ファイトカード

エンディング

試合後、木村は宇宙語でなにやらがなりたてると、坂田を置いてさっさと退場。一方、坂田もマイクを握ると、「木村、まんまと食らわされた! こんなんで済むか、アホが! ジェット、上がれ! ジェット、俺たちに付け入る隙があるからこうなるんだよ! 俺もお前もまだまだ甘いんだよ! ジェット、やるぞ!」と気合いを入れ直した。

これに対して、ジェットも「俺らやりましょうよ! ここにいる人たちが証人ッスよ! 俺が木村やりますから! 次はまた俺に行かせてください! 木村潰すぞ!」と宣言! 「邪魔するなら、坂田さんにもまた噛み付きますよ! ハッスルは俺が守ります!」とまで言い切った。それに対して坂田は、「ハッスル守るなんて、生ぬるいこと言ってんじゃねえ! 新しいハッスルを作るんだよ!」と叫ぶと、「ということで、今日は誠に無様なところを見せてしまいましたが、初めてジェットの感情を聞くことができました。あとは@UEXILE、山口日昇、おまえもだ。本気出やらないのか?」と残りのメンバーにも訴えた。

さらに坂田は、「今日は我々の茶番に付き合っていただき、誠にありがとうございました! ジェットの本気が見えました! いま、正直に言う、俺たちはそんな余裕がない。でも、余裕がない中で、いい意味で俺がどうにかなっても、こいつに託せるんじゃないかと思った。でも、俺もここで終わるわけにはいかん! 木村が来ても、どんなハードルが来てもも全て乗り越える!」と偽らざる心境を口にし、前に進むことを宣言したのだった。
そして、最後はジェットの音頭でハッスルポーズ! 大荒れのメイン、そして今年一発目の興行を締め括ったのだった。


ハッスルマンズvsスーパー宇宙パワー!

×坂田“ハッスル”亘

木村浩一郎

8分40秒 宇宙パウダーからのラストライド→ エビ固め

昨年10・27『ハッスルマンズワールド #2』後楽園ホール大会のメインイベント終了後、「これから一緒に走って行こう」という決意の表れとして、坂田“ハッスル”亘と若鷹ジェット信介が揃ってハッスルポーズを決めた直後、突如として乱入してきた木村浩一郎この土足で踏み込んできた行為に激怒、真っ先に迎撃態勢を取ったのが、『ハッスルマンズワールド』立ち上げに心血を注いできたジェットだった。木村は、かつて総合格闘技でヒクソン・グレイシーと対戦した経験を持ち、リングスなどにも上がった超強者。その反面で、スーパー宇宙パワーという“宇宙で唯一”のキャラクターとしてもリングに上がっていた。その名前から想像されるコミカルな面は一切なく、怖くて強くて妥協しない……若手の最も高い壁に、そして伝説になったキャラクターだ。

その木村に臆することなく、「坂田さんが出て行くまでもない。1回で終わらせる。所詮、宇宙パワーだろ?」というジェットの発言が戦前に大きな波紋を呼んだジェットvs木村戦は、12・2『ハッスルマンズワールド #3』新宿FACE大会で行われた。
ジェットが追い込む場面もあったものの、木村のえげつない攻撃に館内が凍りつく凄惨な展開の末、木村の勝利。宇宙パワーのマスクを被った木村は、試合後も立ち上がれないジェットにマイクを突きつけ、「ここで俺に直接、所詮、宇宙パワーだろと言ってみろ!」と迫る。弟分のジェットがこの罰ゲームのような戒めを受けている場面に、業を煮やした坂田が登場。背後から木村の顔面を蹴り上げた坂田は、「これがお前のやりたいことか? いつでもやってやる。逃げるなよ」と対戦を受諾する姿勢を取った。

今回の1・27新木場大会では当然決着戦が何らかの形で行われることが予想できたが、なかなかカードが発表されず。シビレを切らした木村は1月20日、以下のような声明文を『ハッスルマンズワールド』及び坂田に突きつけてきた。この木村の声明文に対し、翌日21日に坂田は会見を開き、木村との一騎討ちを発表した。「逃げるつもりもないし、シングルでやることも何も怖くはない! そこまで言うならシングルで終わらせればいいという単純な発想」と一刀両断した。弟分であるジェットの敵討ち、自分の庭を守るべく一騎討ちで落とし前をつけようとする坂田だが、言わずとしれたリングス出身。『PRIDE』他で総合格闘技を経験しており、格闘技・プロレスを問わず、喧嘩屋としての火種は常に抱えている存在だ。その一方では、旧ハッスルで“小池のダンナ”やナットーマンとしてのキャラクターとしてリングに上がっていた懐の深さも併せ持つ。一方、ハッスルマンズ制圧、スーパー宇宙パワー増殖を匂わせるコメントも発している木村は先述した通りの経歴を持つ。

両者はリングスでこそ交差していないものの、その辿ってきた道の振り幅の広さと、闘いに対する軸という部分では、意外にも共通する部分がある。その2人が交わったとき、喧嘩になるのか、作品になるのか? 途中で壊れるのか、完成するのか? 図らずもまた裏では、『ハッスルマンズワールド』とは何か? プロレスとは何か? という壮大なテーマが浮かび上がりそうだ。いずれにしろ、殺気と不気味さが漂う、胸がザワつく一戦であることは間違いない。

閉じる木村はセコンドとしてスーパー宇宙パワーを伴い入場。果たして、この宇宙パワーの正体は誰なのか? 一方の坂田は前回、木村に敗れたジェットがセコンド。いよいよ因縁の一戦の幕が開ける。まずはグラウンドの攻防を繰り広げる両者だが、2人とも総合格闘技経験者。特に木村は隙あらば、蹴りをぶち込んでくるなど殺気で溢れている。さらにフェイスロックで坂田の顔面を絞めた木村は、寝転がる坂田に容赦なく蹴りを炸裂させていく。一方の坂田もチョップなどで反撃し、ブレーンバスターを仕掛けてみるものの、あっという間にワキ固めに切り替えされる始末。さらにサッカーボールキックでしこたま蹴飛ばされた。

容赦ない木村は、そんな坂田に対して腕ひしぎ! しかし、なんとかロープブレイクで逃れた坂田はバックドロップで2連発から反撃の狼煙を上げる。木村の攻撃で左肩を痛めのか気にするそぶりを見せる坂田だが、木村にストンピング、パンチ攻撃を連続で見舞う。そして、強烈な逆水平チョップを連発だ。しかし、優位に立ったかに思えた坂田に木村はまたも腕ひしぎ! 油断も隙もないとはこのことだ。だが、坂田もすぐに逃れるとドロップキックを炸裂させ、場外に木村を蹴り落とす。さらに場外乱闘で優位に立つと、リングで仁王立ち。木村に向かって、「木村、立て!」と雄叫びを上げる。しかし、木村が立つ様子はない。もはや戦意を喪失したのか?

ならばとトドメを刺すべく、コーナーに上がった坂田。しかし、ここで宇宙パワーがホワイトパウダー攻撃! そして、蘇生した木村が坂田にデッドリードライブだ。救出に入ったジェットも蹴散らされ、もはや万事休すの坂田。最後はあえなくパワーボムを食らい、無念の3カウントを聞いたのだった


ジェッツ・トゥ・ザ・フューチャー

若鷹ジェット信介
小笠原和彦

越中詩郎
藤田ミノル×

15分14秒 首固め

『ハッスルマンズワールド』を背負うという気持ちは地球上の誰よりも持っているという自負がある若鷹ジェット信介。しかし、スピンオフイベント『ジェッツ』では勝ち星を挙げてはいるものの、旗揚げ戦・第二戦の坂田“ハッスル”亘二連戦、そして侵略者・木村浩一郎戦では、存在感は十分に見せつけたが勝ち星は挙げられず。いまだ本戦の『ハッスルマンズワールド』では勝ち星に恵まれていない。そのジェットは今回タッグマッチでの出陣となるが、そのパートナーは小笠原先生こと、小笠原和彦。元・極真空手の猛者でもあり、かつてのZERO-ONEマットでも故・橋本真也との激闘を始めとして、一大旋風を巻き起こした。旧ハッスルではゼブラーマンに扮して、摩訶不思議な人気を博したこともある。50歳を過ぎた現在でも存在自体が“ハッスルマン”な怪人物だ。

昨年12・4『ジェッツ3』西調布大会で、ジェットと小笠原先生はタッグマッチながら矛先を交えた。ジェットがZERO-ONEの新弟子時代には、小笠原先生はプロレス大賞新人賞を受賞するなど破竹の進撃を続けている時期で雲泥の差があった。そして度重なる怪我によりプロレス界を一度退いたことのあるジェットにとっては、その小笠原先生とリング上で交差することは“失われた時”を取り戻す意味もあった。辿ってきた道程、現在の意識、熱意、温度などを闘いを通じて感じ取ったジェットは、自ら小笠原先生にパートナーになってくれるようオファー。「本当はハッスルにゆかりのあるゼブラーマンでオファーしてたんですけど、どうもコスチュームがないらしくて……」という理由で断念したという小ネタは挟まれるものの、小笠原先生もジェットのコンビ結成を快諾した。

その相手となるのは、越中詩郎&藤田ミノル組という、これまた異色というか『ハッスルマンズワールド』でしか実現しえないチーム。「越中さんは、ある意味、ボクらよりもハッスルしている存在。ボクは越中さんのファンだからこそ、超えなければならない」というように、ジェットにとっては、まずはその存在ぶり&ハッスルぶりで超えなければならない壁。

ご存じの通り、越中は50歳を越えてもなお、いまだ“ハッスルマン”としての熱を発散しまくっている。小笠原先生との対戦も、同世代であるがゆえに熱くなろそうだ。どちらがハッスルしているのかという部分でも、越中の“熱ケツ”ぶりと小笠原先生の天然ぶりの激突は火花が飛び散りまくることだろう。また、勝負という観点からも、ここらで何がなんでも本戦で勝ち星を挙げなければならないジェットだが、越中のパートナーは策士・試合巧者の藤田ミノル。簡単に勝たせてくれる相手ではない。小笠原先生のスタミナにも不安が残るし、ジェット自体も古傷という爆弾を抱えている。

誰が誰から勝ちを拾うのか、まったく勝負の展開は読めないが、『ハッスルマンズワールド』の理念でもある“明るく楽しく血が騒ぐ闘いのカーニバル”にふさわしい闘いが繰り広げられるに違いない。

閉じるゴング前にいきなり奇襲を仕掛けた小笠原。本物の空手チョップをふるって、藤田を追い詰める。これに面食らった藤田に対して、さらに空手仕込みの蹴り技をぶち込んでいく小笠原。上段、中段、下段と変幻自在の蹴りをさんざんぶち込み、ダブルのチョップで藤田をダウンさせたのだった。続いてジェットと越中が気合いの入った攻防。果敢にチョップを打ってくるジェットに対して、越中はお得意のヒップバットをお見舞いだ。さらに小笠原に対して、「空手出てこい、この野郎!」と挑発だ。

これに乗って小笠原が再び登場。小笠原のケサ斬りチョップに対して、越中も一歩も引かない。ブレーンバスターで投げ飛ばし、意地を見せた。代わった藤田もさっきのお返しとばかりに低空のドロップキックを顔面にぶち込む。だが、すぐさま小笠原も正拳突きで反撃だ。ここから試合はヒートアップ! 「ジジイ、出てこい!」とジェットが越中を挑発すれば、越中もこれに呼応。ジェットとたちまち場外乱闘だ。一方の小笠原と藤田も会場の外に出て、売店付近で乱闘を繰り広げる。ようやく試合が落ち着き始めると、ジェットが越中組に捕まる展開に。気合満点かつ好連携の越中と藤田の攻撃から、なかなかジェットも逃れられない。

長時間捕まっていたジェットだったが、怒りの張り手で藤田の動きを止めると、ドロップキックを食らわしようやく脱出。ここでタッチを受けた小笠原が爆発! 藤田をあっという間に蹴散らすと、カットに入ってきた越中も空手チョップで追い詰める。さらに藤田にワキ固めを極める小笠原。それに対して、越中はヒップバットでカットだ。今度はジェットが反撃するを番だ。ミサイルキック、フライングボディプレスで藤田に攻め込んだジェット。だが、代わった越中からはジャンピングヒップアタック、ミサイルヒップを連続で被弾。パワーボムの体勢に捕らえられた。小笠原がカットに入ったものの、気合満点の越中は崩せない。パワーボムこそ防げたものの、ケサ斬りチョップの小笠原に対し、越中はパンチ攻撃で対抗してくる。

場外に小笠原が追いやられる間に、再びジェットが追い詰められる。だが、またもカットに入る小笠原。正拳突きの連打で藤田を追い詰めると、ジェットとのジャーマンも決めた。しかし、続くゼブラスクリューパンチがジェットに誤爆! 再びピンチに陥るジェット。だが、ジェットも意地を見せ、フォールを許さない。小笠原と越中が場外でやりあっている間に、藤田とスモールパッケージ合戦とだ。そして、遂にジェットが藤田3カウント! 気合の入った一番を制したのだった。


asfiライブパフォーマンス

休憩明け、前説にも登場したasfi(アスフィ)の3人が登場! 元気よくデビュー曲『ピザビュー』を披露! リングサイドではファンとおぼしきお兄さんたちがノリノリで声援を送っていた。


@UEXILE vs 世界の強豪シリーズG:3WAYマッチ

@UEXILE×
VS
バンビ○
VS
KAMIKAZE

8分42秒 ムチ一撃 → 片エビ固め

昨年7・10にデビューした“ハッスルマンズワールド第三の男”@UEXILE(ウエザイル)。EXILEのATSUSHIそっくりというだけで、世の中のすべてのものに対して「関係ねぇっす!」という不遜な態度を取り続けてきた男。プロレス、そして人生をナメきったかのようなこの男に対しては、 常に“世界の強豪”が送り込まれてきた。しかもその“世界の強豪”はネタではなく、本当にハンパではない強豪ばかり。

デビュー第一戦では、ZERO1で世界ヘビー級王座を戴冠したこともあるバンビ・キラー。第二戦は、坂田“ハッスル”亘をフォールしたこともあるジョー・メガロドン。第三戦には見たこともないないようなテクニックを持つミン・タイ・スー2nd。第四戦にはムチを使わせたら世界で右に出るものがいないという女子プロレスラーの“女王様”バンビ。第五戦は、未知の外国人ダン・ゴーマン。第六戦では、まさかの藤田ミノル。そして昨年12月28日に行われた第七戦では、坂田“ハッスル”亘と組み、大谷晋二郎&越中詩郎組と対戦するという絢爛豪華極まりない初タッグマッチを経験した。

おそらく、デビュー半年でこれだけの面子と闘ったプロレスラーは、世界広しと言えども、@UEXILEしかいないだろう。ある意味で@UEXILEは、数奇な運命を辿るだけの強運を持ち合わせた、まったくふざけた形での大物かもしれない。現にこの男は、うまい棒が大好きというカミングアウトをきっかけに、全試合、入場の際には大量のうまい棒が紙テープ代わりに投げ入れられる(あるいは思いきりブツけられる)という、プロレス界にはない風景をつくりあげてしまった実績もあるのだ。

今回は初の3WAYマッチが決定しているが、当然の如く、対戦相手は“世界の強豪”が2人になる。しかし、@UEXILEはこうウソぶく。「3WAYマッチということは、1対2ということじゃねえす!“1対1対1”で闘うということす! 俺がどっちか1人を味方につければ、俺が有利になる展開もありえるということす! 今回は頭脳戦す!……そもそも、1対2になったとしても負ける気はしねえす!」

最後のひと言は余計だが、たしかにそれは一理ある。対戦相手2人のうち、どちらかの力を利用できれば、@UEXILEに奇跡の初勝利の瞬間が訪れるかもしれない。
これまで、“世界の強豪”の名に恥じない超一流の刺客を@UEXILEにぶつけてきた“黒の中村カントク”が沈黙を守っていることが、これまた今回、@UEXILEの運命がどう転がっていくのか、まったくわからないという部分に拍車をかけている。

閉じる@UEXILEが入場した後、まずは“世界のお母さん”が登場。なんと、出てきたのは@UEXILEが「死んでもお断りッス」と拒否していたはずの“世界のムチ使い”バンビだった。バンビは千葉在住で育児に励んでおり、気づかなかったのは@UEXILEのミスだ。そして、最後に登場したのは“世界の兄貴”ことKAMIKAZE。試合はKAMIKAZEの要望で、酔いどれマッチとなった。これはフォールを奪えない場合、アルコール度数25度の焼酎を一気飲みしなければならない。試合がスタートするとムチを取り上げられたバンビだが、@UEXILE相手に3回連続で焼酎を一気飲みするハメに陥る。

さすがのバンビもこれはまずいと思ったのか、@UEXILEと共闘して様子見をしていたKAMIKAZEを攻める。しかし、2人がかりでもKAMIKAZEは手ごわい。たちまちバンビにムーンサルトを食らわし、3カウント奪取かと思われた。ところが、ここで@UEXILEがカット! なんとKAMIKAZEは特性の大型グラスで一気飲みをすることになった。さらにバンビに上手く利用され、2杯目を飲んだKAMIKAZE。酒が効いてきたのか、バンビもKAMIKAZEもまともに立っていられない様子だ。これをチャンスと見た@UEXILEはここぞとばかりにバンビを攻め立てる。しかし、やはりバンビに2度返され、焼酎を2杯飲まされた。

その後、スモールパッケージの返し合いでお互いに1杯ずつ飲んだバンビと@UEXILE。ここでふらふらだったKAMIKAZEが立ち上がり、@UEXILEをだましてさらに2杯飲ませることに成功する。ここでバンビを捕獲したKAMIKAZE。後ろから羽交い締めにすると、そこへ@UEXILEが焼酎を噴射! ところがバンビが寸前で避けたので、KAMIKAZEが被弾! KAMIKAZEはたまらず場外へと転落してしまった。その間、バンビを攻め立てる@UEXILE。容易にフォールにいかず、じわじわと攻め立てる。だが、バンビはひそかにムチを手にすると、@UEXILEに強烈な一撃! この一撃で悶絶した@UEXILEは遂に3カウントを聞き、またしても初勝利を得ることはできなかった。


シンパシーズ・スペシャル

旭志織

澤宗紀

15分32秒 両者リングアウト

プロレスファン垂涎のシングルマッチが実現! 『ハッスルマンズワールド』以外のリングで実現したほうが喜ばれそうでもあるストレートな好カードだが、この一戦にも『ハッスルマンズワールド』を舞台にしなければならない意味がある。

昨年12・28『ジェッツ4』新木場大会において、両者は6人タッグながら同じ試合のリングに立った。“ザ・忘年会プロレス”と銘打たれたスピンオフイベントだけに、この6人タッグは忘年会プロレスらしく、“酔いどれルール”を採用して行われた。“酔いどれルール”とはフォールに行った選手が返された場合、返された選手が指定された酒をイッキしなければならない地獄のルール(この日は44度の泡盛!!)。勝つためにはフォールを何度も試みなければならない選手にとっては、行くも地獄、返されるも地獄のルールだ。
同じチーム側に属した旭・澤は、その地獄のルールの中にあっても、お互いが“こいつはできる”とシンパシーを感じあったという。いわゆる達人が達人を見抜くという類のあれだ。

そして、スピンオフイベントで感じあったシンパシーが本物なのかどうかを、本戦である『ハッスルマンズワールド』のリングで、闘いを通じて確かめ合うための闘い、それがこの一戦なのである。確かめ合うためだけではなく、この一戦は勝敗がまったく読めない! KAIENTAI-DOJO所属でありながら、“ハッスルマン”足るべく、盟友であるジェットの為に身体を張る旭。プロレス界を縦横無尽に駆け回り、関係者やファンからも絶大な信頼を得ている、存在そのものが“ハッスルマン”である澤。この2人があいまみえた場合、知力・戦略・体力・技術では、いったいどっちが上回るのか、シビアな勝負論の観点からも非常に興味深い一戦だ。

閉じる緊張感溢れるレスリングの攻防を繰り広げる両者。ロープに押し込んだ澤は、クリーンブレイクと思いきや、旭の顔面に張り手をお見舞いだ。2度もこれをやられた旭もエキサイト。たちまち澤との張り手合戦となった。しかし、冷静な澤は上手くこれをさばいてグラウンドへ。だが、旭は強引に脱出するとストンピングで澤を蹴り飛ばしていく。一方の澤もサッカーボールキックで応戦。旭の背中を遠慮なく蹴り飛ばした澤は、スリーパーで絞めにかかる。一方の旭もグラウンドでやり返そうとするが、やはりここは澤に一日の長があるようだ。俯せになった旭の足を固めると、上から張り手をお見舞いした澤。場外に逃れようとした旭に対して、指極め腕十字も仕掛けてみせた。

さらに場外乱闘でも圧倒していく澤。リング上に戻っても、カウンターでミドルキックを叩き込み、素早いグラウンドの動きを見せるなど、旭に付け入る隙を見せない。リードしている澤は旭を小バカにする様にエルボーを見舞っていくが、旭はカウンターのエルボーをみぞおちにぶち込んで逆転に成功。フライングニールキック、カーフブラディング、ロープ越しのDDT、さらにロープを飛び越えてのフットスタンプも炸裂させた。しかし、場外乱闘になると再び澤は息を吹き返す。ゴミバケツを使った攻撃で旭にダメージを与えると、リングに戻り強烈なレッグラリアット! 旭も細かい足技で反撃を試みるが、澤は上手くレフェリーを巻き込んでカウントを入れさせない。

ここから旭も澤も好き勝手にレフェリーを巻き込んでしまったため、リングも場外も無法状態と化してしまった。ここで緊急処置として笹崎レフェリーが登場。場外で好き勝手に暴れる両者に対して、場外カウントを数え始めた。これに気づかない澤と旭。結局、カウント20が数えられ、両者リングアウトという不本意な結果に終わってしまったのだった。


オープニングハッスルマンズ

佐藤悠己
ニセHG

矢野啓太
ニセ℃×

14分25秒 エビ固め

注目の選手が初参戦! その男の名は矢野啓太。すでにプロレスマニアの中では頭角を現している&注目されている選手ではあるが、一言でいうと非常に変わり種の選手だ。
ペイントしたまま真顔で若鷹ジェット信介に参戦を直訴してきたらしいが、その行動や言動は、現代版のトンパチともいえる。他にもいろいろ、その奇行についての情報はあるものの、ここはあまり多くを語るより、当日の試合を楽しみにしていてほしい。必ずなにかを引っ掻き回していきそうな存在であることは間違いない。

そして、矢野のパートナーはニセ℃! 昨年9月の旗揚げ戦では本物になり済まし、ちゃっかり℃の中に佐野直が入っていたこともあったが、今回は正真正銘のニセ者(!)。どんなキャラなのかもまったく不明だが、それも含め、不気味&楽しみな存在ではある。

対するは、昨年4月の『坂田“ハッスル”亘興行』から始まり、『ハッスルマンズワールド』のレギュラーである、小さいながらもイケ面なサトきゅんと、イケ面大好きな二丁目在住の元・高田モンスター軍のハード・ゲイ、ニセHGのコンビ。サトきゅんにとってはパートナーを含め、自分以外の3人が敵ともいえる厳しいシチュエーションではあるが、ニセHGを含めたすべての選手との絡みが面白くなりそうだ。

矢野、ニセ℃の初参戦組が、はたしてレギュラー参戦組を出し抜くことができるのか? 存在としては誰が飛び抜けるのか? そしてどちらのチームが勝つのか? どんなテンポで、どんなテクニックが披露される試合になるのか? 興味は尽きないオープニングマッチとなった。

閉じる試合開始前から、やたらとパートナーの佐藤への接触を試みるニセHG。「怖がることないよ」というニセHGの言葉に対して、佐藤は明らかに距離を置きたがっているようだった。先発は佐藤と矢野でスタート。矢野とグラウンドで渡り合う佐藤に対して、「さときゅ〜ん(重低音)。可愛い(ニヤリ)」と声援を送っていたニセHGはタッチを受けると、ニセ℃と掛け声合戦だ。そして、ニセ℃と「ニセモノ、フォ〜!」、「シー!」と張り合うだけ張り合って、再び佐藤とタッチをしたのだった。

ところが、その佐藤が矢野&ニセ℃に捕まってしまう。矢野のコブラツイストに捕らえられた佐藤に対して、「さときゅ〜ん!」と気味の悪い声援を送るニセHG。だが、佐藤はなかなか脱出できない。矢野とニセ℃にはダブルの股裂きを仕掛けられる屈辱も味わう。ところが、ニセHGはこのピンチを救うどころか、佐藤の股間の匂いを嗅ぎにいくという有様だ。その後も、矢野からいたぶられ続けた佐藤だったが、なんとかカウンターのドロップキックを当てて脱出に成功。

ようやくタッチを受けたニセHGは、矢野にマンハッタンドロップを食らわせ股間にダメージを与えると、串刺し式ラリアットを叩き込む。さらに股間を顔面に擦りつけたニセHG。しかし、矢野からエルボースマッシュの反撃を食らうと、ニセ℃からもローキック、パンチの連打を浴びせられた。ジャンピングニーも被弾したニセHGだったが、サイドバスターをお見舞いして、ピンチを脱出。代わった佐藤はミサイルキック、619をニセ℃に炸裂させる。

しかし、再びコーナーに上がったところで妨害に遭ってしまい、再度矢野組に捕まった佐藤。矢野のエアプレーンスピンからニセ℃のバスター技を被弾し、絶体絶命の大ピンチだ。さらに救出に入ったニセHGからはどさくさ紛れの抱きつきまで受けてしまった佐藤。しかし、最後まで勝負を諦めない佐藤は、起死回生のスクールボーイ! ニセ℃を見事に丸め込み、3カウントを奪った。


オープニング

渋谷発ストロングキュートなバラエティユニットとして、本日デビューを果たすasfi(アスフィ)の3人が前説に登場! セーラ服を模した可愛らしいコスチュームでリングに上がったasfiは、観戦上の諸注意、「3、2、1、ハッスル、ハッスル!」のやり方、ニセHG℃への「シー!」という声援、@UEXILEのコール時にはうまい棒を投げることなどを元気よく会場のお客さんたちにレクチャーしたのだった。