「ボノよ! 調子に乗るのもそこまでだよ!」。高田総統以下、高田モンスター軍がステージに登場だ。高田総統は会場を見渡し、「さいたまスーパーアリーナと聞いていたから、大みそかと同じ、大〜〜〜きな空間を想像していたら、なんだこの殺風景な会場はよ! 全知全能の私と全然釣り合ってないじゃないかよう! コンノヤロォォォ!」と、いきなり不満爆発。そして「まずは、挨拶をしておこう! 我こそが高田モンスター軍総統、そしてハッスルの偉大なる支配者、高田だ!」と続けて自己紹介を行った。「総統」コールに沸く会場。一通りコールに乗ってステップを踏んだ高田総統は、ボノに視線を移した。
「これまで、父親代わりのつもりで、お前に目をかけてきたが、……残念ながらタイムリミットのようだな」とボノに厳しい言葉を投げかけた高田総統。続いてインリン様も、「あなたがそうやって、いつまでもスネているなら仕方がない。今日をもって、あなたと親子の縁を切ります! 覚悟しなさい!」と三下り半を突きつけた。ボノはというと、「こっちだって、お前なんか親だと思ってねえよ! 別にいいもん! マー君と2人で強く生きて行くよ!」と宣言。
そんなボノに、インリン様からは残酷な言葉が浴びせられた。「私は、お前を産んだことを心の底から後悔しているの。やはりお前は汚らわしい魔物、この世に存在してはいけないの。私の手で、お前を消し去るしかないわ!」。これにはさすがのボノもブチキレ! 「お前が勝手に産んだんだろ! やれるもんならやってみろよ!」と怒鳴り散らした。さらに高田総統も「ボノ! 私からも言っておくことがある。今日を持って、お前を高田モンスター軍より完全に追放する。たった今から、お前は裏切り者、我がモンスター軍のお尋ねものだ!」と完全な決別を宣言した。
高田総統に促されたアン・ジョー司令長官が前に出る。最後までボノの味方をしてくれた司令長官だったが、その面影はもうない。「モンスター軍の軍規に違反してイマス! よってモンスター軍法18条に乗っ取り、貴様を処刑しマス!!」と処刑宣言を言い放ったのだ。さらに司令長官は、「貴様には来月の大阪で、サップと闘ってもらおうか! 横にいる友達のハント! 裏切り者とつるむ以上、貴様も同罪だぞ!?」と、ハントにまでその矛先を向けたのだった。
と、ここでどこからともなくHGの声が! 「セイセイセイ! ハッスル軍も入れてくださいよ!!」。HGを筆頭に、ハッスル軍全員がリングに上がった。HGは「ハッスルとは、ハッスル軍とモンスター軍が織り成す壮大なファイティングオペラでしょう。ここまで、主役のハッスル軍が無視されるのはセイですよ! 後楽園の劇場も出番がなかったし……」とぼやき始めた。さらに「それに、さっきから聞いてればなんですか!? あなたたち! いい大人がよってたかって!」とボノへの制裁をとがめる。TAJIRIも賛同する。「そうですよ! 僕はね、客観的にずっと、インリン様とボノちゃんの件を見守らせていただいてましたけど、ボノちゃん! 君は悪くないよ! いいですか? 子供がパパに会いたいって言って、何がいけないんですか! 子が親を求めるのは本能でしょう! インリン様! あなたの教育は間違ってる! 親の都合を子供に押し付けるのは断じて教育じゃない!」と真剣なまなざしで訴えた。続けてRGも、「そうですよ! 僕にも一人息子の武丸がいますけど、子供はもっと伸び伸び育てなきゃダメですよ! ボノちゃんを見ると、不憫で不憫で仕方ありませんよ!」と、めずらしく全うな意見を展開する。が、川田に「RGの息子として生まれてきたほうがよっぽど不憫だと思うぞ」と横やりを入れられてしまった。
RGはとにかくボノを元気づけようと「ボノちゃんと……RGは……、一生一緒に……♪」と踊り始めたが、「うっせー、フンコロガシ! 同情するなら金くれよ!!」と、ボノはあっさりとRGの誘いを拒絶。モンスター軍の方向へ向き直り、「いいか! バカ田モンスター軍! サップでも誰でも連れてこい! お前らまとめて踏みつぶすぞ!!」と悪態を付いた。高田総統はその言葉を受け取ると、「その元気、いつまで続くかな? 最後にもう一度、言っておく。我がモンスター軍はありとあらゆる手段を使って裏切り者を裁き、処罰してやるよ。分かるだろ?」とボノに制裁を重ねて通告。そして、「悪いが今日は貴様らと絡むヒマがないんだ」とハッスル軍に言い残し、モンスター軍一同とともに会場を引き上げた。
HGが「ボノちゃん! もしも帰るところがないなら、ハッスル軍においで! 良かったらマー君も一緒に」と声をかける。チエやRGもお寿司をネタにボノを釣ろうとするが、ボノは「お寿司嫌い!」と一蹴。さらに「っていうか、お前ら信用できない! マー君、飲みに行こうぜ!」と、ハントを誘ってさいたまの闇に消えてしまった。HGは、「我々はいつでも受け入れ態勢OKですから! いつでもハッスル軍にバッチコイしてください! 待ってますよ〜!」と呼びかけた。TAJIRIは、ぜひハッスル軍にボノを入れて更正させたいと言う。HGはその意見に同意しつつ、「ハッスルの主役は、我々ハッスル軍ですからね」と自己主張も忘れない。そして、ハッスル軍は最後に、会場一体となってのハッスルポーズを決めて、初となるさいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナでの大会を締めくくったのであった。
6分12秒 モンスター潰し
試合前のモンスター軍司令室では、高田総統とインリン様が話し込んでいる。インリン様は、モンスター・ボノの裏切り騒動でモンスター軍に迷惑をかけていることを気に病み、謝罪しているようだ。しかし高田総統は、「お前のことだ。きっとボノのことで責任を感じているんだろうが、ボノの問題はモンスター軍全体の問題だ。決して、自分を責めるんじゃないぞ」とインリン様をかばう。しかし、「ボノは放っておくと、何をしでかすか分からん。そろそろ見切りをつける必要があるかもしれんな」とボノとの決別も視野に入れた。インリン様は、「モンスター軍の掟は、親子の絆よりも大切なもの。私も覚悟はできていますわ」と、ボノとのツーショット写真めがけてムチを一振り。2人の写真はまっぷたつに裂けたのだった。
「痛てっ! クソババアのムチみたい……!」。所変わって、控え室で黒ひげ危機一髪でハントと遊んでいたボノに突然、痛みが襲った。ボノとハントはおそろいのサングラスをかけている。気を取り直したボノが、樽に剣を突き刺すと黒ひげが勢いよく飛び出し、ボノは負けてしまった。
「あ〜。また負けちゃった」と肩を落とすボノに、ハントは「ヘイ。マニーカモン!」と手の平を突きだした。なんと、ハントはボノに賭け事を教えているのだ……! しかも、ボノはいいカモにされているようで、「ボノちゃん、もうお金なくなっちゃったよ〜」とため息。ボノの最後のモンスタードルを受け取ったハントは、さらに……。「トゥデイ、アフター、アルコール、ドリンク、トゥゲザー」とボノをお酒に誘い始めるではないか! 最初は「お酒は、まだ飲んじゃいけないんだよ。ボノちゃん、まだ1歳になってないもん」と拒むボノだったが、ハントに「ドンウォーリー。ドンウォーリー。ライフ、イズ、フリーダム。レッツ、ドリンキン」と丸め込まれ、「じゃあ終わったら、駅前の『月の雫』に行っちゃう? 勝って祝杯あげようよ! はちみつ柚子サワーで乾杯しようよ!」と、ハントとハイタッチを交わし、ノリノリで話しを進めてしまうのであった。
閉じる まずはボノとハントの登場。ボノはハントに悪い影響を受けたのか、サングラスにニット帽、そしてアロハシャツとすっかり不良っぽい装いになってしまった。ボノとハントがリングに上がると、続いてはシンとジョー之助の番だ。会場には恐怖の『サーベルタイガー』が鳴り響く。その中をサーベルを口にくわえたシンと竹刀を片手に持ったジョー之助が登場! シンはいつものように観客席を荒らし回っての入場だ。と、そのシンをリングを降りたボノとハントが襲撃。白いグローブを着けたハントは、背後からシンにパンチをお見舞いする。しかし、場外はシンの主戦場だ。すぐさま観客の持ち物を手に取ると、ハントにチョーク攻撃を食らわせて悶絶させて見せた。一方のボノはジョー之助を捕獲。リングに戻ると踏み付けて、気勢を上げる。そこにハントも生還。グローブを外して、キックトランクス一丁になると、ぶちかまし、バックフリップ、さらにコブラクラッチをジョー之助にお見舞いしていく。プロレスの試合は初めてながら、なかなかスムーズな動きだ。ところが、ここでシンがカット。ストンピングをハントに食らわせると、コブラクローでいたぶりにかかる。このピンチをボノが救出。シンと交代したジョー之助を捕まえて見せた。だが、ここを背後からシンがサーベルでカット。このチャンスにジョー之助が竹刀でボノを滅多打ちにし、一方のシンも場外でハントを攻撃だ。そして、ジョー之助がボノを背後から羽交い締めしにたところでシンが凶器を振りかざし、ボノへ一撃! しかし、これをボノが避けたためにジョー之助にまさかの誤爆! その隙に白いグローブを装着したハントが、シンに得意のサモアンフックをぶち込む。そして、ハントが場外でシンとやり合っている間に、ボノがランニングボディプレスをジョー之助目がけて投下! ボノの巨体を一身に浴びたジョー之助はピクリともせず。ボノがジョー之助を圧殺して、勝利を飾った。
負けた腹いせに会場を所狭しと暴れ回るシン。場内が騒然となっていると高田総統の声が響き渡った。「ボノよ! 調子に乗るのもそこまでだよ!」
12分46秒 チョップ連打
さかのぼること約1年前。お笑いコンビレイザーラモンは、当時、高田モンスター軍最強コンビと恐れられた天龍源一郎&川田利明組と激突。世界屈指のハードヒッター天龍&川田に対し、真っ向勝負を挑んだ。試合は、笑いが入る隙など1ミリもない凄惨な展開に。何度、ボコボコに殴られても立ち上がり、向かっていくHGとRG。そんな2人の姿が観客の感動を呼び、ハッスル史に残る名勝負となった。
あれから1年。高田総統は、HGとRGに対して再び過酷な嫌がらせマッチを仕掛けた! 今宵の相手は、川田&大谷晋二郎のモンスター軍を代表するハードヒットコンビ! しかし、いつ何時やられっぱなしのRGはともかく、この1年、数々の激闘を積み重ねたHGがそう簡単に撃破されることはないだろう。
名勝負の予感満載のタッグマッチ! 川田&大谷がレイザーラモンを血の海に沈めるのか? それとも数々の修羅場を潜り抜けてきた2人が、コンビ愛で奇跡を起こすのか? レイザーラモンの芸人魂を見届けろ!!
閉じる 先に入場し、川田&大谷を待ち受けるHG&RG。HGはケツを突き出し、「バッチコイ!」と挑発だ。そして、試合はHGと大谷でスタート。HGは大谷とグラウンドの攻防を繰り広げながら、コーナーにいた川田に一撃くわえて、挑発して見せる。そして、大谷にもドロップキックを放ったHG。これに対して大谷は容赦なくHGの股間を蹴り飛ばして、ブーイングを浴びる。しかし、めげないHGは、またも川田に対してちょっかいを出す。この度重なる挑発行為にはさすがの川田も激怒。タッチを受けずにリングに飛び込むと、まっしぐらにHGを襲撃。場外に叩き出すと、チョップ攻撃、そしてアトミックドロップでHGを机の上に叩き付けて見せる。これでダメージを負ったHGに、大谷、川田の順番で攻撃。川田は再びHGを場外に落とすが、HGはすぐさまリングに戻り、川田に食らいつく。そして、大谷のフロントキックを川田に誤爆させて、遂に川田を捕らえた。すると、これまで引っ込んでいたRGがここでリングイン。HGからタッチを受けると、HGの串刺し式ドロップキックでコーナーに倒れている川田に対して、恐怖の生肛門スターをお見舞いだ。そして、調子に乗って、川田の腕を掴みロープ渡りを敢行。しかし、川田がロープを揺らしたものだから堪らない。股間をロープに打ち付けたRGは、川田&大谷のチョップ攻撃の餌食となってしまう。大谷からは顔面ウォッシュを食らわされたRG。最後は助走付きのチョップを胸板に食らわされてしまった。続いては川田のチョップ攻撃。既にRGの胸板は真っ赤だ。どうやらモンスター軍はRGの胸板に照準を絞った様子。川田もブレーンバスターの体勢で一度持ち上げてから降ろすと、すぐに逆水平チョップをRGの胸板に叩き込む。ランニングローキックと思えば、逆水平チョップ、コーナーに倒れていても逆水平チョップ。真っ赤に充血するRGの胸板は痛々しいばかりだ。続いて大谷からもチョップ攻撃を食らうRG。大谷に促されて、お返しのチョップを打っていくものの、全く通じない。再び胸板を大谷に叩かれて悶絶だ。それでも必死で立ち上がるRGは川田の顔面に張り手を連発。しかし、1発の逆水平チョップで悶絶させれてしまう。遂に川田もトドメの体勢に。RGのタイツをめくり、尻を露わにすると、パワーボムの体勢に入る。ところが、ここでHGがラリアットでカット。ようやくレイザーラモンの反撃だ。川田を捕らえたHG&RGは、HGがまずギロチンドロップを川田に投下。続いて、RGが満を持してRGプレスでダイブする。しかし、これでは川田からフォールを奪えない。怒りの川田はRGをコーナーに追い詰めると、トドメのマシンガンチョップを連打! ここまではなんとか川田と大谷の猛攻を凌いできたRGだが、もはやこれまで。遂にこの攻撃でギブアップをしてしまった。
「おい! 思い知ったか!」。虫の息で横たわるRGに、川田がまくし立てる。が、HGが川田を背後から急襲! HGは「もうタッグマッチはいいでしょう! 次はシングルで勝負……!」。川田のハイキックがHGの顔面を捉える。「俺はそんなに安くねえんだよ! バッドラックだ!」とだけ言い放ち撤収。HGは川田の背中に向かって「私はやらせてくれるまで、しつこいですよ〜。近い将来、あなたとのシングルマッチ、意地でも実現させますからね!」と予告した。そしてRGの介抱へ。「大丈夫か? まさかチョップでギブアップとはな」とHG。RGは、「無理。もう川田なんとかして〜」と泣き言を並べた。HGは最後に「皆さん! RGも精一杯頑張りましたので、盛大な拍手をよろしくお願いします!」と観客に声援を求めた。もちろん会場からは暖かい拍手が送られたが……HGにとってRGはやっぱり、手のかかる相方なのであった。
7分17秒 シドマス
坂田亘の戦線離脱──。ハッスル軍のエースとして昨年MVP級の活躍を見せた坂田だったが、かねてから痛めていた腰の治療のため、2月シリーズを欠場することに……。エースの欠場は、新生ハッスル軍始まって以来のピンチである。
しかし! そんな逆境を逆手に取り、今こそブレイクせんとする一人の男が……! その名は、ハッスル軍若頭・崔領二だ!! 事件が起きたのは、1・17『ハッスル・ハウスvol.32』(後楽園ホール)でのこと。川田利明とのシングルマッチに敗れた崔は、「ちょっと待てや! 確かに今日は負けたけどな……。歌では1回も勝負してへんやろ! 前から言おうと思ってたけどな、お前おもろないんじゃ! 歌も笑いのセンスも、お前より俺のほうが上じゃ!」と噛みついた。自称“歌って踊れて試合もこなせる”川田としては、崔の名乗りが面白いわけがない。先日の2・21『ハッスル・ハウスvol.33』(後楽園ホール)でのオープニングも邪魔された川田は、その場で3・17『ハッスル・ハウスvol.34』(後楽園ホール)において、観客ジャッジによる歌勝負の開催を決定した。新たな形で一皮向けようとしている崔。しかし、歌だけでは真のハッスラーとは認められない。兄貴分坂田の分までハッスル軍を引っ張ろうと崔は野心を燃やす!!
そして、一皮むけた男がもう一人。“ハッスル大将”天龍源一郎だ。大みそかの高田将軍に刺激を受けて、1月シリーズを欠場して武者修行の旅に出た天龍。先日の『ハッスル・ハウスvol.33』では、インタビュアーを相手に「もうお肌ツルツルだよ♪」と修行の成果をアピール! 天龍の肌は、見事な小麦色。修業先と修行内容は一切不明だが、一枚も二枚も皮がむけたのは紛れもない事実だ!
そんな2人が迎える対戦相手は、佐藤耕平とモンスター℃。エース不在の逆境を、一枚岩で乗り切ることができるのか!? 第3ハッスル、スタート!!
閉じる まずは天龍と耕平のマッチアップで試合はスタート。いきなり腕を取った天龍は起き上がりこぼし式の逆水平チョップを連続で放つ。一方の耕平もニーリフトで反撃だ。続いては崔とモンスター℃の対戦。ボディスラムで投げられていたモンスター℃だが、手で「C」の形を作って崔を戸惑わせると、サミング攻撃で崔の視界を奪う。そして、耕平、モンスター℃と代わる代わるで崔を攻撃だ。モンスター軍は崔の左足に焦点を絞って集中攻撃。モンスター℃はニークラッシャー、ストンピング、耕平も逆片エビ固めで崔の左足にダメージを与えていく。さらにモンスター℃が足4の字固めに捕獲。モンスター℃はその体勢のまま、崔の目の前で手で「C」の字を作り挑発したのだった。しかし、崔もこれを耐え抜いて天龍にタッチ。天龍がモンスター℃の急所攻撃でピンチに陥ると、崔はすぐさまバックアップを見せる。そして、再びタッチを受けると、耕平&モンスター℃の2人に交互にエルボーを叩き込む。続けて、耕平をジャーマンで投げ飛ばした崔。残るモンスター℃を串刺し式のキックで痛めつけると、最後はシドマスでキッチリ3カウントを奪って見せた。
「大将! ありがとうございました!」と崔。天龍は「随分、元気良かったじゃねえか」と崔の頑張りを褒める。崔は、前回の『ハッスル・ハウスvol.33』で歌ってから吹っ切れて調子を上げたらしい。「大将もいっぺんリングの上で歌ってみたらどうですか?」と崔が勧めると、会場からは割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こる。それを見て微妙な表情を浮かべる天龍に崔がもう一押し。「聞きましたよ、大将。武者修行とか言うて、海外の日本人パブでホステスとデュエットしてたらしいじゃないですか?」。すると天龍は崔をホステスに見立てて肩を組み、マイクを片手に話し始めた。「そうそう。こうやって『銀座の恋の物語』を……」と、ここで天龍は崔にマイクを投げつけ、こん身のノリツッコミを見せて会場を立ち去るのであった。
5分29秒 スリーパーホールド
最強にして超個性派集団である高田モンスター軍の中で、リストラ寸前まで追い詰められているジャイアント・バボ。身長2メートルと恵まれた体格の持ち主ながら、気の小ささが災いしてか、ここのところ連敗街道まっしぐらだ。
12・31『年忘れKYORAKUスペシャル 大みそかハッスル祭り2007』(さいたまスーパーアリーナ)では、ハッスルデビュー戦となる池谷銀牙になすすべなく完敗。さらに2008年の開幕戦1・17『ハッスル・ハウス vol.32』(後楽園ホール)では、ハッスル軍のふんころがしことRGにまさかの敗北!
そして迎えた前回の2・21『ハッスル・ハウスvol.33』(後楽園ホール)では、天龍源一郎に無念の惨敗。試合後には天龍に「チエの方が根性あるぞ!」とこき下ろされてしまった。直後、バボはアン・ジョー司令長官に\(^o^)/チエとの試合を要求。「負けたら坊主にでもなんでもなりますから!」と司令長官に土下座で懇願してみせた。司令長官は、「負けたら丸坊主だけじゃ済みマセンヨ!」と念押しして、このカードを決定したのだった。
\(^o^)/チエは名門中京女子大レスリング部出身ながら、これまでの対戦では圧倒的にバボのほうが有利。しかし、ここ最近のスランプぶりを見ると、まさかの敗北も十分可能性が! 果たしてバボは、負のスパイラルから逃れることができるのか……!?
閉じる リングに入ると、チエに向かってすぐさまバレーボールを振り回すバボ。負ければその場で丸坊主にされてしまうだけに、気合い満点だ。まずはボールで一撃食らわせると、チョップ、串刺し式のニーリフト、ボディスラムと一気呵成の攻めを見せる。そして、早くも逆エビ固めでチエにギブアップを迫るバボ。しかし、チエはこれを耐え抜いて、逆にマウントパンチで反撃だ。後がないバボもネックハンギングツリー、ギロチンドロップで追撃。しかし、チエもこれでは屈しない。2回連続で逆さ押さえ込みを放って、バボを慌てさせる。さらにバボのバレーボール攻撃をかわすと、逆にバボをバレーボールで殴打して見せる。しかし、バボはこれを仁王立ちして受け止めると、強烈なビンタでチエを悶絶させた。それでも、決死の首投げで反撃を見せるチエ。そんなチエにバボはビンタを何発も打ち込んで3カウントを奪いにかかる。それでもチエは屈しない。必死でキックアウトしながらチャンスを窺い、バボがトドメのバボムの体勢に入った瞬間、腕十字で切り返しだ。これが抜けられてもバックを奪ってスリーパーホールド! 観客の「落とせ!」コールが鳴り響く中、胴締めスリーパーでバボをグイグイと絞め上げる。次第に体の力が抜けていくバボ。そして、遂にバボが失神! チエが見事に勝利を飾り、崖っぷちのバボをさらに崖下へと叩き落としたのだった。
試合終了後、怒りの形相で怒鳴り込んでくる司令長官! そして、気が付いてポカーンとしているバボを思いっきりビンタ!! あまりの殺気にチエは勝利の喜びもそこそこに、そそくさと退散するのだった。
状況が把握できていないバボに司令長官は「負けたんだよー!! お前が負けたの!!」と教えてやる。負けた本人のバボは信じられずに口をぽっかりと開けてうなだれる。そして会場からは「ボーズ」コールが沸き起こる。それに「そうだよな。そうなるわな」と納得した司令長官は、バボの頭にバリカンを走らせた。正面の前髪から襟足にかけて一筋の道ができる。これは、完全なボーズ頭よりもかなり恥ずかしいぞ……。
頭を刈った司令長官は、その後バボに言葉をかけることもなくリングを降りる。それを見たバボは、なんと去っていく司令長官の背中に向かって「今度こそ勝ちますんでお願いします!!」と叫びながら、自ら残った髪の毛を刈り始めたではないか。しかし、司令長官はそんなバボの髪切り直訴を受け入れず、スタスタと司令室へと戻ってしまった。あきれ果ててものも言えないといったところだろう。半泣き状態でそのあとを走って追いかけるバボであった。
13分53秒 バズソーキック
高田モンスター軍の控え室では、アン・ジョー司令長官が島田二等兵に夕食の献立を尋ねている。「今日は手作り餃子ですよ、司令長官! 最近、出来合いのモノとか、冷凍モノは危ないですからね。今後はなるべく、手料理を出すようにしたんですよ」と島田。司令長官は、「なるほど。ところで今日の料理当番はフーデスカ?」と奥に視線をやる。餃子を作っているのは、猛毒コブラ男爵だ。「ヘイ! ユーが素手で餃子なんか作ったら、ダメじゃないですか!!」と制止する司令長官。島田が「た、大変だ! さっき総統のところに出来たてを運んでしまった!!」と慌てふためく。そこへ当の高田総統が登場。すぐに吐き出すよう頼む島田に、「さっきデリバリーさせた高級中華の餃子に何か問題でもあるのか?」と、とぼけて答える高田総統。「私の目が節穴とでも思っているのか?」とすっかりお見通しのようだ。さらに高田総統は「私の前にお前らが毒味をするべきだろう! この一件で、私の貴様らへの信用は、中国製の食品並みに失墜したな」と追い打ちをかけた。そして、高田総統は、「フライング・バンパイアよ、私の信頼を得たくば、TAJIRI&KUSHIDAのアホアホ師弟コンビの血を一滴残らず吸い尽くし、ミイラにしてやるがよい!」とビターンをして、ザ・フライング・バンパイアを送り出したのだった。
閉じる 試合前、コーナーでTAJIRIがKUSHIDAに何やら耳打ち。バンパイア攻略に何か秘策があるのか? 早速、先発で飛び出したKUSHIDAは、バンパイアと腕の取り合いを展開。続いて、KUSHIDAはショルダータックルで吹っ飛ばすと、続けざまにその場飛びのムーンサルトプレスを炸裂させて見せた。さらにヘッドシザーズで投げ飛ばし、ハッスルポーズで気勢を上げる。一方のバンパイアはサミング攻撃でKUSHIDAの動きを止めると、肩を極めて反撃。しかし、すぐさまTAJIRIがカットに入って、それ以上の攻撃はできなかった。ここでKUSHIDAとタッチしたTAJIRIは、バンパイアをおちょくるように「ヒー!」と奇声を発しながら近付くと、キック攻撃、腕の取り合いで軽くあしらって見せる。そして、「ヒーヒー言わしてやれ!」と言いながらKUSHIDAにタッチした。そのKUSHIDAはバンパイアをアームロック、腕十字で攻め立てると、背中に飛びつくバックブリーカーも披露する。しかし、バンパイアもミサイルキックを合図に反撃開始。KUSHIDAをスリーパーに捕らえると、ここから2人がかりで攻撃だ。ダブルのドロップキックなどの合体技でKUSHIDAを苦しめるバンパイア組。さらにKUSHIDAの一方の腕を足で絡め取るストレッチ技でギブアップを迫る。続いて1人がKUSHIDAの腹を天井に向けて背負うと、もう1人がそこにローリングセントーンをコーナーから発射。絶妙のコンビネーションを見せる。だが、バンパイアがロープに飛んだところをTAJIRIが背中に一撃食らわせると、KUSHIDAもその隙に延髄斬りを食らわせて脱出する。すると、タッチを受けたTAJIRIが一気呵成の攻撃だ。クロスチョップでバンパイア組を蹴散らすと、さらにハンドスプリング式のエルボーアタックを2人同時に炸裂させる。そして、KUSHIDAも入ってきて、2人揃って前方回転エビ固めだ。これは返されてしまったものの、続けてKUSHIDAが場外に逃げていたバンパイアに向かってダイビングボディプレスを発射する。しかし、続くTAJIRIの空中弾が失敗に終わり、一転、バンパイア組も反撃。変形のドライバーでTAJIRIをあと一歩のところまで追い込んでみせる。しかし、KUSHIDAの救出が功を奏して、再びハッスル軍が反撃。KUSHIDAが人工衛星ヘッドシザーズからアームホイップで投げる大技を見せると、最後はTAJIRIが必殺のバズソーキックで16世にトドメを刺した。
なんと本日のオープニングは全選手の入場で幕を開けた。12・31『年忘れKYORAKUスペシャル 大みそかハッスル祭り2007』(さいたまスーパーアリーナ)以来の演出だ。リングアナのコールに合わせて続々と両軍の選手が入場。メインハッスルのモンスター・ボノ、マーク・ハント、タイガー・ジェット・シン、アン・ジョー之助を除いた全選手がステージに出揃った。
そして続けてコールされたのは……インリン様だ! ステージに現れ、会場を見渡したインリン様が沈んだ表情で口を開く。「2008年も始まって2ヵ月だというのに、早くも凄惨で暗い話題ばかりの日本列島……本当に嫌になる。そんな日本列島を、私のM字で明るく照らしてあげるわ!」。会場からは思わず「インリン様ー!!」と歓声が。インリン様は続けざまに「行くわよ〜! モンスタ〜〜〜ッ!!」とM字ビターンを決め、会場の歓声を浴びた。いよいよ、『ハッスル28』の開幕だ!
高田モンスター軍とハッスル軍の壮絶なるファイティングオペラに異変が……。それは、生まれながらにモンスター軍の一員となったモンスター・ボノによりもたらされた。
インリン様とグレート・ムタの子として生を受けたボノだったが、「パパに会いたい」という思いから、それをよしとしないインリン様に徐々に反抗的な態度を見せ始めたのだ。イライラを募らせたボノは、やがてインリン様を「クソババア」呼ばわりするなどやりたい放題。そして迎えた1月シリーズ。ボノは本格的にモンスター軍を敵に回すことに……。
「バカ田総統!」。なんと高田総統にまで罵声を浴びせて、会場を飛び出し、家出少年となってしまったボノ。その後、門限を設けた高田総統の呼びかけも一切無視! これをきっかけにボノは高田総統が用意したとんでもない相手にお仕置きされることとなってしまった……。
その相手というのが、先日の2・21『ハッスル・ハウスvol.33』(後楽園ホール)で、ボノと初めて激突したタイガー・ジェット・シン、その人である。結果はシンの反則負けとなったが、勝負では明らかにボノの惨敗。ボノ初の流血試合となってしまった。
だが、その試合後にボノのお友達として噂されていたマーク・ハントがリングに登場! ボノはハントとともに真っ向から高田総統以下、モンスター軍を敵に回すこととなった。今回はメインでボノとハントがシンへの雪辱に燃える! 果たしてどうなる高田モンスター軍! そしてボノちゃん!!
本日も前回の2・21『ハッスル・ハウスvol.33』(後楽園ホール)に引き続いてジャイアント・バボが先発で登場。「本日は『ハッスル28』によう来たな。モンスター軍のジャイアント・バボや」とたどたどしく自己紹介を済ませると、「総統」コールの練習へ。すると、ハッスル軍のKUSHIDAと\(^o^)/チエが花道から登場。しかし、前回と同じくリングには上がらず、エプロンに立ってにやけるばかり。「総統」コールの練習も終わり、時間を持てあまして困り果てたバボを見かねて、ようやく2人はリングイン。
「毎回毎回、来るなら来るでさっさと入ってこいや!」とバボ。KUSHIDAは「たまにはアドリブくらいきかせろよ!」と反論しつつ、自己紹介へ。「皆さん、こんにちは! ハッスル軍のKUSHIDAです! そして……」、「\(^o^)/チエです!」。会場は開会前とは思えない大歓声に包まれる。2人は、ハッスル軍の入場時の声援、モンスター軍の入場、それにRGが調子に乗った時のためにブーイングを練習。全て本番さながらの盛り上がりだ。
KUSHIDAが続けて、タイガー・ジェット・シン入場の際の注意を促すと、隣のチエがバボに矛先を向ける。「おいバボ! お前、今日私に負けたら丸坊主だぞ!? 分かってんのか?」。するとバボは「負けるわけないやろ! アホか!」とチエを突き飛ばす。「お前こそな! 読売新聞の企画で美人に変身とかやっとったけど、ぜんぜん変わってへんかったぞ! 元の素材が悪すぎるんじゃアホ! 今日はな、勝って俺がお前を丸坊主にしたるからな!」と、子供のケンカさながらに怒鳴り散らし、リングを後にした。