「おい、貧乏芸人! キミにひと言モノ言うよ!」
江頭色に染まりきった場内に、高田総統の声が鳴り響く。『威風堂々』のテーマ曲が流れ出すと、「そーとー、そーとー」のコールで江頭色は徐々に薄まり高田総統色である紫色に場内は染まり始めた……ような気がした。これに気をよくした高田総統は、「やっぱりブーイングじゃ嫌だな」と本音をチラリ。
「年末にバタバタと忙しい時に、キミたちは他にやることがないのか? ちょっと待て。年末といえば、ジャイアント・シルバ! お前、『男祭り』と間違えてんじゃないのか? こんの野郎〜!」と、某団体のイベントに出場するシルバに怒りをぶちまける高田総統!
しかし、「まぁ、いい」と去るものは追わずサッパリしている総統であった。「我こそが高田モンスター軍総統、高田だ!」と恒例の挨拶をすると、「私の記憶が確かならば、ハッスルは、ファイティング・オペラのはずだったが、どうかな? 激しい闘いの中にも、どこか上品で……」と語り始める。ところが、このセリフ中に場内からは大爆笑が!
「なに笑ってんだよ! いいとこなんだよ!」と観客を叱り付けて先へ進もうとしたが、「どこか上品で知性の香りが……」と話を続けるとさらなる大爆笑。挙句に“恥ずかしがるな!”との野次が飛ぶ。だが、そんなことでたじろぐ高田総統ではなかった。「恥ずかしがってないも〜〜ん!」とお気に入りのギャグを飛ばし、「恥ずかしがってるわけないじゃ〜〜ん!」と応用ギャグを披露した。
「知性の香りがほのかに漂ってくる。たしか…そんなイメージを大切にしてきたんじゃないのかな? そうだろう? 今日は何か様子がおかしい。だって、やけにドサ回りの匂いがするのは、気のせいじゃないと思うがどうかね?」
その匂いを発しているに違いない、リング上の江頭がついに高田総統に喰いつく!
「高田総統! お前に一言ものもーす! 確かに俺はあんたの言うとおり、地上波には乗らないドサ回りの男だ! 今年はパチンコの営業ばっかりでTVがほとんどなくて、『「ぷっ」すま』と『アメトーク』だけ! 北朝鮮のミサイル問題で少しは出番が回ってくるかと思ったけど、全然だったな!
怒りと不満をぶちまける江頭であったが、高田総統は苦虫を噛み潰したような表情で「モンスターK、何だ今のは? ただの愚痴じゃないか。第一、あれ誰だ?」と吐き捨てる。川田は「江頭! どうやらこっちの方じゃ、川田19:55にかなわないようだな」と嬉しそうに絡み始め、「お前な、今日勝っていい気になってるようだがな、今度は6人タッグじゃなくてシングルでやってやるぞ」と挑発。
すると江頭は「お前な! 何度も言うけど、俺は弱いぜ〜っ! どうしてもっていうなら、今度は川田19:55と天龍20:55のタッグで来い! そしたら考えてやるよ。天龍さん、あんたがお笑いに来たっていいんだぜ!」と、あろうことかミスタープロレスに芸名を付けてお笑いの世界に引きずり出そうとする。
それを受けて天龍は、「俺はよ。長い間、プロレスやってきたけどよ。今日みたいな不思議な試合は初めてだよ。いい夢見させてもらったよ。早く自分のお家に帰りなさい!」と大人の態度でたしなめる。
ところが、川田は「あ、新庄だ!」「あ、松坂だ!」と次々と江頭にものまねのきっかけを与えていく。掛け声に合わせて江頭は得意(?)のものまねを連発だ。
「おい! どんどん話が本題からそれていくじゃないか!」と、江頭&川田の暴走にストップをかけるのは高田総統。江頭は「おい、もうちょっと俺と絡めよ! 俺を見ろ!」と訴えかけるが、総統は「おーい! いい加減にしろ!」と突っ込む。その後は急にシリアスモードに。
「いよいよ! いよいよ来年でハッスルは4年目を迎える。スタート以来、今日までの3年間。様々な逆風にさらされつつも、しっかりと基礎工事を完了することができた。全ては私の計画通りだ。しかしだ! あの芸術家・岡本太郎はこう言ったよ。“不動のものが価値あるものだというのは、自分を守りたい本能からくる単なる錯覚に過ぎない。破壊こそ創造の母だ”」とな。分かるだろう? きたる2007年、来年は一気にハッスルを飛躍させるために、私がもっともっと破壊し続けてやろうじゃないか。これから、私たちはその最終的な準備に取り掛かる。下々の諸君とは、来年の3月まで諸君とはしばしのお別れだ。それでは、良い年を迎えてくれたまえ。バッドラックだ!」
謎の言葉を残して高田総統は去っていった。もうひとつ、残された人が…。そう、江頭だ。高田総統の後姿を見送ると、江頭は残念そうに叫んだ。「結局、絡みゼロじゃねーかよ!」。
そんな江頭を大谷が慰める。「エガちゃん、大丈夫。今日の高田総統はエガちゃんの勢いに押されてビビッてた。それより今日、キャプテンが来てないんだよ。だから今日、キャプテン代行として締めてくれよ」と締め大役に指名した!
「そんな大役を俺に任せて大丈夫か? 俺は脇にいるから光る男なんだぜ?」と戸惑いを隠せなかった江頭だったが、場内から「江頭コール」が沸き起こると「分かった、俺がキャプテンになる!」とかなり飛躍的なことを言い出した!
「セイセイ! それはちょっとセイでしょう!」「江頭がキャプテンじゃ、ハッスル軍はおしまいだよ」
江頭の大暴走をストップしたのは、HGとニューリン様の声だった。続いて「いくらなんでも、それだけは勘弁してくれよ!」と“キャプテン・ハッスル”小川直也の声も! 三人が一気にリングインする。
「2006年のラストハッスル、みんな、ハッスルしてるかー!」と小川が問いかけ、HGは「どーもー。ただ今、海綿体が勃起障害になってますけども、HGでーす!」、ニューリン様はいつもどおり「アタシの名前はニューインリン。みんな、私のことをニューリン様と呼びな!」とご挨拶。TAJIRIが煽って観客に、ニューリン様コールを促す。
挨拶が終わると、HGは「ところで江頭さん。試合、観させてもらいましたよー。面白すぎてセイセイでしょう、ホントに。私もRGも勝てませんよ、そんなことされちゃあ。素晴らしかったです〜」と2006年プロレス大賞・新人賞が江頭を絶賛! これは来年の新人賞は江頭がもらったようなものか?
「江頭。キャプテンは無理だけど、ハッスル軍に来たいなら来てもいいよ。エスペランサーに勝つには、お前みたいな奴が必要な気がしてきた」と、ニューリン様も江頭をスカウトだ! 大谷はさすがに、「ニューリン様、それはちょっと言いすぎだよ」とたしなめるが、江頭は武者震い。
「俺がハッスル軍入り? ちょっと待ってよ。ウチの大川総裁にも相談しないと! 少しだけ考えさせてくれ」と、しばらく考え込んだ江頭だったが、「よし、決めた! 俺はハッスル軍に入る!」と衝撃のハッスル軍入りを表明した! ドッと沸く館内! ところが……。
「悪いけどよ、実はな、今日は大事なことを発表しなきゃいけねえんだ。突然だけど、本日を持ってハッスル軍は、活動を休止します!」と、小川は突然のハッスル軍活動休止宣言! あまりの出来事に場内がどよめく。ハッスル軍のメンバーたちも動揺を隠せない。
「なんでだよ、キャプテン!」とニューリン様、「そうですよ。ニューリン様やHGがこんな目に遭わされてるのに、このまま引き下がるっていうんですか? 僕は納得できませんよ」とTAJIRIも食い下がる。
「まあ、聞いてくれ」と小川はみんなを制す。「俺はよ、先日のハッスル・マニア(2006)で、今のままじゃ一生、あのエスペランサーに勝てねえって痛感したんだよ。いまの俺の敵は、モンスター軍でもファンでもマスコミでもねぇ。
自分自身だって気がついたんだよ! これから俺は、エスペランサーにたどり着くために、
自分自身を改造するために、俺はこれからしばらく……ハッスル星に行って来る!」と天を指差す小川!
しかし、リング上のハッスル軍メンバーは一様に「は? 何言ってるの?」とばかりにポカーン。
TAJIRIが不思議なものでも見るように近付き、「キャプテン、キャプテン? ハッスル星に行くんですか? ハッスル星ってハッスル仮面が帰ったハッスル星ですか? 本当に行くんですか? どうやって行くんですか? ロケットで行くんですか? いくらキャプテンがお金持ちでもロケットは作れないでしょ?」と例によって執拗に食い下がるTAJIRI。
「気になるなぁ。僕も連れてってくださいよ。どうやって行くんですか?」としつこく聞くが、小川は「そ・れ・はダメだ。これは一切、秘密だ!」と口が堅い。
「セ〜イ、キャプテン! 真顔で何を言っちゃうのかと思ったら…。ハッスルセ〜イ! ビックリしましたよ! 顔、マジですね! そう来ましたかキャプテン。それなら私もこの期間を利用して旅に出ますよ。ちょうどブラジル在住のサッカーの神様、絶倫ペレにアポが取れましたので、まずブラジルに行ってきます。それからアメリカに行ってマイケル・ダグラスに会って来ます。FEDを完治させて帰ってきます!」と、HGもまた、旅に出るという。
ニューリン様も「アタシはすぐにでも闘いてえけどよ、皆がそう言うなら仕方ねぇや。アタシも旅に出ようっかな〜」と言う。すかさずTAJIRIが「僕がお供します」と申し出たが、ニューリン様はきっぱりと「嫌だ」。
落ち込んだTAJIRIだったが、「じゃあ仕方ないので、ボクもまだ詳しくは言えないんですけど、今度こそ本当にエスペランサーを攻略するヒントを見つけたので、その確証を得にボクも世界を旅してきます」と、やはり旅に出る決意を固めた。
「それじゃあ、皆、それぞれ頑張って、3月になったらまたハッスル軍を再始動させよう」とまとめて仕切るのは大谷。だが、ひとりとても納得の言ってない表情の男がリングに一人。先ほど、ハッスル軍入りを表明したばかりの江頭だ。
「ちょっと待ってよ! この抜いた刀はどこに収めりゃいいんだよ!」
そんな江頭の訴えを「まあ、小せぇことは気にするなよ」と一蹴した小川は「とにかく俺は地球規模を超えた強さを身に着けて必ず帰ってくるからな。もうチキンは卒業だ!」と、“チキン卒業”宣言! きっと逞しくなって来年3月、再びハッスルのリングに帰って来てくれるのだろう。
とは言っても、さすがに江頭が不憫に思われたのか、小川は「よし、今日の最後の締めは抜いた刀を納めるところのないやつがいるな」と、江頭を指名!
張り切る江頭は、「ハッスル軍! 来年はもっと日本中がひっくり返るような伝説作れよな! ピンチになったら、俺がいつでも助けにくるからな! というか、スケジュールが真っ白なんだよ!」と、頼もしいんだか情けないんだか分からないメッセージ。
そして、観客を立たせると「スリーツーワン、ハッスル! ハッスル!! その後に、ガッペむかつく! だ。わき毛を投げろ! 煩悩の数だけわき毛を引っこ抜け!」と説明。こうして2006年のラスト・ハッスルポーズは、江頭バージョンで締められた。
大盛り上がりの内に終了した2006年のハッスル。それぞれが旅立ち、パワーアップして来年3月に帰ってくるという。高田総統の言葉も気になる。2007年もハッスルから目を離すな!
8分59秒 スパイラル・ボム
モンスター軍控え室では、なぜメインに恐イタコが抜擢されたのかを疑問に思うアン・ジョー司令長官と島田二等兵。「何でイタコを呼んだんですかね?」(島田二等兵)「それはミーにも分かりません」(アン・ジョー司令長官)というやり取りの中、答えが出ない二人は「♪イタコ〜イタコ〜♪」と、たらこキューピーの替え歌を歌う。するとそこに川田が登場。「俺がパートーナーに頼んだんだよ。イタコはレジェンドの魂を降臨させることができるモンスターだろ? 今日は懐かしい人にリング上で会った気分を味わいたいんだよ」と、イタコ起用の利用を説明する。島田二等兵が「●場・天龍・川田、鶴●・天龍・川田…往年の名タッグが復活するわけだ!」と、川田の意図を代弁すると、川田はニヤリ。「今日は伝説のトリオが一夜限りの復活だよ。目には目を、歯には歯を、伝説には伝説をだ!」と言い残し、モンスター軍アジトを後にした…
先に入場したのはハッスル軍だったが、何といきなり江頭が登場! 乗っけから観客がヒートアップし、江頭は客席で大暴れし、リング場でエガちゃんポーズをばっちりと決める。そして大谷と「がっぺむかつく」の奇跡のコラボレーションを見せた。対するモンスター軍の3人は、全日本プロレス中継で流れていた「日●テレビスポーツのテーマ」で登場。客席からは曲に合わせて手拍子が起こった。リング上で6人が対峙すると、いきなり川田を挑発する江頭。金村と大谷が必死に江頭の暴走を押さえつける。すると川田は大谷を江頭と間違え、ひたすら大谷を挑発。こうして大谷と川田のマッチアップで試合が始まった。
閉じる エルボーと逆水平を打ち合う両者。大谷をスピンキックで吹っ飛ばした川田は、コーナーの江頭を牽制する。ここで大谷が川田の攻撃から逃げて、自陣コーナーに戻るものの、タッチしたのは江頭…ではなく金村。川田にエルボーを連打する金村だったが、川田の強烈なエルボーと蹴りでフラフラになる。さらに川田と代わって入った天龍は、逆水平とエルボーで金村を攻め立てた。しかしここで金村が急所打ちで天龍の攻撃から脱出すると、自陣コーナーに戻って大谷にタッチを求める。ところが江頭がそれを阻止し、自ら大谷の体を叩いて強引にタッチして、リングに上がった!
遂にハッスルの場にレスラーとして足を踏み入れた江頭。しかも相手はMr.プロレス天龍だ。大興奮の後楽園ホール、江頭はいきなり天龍に手四つの攻防を求める。するとこれに応じる天龍。江頭の右手と天龍の左手が交錯すると、江頭は天龍の腋毛をむしる。しかし天龍は全くこれに動じず、逆に強烈な逆水平一発で江頭を吹っ飛ばす。さらに天龍は江頭の足を持って、桜庭●志の必殺技“炎のコマ”を繰り出した。
ここでイタコが満を持しての登場。例のごとく何もしてないのに、フラフラのイタコは江頭とぶつかると二人同時にバッタリ。やはり誰も降臨していないイタコは何の役にも立たないようだ。しかしここで場内が暗転して、イタコにジャンボ●田が降臨! 江頭とタッチを受けた金村にジャンピングニーを叩き込むと、天龍と合体攻撃を披露する。そしてコーナーポストに立って「オー!」を決めると、江頭に勝るとも劣らない歓声が送られた。リング上は川田と金村のマッチアップ。川田が立て続けに強烈なフロントキックを金村に叩き込むと、金村は川田の後ろに回ってバックドロップ。大谷とタッチを要求するものの、ここでも勝手に江頭がタッチして、リングへ上がる。ここに因縁を持つ川田と江頭の対決が実現した。
四方のロープに飛んでボディプレスを見舞う江頭! ところが勢いがなさ過ぎるため、川田は余裕でそれをかわす。自らマットに全身を強く打ちつけた江頭は何とか立ち上がるもフラフラ。江頭は股間から拳を突き立てて、自らを鼓舞する。すると川田は股間から突き出た拳を掴んで逆水平。悶絶する江頭をスリーパーで締め上げた。江頭は次第に顔から血の気が引いていく。誰もが江頭が失神したと思ったのだが、川田の足によるフォールをギリギリカウント2.9で返すと、正座したままジャンプするエガちゃんムーブで自陣コーナーに戻る。
江頭のタッチを受けた大谷は川田に顔面ウォッシュ。さらに大谷が江頭を指差すと、江頭は股間から突き上げた拳で川田の顔面を殴りつける! 勢いに乗った江頭はお尻で川田の顔面にヒップアタックをしかけるも、川田は足でそれを阻止し、江頭の背中を張り手を叩き付けた。江頭ワールドに負けじと、リングに上がったイタコにはジャイアント●場が降臨する。大谷に脳天唐竹割りを連打すると、天龍と川田のアシストを受けて、十六文キックを叩き込む。しかしここで馬●のテーマ曲が止まってしまい、イタコはその場に倒れこむ。するとすかさずリングインした江頭が、何とケツを丸出しにして、そのままイタコの顔面にヒップアタックを仕掛ける! 身動きの取れないイタコにとっては絶対絶命のピンチ…だったのだが、レスラーを降臨させようと手を合わせて、顔の前に持ってきていたため、ちょうど人差し指が江頭のア●ルにジャストミート! 攻撃を仕掛けたはずの江頭がリングで悶絶する結果となった。さらにここで三●光晴がイタコに降臨、まずは大谷にエルボーを連打し、ボコボコにしてしまう。そして江頭を捕らえると、タイガードライバーの態勢に入る。ところがまたしても大事な時に●沢のテーマ曲が止まってしまい、力をなくしてしまうイタコ。するとそのイタコに大谷がスパイラルボムを決めて、電光石火の早技でイタコから3カウントを奪った。
江頭の活躍? によって、見事勝利を手にしたハッスル軍。大谷は「エガちゃん! さすがあんたは伝説の芸人だ。まさか、そのマッチ棒みたいな体でここまでやるとは思わなかったよ!」と江頭を称える。すると江頭は「見たか、伝説残したぜ! 明日の新聞は『江頭勝利』で一面トップだ! こんなのトルコ以来だぜ」と喜びを爆発させた。
14分38秒 ゴッチ式パイルドライバー
ダメージ大のRGはすぐに退場。マイクを取った鈴木は「お前、何をRGを相手にムキになってんだよ」と呆れ顔。場内からは坂田と鈴木のシングルマッチを要求する声が沸き起こった。
「さあ、邪魔者はいなくなったし、俺とどうだ? 嫌なら2対1でやるか?」と坂田は鈴木を挑発。
それを受けて鈴木は「俺から一日遅いクリスマスプレゼントだ! 受け取れ!」そう言うと新たなパートナーを呼び込んだ。
会場に流れるテーマ曲を聞いて観客は大盛り上がり! 何とそこに登場したのは196cm、125kgの長身レスラー・高山善廣だった! 高山は長い足を振り上げながらゆっくりとリングイン。ここでプロレス史上初となるミラクルが起こった。何とハッスルのリングにU系レスラーが勢ぞろいしたのだ! 元リングスの坂田、元UWFインターの高山、パンクラスの鈴木。
閉じる サプライズハッスルのゴングが打ち鳴らされた。まずは高山と崔が先発で対峙。崔はミドルキック連打からジャンピングニー。さらにノーザンライトスープレックスと大技で畳みかける。そしてコーナーに上るとドロップキックだ。
崔の勢いをそのまま受け取った坂田がリングイン。キャメルクラッチで高山を捕らえると、崔が蹴りで援護する。高山は技を受ける一方だったが、迫力あるヒザ蹴りで蹴り飛ばすと即座に鈴木にタッチ!
鈴木は坂田に対し、ストンピング連打。すると立ち上がった坂田は鈴木とチョップ合戦へ。
有利に立った坂田はニールキックでリズムを掴む。するとそこに高山がリングインし坂田らを蹴散らす。
鈴木は坂田に鼻チョーク。さらに変形フロントチョークでぐいぐい締めつける。グロッキー状態の坂田に対し、高山は低空ドロップキック。
鈴木は坂田を捕獲したままやりたい放題。何とか救出しようと崔が割って入ろうとするとレフェリーが注意。
場外に落とされた坂田は高山とやり合う。坂田は鉄柵に打ち付けられ、ピンチに陥った。コーナーで控え、悔しそうな表情を見せる崔を挑発する鈴木。
リング中央では高山が坂田をキャメルクラッチで仕留めにかかる。耐える坂田はチョップでやり返すも、倍返しにあう。
一方的にやられる坂田。歯を食いしばりながら「何しにきた!」と上から目線だったが、どこからどう見てもやられているのは坂田の方。
崔の絶妙なカットで試合は続けられたが、鈴木はうるさい崔をチョークで締め落とした。リング上は完全に2対1の構図となってしまう。息のあった攻撃で翻弄していく鈴木&高山。
食い下がる坂田に対し、高山はジャーマン・スープレックス、続いて鈴木がゴッチ式パイルドライバーで勝負を決めた。
大の字に伸びている坂田に向かってマイクを握った鈴木は「せっかくハッスルに遊びにきてやったのによ!」とちょっと物足りなさそう。
いつの間にかカムバックし、なぜか勝利の輪に加わっているRGは「坂田さん! これに懲りたら、これからは僕に偉そうにしないで下さいね。あと、たばこ買いに行くぐらい一人で行ってくださいよ! アハハハ!」と高笑い。
横で聞いていた鈴木はRGに対し「お前、誰だっけ?」と言いながら、蹴り。
「もっと面白い相手を連れてきてくれるんだったらまた来てやってもいいけどよ、お前みたいなB級プロレスラーなんかじゃあ、もう来ないからな!」と鈴木は坂田に捨て台詞。
何とか鈴木軍団の輪に入ろうとするRGは、今度は高山に対し「高山さんも凄いですね! プロレス界の帝王はスケールが大きいですね!」とヨイショしまくる。
高山の機嫌をもっと良くしようとしたRGは客席に向かって「いいか、お前らも一緒に叫べ! 行くぞ! ノーフィアー!!」
ぶち切れた高山は「てめぇが勝手にしきるな!」とRGに蹴り。そしてさっさと退場したのであった。
リング上に残った坂田はマイクを持ち…「何がノーフィアーだ。俺こそハッスルなんだよ! こうなったらとことん俺が相手になってやるぞ、この野郎!」と言い放ちリングを後にした。
坂田軍団と鈴木軍団の抗争はこれからどうなるのか? そして孤立感の強いRGは一体どこにいくことになるのか?
1分32秒 ラクダ固め
今夜セミハッスルに登場するのは「2006年プロレス大賞・MVP」で世界一性格の悪い男、鈴木みのる。鈴木がハッスルに初登場したのは『ハッスル・マニア2006』を一週間後に控えた『ハッスル・ハウス vol.21』。 今年一年様々なプロレス団体を渡り歩いた男のハッスル初登場の第一声は「お前がRGか?」
何と世界一性格の悪い男が食いついたのは、その時に対戦したハッスル最高責任者の坂田GMWではなく、“世界一人徳のない男”RGだった。
寄生されると必ず災いがもたらされるというRGウィルス。そんな凶悪ウィルスに対し、鈴木は昨日の大会で何を血迷ったのか「お前、オレんとこに来い」と自らRGウィルスに感染! 今夜、鈴木はRGとタッグを組み、坂田GMWに宣戦布告する。
鈴木は単なるひねくれ者なのか? それとも何か理由があってのことなのか? ハッスルを引っ掻き回す鈴木みのるの真意とは??
「風になれ!」の懐メロ風のテーマ曲が流れる中、鈴木を真似たRGが頭から白いタオルをすっぽり被って登場。後ろから黒いタオルを被った鈴木が花道をゆっくり歩く。続いて坂田と崔が登場。リングインするなり、「裏切りを許さない」とばかりに崔がRGにつっかかった。
閉じる 鈴木が先発を買って出ようとしたがゴング直前にコーナーに引っ込み、RGがいやいやながら先発することに……。
ここからRG公開処刑がスタート! 先ほどの彼女、いや妖精さんを馬鹿にしたようなオープニングに怒り心頭の坂田は、RGに張り手連打。場内はRGを「殺せコール」が全開する。RGは完全に戦意喪失で「すみません!」と謝るばかり。そんなことはお構いなしに坂田は集中砲火、最後はキャメルクラッチ。RGは必死に助けを求めるも、鈴木は知らん振り。ここであえなくRGはギブアップ! あまりの秒殺劇に場内からは「え〜っ!」の大合唱。せっかく鈴木と坂田の絡みを楽しみをしていたファンはもうがっかりだ。
5分48秒 バボム
実はハッスルオーディションで同期というTAJIRIとバボ。ハッスル・バズゾーとして早くから存在感を見せていたTAJIRIに対し、バボはただデカイだけでいまいちパッとしない時期が続いていた。しかしここ最近は海川ひとみの顔面を破壊するなど、ヒールキャラに開眼して人気も急上昇。この同期対決を制して、一気に自分の存在感を見せたいところだ。すっかりヒールキャラが板についてきたバボは、島田二等兵と共に凄みたっぷりに入場。対するTAJIRIはコーナーポストでお決まりのポーズを決めると、ジッと睨み合った。
閉じる 試合はバボがTAJIRIに襲い掛かる形でスタート! スピーディな動きで攻めるTAJIRIに対し、バボは一発一発の破壊力でそれに応戦する。序盤はほぼ互角の展開が続いていたが、攻撃力で勝るバボが徐々に試合を支配していく。強烈なショルダーアタックでTAJIRIを吹っ飛ばすと、TAJIRIをコーナーポストに座らせて、アタックチョップ! 必殺のネットボールでTAJIRIの背中を殴りつけ、ボールを顔面にこすり付ける。さらにバボはTAJIRIの背面エルボーをボールで迎撃すると、今度は逆エビ固めでTAJIRIの背骨を絞り上げた。
防戦一方のTAJIRIだったがロープブレイクから、ドロップキックでバボをエプロンサイドに落とし、前転キック。そのままバボをリング下に落として場外戦に持ち込む。しかし逆にバボがTAJIRIを鉄柵に投げつけ、コーナーポストを利用してTAJIRIの背中を痛めつける。バボは強引にTAJIRIをリングに戻すと、長身を生かした強烈なコブラツイストでTAJIRIの背中にダメージを与えていく。
するとここで客席からはTAJIRIコール! それを受けたTAJIRIはバボの足にエルボーを落として卍固めで切り返す。このままTAJIIRIが反撃に転じるかに見えたのだが、バボが大型選手とは思えない強烈なドロップキック! さらに前方に落とす変形ののど輪落しをTAJIRIに見舞い、すぐさま高角度ののど輪落しを決める。そして最後はTAJIRIを背中に抱え上げて、そのまま後ろに叩きつける必殺のバボム! そのまま3カウントを奪い、戦前の予想を覆し、バボがTAJIRIを一方的にボコボコにしてしまった。
同期対決を制してご満悦のバボ。するとそこに鉄仮面をかぶった海川が現れる。まさに一触即発のムードとなるのだが、ここでTAJIRIが奇襲のグリーンミスト! 視界を奪われて、もがくバボの顔面に、海川は用意していたクリスマスケーキをぶつける。どうやらTAJIRIがあっさり負けたのは、このケーキ攻撃のためのフェイントだったようだ。
顔をミストとケーキでどろどろにしたバボに「デクノボウさん、こんばんは。1日遅れましたけど、クリスマスケーキを持ってきました。売れ残りで、かなり固くなってましたけど、お味はいかが?」と、海川は挑発的な言葉を吐く。これに怒り狂うバボは海川に襲い掛かろうとするも、視界を奪われてしまっているため、レフェリーやスタッフを殴りつけてしまう。この状況に見るに見かねたアン・ジョー司令長官が、何とかバボを落ち着かせて、この場を収拾させた。
バボの代わりにマイクを握ったアン・ジョー司令長官は「お嬢ちゃん、かなり面白いことしてくれるな! よ〜く分かった。次会う時は、お前のアイドル生命をフィニッシュさせてやる! しっかりメモリーしておけ!」と海川を挑発、怒り狂うバボを引き連れて控え室へと去っていった。
その後姿を見て、海川は「デクノボウさん、やっぱり、あなたの背後には死神が見えます。この鉄仮面を脱いだ時、それがあなたの命日です」と不気味な言葉を残した。加速する二人の因縁、結末はいかに!?
10分10秒 TARUドリラー
今年ハッスルに新人レスラー2人がプロレスデビュー。まずは今年2月に開催された「ハッスルオーディション」に参加、惜しくも選考からもれたものの練習生となり、努力でデビューを勝ち取ったKUSHIDA。
そして名門中京女子大レスリング部出身で高い基礎体力と潜在能力を買われ、ハッスルに入門した\(^o^)/チエ。
試合はまだ荒削りだが、ハッスルの未来を担う生え抜きハッスラーとして期待されるKUSHIDAと\(^o^)/チエ。そんな2人にさらなる試練が訪れる!
それは極悪ヒールユニット「ブードゥーマーダーズ(VM)」のTARU&“brother”YASSHIだ。今年10月の『ハッスル20』で\(^o^)/チエのデビュー戦の相手としてハッスル初上陸を果たしたVM。巧みな連携プレーで\(^o^)/チエを圧倒した。試合後にはセコンドにいたKUSHIDAを袋叩きに!
そんなVMに対してKUSHIDAと\(^o^)/チエにリベンジの機会が訪れた。今年の借りは今年のうちに返したいKUSHIDA&\(^o^)/チエ。果たしてリベンジなるか? それともプロのきつい洗礼を浴びるのか? ハッスル最後の大会で幕を開けるのは、この禁断のタッグマッチ!
まず登場したのはKUSHIDAと\(^o^)/チエ。元気よくリングイン。そしてダークな曲が流れる中、VMの登場だ。TARUは手に持ったTARU水を撒き散らしながら偉そうな振る舞いで入場する。YASSHIは「カスヤロー!」と暴言を観客に連発。
閉じる リングインしたYASSHIは「俺たちがプロレス界最強軍団のブードゥーマーダーズだ! カスヤロー!」とあいさつ。それに対して観客がブーイングを浴びせると、「カスのくせしてブーイングを浴びせんな!」
今年のプロレス大賞で最優秀タッグ賞を受賞したYASSHIはさらに調子に乗り、「お前たちにブーイングされたくはないんじゃ! もっと敬意を払え!」と説教モード。
目の前にいるKUSHIDA&\(^o^)/チエを見つけると、「お前らカスヤローを2人まとめてやってまうわ! 今日でこの抗争は終わりにしたるからな!」と挑発した。
マイクを握り返した\(^o^)/チエは「うるせー! “今年の汚れは今年のうちに”って言うんだよ! 今日はお前らをぶっ倒してな、いい新年を迎えてやる!」と強気な発言を飛ばす。
ゴングが打ち鳴らされると同時にVMに突っかかった2人。そのまま場外乱闘へと流れ込んだ。\(^o^)/チエはTARUにエルボー連打。リング上では、KUSHIDAとブラザーがやり合った。両者が見事なロープワークを見せる中、KUSHIDAがスピードで上回り、有利に試合を展開する。
次にTARUと\(^o^)/チエが対峙。\(^o^)/チエは腰の入ったエルボーを連打するが、仁王立ちのTARUは「どうぞお嬢さん」と挑発し、まぐろ状態で相手の攻撃を受け続ける。
それならばと、KUSHIDAが加勢に入った。2人で攻撃してもTARUにダメージを負わせることは出来ない。\(^o^)/チエを捕獲したYASSHIはエルボースマッシュ。これで伸びた\(^o^)/チエの顔面に、TARUは水をぶっかける屈辱的な行為に出た。
変わってKUSHIDAがリングインするも、YASSHIの股裂きにあってしまう。股間全開のところへ、TARUはかかと落とし一発。それで場外にエスケープしたKUSHIDA。
今度は\(^o^)/チエをコーナーに備え付けると、顔面を踏みつけるYASSHI。場内からはチエコールが爆発する。
グロッキー状態のチエを痛めつけながら、レフェリーの見てない隙にTARUは凶器攻撃。さらにYASSHIはボストンクラブと畳みかける。
耐える\(^o^)/チエはロープに手を伸ばし、何とかエスケープ! どうにも太刀打ち出来ない\(^o^)/チエに対し、YASSHIは「このカス女が!」とけなしまくる。
\(^o^)/チエを羽交い絞めにしたTARU。YASSHIが攻撃しようとしたところ、\(^o^)/チエは寸前で避け、2人を誤爆させることに成功! ここでKUSHIDAがリングイン。そのままドロップキックで蹴散らすと空中殺法でリズムを掴む。
KUSHIDAはフランケンシュタイナーを繰り出し、ハッスラー2人は合体技の「クリスマスツリー」。これをまともに受けてしまったYASSHIはフラフラ。TARUのナイスカットで試合は続行。
\(^o^)/チエはレスリング仕込みのスピアー。そしてブレーンバスターにいこうとしたところ、YASSHIはうまく回避。トドメを\(^o^)/チエがさそうとすると、TARUが凶器で阻止した。
TARUはボディスラムで反撃。最後に、意識もうろうの\(^o^)/チエに対し、TARUドリラー2連発でTARUが勝負を決めた。
リング中央でダウンしたKUSHIDA&チエを見下ろすYASSHIはマイクを握り、「おい後楽園のカス野郎ども! 俺たちがVMや! また俺たちの試合が見たかったら全日本プロレスのリングまで見にこいや!」と営業モード。そして「なんやこのチビにブサイクは! お前らがハッスルの未来をしょって立つ? こんなやつらに任したらハッスルは潰れてしまうわ! まあ今日はこれぐらいにしてやる」と言いたい放題。
TARUもここで決め台詞。「ま、そういうこっちゃ」
言いたいことを言い終わったVMの2人は颯爽と退場していった。
2006年ハッスルの締めくくりとなった今大会。今年GMにまで上り詰めた坂田亘がリングに上がってマイクを握った。
「今日は、今年最後のハッスルハウスによく来てくれた。俺様が今年最も最もハッスルで飛躍した男、坂田亘、GMWだ!」
いつもは傲慢な挨拶にブーイングが飛ぶのだが、なぜかこの日は「カッコいい!」と声援が送られる。すると「もっとだ!もっとだ!」と煽る坂田。しかしあまりに客が調子に乗ると「うるせえ!」と一喝するわがままっぷりを見せた。「俺様がGMに就任してから、改革は順調に進んでいる。今日のイベントを成功させれば、100点満点の出来と言っていいだろう」と自信満々に語る坂田は、「時代の先を読む敏腕GMの俺様は、既に来年のことも考えている」とニヤリ。そして07年シリーズの第一弾大会が、3月からスタートすることを発表した。
さらに坂田は「来年は、これまで築き上げたものをベースに、一気に勝負をかける。これまでハッスルを信じてついてきてくれたお前たちのためにも、でかい夢を見させてやるよ」と、07年を勝負の年にすることを誓った。そして今日の対戦カードを発表すると「今日のメインは、エガちゃん、エガちゃんのハッスルデビューだ。しかし自分で言うのもなんだが、俺は自分のプロデュース能力が恐ろしいよ。今日のエガちゃんといい、ハッスルマニアの妖精さんといい、今まででこんなことができたGMがいたか?」と自画自賛する坂田。しかしこの説得力十分の言葉には、客席からも「坂田しかいない!」と声援が飛ぶ。そんなGMW絶賛の声を全身に浴びる坂田は、恍惚の表情を浮かべたまま「俺こそがハッスルのGMに最もふさわしい男なんだよ!」と叫ぶのであった。するとここで会場内に妖精さんの歌声が鳴り響く!
「♪ハッスルハウスに来い、けえい子〜 ♪ハッスルハウスに来い、 けえい子〜」
一気にどよめく客席。東側バルコニーにスポットライトが当たり、ホールにいた誰もがそこに視線を移した瞬間!……そこにいたのは妖精さんの格好をしたRGではないか!
ひたすら妖精さんの歌を歌うRGに、客席からは大ブーイングが起き、RGの歌に合わせて帰れコールまで巻き起こる。そんなガチブーイングを受けながら、RGはやってやったとばかりに「YOYOYOYO!YO妖精で〜す。はい、みんな一緒に。♪ハッスルハウスに来い!けえいこ〜♪ハッスルハウスに来い!けえいこ〜」と歌をやめない。挙句の果てには「こんばんは〜!私は、ハッスルハウスに舞い降りた妖精です」と言ってしまった。「バカヤロー、てめえ、死にてえのか!」と坂田。しかしRGはそんな坂田の心情を逆なでするように「あ〜GMWだ。てへ!」と可愛い子ぶる。RGの暴走に「『てへ』じゃねえよ! てめえ、いい加減にしろ! ちょっとこっちに来い!」とぶち切れる坂田だったが、「魔法がかかっているので、そっちには行けません。事務所を通してくださ〜い」とRGには全く効果がない。
「YOYOYO〜! 僕の絶妙なモノマネに騙されましたね! 大丈夫ですか?試合前にそんな動揺しちゃって」RGは坂田を小バカにした顔で笑う。
「死刑だ…」とつぶやく坂田に、RGは「昨日僕からフォール取られた人がなんか言ってますよ。今日は鈴木みのるさんとタッグだから、ぜんぜん怖くないもんね」と吐き捨てた。そして「もうすぐ魔法が解ける時間だ! そろそろ帰らなきゃ。あとで、みのるさんと、あなたをぶっ潰してあげますからね。それでは、ハッスル・ハウス、スタート!!」と坂田を完全に無視して、大会のオープニングを締めくくるのだった。