ハッスル通信

ここがダメだよ!『ハッスル』
週刊ゴング統括マネージャー
杉本喜公氏インタビュー(前編)

2007年1月30日

 昨年11月23日、ハッスル3年間の集大成である『ハッスル・マニア2006』が開催され、ファイティング・オペラの第一幕が閉幕、2007年のハッスルは新章に突入する。これからのハッスルはどう変わっていくべきなのか? ハッスル・オフィシャルサイト取材班が『週刊ゴング』杉本喜公統括マネージャーにインタビュー、ぶっちゃけハッスルってどーよ、と根掘り葉掘り聞いてみた。


――ハッスル3年間の集大成である『ハッスル・マニア2006』(2006.11.23横浜アリーナ)が開催されました。大会後にはファンやマスコミから賛否両論あったわけですが、杉本さんはどういう感想をお持ちでしたか?
「メインにすべてが集約されてましたね。『ああ、こういう方向でいくんだな』という大会だった気がしますね。完全にハッスルはハッスルであって、通常のプロレスと同じ枠ではないと捉えた方がいいな、という判断をしました。個人的には見ていて面白かったですよ」

――杉本さんが予想していた展開通りになりましたか?
「予想通りだった気はするんですよ。でもまさか舞台装置が壊されるとは思ってなかった。思っていたよりは大きくてダイナミックな試合展開でしたけど、結果的にはああなるとは予想がついていたので、あそこでもう一捻りしてくれれば、より良かった気はしますね」
――最後に小川選手がリングに立ってマイクアピールをして、ファンや関係者からダメだしを食らっています。
「小川選手が出てこざるをえなかったんだろうなと(笑)。小川さんも大変だなと見てましたよ。“ハッスル軍のいかりや長介”とい言われているので、最終的に締めざるを得ないんだろうなと思いましたね。結局バッドエンドで終わったじゃないですか? 私はハッスルはハッピーエンドで終わった方がいいと思ってるんですよ。なのでああいう形で終わってしまって、『とりあえず締めないといけないんだろうな』と思いましたね。お客さんの反応があまりにも冷たかったというのが、ひしひしと伝わってきましたよ」

――あの場面で小川選手はどうすれば良かったと思いますか?
「基本的に小川選手は機転がきかないらしいじゃないですか(笑)。でも僕はそこが小川選手のキャラクターだと思っているので、あれは非常に小川選手らしいハッスルポーズだったなと」

――締めるのは誰が適任者だったと思いますか?
「やっぱり小川選手でしょう。無理でしょうけど、あそこで高田総統が出てきて一演説するよりは、僕は小川選手で良かったと思いますよ。あの試合のエンディングで誰が出てきても引くと思うんですよ。だから引くなら思い切って、小川選手で行くしかないでしょう。」

――『ハッスル・ハウス クリスマス・スペシャル part1』(2006.12.25後楽園ホール)で高田総統からもダメ出しされて、小川選手本人も結構落ち込んでいましたよね?
「逆にあのキャラクターを今後に活かしていければいい気がしますけどね」

――『ハッスル・マニア2006』の試合結果を扱った号が売れたというのはありましたか?
「いやあんまり変わってないですよ(笑)。売り上げが落ちなかったからいいんじゃないですか。」

――ハッスル最高責任者である坂田GMがエンディングを締めても変わらなかったんでしょうか?
「オープニングで坂田GMWは、恋人の小池栄子似の“妖精さん”を呼んだからいいんじゃないんですか。あれで十分だったと思います」

――『ハッスル・マニア2006』ではグラビアアイドルの海川ひとみがデビューしたのですが、どう評価されますか?
「バボが良く頑張ったなと(笑)。バボのベストバウトじゃないですか?」

――海川さんの動きはどうでしたか?
「アイドルでやっているから、ああいうキャラクターでギャーギャーやってるのが一番いいんじゃないですか? 他のプロレスラーに対して、下手に技使ったらやばいでしょ」

――実際に海川さんの練習風景を見てた方の間では凄く評判が良かったと聞いています。
「技術うんぬんよりも、ハッスルでは気持ちが大事だと思うんです。そういうのが伝わったので結果オーライな気がしますよね。この前の大会では、海川さんは新しく鉄仮面を被って出てきましたけど、その流れが続くのであればこれからより面白くなる気がします」

――素人がリングに上がることに関してはどう思いますか?
「今までの既成のプロレスと別枠で見ているので、全然構わないですよ。逆に色んなジャンルの人がいっぱい出てきてプロレス色を消して欲しいんですよ。その中でプロレスラーの人たちがどれだけ頑張ってプロレスを見せていくのかが面白いのかなと思います」

――プロレスラーがバチバチの肉弾のぶつかり合いをしても、芸人さんがリングに上がるとプロレスラーのいいところは完全に打ち消されますよね。
「それはプロレスラーのキャラクターが弱いからでしょ? プロレスラー頑張れって感じですよね」

――芸人がプロレスの起爆剤になると。
「王道といわれる通常のプロレスとは違う団体がこれまでに旗揚げしてきましたよね。ハードコアマッチを売りとするFMWや、ハイブリッドレスリングをベースとするパンクラスなど。そういうプロレスが支持されたり、支持されなかったりしますけど、ハッスルもその中で出てきた一つだと思うので、ハッスルの中でプロレスラーを見せるやり方が確立されれば、どの選手が良かった悪かったとか出て来ると思うんですよね。プロレスが勝った負けたではなく、プロレスの魅力がそこで見られればいいなと思います」

(後編に続く)