×若鷹ジェット信介
木村浩一郎○
13分59秒、ラストライド
10・27『ハッスルマンズワールド #2』後楽園大会での坂田“ハッスル”亘vs若鷹ジェット信介戦の直後、突如乱入してきた木村浩一郎。かつて総合格闘技でヒクソン・グレイシーと対戦した経験を持ち、リングスなどにも上がった超強者だ。
この突如の乱入という行為に激怒したのが、『ハッスルマンズワールド』立ち上げに心血を注いできた若鷹ジェット信介だった。
「ああいう行為をやられて汚された。坂田さんが出ていくまでもない。1回で終わらせる。所詮、宇宙パワーだろ?」。
しかし、この「所詮、宇宙パワーだろ?」という発言が大きな波紋を呼んでしまった。木村浩一郎は、以前スーパー宇宙パワーという“宇宙で唯一”のキャラクターとしてもリングに上がっていたが、その名前から想像されるコミカルな面は一切なく、怖くて強くて妥協しない……若手の最も高い壁に、そして伝説になった人物。
その木村浩一郎は言う。
「ハッスル(マンズワールド)はなにがやりたいんだ? エンタメか? 強さを求めるプロレスか? 強さを求めるプロレスをやるなら俺がそれを体験させてやる。若鷹、“プロレスラーには強さが必要”だと言うんなら、まず12月2日のリングで、俺にそれを見せてみろ。そして、俺に直接“所詮、宇宙パワーだろ”って言え。俺の前で必ず言え! それを聞きに新宿FACEに行くから」
「そして坂田! お前のハッスルという世界がどんなもんなのか、若鷹を媒介にして査定してやる。甘んじて若鷹ジェットくんとの試合を飲んでやる。でも“所詮、宇宙パワーだろ”という言葉が若鷹から直接出ない場合は、お前が出てくるしかないからな。それを覚えとけ」
「俺は引退に向かっている。だからこそ、全人生・全存在を賭けて、俺のプロレス観を、業界そして世間に向けて問いかけていく。この時代、俺の動きがどれだけ理解されるのか、あるいは俺の行動を今のプロレスファンがどう受け取るのか、それは俺にもわからない。誰もが理解するわけはないともわかっている。ただ、これが俺にとっての“問いかけ”だから。木村浩一郎のプロレスを、それもギリギリのプロレスってやつを、とびきり面白いもんを見せてやるから。前にも言ったけど、俺は本気で、プロレス界に爪跡を残す気でいるからな」
図らずも『ハッスルマンズワールド』とは何か? プロレスとは何か? という命題が浮かび上がる一戦となったが、このヤバイ闖入者に対し、吐いたツバを飲みこまない覚悟のジェットは、いったいどう立ち向かうというのか?
閉じるゴング開始直後から積極的に攻めるジェットは、早くもコーナートップからダイビングアタック。しかし、木村も張り手をジェットの顔面に叩き込むと、ヒザ蹴りからツームストーンパイルドライバー。さらに、木村はジェットの顔面を蹴り上げる。
ジェットも負けじと木村の顔面に飛び蹴りを叩き込むと、怒った木村は強烈なキックをジェットに浴びせる。ここでジェットは場外にエスケープ。木村は「早く、来いよ!」と挑発する。
リングに戻ったジェットに対し、木村はタックルでテイクダウンを奪うとサイドポジションへ移行。さらに、アームブリーカーでジェットの腕を折りにかかる。しかし、ジェットも体勢を入れ替えてブロック。ジェットも木村のワキ固めを切り返してマウントを奪うも、木村はニードロップをジェットの顔面に落として反撃。ここから、木村はジェットにキックを連発で叩き込む。
5分経過、木村のキック攻撃に防戦一方のジェット。ならばと木村はハーフハッチスープレックスから腕十字へ。ジェットはなんとかロープに逃れる。そして、再びジェットにキックを叩き込んだ木村はビクトル投げからヒザ十字へ。ジェットは悲鳴をあげながらロープに手を伸ばし、これもなんとか逃れる。笑いながらジェットの顔面に張り手を叩き込む木村は、「これで終わり!」と串刺しラリアットを放つが、ジェットも張り手で応戦。さらにブレーンバスターで木村を叩き付ける。
ここでジャーマンを狙ったジェットだが、木村はワキ固めで切り返す。しかし、ここはジェットが延髄斬り一閃。さらにジェットはスモールパッケージホールドで木村を丸め込もうとするも、これを耐えた木村はそのままブレーンバスターの体勢に抱え上げ、ジェットを前方に叩き付ける。ここで木村は立ち上がったジェットめがけて串刺しラリアット一閃。そして、最後は木村が高々と抱え上げてのハイアングルパワーボムでジェットを沈めた。
試合後、木村は宇宙パワーのマスクを被ると、「ヨウコソ、シンジュクフェイスヘ。カッチャイマシタ」と宇宙ボイスでアピール。さらに、木村は「公約通りに“所詮、宇宙パワーだろ”って言ってごらん。オラ、言ってみろ!」とジェットに迫る。するとここで、坂田が現われ、リングに入ると木村めがけてミドルキック一閃。たまらず木村は場外へ。ここでマイクを持った坂田は、、「お前がやりたい試合はこういうことか!? だったら、ここまで上がってみろ!」とアピール。これに対し、木村は「ナンバー2に勝ったんだから、坂田選手、次はどうでしょうか?」と対戦を要求すると、坂田は「上等だよ」と了承。すかさず木村が「だったら組めよ!」とアピールして去って行くと、「逃げるなよ、コラ!」と坂田も応戦した。
木村が去り、リングに残った坂田は、「お見苦しい所をお見せしました。ジェットもだらしねえな」と語ると、「木村浩一郎はロートルだよ。金村キンタロー? ロートルにもなんねえよ。どっちがやりてえんだよ。列に並べよ、オラ!」とアピール。最後は、「みなさまのおかげでなんとか今年は乗り切れそうです。来年はもっとみなさんにいい夢を見せられるように、これからハッスルしていきます!」と来年以降の巻き返しを誓った坂田が、「来年もハッスルするぞ!」という掛け声と共に観客とのハッスルポーズで締め括った。
17分56秒、スーパーキック
10・27後楽園ホール大会。全試合終了後に乱入してきた木村浩一郎と金村キンタロー。目的は違うとはいえ、この2人のやっかいな闖入者に対しハッスルマンズワールドのボスである坂田は、一度は迎撃態勢を取った。
しかし、ジェット、そして柴田がそれぞれの相手を志願。今回は任せる形となった。その坂田は、越中詩郎と久しぶりに対戦することで、ハッスルマンズワールドの理念である「明るく楽しく血が騒ぐ、闘いのカーニバル」を体現するつもりだ。
もちろん越中に異論があるはずがない。しかも、お互いのパートナーであるZERO1の斎藤、九州プロレスの白波。この2人は9・10の旗揚げ戦で因縁がぼっ発した仲。若い2人がお互いを意識していないわけがないが、斎藤は今回は坂田と組むものの、2日後の『ジェッツ3』(西調布格闘技アリーナ)では、その坂田と一騎打ちが決まっている。
いまやZERO1イチのトンガリボーイと言われる斎藤は、ある意味では坂田も敵。片や白波も「今回は斎藤はどうでもいい。狙いは坂田。全方位に闘いを仕掛けていく」と言い切っている。まさに4人の思いが複雑に絡み合い、単なるタッグマッチでは終わらない気配を漂わせている。
閉じる先発は斎藤と白波。グラウンドでは一歩も譲らない攻防を見せる両者。ならばと斎藤がエルボーで先に仕掛けると、白波をタックルで斎藤を吹っ飛ばす。ここで白波のタッチを受けた越中は、斎藤を反対コーナーに投げ返すと、「坂田、来いよ、オラ!」と挑発。これに対して、斎藤のタッチを受けた坂田は強烈な逆水平チョップを放つが、越中もヒップアタックで応戦し、熱い攻防に場内が歓声に沸く。
ここで坂田のタッチを受けた斎藤は果敢にエルボーを放つも、怒った越中は強烈なヒップバットからボディスラム。さらに、越中は斎藤を場外に放り投げると、客席に叩きつける。越中のタッチを受けた白波はエルボーを放つと、斎藤もがむしゃらに応戦。しかし、ここで越中が白波にタッチすると河津掛けから、強烈な逆エビ固めでギブアップを迫る。しかし、これは坂田がカット。なんとか反撃に出たい斎藤だが、好連携を見せる越中&白波は斎藤を攻め立てる。
10分経過、防戦一方となった斎藤に対し、スリーパーホールドで絞め上げる白波。ここで越中が出てくると、斎藤にココナッツクラッシュを連発で叩き込む。さらに越中はヒップアタックを狙うが斎藤はドロップキックを放ってようやく坂田にタッチ。しかし、負けじと越中もヒップアタックを放つと白波にタッチ。白波は坂田に逆水平チョップを連発で叩き込むとブレーンバスター。さらに、逆片エビ固めへ。ここで越中にタッチ。
タッチを受けた越中はヒップバットから「ブレーンバスター!」と予告するも、逆に坂田に投げ返される。ここで坂田のタッチを受けた斎藤は、ミドルキックの連発から串刺し式ニーアタック。さらに、越中の背中めがけてサッカーボールキックを放つ。
しかし、越中もコーナートップからのダイビングヒップアタックで反撃。さらに、越中のタッチを受けた白波のエルボーアタックも斎藤はカウント2で返す。ならばと、白波は旋回式ダブルアームフェイスバスターを炸裂させるがこれもカウント2。ここで白波はパワーボムの体勢に入るが、斎藤はリバーススープレックスで投げ返して坂田にタッチ。、
タッチを受けた坂田はミドルキック連発。白波も丸め込みで応戦するが、坂田も強烈なバックドロップを放つ。さらに坂田はもう一発放つも、これは越中がカット。ここで斎藤が越中を場外で押さえている間に、坂田が白波に必殺スーパーキックを叩き込んで3カウントを奪った。
試合後、マイクを持った坂田は、「エッチューさん、相変わらずあなたは元気一杯で楽しい時間をすごせました。あなたみたいな人が大好きです。今年はいろいろ助けられました。今後もよろしくお願いします!」と感謝を述べる。さらに、坂田は12・4『ジェッツ3』(西調布格闘技アリーナ)で対戦する斎藤に向かって、「お前の蹴り、痛そうだよ。ダメだよ、若さの勢いに任せて。灰皿テキーラとかやめてくれよ(笑)。斎藤、あさって、よろしくな!」と、健闘を誓った。
8分34秒、反則勝ち
「金村こそクズ。俺流に言わせれば下僕」
坂田“ハッスル”亘は、10・27後楽園大会に木村浩一郎と共に乱入してきた金村キンタローをバッサリ斬り捨てた(※木村はその後、金村との共闘を否定)。その後、「ただ、ああいうやり方ではなく、今後、金村がプロレスというものと真剣に向き合っていくと言うんなら、12・2にこちらから指定するという条件でカードを組んでやってもいい」とも言った坂田は、金村迎撃にSTYLE-Eの柴田正人を指名。
柴田は10・27後楽園大会での坂田vsジェット戦の後、「坂田さん、ジェットさん、いい試合見させてもらいました。俺も一緒に闘いますよ」とハッスルマンズの闘いの軸に入ることを直訴。その熱意を坂田が受け止めた格好となった。
とは言え、今回は金村もコミカル・ファイトを封印し捨て身の覚悟で臨んでくるはずで、柴田にとってはそう簡単にはいかない大仕事となる。“取り扱い注意”の札を貼られた金村が爆発するのか、柴田がそれ以上の大爆発を見せるのか、要注目の一戦だ。
閉じる両者睨み合い。ゴング開始直後からサッカーボールキックを放った柴田は、ヘッドロックで金村を絞め上げるとタックルで吹っ飛ばす。柴田の先制攻撃に対し、金村は場外戦へと誘い出すと、イス攻撃で柴田を蹂躙。さらに、柴田をリングに戻した金村は、サミング攻撃を混ぜながらラフ殺法で攻め込む。ここでレフェリーの目を盗んで柴田を場外に放り投げた金村。すると、アパッチ軍のセコンドが介入して柴田にイス攻撃を浴びせる。
しかし、怒った柴田がここから猛反撃。金村の側頭部に強烈な腕パンチを連発で叩き込むと腕固めへ。これには金村も悲鳴をあげてギブアップを奪えるかと思われたが、ここでセコンドがリングに入ると柴田の背中めがけて強烈なパイプ椅子一閃!
これに怒った柴田がセコンドに詰め寄ると、急所蹴りを浴びる。さらに、金村がパイプ椅子で柴田の頭をぶち抜いたところでレフェリーがゴングを要請。金村に反則負けが告げられた。
試合後、「なんで俺が査定されなあかんのや! おい、アザラシ! そして、坂田、なめんな、コラ!」と怒りを露わにする金村は、「来いよ、オラ!」と柴田を挑発。これに対して試合内容に納得がいかない柴田が金村を追いかけようとすると、金村は一目散に退散して行ったのだった。
×@UEXILE
ダン・ゴーマン○
6分38秒、マフラーホールド
7・10『ジェッツ1』(西調布格闘技アリーナ)でデビューした“ハッスルマンズワールド第3の男”@UEXILE(ウエザイル)。 EXILEのATSUSHIそっくりというネタだけで、プロレス(あるいは人生)をナメきったかのような@UEXILEに対して、“黒の中村カントク”は常に“世界の強豪”を送り込む。
しかも、“世界の強豪”は決してハッタリではない。7・10ではZERO1で世界ヘビー級王者になったバンビ・キラー。9・10新宿FACE大会には、坂田“ハッスル”亘をフォールしたこともあるジョー・メガロドン。10・27後楽園大会には見たこともないないようなテクニックを持つミン・タイ・スー2nd。11・2にはムチを使わせたら世界で右に出るものがいないという女子プロレスラーのバンビ。まさに豪華絢爛。“世界の強豪”の名に恥じない超一流の刺客を@UEXILEにぶつけてきたのが“黒の中村カントク”だった。
その黒カントクが、「今回はあいつにとっての最も言い訳が効かない相手を用意してやる」とうそぶく“世界の強豪”とは一体誰なのか? はたして@UEXILEの運命は!?
閉じる今宵もEXILE『LoversAgain』を熱唱(※もちろん口パク)しながら入場の@UEXILE。コールと同時に観客から多数のうまい棒が投げ込まれる。一方、注目の世界の強豪Xは、ダン・ゴーマンなる外国人選手。筋肉はダンのほうが圧倒的にあるものの、上背では@UEXILEが上回っている。
ゴング開始直後から果敢にも力比べにいった@UEXILEだが、ダンにアッサリとねじ伏せられると早くも悲鳴をあげながら悶絶。すかさず特別レフェリーを務める黒の中村カントクが「ギブアップ?」と尋ねるも、@UEXILEは「ノー!」と力強く答える。
@UEXILEのあまりの弱さにプッシュアップをしながら余裕を見せるダン。ここで@UEXILEは懲りずにグラウンドに挑むと、アッサリとヘッドシザースに捕らえられる。ならばと@UEXILEは倒立で抜け出そうとするがまったく頭が抜けず。逆に頭をマットに打ち付けられる。
ダンは@UEXILEを起こすと強烈な逆水平チョップ、高速ブレーンバスターを叩き込み、アンクルホールドでギブアップを迫ると、すぐさまタップをする@UEXILE。しかし、黒の中村カントクは靴紐を結んでいたためこの場面を見ておらず、@UEXILEは「ギブアップしただろ!」と逆ギレするものの構わず試合続行。ここで、ダンの突進をかわした@UEXILEはなんとタランチュラで捕獲。まさかの妙技炸裂に場内から驚きの声があがる。
しかし、ダンもここから怒涛の猛反撃。強烈な串刺しラリアットからダイビングボディスラムを放つが、驚異的な粘りを見せる@UEXILEはカウント2で返す。ならばとダンはマフラーホールドで@UEXILEを軽々と抱え上げると、悲鳴をあげながら@UEXILEは高速タップ。試合前の公約通りに新技を披露した@UEXILEだが、またしても世界の強豪の前に涙をのんだ。
旭志織
×佐藤悠己
めんたい☆キッド○
阿蘇山
13分34秒、めんたいプレス
九州プロレスの新エース、めんたい☆キッドが東京初上陸ということで注目されるが、他の3人も九州出身。“九州男児の中の九州男児”を決める闘いとも言える中で、お互いが九州男児っぷりをリングでぶつけ合う、熱く激しい闘いのカーニバルになるはずだ。
閉じる先発はメンタイと旭。「東京ば、元気にするタイ!」と威勢のいいメンタイに対し、旭はクールに攻めるも、メンタイも負けじと食らいつく。ここで、両チームがタッチ。体格では劣る佐藤だが、果敢にも阿蘇山に力勝負を挑む……かと思われたが、足を踏みつけてボディスラムを狙う。しかし、これは阿蘇山にあっさりと投げ返される。
ここで佐藤は旭にタッチ。旭はタックルでぶつかるも阿蘇山は跳ね返す。タッチを受けたメンタイは旭の顔面に低空ドロップキック。たまらず旭は佐藤にタッチ。佐藤はカウンターのドロップキックからスリーパーへ。さらに、佐藤はコーナーでメンタイに強烈な逆水平チョップを連発で放つ。防戦一方となったメンタイはなんとかエルボーで反撃に出るも続かず。ならばと一瞬のスキを突いてエプロンからリング内へとドロップキックを放つとようやく阿蘇山にタッチ。
10分経過、タッチを受けた阿蘇山は旭&佐藤をまとめて蹴散らすも、佐藤も負けじと619からボディスラムで投げきる。ここでタッチを受けた旭は一気に攻め込むが、阿蘇山もツームストーンパイルドライバーで反撃。ここでタッチを受けたメンタイはコーナートップからボディシザース。しかし、旭も旋回キックで応戦。
旭のタッチを受けた佐藤はミサイルキックから、旭のアシストを受けてラリアット。さらにコーナー最上段からダイビングフットスタンプを投下するも、ここは阿蘇山がカットに入る。ここで阿蘇山のミサイルキックのアシストを受けたメンタイはハーフネルソンスープレックスで佐藤をマットに叩き付けるもカウント2。ならばと、メンタイはコーナー最上段からファイヤーバードスプラッシュ(めんたいプレス)を炸裂させて3カウントを奪った。