ハッスル通信

故・橋本真也さん最後のお別れに8000人
神がかり的な三つの出来事も起こった!

2005年7月30日

 7月30日(土)東京・南青山の青山葬儀所で、11日に急逝した故・橋本真也さんを送る「故・橋本真也 プロレス界・プロレスファン合同葬」が行われた。葬儀には関係者・ファン約8,000人が集い、橋本さんに最後のお別れを告げた。


 駐車場に設置されたリングの上に橋本さんのパネルやリングコスチュームが並べられ、中央にはIWGPのチャンピオンベルト。一同で黙祷を捧げ、10カウントゴングが鳴らされたその時だった。突然、ポタポタと雨が降り出したのである。まるで天が泣き出したかのような光景…しかし、神がかり的な自然の演出はそれだけではなかった。
 リングの周りに新日本プロレス、全日本プロレス、ZERO-1 MAX、ハッスル、それに田村潔司、美濃輪育久、滑川康仁らの格闘家が並び、リング上には小川直也、蝶野正洋、武藤敬司、大谷晋二郎の発起人四名が上がって、それぞれが次のように挨拶。
 蝶野「自分たちも7月11日に訃報を聞いて、信じられないままこの日を迎えました。橋本真也は皆さんの温かい声援の中で、リングの中で成長し、一生懸命生きたと思います。今日、これだけの人が橋本真也のために集まられた事を、彼は喜んでいると思います。7月11日、橋本真也は俺の心の中、関係者、ファンの皆さんの中で一番星になって、スーパースターになって、心の中に残っていくと思います」
 武藤「今日は橋本のためにご参列ありがとうございます。橋本も草葉の陰で喜んでくれていると思います。花を添えて、橋本を見送ってやってください」
 小川「彼はなにぶん、湿っぽいのが大嫌いなので、今日は明るく彼を送り出してやってください」
 大谷「橋本さんが命を賭けて守ったZERO-ONEは、ZERO-1 MAXとして生き続けています。これからもっともっと頑張って、橋本さんを安心させたいと思います。小川選手がいま言ったとおり、橋本さんは湿っぽいことが大嫌いでした。ファンの皆さん、今日は明るく送り出してあげてください」
 続いて冒頭の10カウントゴングが行われ、新日本プロレス・田中リングアナによる最後のコール。
「2005年7月30日、この橋本真也の血と汗と涙がしみ込んだ、黄金に輝くこのベルトを天に届けるとき。永遠なれ、破壊王伝説。赤コーナー、第14代、16代、19代、そして永久IWGPヘビー級チャンピオン、183cm、135kg、橋本真也ーーっ!」
 坂口征二、藤波辰巳を始めとし、新日本プロレスの関係者・プロレスラーが一同にリングへ上がって最後のお別れ。中西学はファンへ向けて、無言でIWGPのベルトを高く掲げた。
 そして、ファンによる献花が行われ、長い列が作られた。ここで、ふたつめの神がかり的な出来事が。献花が始まると同時に雨がやみ、今度はリング上に陽がさしたのである。「湿っぽいのが嫌い」という小川の言葉通り、明るい太陽が顔を出した。

 午後2時43分、献花終了。再び発起人4名がリングに上がり、発起人を代表して小川が挨拶。
「本日は橋本真也合同葬儀にご参列いただき、ありがとうございました。皆様の温かい、彼に対する気持ちは一番彼が分かってくれると思います。これだけの皆様に見送られて、彼も安心して天国へ旅立てると思います。業界としても、これだけ盛大に送り出すことが出来て、感謝しております。ありがとうございました」
 そして、橋本さんの長男・大地くんに小川からご霊前が渡された。まだ中学1年生、13歳の大地くんはマイクに向かい、「父のために来ていただいてありがとうございました。こんなに人が来てくれるとは思いませんでした。来てくださってありがとうございます。お父さん、ありがとうございました」と、しっかりとした挨拶を行った。

 ここで、司会の方より提案がなされた。湿っぽいことが嫌いな橋本さんを、発起人それぞれが得意な掛け声で送り出してもらおう、というものだ。
 まずは大谷から。「橋本さんが立ち上げたZERO-ONE恒例の掛け声がありました。これも橋本さんが考えたものです」と、「スリー、トゥー、ワン、ZERO-ONE!」の掛け声をファンと共に合唱。
 続いて、蝶野と武藤が「さっき、武藤と小川と昔の話をしていたんですが、楽しい話しか出てきませんでした。スーパースター橋本と武藤さん、俺もそうですが、師匠の、アントニオ猪木師匠のやつをやりたいと思います」と、「イチ、ニッ、サン、ハシモトーーッ!」を二人で行った。
 そして最後は小川。「ハッスルでの橋本さんは“ハッスル・キング”でした。本来ならハッスルで締めるんですが、橋本選手のオリジナルがあります。トルネード・ハッスルです」と言ったところで、みっつめの神がかり的な出来事が起きた。急に風が吹き、パタパタとパネルが倒れたのである。それを見た小川は、「ちゃんとやるから安心してくれ。あの人は風が大好きでしたから」と橋本のパネルに語りかけ、「彼は常にこう言ってました。おい、恥ずかしがらずにやれよ! と。それが彼の口癖です。橋本真也、天国でもハッスルしろよ!」と、発起人4人揃って、そして大地くんと二人の妹、ファン全員とのトルネード・ハッスル。
 橋本さんのテーマ曲、『爆勝宣言』が鳴り響き、リング後方から何度も炎が上がる。8,000人のファンから一斉に沸き起こる「橋本コール」が、いつまでもやむ事はなかった。
 永遠なれ、橋本真也ーー。


●合同葬終了後の発起人コメント

蝶野正洋
「さっきも話しましたけど、楽しい話しか出てこない。いろんな意味で魅力のある人間だった。夢が大きくて、壁にぶつかっても諦めず夢を掴んでいく男でした。自分がやっていこうという夢を、しっかり持った人間だったと思います。いろんな人に迷惑をかけたし、俺も迷惑こうむりましたけど、それだけじゃない人間だからこれだけの人が集まったんでしょう。
 大地くんはまだお父さんの偉業が分かっていないと思うので、これから伝えていきたいと思います」

武藤敬司
「今日で橋本は自分の心の中に刻んで、橋本の分まで俺もプロレスLOVEでいきます。橋本はとんでもない野郎でした。蝶野と昔話をしていても、この場ではいえない話ばっかりで、控え室で笑ってしまいました。プロレス界のライバルだったけど、袂を分かってからは人生のライバルだと思っていた。橋本の時計は止まってしまったので、彼の代わりに俺は俺の人生を全うする。
 大地くんはウチの息子と仲が良くて、一緒の空手道場に通っているし、ウチの試合も見に来るんです。控え室で“お父さんをやっつけるプロレスラーになるか? じゃあ、ウチに来い”と言ったら“ハイ”と返事してたので、もうツバはつけてあります(笑)」

大谷晋二郎
「後輩として言わせてもらうと、先輩はとにかくバカ騒ぎが好きでした。だから明るく送り出せてよかったと思います。
 大地くんの事は小さい時から知っています。偉大な父を持ったので、橋本さん同様、偉大な男になって欲しいと思います。応援していきたい」

小川直也
「いろんなプロレスラー橋本真也をみんな心に刻んでもらうという意味で、今日は良かったと思います。風が吹いた時は不思議な感じがしました。風を大事にする人だったので。いたずらが好きでしたし。彼が起こした最後の送別だったのではないですか。
 大地くんにはお父さんを超えて行って欲しい。いい相談相手になりたいと思います」

関連ニュース:小川・蝶野・武藤・大谷が発起人となり、 7・30青山葬儀所で故・橋本のプロレス界・プロレスファン合同葬
関連ニュース:小川、突然の訃報に「まだ信じられない」