMWである。その坂田に容赦なく浴びせられる「B級! B級!」のコール。お客さんも“ワッタル! ワッタル!!”はよっぽど嫌だったのだろう。しかし、総統に馬鹿にされたままで引き下がるGMWではなかった。
「おい! お前こそ、なんだその格好は? 完全にウケ狙いじゃないかよ! 偉そうなこと言ってるけどな、お前もじつはみんなの声援が欲しいんじゃないか?」と鋭いツッコミを入れるが、総統は「おい! 欲しいよ。ああ、欲しいよ!」とアッサリ肯定。この可愛らしい総統にまたも総統コールが爆発する。
「ぶっちゃけな、ブーイングより総統コールが起こった方がテンションあがるも〜〜ん!」とかなりぶっちゃける高田総統。そこへモンスターKが割って入った。
「おい! お前、本職は居酒屋だろう? こんな所で“ワッタル! ワッタル!!”なんてやってていいのか、お前? B級レスラーが作るB級グルメの糧みたいなもんだよ。それとな、お前のところにいるレスラー上がりの、手羽先一本揚げられないようなヤツがいるだろう? 従業員の。あいつな、給料が安いって嘆いていたぞ! それと、『ハッスル・マニア(2006)』で妖精さんを連れてきてちょっと調子に乗ってるんじゃないか? タレントと付き合うと怖いぞ! 何年か後に、お前も暴露本に書かれるかもしれないからな!」
 相変わらず、どこから集めてくるのか分からないが情報通の川田。坂田の私生活を滅多切りにする。これに対し、GMWも反撃だ。
「あのな、言わせてもらうぞ。俺の店は居酒屋じゃねぇんだよ。高級和食ダイニングだ! それからな、暴露本だと? お前、石原真●子のことを言ってるのか? あんなケツの軽い女とウチの彼女を一緒にするんじゃねぇよ! そしてだ、ひがむな! そんなに公私ともに充実しているこの俺サマが、羨ましいんだろ?」
 自慢げに勝ち誇るGMWだったが、川田の反応は「羨ましいよ。ああ、羨ましいよ! 俺だってな、クラブの姉ちゃんと酒飲んでるより、タレントと付き合いたいも〜〜ん!」と、先ほどの高田総統のギャグをさっそく採り入れる抜け目のない川田! これには高田総統も驚きだ。非難の目を向けるが、川田は気にせず続ける。
「俺の夢を教えてあげよう。一緒に旅をして、サラダを食べるんだ。もちろん、土曜日の朝にな!」
 場内爆笑! 一人だけ動揺したのは高田総統だ。
「おい、ちょっと待てモンスターK! 今なんて言った? 旅に出て土曜の朝にサラダを食べる? “旅サラダ”じゃないか! ウダウダ長い前振りしやがって! こんの野郎〜っ! おい、モンスターK。人の話に割り込んだうえに、この私にケンカを売っているのか? 言っとくが今はな、総統劇場の時間なんだよ! 私より目立つな!」
 激昂する高田総統だったが、川田はすかさず「だって、僕も喋りたいも〜〜ん」と高田総統のギャグをもう一発。しかし、調子に乗りすぎたようだ。高田総統から「今日はもう一言も喋っちゃダメ!」とキツくお叱りを受けてしまった。
 睨み合う総統と川田。「何だ、その目はよ? 反抗的じゃないか。一杯飲みに行くか? 日暮里の店を予約しておきたまえ」総統がそう言うと、笑顔で頷く川田であった。
「おい! 最高責任者とやらを名乗る貴様にひとつ聞きたいことがあるんだが、いいかな? 前回のハッスル・マニア(2006)で、せっかく盛り上がったイベントのケツをグダグダにした、あのチキンの件だ。おい、ぶっちゃけた話、あいつどうすんの?」とGMWに問題提起する高田総統。
 すると坂田は、「それは……俺にとってもちょっと頭の痛い問題だ。こっちもぶっちゃけちゃうが、マニア後の苦情の数々、ダントツ1位だったのが小川の締めだ。あれさえなければ、けっこういいイベントだったんだがな…」と苦悩する。どうやら、かなりの苦情を受けたようだ。
「おい、GMWも何かと大変なんだな……」と同情する高田総統が「ま、普通に考えれば、奴はクビだな!」と言い放つと、GMWはアッサリと「ああ、クビだ。来年の構想には、全く入っていないな」と同意する。
 なぜか場内は大爆笑に包まれたが、そこで「おい! 誰がクビだって?」と小川本人がリングに登場!
「おいおいおい、今日はなんだかアウェーな空気だな! さっきから黙って聞いてりゃ、人のことボロクソ言いやがってこの野郎! 大体な、ハッスルを始めたのはこの俺だぞ! なんでお前らにクビを宣告されなきゃいけねえんだよ! あん?」と怒りをぶちまける。そんな小川に、高田総統が優しく語りかける。
「おい、チキン君よ。酷な言い方をするが、これは我々が言っているんじゃないんだよ……ファンの声なんだよ! 大将、鈍感なチキン君にファンの声を聞かせてやりたまえ!」高田総統が促すと、天龍はハガキの束を手にしてしわがれ声で読み上げ始めた。
「メインの試合は良かったけど、小川のマイクがダメだった。17歳、女子高生。3年間の集大成なのに、キャプテンのマイクが全てをぶち壊した。56歳、桜新町、寿司屋のおやじ」と次から次へと苦情を読み上げる天龍に、小川がぶち切れる。
「おい、おい、おい! ジジイ! 何、言ってるかさっぱり分からねぇよ!」
 しかし、総統がそれ以上は口を挟ませない。
「要するに、だ。もはやファンは君のことを必要としていないんだよ。ハッスル軍はエスペランサーに完敗した。その事実は貴様も認めるな? ならばだ、キャプテンとして何らかのケジメをつけるのは当然じゃないか? わかるだろう?」とかなり手厳しい通告である。これに対し、小川は「おめぇにそんなこと言われなくてもわかるよ! だがな、これだけは言っとくぞ。批判は重々、承知の覚悟だ。エスペランサーは、いつか必ず俺の手で倒すからな!」と力強く宣言する。
 が、高田総統は「ん?」ととぼけた声を出す。「私の言っていることを全然理解してないようだな。分かった! これ以上、キミと話していても時間の無駄だよ」と小川との会話を一方的に打ち切り、「では、下々の諸君に話をしよう。明日は、2006年のフィナーレを飾るにふさわしい豪華で楽しいショーをお見せしよう。楽しみにしてくれたまえ! では、今日はここまでだ。バッドラック!」とさっさと立ち去っていった。
「もういい!」と威風堂々のテーマを遮ったのはGMWだった。GMWは小川の方を向くと、「俺はな、あんまり過去の話をするのは好きじゃないんだがな。その昔、俺はあんたを尊敬してた。だがな、今のあんたは自分のことさえ見えてねぇんじゃないのか? GMとして厳しいことを言わせてもらうなら、マニアでさらした醜態は、テメェで片をつけろよ!」と吐き捨て、リングを去っていった。
 最後に小川がひとり、ポツンとリング上に残る。その姿はあまりにも寂しげだ。思わず場内から「頑張れ!」という声がその背中に飛ぶ。
「これくらい、どうってことねえって言いてえけど……今回ばかりは、そうもいかねえな……」
 さすがに困り果て、ガックリとうなだれて言葉が出てこない小川。そこに「何、いじけてんだよ。キャプテン!」とニューリン様の声が! 続いて「セイセイ、今夜は私がベッドでなぐさめてあげましょー!」とHGの声も! 『ハッスル・マニア2006』でエスペランサーの凶弾の前に倒れ、その安否が気遣われていた二人が元気にリングイン!
「どうもー、HGでーす! みなさーん、メリーペニスマス! いや〜、皆さんのおかげで私本日、プロレス大賞の新人賞を受賞しました! ありがとうございます」と、受賞の報告と喜びを伝えるHG。「でも、去年は曙、セイ!」とノリツッコミだ。
「アタシの名前は、ニューリン。皆、私をニューリン様と呼びな!」とニューリン様も健在。TAJIRIは嬉しそうにニューリン様コールを促す。
「よお! 俺のことよりお前らこそ大丈夫なのか?」と問いかける小川に、副キャプテンの大谷が答える。「キャプテン! HGもニューリン様も、今日はキャプテンのことが心配で内緒で駆けつけて来たんだよ」と説明。
 HGは「キャプテン! そして皆さん! 知ってるかもしれませんが、私は今、難病に犯されています。私は先日のスペルマンサー戦で、闘う勃起不全、ファイティングED! 略してFEDという病気にかかっております。分かりやすく言うと、ゴリゴリの男子を見ても、海綿体に血液が集まらない状態です。そんな恐ろしい病気にかかっています」
 それを聞いた小川は「病気?」と後ずさる。しかし、HGから「これはウィルス性ではありませんから、伝染りません」と説明する。続いて口を開いたのはニューリン様だ。
「アタシは、エスペランサーに胸を打ち抜かれたけど、処置が早くて、なんとか大丈夫そうだよ。でも、打たれた瞬間はマジで死ぬかと思ったよ!」と恐怖の瞬間を語るニューリン様であったが、傍にいたTAJIRIは「ニューリン様、東京スポーツで読んだんですけど、ニューリン様の乳輪がなくなったって…」といらぬ心配をするTAJIRI。ニューリン様に睨みつけられると、「嘘ですよね。今度、東京スポーツを訴えましょうね!」と話を誤魔化す。
 気を取り直したニューリン様は「キャプテン! 次は絶対、勝てるからさ。もう一回、イチから出直そうよ」と小川を励まし、HGも「そうですよキャプテン! 私もこのFED回復のためにブラジルにいるサッカーの神様、絶倫ペレにアポを取ってコンタクトがとれましたから! もう一回、やり直ししましょう!」と力強い(?)言葉。場内は大きな拍手だ。
「ありがとう、ありがとう」と小川。「でもよ…おめぇらをこんな目に合わせちまったのはこの俺の責任なんだよ。高田の野郎に言われたけど、こればっかりはしっかりとケジメをつけなきゃいけないと思ってるんだよ。一日だけ待ってくれ! 結論は明日、出す」と、明日26日(火)も後楽園ホールで開催される『ハッスル・ハウス クリスマス・スペシャル part2』にて、“重大発表”をすると宣言した。どよめく場内!
 この重い雰囲気を打ち破ったのは、やはりムードメーカーの大谷だった。「せっかく久しぶりに皆が揃ったのに、そんな暗い顔しないでくれよ。今日は、ファンの皆にプレゼントがあるんだろ!」と小川に言うと、小川は思い出したように「そうだ! 今日はクリスマスだったよな。わりい! 皆にプレゼントがあったんだ!」とプレゼントの発表。それは、サインボール投げと、当たりのボールを手にしたファンは「リング上で5人と記念撮影」する権利、「高田モンスター軍の寄せ書き」、「本日、選手が着用したTシャツにサインを入れてプレゼント」と豪華景品が当たるというもので、これにはファンも大喜びだった。
 最後はニューリン様が久しぶりにM字を披露することに。「今日はクリスマスだから特別に真心込めて、アタシがM字で締めてやるよ!」と「スリーツーワン、ハッスル! ハッスル!! 真心―!」と、飛びきりのクリスマスプレゼントを贈って締め括った。
 大盛り上がりでエンディングを迎えた今宵の『ハッスル・ハウス クリスマス・スペシャル part1』。しかし、進退を問われた“キャプテン・ハッスル”小川直也が下す結論とは? 江頭2:50がハッスルで残す伝説とは? そして高田総統が予告した「フィナーレを飾るにふさわしい豪華で楽しいショー」とは? いよいよ明日26日、2006年のハッスルに衝撃の幕が下ろされる!

メインハッスル

12分51秒 ジャパニーズRG(レッグロック)クラッチ

 ハッスル軍控え室、RGが何やら神妙な顔つきで手紙を書いている。その手紙の内容とはこうだ。
「今、パパは戦場にいます。これから戦争をしなくてはなりません。今までパパはたくさんの強い人たちと闘って、そして生きて帰ってきました。
 でも今回ばかりは駄目かもしれません。
なぜなら今日の対戦相手の二人は、とても性格が悪いからです。二人ともきっと、パパのことをすごく嬉しそうにいじめるでしょう。考えたくありません。
 パパにもあちちさんという味方がいるのですが、あまりパパを助ける気がないのか、興味がないのか、さっきから話をしてくれません。目の前には大きな敵。味方の補給もなし。そう、まるでここは硫黄島です。これはパパから息子へ、硫黄島からの手紙です。
 でもパパは逃げません。唯一のチャンスは、相手の二人が急造タッグということ。
ひょっとしたらパパにも勝てるチャンスがあるかもしれません。
 パパが闘うこの一日には意味がある」
 内容だけを見れば非常に感動的であるが、ようは大ヒット映画『硫黄島からの手紙』のパクリである。RGは無駄にシリアスなムードを漂わせつつ、カツラとサングラスを被りリングへ向かった。
 いつもは激しいダンスで客席を冷めさせるRGだが、今日は明らかに元気のないダンスでお客さんは大爆笑。肩を落としたままリングに上がるRGは、暗い表情のまま四方に礼をする。続いて『風になれ』に合わせた手拍子の中、鈴木が登場。リング上でRGをにらみつけると、RGは思わず気を付けの姿勢のまま、鈴木に頭を下げる。その後、大谷、坂田の順番で選手が続々とリングイン。試合開始直前、この一戦の勝利者チームは来年度のファイトマネーが倍になるといううれしいニュースが告げられた!

閉じる いざゴング! といきたいところだが、坂田と鈴木の間に早くも内紛が勃発。どちらが先に闘うかでどちらも全く譲らないのだ。二人一緒にリングに出たり入ったりを繰り返すうちに、「どっちでもいいから来いよ!」とあきれる大谷。結局、鈴木が先発となったのだが、リングを一周すると何と坂田に逆水平でタッチ! 鈴木を睨むようにリングに上がった坂田も、鈴木と同じようにリングを一周すると、鈴木の胸元に強烈な逆水平。明らかにチームワークの悪さを露呈する二人であった。
 ようやく大谷と鈴木が張り手とエルボーの打ち合いを繰り広げ、試合が試合として成り立つ。ここで大谷は鈴木をフロントキックで吹っ飛ばすというお膳立てで、RGにタッチを要求するものの、RGはそれに応じない。客席から「いけよ!」とブーイングが起こっても、RGはその声に耳を傾けようとはしない。立ち上がった鈴木は大谷を強引に自陣コーナーにたたきつける。するとここで坂田が強引に鈴木にタッチして、大谷の顔面に拳を落としてエルボーを打つ。しかし大谷も強烈な二ールキックで応戦。坂田をマットに大の字にすると、ついにRGが大谷のタッチを受けてリングに上がった!
 しかしリングに上がってもRGのチキンぶりは変わらない。「すいません!」と言いながら、軽〜くストンピングを打つと、大谷とタッチする。大谷が坂田をパワースラムで叩きつけ、すぐにタッチするもRGはここでも「すいません」と言って、軽くストンピングするだけだ。さすがの大谷もRGのこの体たらくに怒り心頭! 「お客さんが待ってんだろうが!」と、RGのケツを蹴り上げて、無理やりRGをリングに入れた。
 さすがのRGもこれで観念したのか、「すいません、坂田さん」と言いながらストンピングを落とし続ける。すると大谷とお客さんが大RGコールを送る。これで調子に乗ったRGは徐々にストンピングを強くし、挙句の果てには手を振り回して客を煽ってからのストンピング! 最終的にはマッスルポーズを決めて、客にアピールするのであった。しかし坂田はスクッと立ち上がり、はしゃぎまわるRGの姿を後ろから見つめている。そしてRGと目が合うと、強烈な張り手を見舞う坂田。痛がるRGをさらに拳で殴りつけた。身の危険を感じたRGは対戦相手である鈴木にまで助けを求めるのだったが、あえなく撃沈。鈴木にロープ越しに羽交い絞めにされたRGは、坂田の強烈な逆水平を胸に受けた。
 性格の悪さには定評のある二人だけに、ここでRGいじめが終わるわけがない。坂田がRGをマットに叩きつけると、拳で顔面をグリグリ。するとなぜかここで鈴木が「何だそれ? こうやってやるんだよ」と、坂田に代わってリングに入って、RGの顔面にグリグリと拳をこすりつける。その後も、代わる代わるリングに入り、RGいじめで意地を張り合う二人。ひたすら二人の拳で顔面をこすり上げられたRGの顔面は、真っ赤に晴れ上がっていた。しかもRGいじめはここからエスカレート。鈴木がフェイスロックでRGの顔面をねじり上げれば、坂田はアキレス腱固めでRGの左足を絞り上げる。ここでRGは思いっきりタップするものの、レフェリーは鈴木のカットに注意がそらされてしまい、RGのタップを見逃してしまった。
 二人の攻撃に耐え続けたRGの姿に胸を打たれたのか、大谷は「よく頑張った」と鈴木の攻撃をカットすると、すぐに鈴木に顔面ウォッシュ! さらに大谷はカットに入った坂田に蹴りを見舞うと、そのまま鈴木と逆のコーナー下に坂田を座らせる。大谷はRGにリングに入るように促し、RGが鈴木に、大谷が坂田に奇跡の顔面ウォッシュで競演! 客席からは大きな歓声が上がる。しかしこのまま上手くいくRGではない。二人で息を合わせて顔面を蹴り上げようとロープに飛ぶものの、坂田と鈴木はその隙に立ち上がり、二人に強烈な一撃。さらに坂田と鈴木は大谷とRGをリング中央で正面衝突させる。そのままリング下に転げ落ち、グロッキー状態のRG。リング上で大谷は完全に2対1になってしまう。しかしここで意地を見せる大谷。二人にボコボコにされながらも、強烈なバックドロップで鈴木を投げ飛ばし、嫌がるRGと無理矢理タッチする。
 マットに大の字の鈴木にストンピングを叩き込むRGだったが、その足をとられて相手コーナーまで吹っ飛ばされてしまった。坂田の逆水平を受けて、もはやボロボロのRG。すると坂田は「そろそろ終わらせとくか」と、RGの背骨が折れんばかりの片エビ固めを極める。RGを救出しようと、カットに入った大谷だったが、坂田に羽交い絞めにされてしまう。するとここで坂田が「みのる、来い」と、鈴木に合体攻撃を要求! 鈴木がこれに応じ、大谷に強烈な張り手を見舞おうとする! 体を折り曲げてそれをかわす大谷。このままでは誤爆をしてしまうため、鈴木は振り上げた手を一旦止めたのだが…
 何と目の前が坂田になったことを確認してから、坂田の顔面に強烈な張り手! 明らかに確信犯の行動に、坂田と鈴木の間に一触即発のムードが漂う。ここで大谷が坂田に強烈なドラゴンスープレックス、そのまま鈴木をコーナー付近で押さえつけた。これでRGと坂田のマッチアップとなると、RGの頭を強引に下げさせて坂田がパイルドライバーの態勢に入る。客席から悲鳴が上がる中、RGを持ち上げようとした坂田だったが、鈴木が坂田を突き飛ばしてしまう。するとそのまま坂田は後方に倒れこみ、RGが坂田の足を掴んで、自分がブリッジする形となって、偶然にもジャパニーズ・レッグロック・クラッチ状態に! そのままレフェリーが3カウントを数え、RGが坂田にまさかのフォール勝ちを収めた!
 騒然となる場内。何より最も驚いているのはいつの間にか勝ち名乗りを受けているRGだ。そんなRGに鈴木は声をかける。
「おい、RG。お前才能あるな。大晦日、男祭りいけるんじゃねえ? (坂田に視線を移し)どっかの誰かとは大違いだよな。いいこと思いついた。お前、俺のところに来い!」何と鈴木はお荷物キャラで定着しているRGをみのる軍団に勧誘したのだ。すると「みのる軍団入りですか…今年のプロレス大賞MVPの鈴木選手に誘われれるのは光栄ですけど、私もGM補佐官という役職がありまして…」と、珍しく義理堅い一面をのぞかせるRG!
 鈴木は「あんな幸薄そうなヤツと一緒にいても、お先真っ暗。お前に2007年は来ないぞ。それに俺の下にくると儲かるぞ。お前、子供がいるんだろ?」と所帯持ちのRGの足元を見るような言葉をかけるが、RGは「はい。一歳の子供と嫁がいます。たしかに今はお金がいる時なんです。でも僕を拾ってくれたGMWは裏切ることは出来ません」と、ここでも男気を見せる。客席からはRGに対して、熱い声援と拍手が巻き起こる。
 しかしここで鈴木が「俺のところに来れば、今の給料の3倍から4倍…いや5倍は固い」と。具体的な金額を提示すると、「よろしく、お願いします」と、いきなりの裏切り! 一連のやりとりを見ていた坂田は「お前の住所公開するぞ!」とRGにおどしをかけるも、給料アップに目がくらんだRGは「短い間でしたけど、ありがとうございました。これからは別々の道を歩くことになりますが、このご恩は一生忘れません」と、明らかに感情のこもってない言葉を述べるのだった。
 RGにも裏切られた坂田に「哀れなヤツだな。そんな哀れな君にクリスマスプレゼントだ。明日、俺とRGと組んでもう一回闘ってやるよ」と鈴木。この挑発に坂田も「なかなか面白いこといってくれるじゃねえか! 言っとくけど、こいつは相当な悪運の持ち主だぞ。今年はいい年だったのに、最後の最後に貧乏クジを引いちまったな。俺とリョウジで、溜まりに溜まった汚れを大掃除してやるよ。分かったか、このよごれ芸人!」と、鈴木の提案に応じる構え。これを聞いた鈴木はニヤリと笑い、「明日は運とか女に力を借りてるヤツとは違うってとこを見せてやるよ。そしてお前がこの汚れ芸人以下だってこともな!」と吐き捨て、RGを無理矢理リングから引きずり降ろして、控え室へと去っていった。
 鈴木の入場曲『風になれ』が鳴り響く中、坂田は「いつまでこんな懐メロ流してんだ」と、スタッフを怒鳴りつけ、「いいか、人生にもリング上もパートナー選びは、一生を左右する重要な問題なんだ。ただおかげでいい厄介払いができた」と、RGの裏切りは気にしていない様子。それどころか「今まで大会の締めはハッスル軍およびモンスター軍が仕切ってきた。でもこれからは最高責任者である俺が仕切る」と、強権発動とも言える行動で、今日のエンディングを締めると言い出した。総統劇場を楽しみにするファンから「総統! 総統!」という声も上がったが、「今日は来てねえよ」と坂田は一蹴する。
 さらに坂田は「お前らがハッピーな気分で帰れるように、新しいポーズを考えてきた」と、オリジナルのポーズを考案してきたという。そのポーズとは両手を広げて頭上の伸ばし、両手と頭で「W」の字を作りながら、ヒジを曲げて「ワッタル! ワッタル!」と叫ぶワタルポーズ! 「エッ〜」とブーイングが飛ぶ中、「恥ずかしがるな。一番恥ずかしいのは俺だ」という坂田は、「来年もますます驀進していくぞ、3・2・1 ワッタル! ワッタル!」と、一人満足げな表情で大会を締めくくったのだった…


海川ひとみ登場!

 11・23に開催された『ハッスル・マニア2006』でプロレスデビューしたグラビアアイドル・海川ひとみ。「タレントとして伸び悩む自分を変えたい」「ハッスルのリングで輝きたい」夢見るアイドルは胸いっぱいに期待を膨らませ、スポットライトの当たるリングへ……。
 しかし格闘技はおろか、スポーツ経験すらほとんどない海川は、そうは簡単に現実がうまくいくはずはなかった。高田モンスター軍の巨人アタッカー、ジャイアント・バボに対し、ハッスル軍のKUSHIDA&\(^o^)/チエと組んで挑むも、惨敗。そればかりか、アイドルとしては致命的ともいえる鼻骨骨折という大怪我も負ってしまった。そして心身共に傷ついた海川を追い詰めるように、厳しい反応を含めた賛否両論が巻き起こる。今にも消えてしまいそうな儚い夢を必死で掴もうとする海川はハッスル継続参戦を表明し、再チャレンジを誓うが……。
 何とバボは仕事を終えたばかりの海川を路上で襲うという大暴挙に出た! 鼻骨骨折が治りかけた矢先、またもアイドルの命である顔に傷を負ってしまった海川。ここにきてタレント生命まであやうくなった海川は鉄仮面をつけて後楽園ホールに登場するという報道もなされている。鉄仮面をつける目的は顔面防御だけなのか? それとも秘められた何かが海川を変えたのか? 海川のリベンジにかける思いは鉄鍋のように熱い!

 場内が暗転し、ターミネーターの曲が流れる中、スケバン刑事・麻宮サキを思わせるような鉄仮面をかぶった海川がリングイン。
「皆さん。海川ひとみです! すいません。今、鼻を骨折していて、皆さんにお見せできるような状態じゃありませんので、このままで失礼します」とあいさつ。
 先月の『ハッスル・マニア2006』で、今までの自分では想像できないような貴重な経験をさせてもらった海川は、会場のファンにお礼を述べる。そして「もし、皆さんに許してもらえるなら、また来年、ハッスルのリングで試合をさせてもらいたいと思っています」と再びリングに上がることを懇願した。
 するとそこにバボがマイクを持ってリングイン。「おい、バカドル! お前、何しとんねん! このバボ様に、鼻っ柱を二度もへし折られて懲りたんちゃうんかい?」とダメだししまくり。
 しかし、気の強い海川は、バボへの怒りは日増しに高まっており、「この責任、ちゃんととってもらいますからね」とリベンジ宣言だ。
 あきれるバボは「やっぱり、グラビアアイドルちゅーのはアホやな! お前、これ以上、ブサイクになったら困るやろ? お前はな、おとなしくエローいオタクのおかずにでもなっとけ!」と言いながら、海川の元に歩み寄り、睨みつける。その瞬間! 海川は鉄仮面をかぶったままバボの顔面に頭突きだ! 不意を突かれたバボは痛みにのたうちまわる。
「私には、あなたの背後に死神が見えるわ。私がこの鉄仮面を脱いだ時……それがあなたの命日よ!」海川は意味深な言葉を吐き捨てると颯爽と姿を消したのだった。
 痛みをこらえながら立ち上がったバボは「おい! バカドル! 今度、会ったらタダじゃおかんから! その鉄仮面、叩き割ったらぁ!」と怒り心頭でリングを後にした。
 海川の鉄仮面の力とは? 今後の海川とバボの抗争からますます目が離せない!


セミハッスル

12分22秒 \(^o^)/サソリ返し

 モンスター軍の司令室に場違いの女性がいるではないか。川田とタッグを組むことになった\(^o^)/チエだ。「川田! 今日はよろしくお願いします。\(^o^)/チエだ」とタメ口交じりで挨拶。
 それを横で聞いていた島田二等兵は「おい! おまえどっから入ってきたんだよ。それにモンスターKを呼び捨てにするとは何事だ!」と説教モード。「うるせー! ヤドカリ」と最近の若者はまるで言葉を知らないようだ。
 どうやら\(^o^)/チエを呼んだのは川田のようで「今日は特別にこのお嬢ちゃんを、俺がこのモンスター軍司令室に呼んだんだよ。そうカリカリするな」と説明をし始めた。
 それを受けて納得した島田二等兵だったが、「な、なるほどぉ…しかし、生意気な奴だな。おい。お前、これからどなたと試合をするのかわかってんだろうな!」とまだまだ説教モード。
 天然の\(^o^)/チエは「天龍と長州」と偉大なる2レスラーをあくまで呼び捨てだ。
 またしても切れる島田二等兵は「呼び捨てすんな! ホントならお前如きが同じリングに立てるようなお方じゃないんだよ。いいか? 長州“か”はな、高田総統が、山口県の山奥に生息する伝説の吸血蚊のDNAを移植したモンスターだぞ!」とご丁寧に説明するも\(^o^)/チエは「ふ〜ん」とどこ吹く風。
 長州“か”はともかく、“モンスター大将”の異名を持つ天龍は正真正銘のレジェンドレスラーである。しかし、\(^o^)/チエは知る由もない。「わかんない」と満面の笑み。「腹立つなー! 天龍・長州っていえばな…!」とさらに説明しようとする島田二等兵だったが、川田がストップをかけた。
「二等兵! 若い奴に、昔のこと言ったってわかんねえよ。おい、ねーちゃん。リングに上がったら、昔の名前なんて関係ねえんだよ。俺がフォローしてやるから思い切ってぶつかってけ」と川田は優しいお言葉。
「はい。ジジイ2人まとめて、冬を越せない身体にしてやります」とどこまでも天然を貫き通す\(^o^)/チエであった。
 ここで島田二等兵は\(^o^)/チエに質問だ。「おい、お前! ところで四天王はしってんのう?」
 それを聞いていた川田は「ダジャレかよっ!」と即座に突っ込み。
二等兵が反応して「ホワッツ?」と答えると「欧米かっ!」とタカ&トシばりに突っ込みを入れるお笑い芸人モードの川田19:55であった。
 まずは、\(^o^)/チエ&川田が登場。次に長州かと天龍がばらばらにリングインした。この試合に勝利したチームには温泉旅行ペアチケットがプレゼントされる。

閉じる「天龍でてこい!」と挑発する\(^o^)/チエ。全く天龍の怖さを知らないようだ。天龍は怒り、リングイン。
 \(^o^)/チエはタックルにいこうとすると、天龍は全く怯むことなく顔面に張り手。さらにはレスリング出身の\(^o^)/チエに対し、力の差を見せ付けるようにレスリングテクニックを披露し、押さえ付けに入った。完全に押さえ込まれた\(^o^)/チエは「重いよ!」と、うめき声をあげるのみ。
 次に川田と天龍が対峙。ショルダータックル合戦へ。そして張り手合戦。お互いに一歩もひかない打ち合いとなった。天龍がグーパンチを交ぜると、川田もやり返す。
 代わって\(^o^)/チエが天龍にエルボーを叩き込む。川田もローキックとケンカキックで援護。しかし、仁王立ちの天龍は\(^o^)/チエを持ち上げ、マットに叩きつけた。
 さらに\(^o^)/チエを場外に連れ込むと、椅子を思いっきり投げつけた。リングインしてからも、天龍は椅子で\(^o^)/チエの背中に椅子を叩きつける。顔面も蹴り上げ、カナディアン・バックブリーカーの体勢へ。
 天龍は長州かにタッチ。本家を完全コピーした動きで長州かは\(^o^)/チエを翻弄していく。グロッキー状態と化した\(^o^)/チエ。
 さらに追い討ちをかけるように天龍は\(^o^)/チエの胸元めがけてチョップ連打。そしてキャメルクラッチ。
 ここで川田がチョップでカットに入る。しかし、\(^o^)/チエはエルボーで攻撃するしか出来ない。天龍に代わって出た長州かはトーキック連打。さらにストンピング、ブレーンバスターで畳みにかかった。
 グロッキー状態の\(^o^)/チエだったが、カウント2で返す。この頑張りに場内は大いに盛り上がる。
 高速タックルを長州かにお見舞いした\(^o^)/チエは、ようやく川田にタッチ。川田は反撃するも、天龍がカット。
 終盤、またしても\(^o^)/チエを捕らえた天龍は強烈なチョップ連打。会場からは悲鳴が上がる。完全にダウンした\(^o^)/チエ目がけて長州は腕を回しながら、“か”ラリアット! しかし\(^o^)/チエはカウントを返す。
 長州かが再び“か”ラリアットからサソリ固めにいこうとしたところ、コーナーで見守っていた川田が蹴りでナイスなアシスト。そのまま後方に倒れた長州かを押さえ込んだ\(^o^)/チエが3カウント奪取! \(^o^)/チエがプロレスデビュー後、初勝利した瞬間であった。
 怒り心頭の天龍は長州かに対し椅子を投げ込む。マイクを握った川田は「大将。どうしたんすか? 今日は、やけに動きが鈍かったじゃないですか? やっぱ、そばに長州ってつくのがいると、調子が狂うんですか? 昔のいやーなこと思い出しましたか?」と天龍の弱みを知っている発言。
 それに対して天龍は「川田君。お前は、随分、今日は調子が良かったな。やっぱり、若いねーちゃんとタッグを組むと調子がよくなるのか? 昔っからお前はよ、ストライクゾーンだけは広かったな」と口撃しはじめた。
 そして天龍は「クリスマスプレゼントだ!」そう言い放つと自分のタイツに手を突っ込み、江頭の真似をするではないか!
 呆れてモノが言えなくなった川田はここで一言。「いつからあの人は江頭になったんだ?」 
 天龍退場後、リング上に残り見つめ合う川田と\(^o^)/チエ。川田は機嫌悪そうに「何、見てんだよ」
 \(^o^)/チエは「アタシにほれないでください」と勘違いも甚だしい。
 全面否定する川田は「ホレねーよ! お前、勘違いすんなよ。大将は、ああ言ったけどな、俺はどうやったって低めは見逃すんだよ。お前は絶対に打てない変化球なんだよ! 温泉は一人で行ってこい。そういうことだよ、バッドラックだ!」そういった川田はマイクを放り投げさっさと退場したのだった。
 これにて、\(^o^)/チエの勘違い恋物語は終焉したのであった……。


第2ハッスル

10分19秒 バボムからのゴッチャンフォール

 ハッスル軍の控え室。なにやら落ち込んでいるKUSHIDAの前にTAJIRIが姿を見せた。
「あれあれ、どうしたんですか? KUSHIDA君。これから試合なのに、ずいぶんと元気ないじゃない」と心配そうにTAJIRIは問いかける。
 KUSHIDAが悩んでいる理由はこうだった。対戦相手がいつもお世話になっているTAJIRIであり、自分自身のパートナーは同期で憎き高田モンスター軍の何を考えているかわからない無表情のデカブツ・バボ。
「いくら抽選とはいえ、なんでモンスター軍なんかと組んで師匠と闘わなきゃいけないんですか?」と納得出来ない様子。
 ここでTAJIRIは説得にかかった。
「いいですか? KUSHIDAくん。僕たちはプロのファイターです。ひとたびリングに立てば、たとえ対戦相手が親であっても全力で闘い、パートナーが親の仇であっても全てを信頼する。これがプロの仕事です」と先輩らしい意見。
「だからもし、今日の試合で迷ったり手加減をするようなら、それはプロ失格ということです。もう一度、練習生からやり直してもらいますよ!」とKUSHIDAに発破をかけるTAJIRIであった。TAJIRIの説得が効いたのか、KUSHIDAは自分の頬を両手で叩き、「よっしゃあ!! 行くぞ!!」と気合いを入れたのだった。
 場面は変わり、モンスター軍の司令室。バレーボールを手に何やら落ち込んでいるバボの前にアン・ジョー司令長官が姿を見せた。「ヘイ! バボ! どうしたんデスカ!? これから試合だというのに、元気ないですネ〜」と心配そうにアン・ジョー司令長官は問いかける。
 バボが悩んでいる理由はこうだった。対戦相手がいつもお世話になっているアン・ジョー司令長官であり、自分自身のパートナーは、何を考えているかわからない無表情のチビ・KUSHIDA。
「いくら抽選とはいえ、なんでハッスル軍なんかと組んで司令長官と闘わなきゃならないんですか!?」と納得出来ない様子。
 ここでアン・ジョー司令長官は説得にかかった。
「いいですか? バボ。ミーたちはプロのファイターデース。ひとたびリングに立てば、たとえ対戦相手が親であっても全力で闘い、必ずや勝利もぎ取らなければなりまセ〜ン」と先輩らしい意見。
「だからもし、今日の試合で迷ったり手加減をするようなら、それはプロ失格ということデ〜ス。もう一度、モンスター軍見習いからやり直してもらいマスヨ!」とバボに発破をかけるアン・ジョー司令長官であった。
 アン・ジョー司令長官の説得が効いたのか、バボは自分の頬を両手で叩き、「よっしゃあ!! 行くぞ!!」と気合いを入れたのだった。
 デジャブかよっ!
 まず登場したのはKUSHIDA&バボ。一緒に入場するも、妙に距離感があり、2人は何かぎこちない様子。続いて別々に登場したのは、TAJIRIとアン・ジョー司令長官。

閉じる 先発を言い争うバボとKUSHIDAの2人はいかにも仲が悪そう。ところが、アン・ジョー司令長官がクリーンファイトを心がけようと握手を求めると、2人はドロップキックで先制攻撃に出た。どうやらさっきの仲間割れは陽動作戦だったようだ。まずはTAJIRIとKUSHIDAが激突。お互いに目まぐるしい試合展開を繰り広げ、KUSHIDAが若さあるだけにスピードに溢れ若干有利だ。
 次にバボとアン・ジョー司令長官が対峙。長身で体がでかいだけにバボの方が力で上回り、アン・ジョー司令長官は何とか応戦するのに必死。バボはアン・ジョー司令長官の顔面を踏みつけ。さらにはボディスラムで叩きつけると、コーナーへ備え付けた。バボアタックを受けたアン・ジョー司令長官はフラフラ。ここでようやくTAJIRIにタッチ。バボはここでも力の差を見せ付ける。TAJIRIに対し、バボアタックは未遂に終わるも、バボの勢いは止まらない。
 TAJIRIは変形の腕固めで反撃。そのまま腕をホールドすると、アン・ジョー司令長官にタッチした。バボとアン・ジョー司令長官はチョップ合戦へ。バボがチョークスラムをしようとすると、アン・ジョー司令長官は巧みに切り返し脇固めへ。
 次にKUSHIDAとアン・ジョー司令長官の対決へ。KUSHIDAが畳み掛けると、アン・ジョー司令長官はぐるぐるパンチでやり返す。TAJIRIは援護するようにローキック連打。
 ここからTAJIRIは後輩のKUSHIDAに対し、愛のムチをふるう。ボロボロのKUSHIDAを畳み掛けるように、アン・ジョー司令長官は必殺のグランドクロス200%。これはバボがうまくカットに入る。
 KUSHIDAは反撃に出るが、アン・ジョー司令長官はパイルドライバー。バボがまたもや凶器のバレーボールで救出に入り、KUSHIDAとバボの息は合ってるかのように見えたのだが……。
 KUSHIDAを持ち上げたバボは、ダウンしているアン・ジョー司令長官の上に落とそうとしたところ、まさかの行動に! バボはKUSHIDAにバボムをお見舞い。ダウンしたKUSHIDAから即座にアン・ジョー司令長官が3カウントを奪った。
 突然マイクを握ったアン・ジョー司令長官は「なにが『パートナーを全力で信頼して…』デスカ! 試合中に油断するなんて、それでもファイターデスカ? この連中は、ほんとクリスマスケーキのように甘いデース!」とダウンしたKUSHIDAを見下す発言。
 いきなりの裏切り行為に切れるTAJIRIは「アン・ジョーさん! いや、アン・ジョー! 僕ね、普段はあまり怒ることないんですけど、今日はさすがにカチンときましたよ。だいたいね、ニューリン様が大怪我したのも、あんたたちのせいでしょ! 今日はお祭りということで一生懸命我慢してたんですけど、もう限界です!」と明日の大会での一騎打ちを要請した。
 それを受けてアン・ジョー司令長官は、「なんデスカ? その負けドッグの遠吠えハ? そんなにミーと試合がしたいデスカ? ふん、どうしてもやりたいというなら、このバボを倒してからにしてもらいまショーか〜? それからミーも考えマース」と返答。
 TAJIRIはハッスラーの生命をかけて、バボと対戦することを決意。「そこのデカブツから、きっちり3カウントを奪ってやりますよ!」と宣言した。
 これを受けて明日の大会でTAJIRIとバボのシングルマッチが急遽決定! 頑張れ! TAJIRI!


第1ハッスル

7分16秒 ドクロンムーンサルト

 抽選会から戻ってきたEricaと黒田。黒田とタッグを組むことになったEricaは「さ、てっちゃん! すぐに出番よ」と試合に向けて気合を入れた。するとそこに、対戦する金村の姿が。
「おい。Ericaに黒田。お前らには悪いけどな、今日だけはお前らを敵と思って容赦なくいかしてもらうで。ええか?」そう言った金村は愛するドクロンZを守るために、ドクロンZををいじめる奴はお星様に代わってお仕置きする決意。
 それを受けてEricaは「散々セクハラしといてよく言うわよ。ていうかさ。ドクロンって、金ちゃんのことめちゃくちゃ嫌ってるじゃない? タッグチームって信頼関係がないと成立しないのよ」と満場一致となるような最もな意見を述べる。
 果たして金村とドクロンZのタッグはうまくいくのか? 不安は拭いきれない。
 そんなことにめげない金村は「今日は仲直りのチャンスなんや! お前ら野獣の手から、紳士的に守ったんねん。そうすればあいつは俺にメロメロや…」と妄想にふけり始めるた……。「キンタローさん…。今まで、あなたのこと誤解していたわ。許して。今度、パパにも会ってちょうだい…」完全に壊れてしまった金村。
 Ericaと黒田は顔を見合わせ、完全に呆れてしまった様子だ。
「時間や。ドクロンが待ってるから。じゃあな!」そう言った金村はそそくさと姿を消したのだった。
 金村を茫然と見つめていた二人はここでぼそっと一言ずつ。「中学生レベルね」(Erica)。「離婚して壊れましたね」(黒田)。
 まず登場したのは金村&ドクロンZ。二人でブリブラダンスを踊ろうとするも、ドクロンZはやる気なさげ。金村が強制する形で仕方なくブリブラダンスを踊るドクロンZ。これで二人が一体感になったと勘違いした金村はドクロンZに抱きつこうとするも、ドクロンZはすかす。ちょっと落ち込み気味の金村。
 この試合に勝てば勝利者賞として東京ドームホテル宿泊ペアチケットがプレゼント! 場内アナウンスでそれを知った金村はエロ親父と化し、イヤらしい笑みを浮かべる。

閉じる 金村に付き合いきれないとばかりに、ゴング前にドクロンZは対戦する黒田に突っかかり、コーナーに備えつけると串刺しドロップキック。2発目をうまく避けた黒田は、鉄柱にドクロンZの足を打ち付けて倍返し。ここから足狙いの黒田は足4の字固めへ。ドクロンZを助けようと金村はそのままの体勢で2人をひっくり返す。そうなればダメージを受けるのは黒田の方。ピンチを脱出した黒田はEricaにタッチする。Ericaと黒田はドクロンZを捕らえると、ドクロンZの足を片方ずつ持って股裂きの状態へ。「おまえも加われよ」そう言った黒田はエロ金村を味方につけようと画策し始めた。さらには、「いいもん見せてやろうか?」と言うEricaは、ドクロンZの股を広げると電気あんま。金村はちょっとうらやましそうだ。そしてEricaはドクロンZにボディアタック。立ち上がったドクロンZは、Ericaと張り手の打ち合いへ。一進一退の攻防を見ていた金村は「そろそろオレに代われ!」とタッチを要求した。
 金村はリングインすると、Ericaに鼻チョーク。それを黒田が救出すると、Ericaと二人がかりで金村をコーナーに押し込んで、Ericaとボディアタックの2連打。続けて、黒田は哲ちゃんカッター、Ericaはバックドロップを金村にお見舞いし一気に畳みにかかる。 金村に続いて、ドクロンZを捕らえた黒田とErica。すると身動き出来ないドクロンZの姿を見た金村は性欲が一気に上がり、「クリスマプレゼントよ」と言いながらチャックを降ろそうとするではないか!
 ここでふと正気に返った金村は反撃へ。黒田はショルダータックル、ボディアタックで反撃の糸口を掴ませない。今度はドクロンZを羽交い絞めにする黒田だったが、Ericaに裏拳をお見舞いしたところ自分の顔に誤爆してしまう。ここをチャンスと見た金村とドクロンZは合体攻撃でEricaにバックドロップ。最後は金村とドクロンZがムーンサルトを連続でEricaに浴びせ、勝利をゲットした。
 勝利し嬉しそうな金村はドクロンZに突然謝りはじめた。「今まで嫌なことやいやらしいことして、心から謝るよ! ごめんなさい!」大人な対応をする金村であったが、「でもそろそろ、よりを戻そうやないか? そんで明日のハッスルが終わったら、大晦日まで試合がないから子作りに専念しよう!」と勝利者賞の宿泊券でホテルにいくことを勧める。
 これでもお願いが足りない金村。「パンツくれへん?」と突然ドクロンZを襲撃すると、マウントポジションの体勢へ。しかしあっという間に金村の体をリバースしたドクロンZは、金村にパンチを見舞い、最後に金的攻撃! ドクロンZはさっさと退場してしまう。これにて、金村の“一方通行の恋物語”は終焉したのであった……。


年末ドリームジャンボお宝タッグマッチ抽選会

 リング上にはクリスマスらしい曲をBGMに、くじ引きの進行役を務めるハッスル実況アナウンサーの矢野アナが登場。そしてくじ引きの抽選箱と選手名が書かれたプレート、プレートを貼り付ける大きなボードがセッティングされ準備完了。
 矢野アナは「過去、ハッスルに参戦したゴールドバーグから海川ひとみまで、厳正なる予備抽選の結果、本日の出場選手16名が選出されました。それでは選手の入場です!」と抽選会を進行しようとする。しかしここで青ラメジャケが眩しいGMWこと坂田亘がリングイン。「おい、ちょっと待て! 何か大事なこと忘れてないか? 今年1年ハッスルを支えてきたGMである俺様の挨拶がないのはおかしいだろう!」と、俺様がハッスル最高責任者だとばかりに主張。観客に向けて「今夜のテーマは、俺様が常々口にしている『サプライズ』だ。チーム編成も対戦カードも抽選。全てここでしか見られない貴重な組み合わせ、最後まで存分に楽しんでいってくれ」と今企画の趣旨が分かりやすい挨拶、GMの役職もすっかり板についてきたようである。
 おそるおそると「それでは先に、GMから抽選をするということでよろしいですか?」とお伺いを立てる矢野アナ。するとGMWは「あ? バカかお前は! 俺様はここなんだ! これはGM裁定だ」と力強く言うや否や、自分のネームプレートを勝手にメイン出場となる@に貼り付ける。ハッスル最高責任者としての権力を振りかざしてメイン出場を強制決定! 戸惑いの矢野アナが「……えー、では引き続き、全選手の登場してもらいましょう」と呼びかけると、赤コーナーから「ハッスル軍」、青コーナーから「モンスター軍」、南側上手から坂田軍(RG)、下手から2006年プロレス大賞MVPの鈴木みのるの錚々たる面々が登場しリング下に整列。ハッスルの主要キャストが一挙に勢揃いする光景は、まさに壮観である。
 くじ引きの順序は公平をきたすために「あいうえお順」、まずトップバッターでリングインはRGだ。満場のブーイングを意に介さず、「おけ〜〜!!」とノーテンキなRGが引いた番号は6番。第2ハッスルの枠に収まる。
 続いて登場はモンスター軍のアン・ジョー司令長官。1番を引いたものの、そこには既にGMWの名前が……。矢野アナに再度抽選を言い渡されたアンは腑に落ちない様子だ。渋々引き直した番号は5番、いきなりRG選手とのタッグ結成が決定! これにはアンもなんとも言えない微妙な表情を浮かべるばかり。
 リング上はテンポ良くくじ引き抽選が進行、乙女軍のEricaは15番で第1ハッスルに出場することに。続いてハッスル軍の大谷は10番を引き当て、メインで坂田との対戦が決定。今大会はキャプテンもHGもニューリン様も欠場のハッスル軍だけに、気合が入りまくりの大谷は早くも坂田と顔を合わせて闘志満々の様相だ。
 続いて登場した金村は7番を引き当て、Ericaとの同門対決が実現。普段見られない組み合わせが見られるのもこの企画ならではである。しかしこれにはEricaが不満気な様子、大切なクリスマスを過ごす相手が金村では不服なようだ。 
 次にリングインの“モンスターK”川田が、時間をかけてじっくりと引き当てたのは3番、まだ他の出場者は決まっていないセミハッスルの枠に収まる。
 元気よくリングインしたKUSHIDAは14番、司令長官・RG組との対戦が決定。KUSHIDAをまるで小僧扱いするようにせせら笑うアン。この百戦錬磨に対して生粋のハッスラーがどう挑んでいくか楽しみなところ。
 次に登場した黒田は16番、Ericaと組んで普段はハードコアブラザーズを結成している金村と、敵味方に分かれての対戦が決定! またまたEricaは不満気な様子で「クリスマスなのよー!?」とボヤく。タッグマッチと言えばコンビネーションが大切なのだが・・・・・・。先が思いやられる展開。
 巨体を揺らしてリングインしたのはモンスター軍のバボ。引き当てた番号は13番、先日のハッスル・マニアで蹴散らしたばかりのKUSHIDAと組んで、モンスター軍の上司であるアン&RG組と対戦することに。バボに恐れおののくRG、この中で一人浮いた感は否めないが、どう試合の中で存在感を示すのだろうか?
 ここで「今、一番旬な男」鈴木みのるが登場。その引き当てた番号を見て矢野アナは、「・・・・・・2番でございます! なんと坂田選手とのタッグ結成が決定しました!」と驚きの声、場内からも歓声が沸く。抗争中の因縁深い2人がタッグを結成、はたしてチームワークは大丈夫なのか? 早くもお互いに睨みあい、暗雲がたちこめるが・・・・・・。
 残す選手も僅かとなり、終盤に入ってきた抽選会。TAJIRIが引き当てた番号は9番、ここでメインハッスルのカードが決定! 大谷・TAJIRIのハッスル軍コンビと坂田・鈴木のはぐれ者コンビの対戦、メインに相応しいカードが実現した。
 頭にタオルを巻いて登場したのは長州「力」ならぬ長州「か」。“蚊”には厳しい季節柄、ハイスパートな動きが出来るかどうか疑問なところだ。そして引き当てたカードは11番、なんと川田との対戦が決定。考えようによっては「川田vs長州の夢のカード」だが・・・…案の定、川田は仏頂面を浮かべるばかり。
 お次は“モンスター大将”天龍、大物らしく貫禄タップリに引き当てたのは12番、長州「か」とのコンビが決定。矢野アナは「長州・天龍組! 昭和のレジェンドタッグ!」と煽るが、天龍は首をかしげて怪訝な素振り。
 残すはドクロンZと\(^o^)/チエの両者。ドクロンが抽選を終えた時点で全ての対戦カードが決定することに。残った枠は第1ハッスルの金村のパートナーと、セミハッスル川田のパートナー。そして運命の瞬間、ドクロンが引いたのは8番、無念にも第1ハッスルで金村とタッグを結成することに。よりによって聖なる夜に、リング上のセクハラが生きがいと言っても過言ではない金村と絡むことになるとは……、この世の終わりのようにうなだれるドクロン。テンションが上がる金村はドクロンに抱きつこうとするが、ドクロンの返答はビンタ。どうやらこの試合の方向性は決まったようだ。
 残った\(^o^)/チエ選手は自動的に4番となり、川田と組んで天龍・長州組と対戦することに。チエは新人らしく川田のいる方へ向かって礼をするが、川田は以前として仏頂面のまま。大物に挟まれる中でイキのいいチエがどんな動きを見せるか注目だ。
 リング上ではRGに近づき番号札を気にしているTAJIRIの姿、何かに気付いた様子だ。「あの、ちょっといいですか? 今ですねRGさんのくじを確認したんですけど、僕のこの9のくじもRGさんのこの6のくじも、両方上に線が引いてあるんですよね。普通、線が引いてあるほうが下じゃないですかこれって、ひょっとしたら6と9、両方とも逆なんじゃないですか・・・・・・?」ズバリな鋭い指摘に矢野アナは「申し訳ありません! これは大変失礼致しました。たしかに、これは線が引いてあるほうが下ですね。えー、ということは、TAJIRIさんとRGさんは入れ替ることになりますなります!」とカード変更のアナウンス。
 これによってなんとRGのメイン出場が急遽決定! 大谷と組んで因縁浅からぬ坂田・鈴木との対戦することになる。これにはRGも「ヨー!! ヨー!! ちょっと! チョット!?」と取り乱して軽く錯乱状態。これはタダでは済まない予感が・・・・・・。
 以上、各選手の悲喜こもごも入り混じった抽選会の結果、バラエティに富んだ以下のカードが大決定!
第1ハッスル:金村キンタロー・ドクロンZ組vsErica・黒田哲広組。
第2ハッスル:アン・ジョー司令長官・TAJIRI組vsジャイアント・バボ、KUSHIDA組。
セミハッスル:“モンスターK”川田利明・\(^o^)/チエ組vs“モンスター大将”天龍源一郎・長州か組。
メインハッスル:坂田亘・鈴木みのる組vsRG・“ハッスルあちち”大谷晋二郎組となりました。
 聖なる今宵、この中で誰よりも存在感を示すのは果たして誰なのか? いつもと趣の異なるハッスル・ハウスのスタートだ!


オープニングムービー

 2006年のハッスル・シリーズのラストを飾るのはクリスマス・スペシャル2連戦。3年連続の開催ということもあって、すっかり冬の風物詩といったところだ。2連戦初日にあたる今大会の目玉は、ハッスルからのクリスマスプレゼント「年末ドリームジャンボお宝タッグマッチ」。ネーミングからしてまさに庶民の夢膨らむタイムリーな特別企画だ。その内容はというと「ハッスル軍」「高田モンスター軍」「坂田軍団」など、普段抗争を繰り広げている選手たちがあらゆる派閥の枠を取り払って、一夜限りの夢のタッグをくじ引きで決定、雌雄を決するというもの。果たしてどんな「真冬の夜の夢」が実現するか、否応にも期待は高まる!