高田総統の乱闘を制止する声が場内に響き、『威風堂々』のテーマが流れる。高田総統がついに姿を現した。場内からは思わず「総統コール」が沸き起こるが、高田総統は「やめろ」と一喝。ブーイングを浴びる事を最大の賛辞としている高田総統にとって、コールなどは耳障りなのだ。
「ハッスル軍の諸君、そして夏休みにも関わらずここに集まってくれた、暇で暇で仕方がない下々の諸君! 我こそが高田モンスター軍総統の高田だ」
バカにされたハッスルファン、通称ハッスラーから、大ブーイングが飛ぶ。心地よさそうな高田総統はさらに続ける。
「なかなかいいブーイングだ。キミたちもやれば出来るじゃないか。バカじゃないんだな」と、お褒めの言葉を受ける(?)ハッスラーたち。光栄なのか、侮辱なのか…。
総統はハッスル軍に呼びかける。「おい、そこのチキン! ポーク! 引きこもり! 君たちのその格好は何なんだ?」と彼らのハッスル・コスチュームにケチをつけ始めた。「今日はコスプレのパーティーかい?」と、バッチリとコスプレでキメている高田総統が尋ねる。
「度胸があったらこっちへ来い!」と小川が挑発するが、総統は「黙れ! この背ぇ
高ノッポのギョロ目が!」と一喝。「キミの活躍ぶりはフジテレビの『ごきげんよう』で拝見したよ」と、前回の『めざましテレビ』に続いてなかなかTVっ子である高田総統。しかし、ここで苦言を呈した。
「司会は小堺一機だったよな。キミとの絡みは、まったく噛み合ってなかったよ。ああいうのは“滑りっぱなし”と言うんだ。しっかりハッスルしたまえ」
小川は「てめぇに言われたくないよ、ボケがっ!」と返すが、総統は意に介さない。さらに続けて、「その元気だけが取柄のキミだ。その元気で次のPRIDE GP…いや、ハッスル査定試合でも頑張りたまえ」とエールを送る。
高田総統の毒舌の矛先は、今度は橋本へ向かった。
「ポーク君。ポークと言えばトンとご無沙汰だったね。おっと、私としたことがまたダジャレを言ってしまったよ」と、自らのジョークにまたもご満悦な高田総統。「チキン君に一つ言いたい。実はそこにいる破壊されまくっている破壊され王は、ハッスル軍にいらないんじゃないか? 我がモンスター軍に引き取ってくれってか?」と、驚くべき事に橋本をモンスター軍に引き入れようと言うのだ。もしや、これが総統が常々口にしている“例の計画”なのか!?
ところが、総統は一呼吸置いて「断る」と自ら返答! 「どうしても君がお願いするのであれば、ここにいる私の部下の島田参謀長の靴磨きにでもしてやろうか?」と、一方的に続ける総統、しかしやはり「断る」。
さらに高田総統の矛先は、トラックスーツを着込んだ本日の“ハッスル大賞”川田に向けられた。
「おい! そっち向かない! 川田君、キミは相も変わらず、あの骨董品の3冠ベルトとやらを、その仏頂面で磨いているのかい?」
侮辱された川田が叫ぶ。「おい高田!…じゃなくて総統! 話は戻るが、お前こそ自分をよく見てみろ。コスプレじゃないのか?」と、先ほどの総統発言に突っ込みを入れる。
しかし、この突っ込みにも全く動じない高田総統は、もう一人の男に語りかけた。
「そこにいるのは、ロートルの長州力君じゃないか。はじめまして、長州君」と自己紹介する高田総統。長州もマイクを握り、「高田! お前、なにマンガの世界に浸ってんだ? 葉巻を吸う代わりに、自分の指でもしゃぶってろ!」と冷静に言い返す。
フッとその様子を嘲笑う高田総統。「せっかくだから、キミに言いたいことがある。私はキミがいけ好かないんだ。生理的に受けつけないんだよ。要するにキミの事が大嫌いなんだ! 悪く思わないでくれたまえ」と、長州に対して暴言を吐く。
さらに、「私の頭の中に辞書がある。その辞書で“革命戦士”と引いてみたよ。そうしたら、“過去の栄光にすがり、グズグズしている事”と書いてあったよ。どうだ、面白いだろう?」と侮辱につぐ侮辱。最後に、「残り少ないプロレス人生を、縁側でお茶を飲むように過ごすがいい!」と吐き捨てた。
そして、高田総統は複雑な表情を浮かべる長州に目もくれず、「そこのコスプレトリオ! ロートルの長州! キミらは決して一枚岩ではない。その結束力では、新しいプロレスなんて出来るわけないんだよ。今日の勝利を酒の肴にして、仲良しごっこをやっていろ!」と、ハッスル軍の痛いところをつく。
「最後にひとつ」と高田総統。「ここにいる下々に宣言しよう。我がモンスター軍は“例の計画”を近々実行し、その時は然るべきものをいただく。では、ごきげんよう。バッドラック!」と、高田総統はスモークの中に消えて行った。“例の計画”とは、“然るべきもの”とは一体何なのか? そして、対抗戦に敗れたにも関わらずあの自身の根拠は? モンスター軍VSハッスル軍の行方は、ますます謎を深める。
小川は「おい、待て!」と叫んだが、もはや後の祭り。とりあえず、『威風堂々』のテーマを「なんだこの音楽は! 気分が悪いからやめろ」と止めさせ、ハッスル軍に語りかけた。「橋本! 川田! ハッスルすればできるじゃねぇかよ」と、2人の本日のハッスルぶりにはキャプテンも満足したようである。
橋本は「もっとハッスルしちゃうよ! 長州さんが言った、マンガの世界は俺は好きだけど、落とし前はつける」と改めてハッスル&モンスター軍撃破を宣言。川田にいたっては、「小川! ハッスルはお前だけのモンだと思うなよ!」と意外な発言。
その真意は、「これから俺は、“俺だけのハッスル”を行かせてもらう! このリングに関しては“ハッスルK”と呼んでくれ!」と宣言したのだ!
これには場内も大盛り上がり。小川、橋本、川田の3人は、固いハッスル魂で結ばれたのである。そうなれば、あと一人…場内からは「長州コール」が沸き起こる。このトリオに長州が加われば、最強の「ハッスル・カルテット」が結成されるのだが…。残念ながら、長州はすでに一人、リングを去っていた。
小川は「今日は無理そうなので、次回は必ずハッスルしてもらうように努力します」とファンに公約。続いて、笹原GMに「ハッスル軍からの提案として、チケット代何とかならないですか?」とチケット料金の引き下げを提案したのである。
「どーですか、お客さん」。場内からは前代未聞の「(チケットが)高い」コールが巻
き起こる。これには中立な立場である笹原GMも、「前向きに検討します」と可能性のあるお言葉。もしかしたら、もっと安いお金で幅広くハッスルが見られることになるかもしれない。
そして、リング上ではハッスル軍のエース3人が揃い踏み。「次はもう一人、入ってくれるように努力します」と、改めて宣言し、「3、2、1、ハッスル! ハッスル!!」。
11分23秒 リキラリアット→体固め
閉じる島田参謀長の不手際でマスク・ド・ノーフィアーが来日不可能になり、その責任を被る事になったアン・ジョー司令長官。ボビッシュと共に「ドゥ・ザ・ハッスル」ポーズを決めて、高田総裁の面前で勝利を誓う。
一方の小川は如意棒を手に、頭には金のワッカをつけた孫悟空スタイルで登場だ。そして、注目の「X」がコールされると、場内には「パワーホール」が鳴り響いた。そう、Xは長州力だったのだ! 長州はリングインするなりボビッシュに蹴り、アン・ジョーにラリアットを見舞い、小川とガッチリと“初”握手を交わした。
しかし、その後はモンスター軍が一方的な攻撃を展開する。アン・ジョーのパンチ&キック、ボビッシュのラリアット。ボビッシュはコーナーに長州を叩きつけてバッファロークラッシュだ。もう一発お見舞いしようとしたが、これを長州は蹴りでかわし、遂に小川とタッチ。
勢い込んでリングインした小川だが、ボビッシュにバッファロースラムで投げられ、「チキン!」と罵声を浴びせられる。そこで例の謎の外国人レフェリーがマッハのカウント。危うく3カウントは逃れた小川だが、レフェリーに抗議していたところを後ろから攻撃され、アン・ジョーには急所パンチを何度も喰らってしまう大ピンチに。さらに、マッハのカウントが小川を襲う。
完全にグロッギーとなった小川だが、最後のハッスルを搾り出して逆逆襲の払い腰! 長州とのタッチに成功したが、アン・ジョーは膝十字で長州を痛めつける。アン・ジョーの隙をついた長州はサソリ固めを繰り出すも、ボビッシュのラリアットに吹っ飛ばされてしまった。そこへ救出に入った小川は、新必殺技、故ジャンボ鶴田なみのジャンピング・ニーパットをモンスター軍の2人にお見舞いだ。そして安生を巴投げから、STO!
ところがレフェリーのカウントは、またしても超スローモーション。それどころか、3カウントが入りそうになると「右肩を痛めた」と肩を押さえてカウントを中止する。怒りの小川はレフェリーにパンチ、またも後ろから襲うアン・ジョー。代わった長州もモンスター軍の合体攻撃にグロッギー状態に追い込まれた。ハッスル軍、絶体絶命!
ここで長州がベテランの妙技。ボビッシュのラリアットを誘って、間一髪でよけてアン・ジョーを誤爆させた。そしてここで、長州がアン・ジョーへラリアット、小川がボビッシュにSTOの連携攻撃! すかさずフォールに入る長州。レフェリーのカウントは仕方がなく3つ入った! ハッスル軍の逆転勝利である! だが、ここでモンスター軍が乱入、2人を滅多打ちにすると、橋本と川田が救出に入りリング上は大混乱に。そこで、あのテーマが場内に鳴り響いた…。
8分37秒 ダイビングフットスタンプ→片エビ固め
閉じる対抗戦の副将に大抜擢された坂田。試合前の控え室で「勝ち負けだけじゃねえんだよ。どれだけハッスルするかが大事なんだ。そうすれば自ずと結果が付いてくる」とキャプテン・小川に激励を受ける。ここまで『ハッスル』ではいい所を見せていない坂田だが、このチャンスを活かすことができるか?
中村カントクの要望を飲む形で決まったこの一戦も、モンスター軍陣営は余裕の表情だ。何しろケビン・ランデルマンはモンスター軍きっての実力者。小川、橋本クラスならまだしも、坂田ごとき目じゃないといった感じだ。
美人秘書のウテ・ワナを引き連れて入場したランデルマンはのっけからエンジン全開。試合前から飛び跳ねて好調ぶりをアピールする。対する坂田も永ちゃんばりのタオルを肩にかけて観客を煽りながら入場する。
試合はいきなりランデルマンがラッシュをかけた。ハイジャンプボディプレスを3連発すると、さらにハイアングルのパワーボムで叩きつける。そのまま場外に落とすと、やはりウテ・ワナが試合に介入。ダメージの残る坂田に思いっきり平手打ちをかます。先制攻撃を受けてフラフラの坂田をランデルマンは渾身の力で絞め上げる。抵抗する坂田の体をそのまま持ち上げてボディスラム、再びチョークスリーパーで絞め上げるという離れ技はランデルマンにしか出来ない技だ。チョークが決まらないと見るやランデルマンはもう一度ボディスラムを決めてから、無理矢理立たせて顔面へチョップ、パンチの連打をお見舞いする。
しかし坂田は攻撃を受けながらもしっかりとランデルマンの動きを見ていた。ランデルマンが坂田をコーナーに振り、飛び越したその瞬間を狙って絶妙のトラースキック! それまで散々苦しめられてきたチョークで逆に絞め返す。さらにエプロンに立って挑発するウテ・ワナを一喝し、コブラツイスト。ランデルマンの顔は苦しそうな表情を浮かべる。
するとウテ・ワナがまたしても試合を妨害。坂田が反則をしていないにも関わらず、レフェリーに猛抗議し、坂田の集中力が散漫に。「いいかげんにしろ」と言わんばかりにウテ・ワナに詰め寄ってしまい、ランデルマンに完全に背中を見せてしまう。
ランデルマンは豪快なジャーマンで坂田を叩きつけ、両コーナーのトップロープからダイビングエルボー。さらに坂田の顔面にパンチを落とす。しかし小川に気合を注入された今日の坂田はそれくらいのことには動じない。鬼の形相でランデルマンをにらみつけ「来い!来い!」と挑発する。そしてランデルマン顔負けの高い打点のドロップキックを決めて、バックドロップ、ツームストンパイルドライバー。フォール返されるとすかさず腕十字に移行し、流れるように連続で技を仕掛ける。
ランデルマンのピンチを救おうと、ウテ・ワナがリングに入ってヒールで殴りかかろうとするも、あえてランデルマンの前に立った坂田はウテ・ワナに誤爆を誘い、頭脳プレーにも切れを見せる。そして公然の目の前でウテ・ワナにお尻ペンペン。若い女性にとってはこれ以上ないお仕置きだ。ウテ・ワナの誤爆で調子を狂わせたランデルマンはPRIDEでもおなじみの4点ポジションからのヒザ蹴りを見せるが、流れを呼び戻すことが出来ない。
最後は坂田が強烈な延髄斬りでランデルマンの動きを止めて、”ハッスルフットスタンプ”(トップロープからフットスタンプ)でランデルマンを破る金星を挙げた。これで対抗戦は2勝2敗の五分。坂田自身にとって、そしてハッスル軍にとって、この勝利は大きな意味を持つものになった。
10分24秒 三角絞め
”島田参謀長の歌う「ハッスル音頭」で場内が盛り上がる中、島田参謀長とアン・ジョー司令長官はモンスター軍がすでに2勝を挙げている事で上機嫌。「次の試合でもガマ大王が勝つから、その後の試合は行いません。帰る準備をして下さい」とアピールして、さっそく歓声はブーイングへと変わる。
そのブーイングを浴びて、満面に笑みを浮かべるアン・ジョー司令長官。「ツギハイヨイヨ、ガマ大王ノデバンデース、ゲロゲーロ」とガマ大王の出撃を宣言。「ガマ大王ガポークヲコロシマス、ゲロゲーロ」と殺戮を予告した。
そして現れたガマ大王は、なんと橋本をはるかに超える巨体の持ち主。すでにその体からは、ガマの油が浮き出ているぞ!
対する破壊王改め“ハッスル・キング”橋本は、沢田研二の「勝手にしやがれ」のテーマに乗って登場、小川から贈られたというコスチュームはプレスリーも真っ青のヒラヒラ付き。さらにその腰には、きらびやかなライトが点滅するベルトが締められている。派手だ、派手すぎるぞ“ハッスル・キング”! これなら前回の小川のコスチュームにも負けていない。
閉じる橋本はローキックの連打でガマ大王からダウンを奪うが、攻撃をその分厚い脂肪で吸収してしまう。橋本をコーナーに追い込むと、負傷している肩にガマ・ヘッドバット。橋本はガマ大王の足を踏みつけて脱出すると、払い腰で投げつけようとするが、あまりの重さにびくともしない。ならばとボディスラムに行くが、これは逆に同じ技で返されてしまった。倒れた橋本にガマ・エルボードロップ、フォールに入ると、なんとレフェリーが高速のカウントを数え始めた。
中村カントクと橋本が抗議するが、レフェリーは意に介さない。どうやら、この謎の外人レフェリーはモンスター軍に買収されているようである。
橋本とガマ大王は睨み合いからチョップ合戦、橋本は袈裟切りチョップを繰り出し、さらに地獄突き2連発! 脂肪を貫いて喉を直撃されたガマ大王は、ゲロゲーロと嗚咽を繰り返す。すかさず橋本はロープに飛んでショルダータックルを見舞うが、ガマ大王はビクともしない。ならばと橋本は「お前がやってみろ」と指図、素直なガマ大王がガマ・タックルを決めると、橋本の巨体が吹っ飛んだ。自爆に近いぞ、ハッスルキング!
グェッグエッと笑うガマ大王。橋本の右肩にガマ・クローだ。橋本はバックに回ってジャーマンを狙うが、ウエストが太すぎて手が回らない! 逆にコーナーへガマ・ヒップアタックで押し付けられ、巨大な尻で何度も圧殺される。倒れた橋本へはガマ・プレスだ。
ここでレフェリーがカウントに行くが、またしても高速カウント。危うく3カウントを逃れた橋本は、水面蹴りで逆襲すると「このデブヤロー!」と自虐的な叫びを上げ、キック5連発。そして、不正なレフェリーにチョップを見舞うが、何とこのレフェリー、後ろから橋本にパンチの逆襲を行った。いま入った情報によると、昨晩、島田レフェリーから六本木でいかがわしい接待を受けたのだという。
それにもめげず橋本は怒りの鉄拳から払い腰、そしてフォールに入るがレフェリーは見てみぬふり。橋本はサイドキックからDDTを繰り出して再びフォールに入るも、今度は超スローなあくびがでるようなカウントだ。いったい島田は、どんな接待を施したというのだ!
ならばと橋本は逆十字固め。もう逃げられないガマ大王がタップするも、やはりレフェリーは見てみぬふり。しかし、ゲロゲーロともがき苦しむガマ大王が不憫に思えたのか、やっと試合をストップした。すると、ガマ大王はレフェリーに八つ当たり。天罰である。
「俺たちは新しい事に挑戦しています。プロレスのために、ちょっと恥ずかしい思いもしています」と橋本。実は自分でもコスチュームがハデ過ぎたと思っているらしい。
「でも、恥ずかしい事でも真剣にやってます」と言う橋本に、11,125人の観衆から大きな拍手が送られた。ここで、“ハッスルキング”から観客へ向けて提案。ハッスルポーズの腰の振りが足りないと感じ、新たなるポーズを考えたと言うのだ。名付けて、「ハッスル・トルネード」。ハッスル、ハッスルの後に、「トルネ〜ド」の掛け声とともに腰を2回転させるという、難易度Dの荒業である。ハッスルキングの掛け声で、11,125人の観客は腰をクネクネとくねらせた。これでハッスル軍は貴重な1勝!”
12分41秒 スモールパッケージホールド
『ハッスル・ハウス』で遂にハッスルポーズを見せた川田。それまでハッスル軍とは微妙な距離を取り続けていた川田が正式にハッスル軍の一員となった瞬間だった。そして試合前、“キャプテン・ハッスル”の小川から大会ポスターにもなっているブルース・リーのコスチュームがプレゼントされる。しかし川田はそれを持って来た石狩太一をフロントキックで一蹴してしまう。やはり川田はまだハッスル軍に対して心に一物があるのか…そんな心配は杞憂に終わる。会場に流れる「燃えよ!ドラゴン」のテーマ曲。花道に姿を見せた川田は真っ黄色のトラックスーツに身を包んでいたのだ! 口数の少ない川田だが、ハッスルに対する熱い思いは変わらないのだ。
閉じるそして先発を買って出たのはヤングハッスルの中でも一番活きの良い横井だ。四つんばいのまま、動き回るサイコ・ザ・デスに右ローを叩き込んでいく。さらにタックルからバックを奪い、チョークスリーパーなど、格闘殺法でデスを攻め立てるが、デスは要所要所で横井の指に噛み付き、ピンチを脱出する。しかしヤングハッスルはそれくらいではへこたれない。ラリアットやパンチを喰らいながらもも横井は「来い!」と挑発し、気合でデスを圧倒する。ところがシルバが登場してからは戦況がガラリと変わる。あの高さから振り落とされる叩き付けパンチで一気に横井の勢いがなくなる。たまらず川田とタッチする。
ロープを跨いだ川田はいきなりブルース・リー・ムーブ。強烈なローキックを10連発! そしてフロントキックであのシルバをロープまで吹っ飛ばす。これがかなりショックだったのか、場外に落ちたシルバは棍棒を振り回して悔しそうな表情を見せる。デスは力の源の人形を持って川田に殴りかかるが、エルボーの打ち合いで人形を落としてしまって逆効果。しかし川田はその人形をゆっくりマットに置くというやさしい一面を見せる。
タッチを受けた横井は膝十字とアキレスをデスに仕掛ける。しかしシルバのカットで関節技を逃れるとフライングエルボーを決める。そのまま横井をロープにもたれかけさせて、『ハッスル・ハウス』で見せたトップロープからのギロチン! これでグロッキーになった横井をデスが場外に落とすと、何とマットを剥がしてのブレーンバスター、噛み付き。そしてイス攻撃と容赦ない攻撃。しかし横井はカウンターの右ストレートで、何とか川田とのタッチに成功する。
川田はローとハイキックを連発。体格的に有利なデスに標的を定めて攻めていくが、あと一歩のところでシルバのカットにあってしまい、なかなかチャンスを作れない。対するシルバは持ち前のパワーで川田&横井組を圧倒し、なんと2人同時にチョークスラム。これを川田のかかと落としとサンドイッチキックで阻止し、川田がシルバの動きを捉え、デスとシルバを分断することに成功する。
リング上の横井はデスに脇固め、さらにロープに振ってからのジャンピングパンチと一気呵成に攻め立てる。そして強烈なジャーマンスープレックスを敢行する。もう後はフォールするだけというところで落とし穴が待っていた。シルバを押さえる川田の方に、一瞬、横井が目をやった隙に、デスが素早くスモールパッケージホールド! 横井の気合が空回りする形となってしまい、手痛い敗戦を喫してしまった。
試合後、リング上でうなだれる横井に対して川田は「俺はこんな格好させられているのに、お前は全然ハッスルしてねえじゃねえか!」と説教。横井はより一層、肩を落としてリングを降りた。しかしこの川田の発言は横井に対する期待の裏返しなのだ。頑張れ!横井! そしてヤングハッスルたち!
10分18秒 変型ドライバー→エビ固め
閉じる『ハッスル・ハウス』では驚異的なパワーで軍鶏侍を葬ったバルバロッサ。今回はお互いに崔、コールマンをパートナーにしてのタッグマッチで対戦だ。ゴングと同時にダブルドロップキックでモンスター組を蹴散らしたハッスル軍だが、パワーの差はいかんともしがたい。2人ともリング外へ投げ捨てられてしまう。
圧倒的なパワーを誇るモンスター軍は、ハッスル軍をまるで子ども扱い。しかし、ハッスル軍はここは頭脳で勝負だ。コールマンに羽交い絞めにされた軍鶏侍に、バルバロッサがラリアットを狙うが、軍鶏侍はスルリと逃げて同士討ちを誘ったのである。コールマンがボディスラムからトップロープに昇り、長距離ボディプレスを狙えば、これもよけてコールマン自爆。
ハッスル軍は相手のミスを誘い、さらにはダブルで攻撃を仕掛ける連係プレーだ。崔はスモールパッケージホールド、逆さ押え込みと小技でフォールを狙うが、そんな小手先のテクニックはバルバロッサには通用しない。タッチされたコールマンはフロントスープレックス2連発、これは崔がカットに入ったが、バルバロッサは崔も軍鶏侍も蹴散らした! そしてコールマンに攻めるように指示するが、コールマンは「俺に指図するんじゃねぇ!」とばかりにバルバロッサを突き飛ばす。おっと、鉄壁の団結を誇っていたモンスター軍が仲間割れ!?
その間隙を縫って軍鶏侍がコールマンにヒジ打ち2連発、しかし、コールマンのタックルで逆襲され、ボディスラムからの変型ドライバーでフォール負け!
「イッツ・ア・モンスターサマー!」という高田総統の掛け声で始まった対抗戦は、モンスター軍が先勝。ところが、勝ち名乗りを受けるコールマンの手をバルバロッサが突き飛ばし、バルバロッサの手が挙げられるとコールマンがその手を下げさせる。さっさと花道を後にするバルバロッサに、怒りの視線を向けるコールマン。どうやら、完全に仲間割れのようだ。高田モンスター軍に、不協和音が鳴り響いた。
12分19秒 高速ウラカンラナ→エビ固め
閉じる『ハッスル』に新たなヒーローが誕生する。その名もハッスル仮面。笹原GMでさえ正体が分からないというこのヒーローには「アガリスクを食べれば強くなる」やら「ハッスル星雲からやって来た」など色んな憶測が飛び交っている。
突然、会場に響いた「誰か助けて!」という女性の声。そして「ハッスル仮面、ただいま参上!」と叫びながら、遂にハッスル仮面が私たちの前に姿を現した。真っ赤なコスチュームに、頭には「H」の文字。いかにもヒーローといった感じの風貌だ。しかし気になるのはそのサイズ。ハッスル仮面はレスラーとしては明らかに小柄だ。一方スペル・クレイジーはかなり大柄の選手。体格的には明らかに劣るハッスル仮面はどう闘う?
勢いよくマントを脱いだハッスル仮面を指差してクレイジーは「誰?」と一言。そしてパワーを生かしてハッスル仮面を押さえ込もうとするが、ハッスル仮面はその小さな体からは想像もつかない驚異的なパワーで跳ね返す。対するクレイジーも大きな体に似つかわしくない俊敏な動きでハッスル仮面とスピーディーな投げの打ち合いを披露する。
場外に投げ飛ばされたクレイジーはそのままハッスル仮面もリングの外に引きずり落とし、コーナーに頭を叩き付ける。ハッスル仮面もフランケンシュタイナー、場外へのボディプレスと手数では上回るものの、やはり一発一発に重みのあるクレイジーの方が有利に試合を進める。小さな体を目一杯使って卍固めをかけるハッスル仮面。しかしこれもクレイジーのパワーに潰されてしまって万事休す。
パイプ椅子を持ち込んだクレイジーはそれをコーナーにはめ込んで、ハッスル仮面をそこに叩きつけようとする。しかしハッスル仮面は空中で回転しながら体勢を入れ替えると、そのままクレイジーを椅子に向かって吹っ飛ばし一気に形勢逆転。強烈なキックでクレイジーを場外に落とすと、花道を利用してのフランケンシュタイナー。ミドルキックをどてっ腹にぶち込む。
しかしクレイジーはそう簡単にやられるようなやわな相手ではなかった。ハッスル仮面のダイビングボディプレスを受け止めるとそのまま顔面からマットに叩きつけ、前転しながらのパワーボムと大技を連発する。一転してピンチに立たされたハッスル仮面だが、その身軽さを生かして、クレイジーの攻撃をかわすと、何とその場でジャンプしてムーンサルト! そして最後はクレイジーのパワーボムを空中回転エビ固めに切り替えして、大逆転勝利を収めた。
何も言わずにリングを降りたハッスル仮面だが、スクリーンには「ハッスル仮面に次々と襲い掛かる悪の軍団。どうなるハッスル仮面!?」としっかりと次回予告。今後、継続参戦しそうなハッスル仮面には要注目だ。
閉じる<登場順>
金村キンタロー
石井智宏
田中将斗
ザ・フライング・バンパイア16世
本間朋晃
スティーブ・コリノ
長州力のハードコア初参戦が注目されていたが、長州は「俺には他にやることがある」と直前で出場を拒否。代わって愛弟子の石井智宏が「長州さんが出るまでもねぇ!」と出場を表明するという、波乱の幕開けとなった。
最初に登場したのは金村で、椅子を持って待ち構えていたが、続いて登場の石井も椅子を持ってリングイン。激しい椅子の叩き合いから、石井が長州直伝のラリアットで椅子ごと吹っ飛ばす。しかし金村も負けてはいない。石井をコーナーに叩きつけると、ダウンしたところで股間に机を叩き付けた! これは痛い! 金村はさらに、石井の股間に密着した机を椅子で釘打ち。
金村ペースで進んでいたところで2分が経過、田中が登場すると金村は石井を羽交い絞めにし、コーナーポストからの攻撃を指示するが、田中が狙ったのは金村のほうだった。さすが裏切り、共闘なんでもアリのハードコア。
金村がコーナーにセットした机に、石井が逆にブレンバスターを決めたところで、4人目の高田モンスター軍選抜選手、『ハッスル・ハウス』で華麗なる空中殺法を披露したザ・フライング・バンパイア16世が登場。いきなりトップロープに飛び乗ってのドロップキックで田中と石井をふっとばし、空中殺法の数々を披露、孤軍奮闘して場内を沸かせる。
だが、その間に金村はエプロンに机をセット。ハードコアのセッティングは俺に任せろとばかりに、今日は裏方さん的な動きが多いぞ! 石井がラリアットでヴァンパイアの動きを止めると、田中がパワーボムでエプロンの机に叩きつけるという連係プレーで、オーバー・ザ・トップロープによりうるさいヴァンパイアをまずは片付けた。
ここで本間がスチール製の脚立を持って登場、田中と石井に叩きつける。脚立の奪い合いが続く中、最後の選手スティーブ・コリノがなぜかギターを持って登場(注・残念ながら白ではない)。と、金村と共闘を始めた。心強い味方を得た金村は大暴れ、石井をブレンバスターで机に叩きつけ、さらに石井へラリアットを見舞おうとしたが、勢いあまってそのままトップロープから場外へ転落、失格となったが石井を道連れにする事には成功した。
コリノにスーパーフライを決めた田中は、瓦を持ってリングに入ってきた本間から瓦を奪い、逆に頭へ叩き付ける。瓦は真っ二つ!
怒りの田中は脚立を持ち出し、コリノに高角度ブレンバスターを決めようとするが、その上に飛び乗った本間がさらに高角度ブレンバスターを決める!
本間はさらにコリノを机の上に寝かせ、自らは脚立の上に。しかし、その脚立を田中が押し倒し、本間はトップロープにしこたま股間を打ちつけてオーバー・ザ・トップロープによって失格となってしまった。
これで田中とコリノの一騎打ちに。コリノは例によって、橋本モノマネDDT、小川モノマネSTO。さらに椅子に向かってブレンバスターで叩きつけ、長州モノマネラリアットとやりたい放題。調子の乗ってロープに飛んだところで、リング下から田中のセコンドに足を引っ張られてしまった。その隙に、コリノが持ってきたギターを手にした田中はコリノの頭へギター爆弾3連打! そしてピンフォール。田中が見事な頭脳作戦(?)で勝利を収めた。
10分48秒 スパイスブリッドNo.2→片エビ固め
閉じるのっけからスピーディーな展開のタッグマッチに、場内は大いに沸いた。カズ&スパンキーが華麗なる空中殺法を見せれば、マキシモ・ブラザーズも場外へ飛ぶ。しかし、タッチワークはマキシモ・ブラザーズのほうが上か。自軍コーナーへスパンキーを引きずり込み、「イチ、ニ、サン、シッ!」と掛け声をかけながら、交互に出てきてはストンピング4連発を浴びせる。さらには、カズやスパンキーが得意のトップロープからの攻撃を見舞おうとすると、必ずもう片方が出てきては空中で受け止め、返し技を見舞うといった具合だ。宙吊りにされ、叩きつけられるハヤシ。スパンキーはトップロープからのスウィングDDTに行くところを空中で受け止められ、そのままコーナーポストに戻されてダブルの雪崩式ブレンバスターを喰らってしまう。チームプレーに優るマキシモ・ブラザーズが、このまま押し切るのかと思いきや、ホセがトドメとトップロープから飛び降りようとしたところをカズがキャッチ、そのまま肩車するとスパンキーがトップロープからのスウィングDDTを決めて、そのままエビ固め。最後には、マキシモ・ブラザーズの上を行く、見事なコンビネーションでオープニングハッスルを飾った。