ファイトカード

高田総統劇場

 新生ハッスル軍の快勝に沸き立つ3140人のハッスルサポーターたち。しかし、その喜びは一瞬にしてかき消された。
「老いぼれ! 貴様、早死にしたいのか?」
 高田総統の登場である。島田とアンが「そーとー! そーとー!」とコールを促すとさっきまで新生ハッスル軍の勝利を喜んでいたファンが一変、場内は総統コール一色に。
「うん、うん。いいよ」とご満悦な総統。「これだけ大きな台風が近づいているにも関わらず、よくもこれだけ多くの人間が集まってくれた。さすが、浜松だ。うなぎとスッポンで普段から無駄に精力をつけているだけある。アクティブだ! アクティブでよろしいよ」とルー大柴なみの英語交じりのトークである。
「その辺もそこら辺も、あっちの方も向こうの方も感謝しているよ。というか、他にやることがないのかよ! こんのやろ〜!」といきなりキレる総統! 「我こそが高田モンスター軍総統、そしてハッスルの偉大なる支配者・高田だ!」と挨拶した。
 島田とアンが再び総統コールを促すと、場内は「そーとー! そーとー!」と大コール。
「ありがとう。思ったより出来るじゃないかよ! 大したもんだよ」と総統は機嫌が直ったところでリング上のハッスル軍に目をやる。
「ところでだ、おい! ハッスル軍の諸君! 私はキミたちに申し訳ないことをしてしまったと思っているんだよ。そこにいる老いぼれが、よろよろとそっちに迷い込んでしまったからな。すまんな! こんなことになるなら、とっとと姥捨て山にでも捨てちゃえばよかったよ。ハッハッハッハッハ!」と裏切り者の天龍を罵倒。
 これにHGが真っ向から反論する。「セイセイセイセイ! 私は高齢者にはさっぱり人気がありませんが、老いぼれ発言は許しませんよ〜! それに、こんな強い現役バリバリの人のどこが老いぼれなんですか〜!」
 坂田も続く。「そうだ! そういうことはな、せめて勝ってから言って欲しいもんだな。ハッスルの偉大なる支配者が、いいわけなんざちゃんちゃらおかしいよ!」
 ニヤリと笑った総統は、「おいおいおい、小粒の青春コンビよ。随分、優等生な発言をするじゃないか。おい、老いぼれ! 介護してくれる若いヤツが二人も見つかってよかったな。ま、せいぜい、邪魔者扱いされないよう、オムツの取替えは自分でやるんだな」と天龍への口撃を緩めない。
 するとそれまで黙っていた天龍が、ついに口を開いた。「おい、高田! 言いたいことはそれだけか? 俺が老いぼれかどうかは、リングの上ではっきりさせればいいじゃねぇか。いいか! 俺のプロレス人生賭けて、テメエを追いかけてやるから覚悟しろ、この野郎!」と後楽園大会に続いての宣戦布告! 天龍のこのレボリューション発言に場内から一斉に天龍コールが沸き起こる!
 総統は「おい、老いぼれ! 血圧が上がるから興奮するなよ。闘う前にポックリいかれちゃ、拍子抜けしちゃうよ」と余裕を見せつつ、「おい、ハッスル軍の諸君。考えてみれば『ハッスル・エイド』から少々面白くなってはきたな。そう思わないか? しかし、よく考えてみろ。キミたちを勝利の余韻に浸らせてやるのも今晩までだ。今、私はキミたちを地獄の底まで叩き落とす準備を整えているところだ。インリンの身体に新たな卵も宿った! そして、新たなNo.2を投入することに決めた!」と不気味な予告。
「あ、あの…総統!」とここで口を挟んだのはやはり川田だった。「なんだ! 今、肝心なところだ!」とイライラする総統に、川田は「モンスター軍のNo.2って俺じゃないんですか?」と問いただす。総統は「はぁ? なんのことだ?」と知らんぷり!
「いや、てっきりモンスター軍の新しいNo.2は俺だとばっかり思ってたんだけど…」と納得がいかない表情の川田に、大谷が口を出す。
「高田総統! モンスター軍の新No.2、俺が立候補するよ! 川田なんかに任せてたら、モンスター軍は終わりだ!」と言い放った。
 川田も負けてはいない。「はぁ? お前、ビジュアル的に無理だ! モンスター軍のNo.2はビジュアルも大事ですよね?」と川田が言えば、「ビジュアルって…見た目、華がないのはお互い様だろうが!」と自虐的ギャグでやり返す大谷は「総統、モンスター軍のNo.2がビジュアル重視だったら、当然、前歯がない奴もNGだよな?」と醜い争いに発展!
 これにはあきれ果てた総統。「あのな、ビジュアルビジュアルって、お前らは鏡を見たことあるのか! 前歯がないヤツも髪の毛がないやつも論外だ! くだらない話をしやがって!」と激昂する。
 総統は気を取り直し、「次の8月に、生まれ変わった我がモンスター軍の怖さを骨の髄まで教えてやる」と謎の言葉を残した。
「では、浜松市民の諸君。縁があったらまたいつかお会いしよう」と総統は立ち去ろうとしたが、別れを惜しむ静岡のファンが総統コールをすると思わずステップを踏んでしまう総統!
「もういいだろう! バッドラックだ!」総統はガクッとなった川田&大谷には目もくれず、強引に締めてスモークの向こう側へ消えていった。
 リング上に残された新生ハッスル軍。まず口を開いたのはHGだ。「天龍さん! 新生ハッスル軍に入ってもらえますよね! 見ての通り、我々は童貞ボーイばりに経験が足りません。だから、ミスタープロレスの豊富な経験と魂を我々に叩き込んでください。お願いします!」と、天龍に正式なハッスル軍入りを勧める。ファンもHGの言葉を後押しするように天龍コールを爆発させた。
 するとRGが「天龍さん、これからは“モンスター大将”ではなく、“ハッスル大将”です。そして、これからは僕と新タッグチーム『WARG』を組むんですよ!」と訳の分からない提案をし、崔に「なんやねん、それ!」と突っ込まれる。
 そんなRGを無視し、坂田がシリアスに語り始める。「大将、覚えてるか? 一年前、俺はまだ、領二と坂田軍団をやっていた。この浜松は、坂田軍団にあんたが初めて入った場所なんだよ。でも、あんたは俺たちを裏切ってモンスター軍に行っちまった。あの時、俺は本気であんたをぶっ殺してやろうと思ったんだよ! でもな、あんたが裏切ったのは俺の未熟さなんだと、最近やっと思えるようになってきたんだよ。だから大将、もう一度、俺たちと一緒に闘ってくれねえか!」と、過去の因縁を流して再び手を組もうと提案。
「坂田くん、大人になったなぁ」と天龍。「俺のプロレス人生、あとどれくらいかわからないけどよ、この『ハッスル』が世界に誇れるもんになるんだったら、お前ら若いもんを体が粉々になろうと支えてやろうと思ってるよ!」と新生ハッスル軍入りを承諾! 天龍という大黒柱がハッスル軍に加わった歴史的瞬間だ!
「新生ハッスル軍、なんか益々ええ感じになってきたで!」と喜ぶ崔に、「いや〜、もう天龍さんと闘わなくて済みますね!」とそれだけを喜ぶRG。
「よし、HG。新メンバーが入ったんだ。最後にあれで締めようぜ!」との坂田の提案で、天龍を加えてハッスルポーズを決めることにした。するとマイクのセットも手伝おうとする天龍に、HGが慌てて「そこまでやらなくてもいいですよ!」と気を使う。さすが、面倒見のいい“ハッスル大将”である。
「浜松の皆さん、今日は足元がヌルヌルの中、バッチコイしてくださってありがとうございます。これからもっともっと新生ハッスル軍はパワーアップします。これからも応援よろしくお願いします!」とHGは挨拶、天龍も最前列に加わって、「スリーツーワン、ハッスル! ハッスル!! フォー!!!」
 そして、HGと天龍がリング上でガッチリと握手! 新生ハッスル軍のメンバーも握手を交わしていく中、RGにだけはちょっとためらった天龍だったが、全員と握手してリングを降りた。
 超大型台風級の神風が吹いた静岡大会! しかし、これで終わらないのが高田モンスター軍である。高田総統の秘策とは? ハッスル・マニアに続く物語はすでに始まっている!

メインハッスル

11分16秒 昇天ドロップ

 『ハッスル・エイド2007』での「マスカラ・コントラ・ハドゲラ」マッチでHGに敗れ、ハードゲイになることが決定した天龍源一郎。その敗戦に怒り心頭の高田総統は、天龍のモンスター軍追放を宣言。そのまま去就が不明とされていた天龍は、HGとの「男と男の約束」どおりを果たすため前回の『ハッスル・ハウスvol.26』後楽園大会にハードゲイ姿で登場! キャリア30年を誇り、ミスタープロレスの名を欲しいままにする天龍が、その男気を見せた瞬間であった。
 自分を追放したモンスター軍への復讐に燃える天龍に対して、高田総統は今大会でハッスル軍とタッグを組むように宣告。当初はハッスル軍・モンスター軍の2vs3ハンディキャップマッチと決まっていた浜松のメインカードを、急遽3vs3に変更した。果たして天龍はハッスル軍に力を貸すのか? そして迎えるハッスル軍の反応は!?
 ここはハッスル軍控え室、試合前のHGと坂田の姿が。
 HGは「う〜ん。やはり天龍さんは、来ないんですかね〜?」と、落ち着きがない様子。坂田も「モンスター軍を追放されて、すぐハッスル軍に…って訳にはなかなかいかないかもな」と不安気だ。
「私は今まで、年上のゴリゴリの男子といえばモーガン・フリーマンオンリーだったんですけど、天龍さんだけは別格ですよ。是非ハッスル軍に入ってもらって、試合後のシャワーを一緒に入って、ノズルを当てがって洗浄しちゃってですね、私のうなぎパイをドーンて感じで…」と、HGがたくましい妄想を語り始めると、「コン!コン!」とドアをノックする音が…!
 HGも「噂をすれば…!」よ期待に胸を高鳴らせるが、そこに入ってきたのは出番を知らせに来た崔。これにはHGも「なんだ、崔選手ですか!」と拍子抜け。
「なんだはないやろ。大将は来てないで。HGの気持ちはわからんでもないけど、俺らはちょっと複雑ですよね、兄貴」と語り出す崔。続けて「大将って、昔は坂田軍団やったからな。1年前の浜松大会で俺らと大将で初めてトリオを組んだんや。でも、あのオッサン、それからすぐに兄貴を裏切ってモンスター軍に行きよったからな」と過去にあった経緯を振り返る。
 坂田も「大将には、あんま期待するな。分かってるとは思うが、大将を倒してしまった以上、お前へのマークはきつくなるぞ。集中していかないと、エライ目に合うぞ。今日は、俺たち2人だけで乗り切るんだ」と、新生ハッスル軍の舵取り役として、HGに気合を入れ直すことを促す。「分かりました」と言いつつも、まだ少し心にシコリが残る様子のHG。
 一緒にリングで肌を交えたからこそ分かる“男の友情”を大将に感じているようだが、果たして大将は姿を現すのだろうか――?

閉じる まずはハッスル軍の入場。坂田、HGの順で花道を進むが、やはりそこに天龍の姿は無い…。続いてモンスター軍のノートン、バボ、司令長官が姿を現す。この強力な面々を相手にハンディキャップを強いられるハッスル軍、勝機はあるのだろうか――?
 先発でバボと対峙したHGは、陽気に場内を煽っていくと、まずはロックアップ。しかし力に勝るバボに軽々と突き飛ばされてしまう。ならばとHGはバボをヘッドロックに捕らえ、腰をフリフリと余裕を見せていく。さらにバボの体当たりをリープフロッグで華麗に避けると、空中姿勢10点満点のしなやかなドロップキックを炸裂。ここでバボはたまらず司令長官へタッチ。
 司令長官は老獪なテクニックを見せ付けるようにHGのリストを容易く奪っていくが、HGも負けじとリストを奪い返してバックに回り、なおかつ司令長官の腰に股間を当てがっていく。さらに司令長官にも軽い身のこなしのドロップキックをお見舞い、ハッスル軍のエースとしてスキルアップした姿を見せていくHG。
 続けて登場はノートン、ここでHGも頼れる兄貴分・坂田とタッチ。坂田は力いっぱい張り手を見舞っていくが、ノートンはゴミを払う様な仕草。小馬鹿にされたことに対して負けず嫌いな坂田は、ノートンの巨体を持ち上げようとボディスラムを狙うが、逆に軽々と持ち上げられバックブリーカーを食らってしまう。
 さらにノートンは坂田をエプロンサイドに固定すると、重いエルボーを叩き込んでいく。真っ向勝負だと不利にも関わらず、意地の坂田は真正面から逆水平を何発と叩き込んでいく。しかしノートンはそれを嘲笑うかのように、交通事故のような衝撃のダイビング・ショルダータックルで坂田を軽々と吹っ飛ばしていく。さらにコーナーに坂田を固定するとラリアット、圧殺プレスの波状攻撃からフォール。万事休すかと思われたが、これはHGがカットイン。さらにハッスル軍は2人がかりでノートンにダブルラリアートを仕掛けるも、逆にノートンの超竜パワーの前になぎ倒されてしまう。ここで司令長官とバボもリングイン、HGと坂田をコーナーポストに逆さ吊りに。ハッスル軍絶体絶命のピンチ! 
 すると突然轟く『サンダーストーム』のBGM、天龍源一郎の登場だ! ハッスル軍の危機を救いにきた天龍は、逆水平チョップにグーパンチで司令長官、バボを蹴散らすと、返す刀で、ノートンには延髄斬りを放っていく。
 気合十分の天龍はノートン相手に互角の逆水平合戦を展開すると、さらにグーパンチでノートンからダウンを奪う。ここでHGがリングイン、“破壊王”橋本真也を彷彿とさせる豪快なフライング・ニールキックでノートンのアゴを捉える。続いて登場したのは坂田とバボ、バボはその長身とジャンプ力を生かしたドロップキック、さらに超高層ブレーンバスターで坂田を攻め込む。負けじと坂田も強烈な張り手、さらに十字をきってからのミドルキックと、破壊王が乗り移ったかのような攻撃を繰り出していく。
 バボは坂田の顔面を掻き毟りながら自軍コーナーに押し込むと、司令長官とタッチ。司令長官は巧みなロープワークからキチンシンクを坂田に叩き込んでいく。坂田はスキをついて司令長官を逆水平で倒すと、すかさずHGとタッチ。HGは司令長官にジャンプの利いたダイビングエルボーを炸裂させると、お得意のPW(ペ●スウォッシュ)さらに69ドライバーと必殺フルコース。
 ここでバボがバレーボール攻撃を狙うが、天龍はそのバレーボールを奪うと逆に司令長官にフルスイング。フラつく司令長官から坂田がトラースキックでダウンを奪うと、最後はHGが昇天ドロップで3カウント奪取! 序盤のハンディマッチから一転、天龍の助太刀もあって見事にハッスル軍が混戦を制した。
 試合後に天龍がマイクを取ると、どこからともなく「老いぼれ! 貴様、そんなに早死にしたいのか?」と“あのお方の”声が…!?


セミハッスル

5分17秒 スピンキック

 自らモンスター軍No.2を名乗り、ときにハッスル軍から、ときに外敵から高田総統の忠実な右腕として、モンスター軍を守ってきた川田。それが今や……いつの間にか「歌って踊れて試合でも結果の出せるハッスラー」と名乗り、リング上でお笑い芸人とコラボするのが当たり前に。総統の苦言もどこ吹く風と、リングの上でやりたい放題だ。
 対するRGはHGのおまけとしてハッスルに転がり込むように出現。その空気を読まない芸風と、自己満足なギャグでリングに北風を吹かせ続け、ハッスル軍のお荷物的存在だったRGだったが……それが今や勝ち目のない相手に根性を発揮したり、予想外の行動が勝利をもたらしたりと、いわばハッスル軍の陰の救世主とも言える活躍ぶりである。
 闘いとエンターテイメントの融合こそファイティング・オペラの真髄。いわばこの二人は、いま最もハッスルを体現してる二人ともいえる。普段はやられて光るファイトスタイルのRGだが、川田からすれば決して美味しいところは与えたくないはず。おそらく叩き潰しに来ることは必至! 果たしてRGは生き残ることができるのか!?

閉じる いつになくシリアスな表情で入場してきた川田へ、RGが奇襲攻撃! 一人太鼓の乱れ打ちを見舞ったが、川田に一発で吹っ飛ばされて場外へ。「もう無理! 無理!」とすでに逃げ腰だ。
 リングへ戻るもエルボー、チョップで場外へ何度も放り出されるRG。その度に島田がRGをリングへ戻す。ランバージャックデスマッチ状態である。またも転落したRGに島田が静岡茶の葉を口に含ませ、川田が水平チョップ! 鮮やかな緑の霧がRGの口から噴出する。
 瀕死の状態のRGであったが、川田のニードロップの自爆を誘い、これが事のほかダメージが深いことが分かるとRGは一転して強気に! RGのドラゴンスクリュー! さらにもう一発! 痛そうな顔で膝をかばう川田。調子にのったRGは場外の川田へドロップキックを見舞い、なんとエプロンを走ってのプランチャ! そして鉄柵に川田を叩きつける猛攻だ。
 リングに戻ると、膝のダメージで立てない川田をコーナーでストンピング、さらにタイツを下げて赤フンをさらけ出し、「モンスター!」の掛け声と共に赤フンアタックを見舞おうとしたが、カウンターで川田の蹴りを股間にもらってしまう! 続く川田のアトミックドロップに悶絶して吹っ飛ぶRG!
 それでもRGは無謀にも川田に平手打ちを見舞っていくが、後楽園ホール同様に川田のスピンキックが炸裂! 目を見開いて失神したRGを足で踏みつけ、川田が圧勝の3カウントを奪った。
 川田は意識朦朧のRGを見下げると、「おい、RG! これがモンスター軍No.2の怖さだ。分かったか! 歌を歌わしても俺の方が上、面白さでも俺の方が上なんじゃないかな? それに、どうやってもお前が俺に勝てないものがある。それはな、気品だ、気品! ファイティングオペラのハッスラーはな、気品がなくちゃダメだ。お前は気品がないから勤まらないんだよ!」と言い放つ。
 するとRG、川田のあまりの言いたい放題に頭に来て、最後の力を振り絞りマイクで一言。「確かに俺は気品がないかもしれない……でも、お前は歯がねーじゃねーか!」
 言わなきゃいいのに、哀れ、RGは川田に持っていたマイクを額にお見舞いされ撃沈。
「そういうことだよ、バッドラックだ!」と川田は意気揚々と引き上げていった。


第4ハッスル

8分30秒 MSB(モンスター・スパイラル・ボム)

 かつて旧ハッスル軍の中心的存在として、共に打倒高田総統を目指していた“ハッスルあちち”大谷晋二郎とTAJIRI。しかし、インリン様の母乳・略してイン乳を飲まされ、すっかり洗脳され別人と化したTAJIRI。そしてモンスター軍に強制連行されたうえ、自身の髪の薄さはハッスル軍の陰謀だと、偽の情報を植えつけられ洗脳されたACHICHI。2人揃って自分の意思とは反対に、高田総統の陰謀で無理矢理モンター軍の一員に。その2人が先日の『ハッスル・ハウスvol.26』でのタッグ結成時に、連携ミスによって仲間割れ。そして今夜、一騎打ちで雌雄を決することに――運命を翻弄される二人の実力者、果たして二人の決着の先には何が待っているのか?
 まずはTAJIRIがエネルギーの素であるイン乳を大事そうな抱えながら入場、その偏執的な目付きはまさに“ド変態”。次に入場はACHICHI、鋭い眼光でTAJIRIを見据える姿から、この一戦にかける意気込みが見られる。

閉じる 開始のゴング前にいきなり突っ掛けていったのはTAJIRI、応戦のACHICHIはニールキックでTAJIRIを場外に追放すると、エプロンサイドからロープからトペコンヒーロ! さらに場外のTAJIRIのノドもとを踏みつけていく。うまくスキをついてリング内に戻ったTAJIRIは、場外のACHICHIスライディングキック。さらにイス攻撃を狙うが、これはACHICHIが受け止めてしまう。
 イスを取り合う両者にレフェリーが割って入ろうとするが巻き添えを食ってレフェリーが転倒してしまう。レフェリー不在で無法状態となったリングで、ACHICHIは得意の顔面ウォッシュから、さらにTAJIRIの顔を両サイドからイスで挟み、固定して思いっきり蹴り上げるという非情な攻撃。
 これにはTAJIRIもグロッキー状態、さらにACHICHIはリング下からスパナを持ち出すとTAJIRIの顔面に一撃、さらに尖った先端を額に押し当てていく。TAJIRIはたまらずリング下に避難。逃げるTAJIRIをACHICHIはリングに連れ戻すと、さらに傷口を広げるようにスパナを押し当てていく。続けてACHICHIは机をリング上に持ち出し、流血と涙で顔面崩壊状態のTAJIRIをコーナーの机に固定してスパナ攻撃! これは間一髪TAJIRIは回避、その衝撃は机にはスパナが突き刺さるほど…。
 エネルギーを回復するためにイン乳目指してほふく前進するTAJIRIだが、ACHICHIは捕獲すると傷口を狙うように顔面を掻き毟りながらキャメルクラッチ。その壮絶な光景に場内も静まり返ってしまう。
 コーナーに追い詰められたTAJIRIはスキを突いて毒霧を放つも、ACHICHIは手でしっかりガード。さらにACHICHIは手にこびりついた毒霧を、逆にTAJIRIの傷口に押し立てていく。なんとか流れを変えようと逆水平チョップ、ハンドスプリングエルボー、トラースキックと叩き込んでいくTAJIRI。そしてイン乳に近付こうとするが、ACHICHIは足を引っ張ってそれを阻止。
 挙句にACHICHIは自分でイン乳を手に取ると、TAJIRIに「飲めホラ!」と余裕を見せるように手渡す。かと思えば、TAJIRIを蹴り飛ばしてまたイン乳を奪い取り、自らイン乳を一気飲み! 体中にエネルギーがみなぎり、一気にテンションの上がったACHICHIは、TAJIRIからスパイラルボムで3カウント奪取!
 
 イン乳を飲み干して恍惚の表情のACHICHIはマイク握ると「何だコレ! 身体の中からとてつもないパワーが溢れてくる…」とその威力に驚愕。さらに「コレで正真正銘、身も心もモンスターになったぞ!」と不気味に宣言。続けて「いいか! 今日から俺は大谷晋二郎に戻る。ただしだ! モンスター軍の大谷晋二郎だ! これからハッスル軍の連中に、プロレスの怖さを教えてやるからな! あちちだー!!」と身も心もアツく言い放つ。よりモンスター軍の一員としてパワーアップしてしまった大谷、ハッスル軍にとってはまた一つ大きな壁が立ち塞がろうとしている…。
 そしてリングに残されたTAJIRIは、白目を剥いて放送コードギリギリな表情。さらにイン乳の禁断症状なのか、イモ虫のような気味の悪い動きを見せる。そのままリング下に転がり落ちると、フラフラおぼつかない足取りで退場。TAJIRIの行く末も気になるところだが…。


第3ハッスル

10分59秒 ジャーマンスープレックスホールド

 失業……それは「働く意思も能力もあるのに、仕事につけない状態」。今年4月にハッスルに登場した謎のマスクマン、その名もキンターマン&クロダーマンは、今年2月に高田総統がハッスルを買収した際、長いものに巻かれようと、さっさとハッスル軍に見切りをつけてモンスター軍入りを志願した。
 ところが、そのうさん臭さからか、なかなか入団を認めてもらえず、宙ぶらりんの「失業」状態が続いている。毎大会、懲りずに入団査定試合にチャレンジしているものの、いつも肝心なところで負けてばかり。たまに勝っても、モンスター軍に難癖をつけられ、未だ入団には至らず失業の苦しみから抜け出せずにいる!
 今夜でなんと通算7度目の「査定試合」。相手は、過去の査定試合で何度も対戦してきた“モンスターK'”佐藤耕平と鬼蜘蛛。傾向と対策を全て知り尽くしている相手といえる。長きにわたる入社試験もいよいよ最終面接か?

閉じる 耕平がリングに登場するなり、「コウヘイヘ〜イ!」と何度も連発して挑発するキンターマン。場内からも「コウヘイヘ〜イ!」の声が飛び、耕平は嫌そうな顔。
 先発はクロダーマンと耕平。するとコーナーにいるキンターマンが「ハッスル名物行きますか! クロダーマンが攻撃したらクロダーマン! こいつが攻撃したらコウヘイヘ〜イ!」と説明。掛け声の応酬ですっかり場内が暖まったところで、鬼蜘蛛とキンターマンにタッチする。
 キンターマンがコーナーへ飛ばすと、さっそくコーナーに張り付く鬼蜘蛛。キンターマンは大きく助走をとってショルダーアタックをぶちかまそうとするが、鬼蜘蛛が避けてあっさりと場外へ転落。
 クロダーマンは「もう一丁! もう一丁!」と鬼蜘蛛の足を鉄柱にぶつけ、エルボーを見舞う。続いてクロダーマンの四の字固め。それを耕平がカットすると、キンターマンがさっそく「コウヘイへ〜イ!」と耕平へ襲い掛かっていく。
 場外でキンターマンが耕平をバックから捕らえると、クロダーマンは観客席に入って助走を大きくつけてのラリアット! 鬼蜘蛛にも同じ攻撃! 場外の二人はやはり強い!
 ここでついに机を取り出したキンターマンは「コウヘイヘ〜イ!」と耕平を上に乗せ、さらにその上に鬼蜘蛛を重ねる。そしてキンターマンがコーナー最上段からのダイブ! 机は真っ二つに!
 リング上に戻ったクロダーマンと耕平だが、怒り心頭の耕平はクロダーマンに平手の連打からヒザ蹴り。タッチを受けた鬼蜘蛛はジャンピングニーからロープへ飛ばしてのスリーパーホールド! 苦しそうなクロダーマン! 鬼蜘蛛は再び耕平にタッチ。耕平はハイアングルのパイルドライバーを見舞うが、カウントは2.5!
 ならばと合体攻撃に出たモンスター軍だったが、クロダーマンがダブルのラリアットで反撃。キンターマンは折れた机で耕平に一撃を加え、ボディスラムからムーンサルトプレス! さらに調子に乗ってコーナーへ登るが、耕平が雪崩式ブレーンバスターの体勢へ。が、クロダーマンがカットに入ってそのままクロダーマンカッター!
 波に乗るクロダーマンだったが、鬼蜘蛛が得意のクモ糸攻撃。フォローに入ろうとしたキンターマンの足を島田がリング下から掬う! そして再び鬼蜘蛛のクモ糸攻撃から、耕平がキンターマンにジャーマン! カウント3が入り、またしても謎のマスクマンコンビは査定試合に敗れてしまった。
 ガックリと肩を落とすクロダーマンがマイクを握る。「また負けてしまいました……自分たち、一体、いつになったらモンスター軍に入れるのかな? もう査定試合、ヤダ!」と嘆くクロダーマン。
 キンターマンも「あいつら、ホンマは俺らを入れる気なんてないんや。もう我慢できん! 俺たちのいたいけな心をいじくりやがって。クソー。俺は決めたぞ。仲間にしてくれへんのやったら、俺たちの力を○×△※…」と肝心なところで噛んでしまった! しかし、言いたい事はなんとなく分かった。「示したるって言うてんねん!」とすかさずフォローするクロダーマン。
 キンターマンは「8月シリーズ覚えとけよ、モンスター軍!」と、なんと就職活動から一転して、逆ギレしてモンスター軍に牙を剥いたのだ。キンターマンとクロダーマンは、「ミュージック、スタート!」とブリブラダンスでモンスター軍へ反逆の狼煙を上げた!


第2ハッスル

7分59秒 ブレーンバスター

 『ハッスルエイド2007』での全勝から躍進を続けているハッスル軍、その中でも今最も期待を集めているのが絶好調の崔領二だ。坂田亘の弟分として新生ハッスル軍に入団。現在はHG、坂田に続いてハッスル軍の実質ナンバー3に位置する実力を誇る。ここ最近ではあのクロマティのタッグパートナーとなり勝利をアシスト。先日の後楽園大会でも、パートナーがお笑い芸人・アントキの猪木というハンディもモロともせずモンスター軍を撃破と、その勢いは止まるところを知らない。そんな崔に、高田総統が仕向けたのはモンスター軍の番犬・ゴモラ! 2メートルを越す鋼の肉体を保持する狂犬モンスターが久々の登場だ。その驚愕の破壊力を持つモンスターを崔はどう攻略するのか?

閉じる まずは崔が気合の入った表情で入場、これからハッスルを盛立てていく立場としてつまづきは許されない一戦だ。続けてゴモラが観客を威嚇しながらノッシノッシと登場、その超巨体を誇示するトップロープを一跨ぎでリングイン。
 開始のゴング、まずは組み付いていくも圧倒的なパワーの前に吹っ飛ばされてしまう崔、ゴモラは余裕のマッスルポージングだ。崔は果敢にゴモラをヘッドロックに固めると、続けてロープに飛んで体当たりにいくが、逆にその体格の前にダウンしてしまう。
 ゴモラのレッグドロップを交わし、崔はエルボーで攻め立てるが、強烈なカウンターキックを食らう。そして戦場はリング外へ、雄たけびを上げてゴモラは、崔を力いっぱい鉄柵に叩きつける。さらにチェーンでチョーク&噛みつきとダブルで反則攻撃。ゴモラは悶絶する崔を、エプロンに捕獲すると強烈なギロチンドロップを叩き込む。なんとか間一髪でフォールを返す崔。その驚愕のパワーの前に劣勢を強いられてしまう。
 追撃の手を緩めないゴモラは、崔の首をロープに引っ掛けて固定すると、ピンポイント狙いでボディプレス、さらにコーナーに振ってのボディスプラッシュからのサイドバスターと、リングを所狭しと縦横無尽に使用して崔を絶対絶命の状況に追い込んでいく。崔はスキをついてゴモラの攻撃を交わすと、得意のミドルキックを叩き込んでいくが、なかなか倒れないゴモラ。一発の差を見せ付けるようにゴモラはラリアット一発で形成を逆転してしまう。さらにとどめとばかりに旋回式のスクラップバスターを見舞うが、崔はカウント2で必死に肩をあげる。
 攻めあぐねてきたのか、やみくもに突進してきたゴモラを崔は交わすと、DDTを炸裂、そして得意の「那智の滝」。しかし、これは惜しくもカウント2。流れを変えたい崔はさらに攻めていくが、ゴモラは力任せに崔の首を掴むとハイアングルのノド輪落とし。これは意地で返した崔、驚きを隠せないゴモラに攻め疲れの表情が見えてくる。
 崔はゴモラのビッグブーツをかわすとレッグラリアートをゴモラの巨体に叩き込み、そしてゴモラの超巨体をブレーンバスター、形は崩れたもの何とか投げきり、カウント3を奪った。
 試合後、崔はマイクを取ると「オレの名前は崔領二、この名前よーく覚えといて下さいよ! 新生ハッスル軍、これからガンガンいきますんで応援宜しくお願いします!」とアピール。“ジャン”でも“チェ”でも無く“サイ”、頼もしい存在に成長したこの男の名前は、観る者の胸に深く残ったことだろう。


第1ハッスル

9分37秒 超新星プレス

「いや〜、今日もインリン様は色っぽかった! なんか興奮してきましたね…司令長官、いいものを持っているんですよ。ナイトパブの割引券です。早く終わらせて夜の浜松に繰り出しましょう!」と、相変わらず下世話な話題を切り出す島田。
「イエス! でも、その前にうなぎ屋へゴーデース! まずは精力つけてからデース! うなぎパイ! うなぎパイ!」とはしゃぎまくるアン・ジョー。そこになぜか手に餃子を持った高田総統が登場。
「甘いぞ! この素人どもが! 浜松と言えば餃子の街なんだよ! 実は年間消費量が、あの宇都宮を抑えて日本ダントツNo.1だ。しかも2位に倍近い量だそうだ。でも、なんで餃子よ? 意味がわからんよ!」とプチ知識をひけらかす総統!
「しかしだ、そんな謎が多い街・浜松だが、私は一つだけ評価したい点がある。それは“ものづくり”に非常に優れているところだ! 技術立国・日本の基盤こそ、この浜松にありといっても過言ではないだろう。そこでだ! そんな浜松に敬意を表し、今宵、新たなモンスターを誕生させた」と総統は久しぶりにニューご当地モンスターの投入を宣言した。
 アン・ジョーが続く。「楽器、そしてオートバイでトップシェアを誇る企業のスピリッツと、日本のレジェンドレスラーの遺伝子を合わせました。その名も…YAMAHAブラザーズ! コテツANDカンタロー!」と高らかにニューモンスターを紹介する。
 しかし、島田は首を捻る。「かなり対象年齢が高めのモンスターですね。今の若い奴にわかるんですか?」
 もっともな疑問だったが、総統は「黙れ、島田!」と一喝すると「モンスター軍はオールドファンにも優しいんだよ! さあ、行くがよい! YAMAHAブラザースよ! 相手はハッスル軍の若手、KUSHIDAと\(^o^)/チエ! くちばしの青いひよっ子二人組を、その老獪な技で、叩き潰してくるがよい! ビッシビシ行くぞ! ビターン!」とニューモンスターを送り出した。

閉じる 懐かしのテーマ曲にのってYAMAHAブラザースがオートバイのハンドルを握って入場。凄まじい暴走っぶりでフェンス内をローリング走行だ。リングインすると白いパンツのコテツがスクワット、青いパンツのカンタローがロープを握って激しく揺する。
 先発はコテツとKUSHIDA。ハンマーロックの渋い攻防から、KUSHIDAがアームホイップ。コテツはヘルメットを模したマスクから繰り出すヘルメット・ヘッドバットでKUSHIDAを痛めつけるが、KUSHIDAは空中殺法でスピード勝負。平成のプロレス技と昭和のプロレス技が真っ向から激突だ。
 チエがカンタロウにドロップキックを連発、カンタローは突貫ストッピングでビッシビシと女子にも容赦なく攻撃を加えていく。それでもチエはバンザイアタックで場外へ転落したコテツへドロップキック!
 KUSHIDAが入って連係プレーを繰り出そうとしたところで、YAMAHAブラザースの連係プレーが炸裂! 二人をヘッドロックで捕らえて頭と頭をを打ち付けるなど、さすが息が合っている。
 カンタローはチエの左腕に狙いを絞っての攻撃、タッチを受けたコテツもチエの左腕をねじ上げ、絞り上げる。キーロックやハンマーロックなどオールドなプロレス技を次から次へと繰り出し、チエを痛めつけるYAMAHAブラザース。
 しばらくローンバトルの続いたチエだったが、YAMAHAブラザースのダブルでのショルダースルーを回転エビ固めに切り替えし、ようやくKUSHIDAへタッチ。KUSHIDAは風車式のバックブリーカーなどで優勢に立つも、YAMAHAブラザースはチエを場外へ放り出すと、KUSHIDAの両足をカンタローが押さえつけ、コテツがコーナー最上段から必殺のダイビングボディプレス!
 大きなダメージを負ったKUSHIDAをコーナーへ叩きつけ、YAMAHAブラザースはバイクのハンドルを持って突進! しかし、それはかわされチエによって分断されるYAMAHAブラザース。そこへKUSHIDAが超新星プレス! 見事カウント3を奪い、昭和の亡霊を葬った。


オープニング劇場

『ハッスル』が一年ぶりの浜松上陸! 今回のオープニングを飾るのはインリン様、前回の浜松大会は療養中のため御目見えにならなかっただけに、地元ファンにとっては待望の初登場だ。
 今宵のお召し物は久々の花魁バージョン。はだけた着物からのぞく素肌の美しさが、その妖艶な魅力を演出している。
「暇でモテナイ浜松の諸君、はじめまして。私が、愛と美と闘いの女神・インリン様よ!」――先日の『ハッスル・ハウスvol.26』では急に体調を崩し、“つわり”との情報も伝えられていたが、今日の気分はどうやら良好の御様子。
 続いて二等兵が「おい! うなぎパイが主食のバカども! 新幹線が止まるからっていい気になるな、田舎モンが! 今日は大雨の中、わざわざインリン様がお越しになったんだ! 心の底から、インリン様と叫べ! いくぞ! せーの!」と、いつものことながら、地方差別とも付かない罵詈雑言を交えつつ、観客を煽っていく。もちろん生のインリン様を一目見れたことに大興奮の場内は、万雷のインリン様コール。
 本日のカード発表が終わり、司令長官は「こんな空気の悪いところはお体に毒ですから帰りましょう!」とインリン様を気遣う。すると「大丈夫よ。皆も知っていると思うけど、どうやら私のお腹の中に新しい卵を身ごもったようだわ」と改めて自らの口で御懐卵を告げるインリン様。
 司令長官が「オー! なんという忌まわしいこと…! 魔界の呪いがインリン様のお体を蝕んでいく!」と嘆けば、二等兵は「クソー、ムタの野郎…。俺達の大事なインリン様を…! 絶対に許さないからな!」と怒りを露わにする。
 しかし当の本人であるインリン様は「そのことだけど、新しい命を授かった以上、私は産むわ」と衝撃の発言! 「いけませんインリン様! 考え直して下さい!」と慌てふためく司令長官。魔人・ムタの毒霧によってに宿してしまった新たな生命……、モンスター軍の中では不吉な予感が渦巻いている様子だ。
 するとインリン様は、おもむろに懐から“みかん”を取り出すと丁寧にむき始める。そして「お腹の卵に罪はないわ。それに、これは、きっと何かの運命…。運命ならば、潔く受け入れる。それが私の美学よ。ちょっと失礼。」と、御懐卵への志を述べると“みかん”を色っぽく食べ始めるではないか。
「“浜名湖みかん”よ。近頃、妙にすっぱいものを欲するの」――すっぱいものを体が要求する、これぞまさに妊婦の証明! 
 続けてインリン様は「さあ、この話はこれで終わり。さ、浜松の諸君。去年の浜松大会に来れなかったお詫びに、今日は私からプレゼントがあるわ。島田!」と、インリン様の“産卵”発言に唖然とする二等兵を促す。「え? あ、はい! おい! お前ら、インリン様のM字ビターンが見たいか!!」と二等兵は気を取り直して場内を煽る。
 「そんなに洗脳されたいの?」とインリン様が悩ましく問えば、観客は「されたーい!」と絶叫。早速M字台がスタンバイされ、二等兵と同じくショックを隠しきれない司令長官が、M字ビターンの様式を場内に説明。そして台に上がったインリン様は「これが本当の“マザーモンスター”よ。それじゃいくわよ! 3、2、1、マザー! モンスター!」と力強くM字ビターン! 
 「私は産むわ」――インリン様の固い決意表明から始まった今宵のハッスル、台風も吹き飛ばす激戦に期待が高まる!


オープニングイベント

 恒例のハッスルボード・コンテスト、新生ハッスル軍によるサインボール投げが好評の内に終わり、最後はこれも恒例のリング上でハッスルポーズ。HGが「台風の事は忘れてハッスルしましょうよ! 大きな声でセイと手を挙げて下さい!」と呼び掛けると、場内には一斉に「セイ!」と手が挙がる。その様子を見て「さあ、誰にしようかな〜」と別の意味で嬉しそうなHG。ゴリゴリの男性ファンを選ぼうと舌なめずりだ。
 しかし、最終的に選ばれたのは黄色いTシャツを着たKIDSとその弟。HGはその将来性を買ったらしい。「バッチコーイ! 勇気ありますねぇ〜。さあ〜いらっしゃい、いらっしゃい!」と怪しく手招きするHG。リング上で自己紹介して、二人のKIDSは台風も吹っ飛ばすくらい元気よくハッスル! ハッスル!! とポーズを決めた。


オープニングムービー